第一部　第五章　悪は近くなく、さほど遠くない

2013/04/09（火）17：32：38（11年前） 更新

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　この物語は、始まった…


第一部　決闘！奇跡のライバルたち　～悪と悪、善二名。～
　「お前ら、この勝負に勝つ気あるのかよ？」

「じゃあ行くか、クラッシュ！」
「モチロンさ！」

二人は拳を突き合わせると、仲間を、世界を、悪から取り戻すために。


正義という大義名分を引っさげ、駆け出して行った―――


一方悪役は、そんな動きがあるとは知らず、とある会議室に集まり、談義していた。
「つまりＡ液とＤ液を合わせた結果が…この物体Ｑだ」
マッドサイエンティスト、ドクター・ガイはホワイトボードに、一見すると意味不明な化学式を書き出している。
「なるほど」
一般人には薬品のにおいが鼻につく会議室には、五人の科学者が集まっていた。皆、ガイに尊敬の眼差しを向ける。
「にしても面白い発想じゃな。ワシには到底思いつかんだわい」
「そうだな」
ＩＱ３００の天才、エッグマンは感心したまなざしで彼を見ている。
「あの～、Ｂ液とＦ液を合わせると、どうなりましたかな？」
コルテックスの部下、エヌ・ジンが問う。
「ああそれは…すまない。失敗だったから、リビビにした」
「そうですか…面白い結果を望んでいたのですか…」
ガイもエヌジンも残念そうにそう言った。
「だがな、このリビビと、様々なクリスタルを合成して、特殊なリビビを作り出すことに成功したんだ」
ガイはそのリビビを呼び、皆に紹介した。
「こ…これは…」
色違いのリビビを見て興奮気味の五人。
「これを利用すれば、夢も叶うはずだ…！」
「おお…！！」

「では早速、戦闘テストに入るとしよう。見に来たければ後についてくるがいい」
そう言うとガイと四人の科学者は、闇の扉の奥に消えて行った―――


一方、他の世界では不審な動きが強まっていた。
人間世界では、宇宙を巻き込むような事件はなかった。だがその他世界では、宇宙で事件が起きていた。

世界と世界の、強制的な合併だった。

今ヒーローたちがいる世界が合併したことにより、その各世界に異常はなかったものの、ほかの世界―――人間の空想上の世界は、または荒れ狂い、または混乱に陥り、そして、消失していた。
これにより、兆、いや無量大数、いやそれ以上あったと思われる世界は、どんどん数を減らしていった。


この戦いが完全に終わるころには、一体いくつの世界が残っているのだろう――――



「いったい、どこにいるんだ」
駆け足の音が聞こえる。
「いない…こっちかな」
足音は大きく響く。
「いた…！」
その主の先には、白いハリネズミの姿があった。



「見つけたぞ！シルバー・ザ・ヘッジホッグ！！」

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