第一部　第十九章　立ち止まって　耳を澄ませて

2013/05/17（金）23：15：47（11年前） 更新

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　この物語は、始まった…


第一部　決闘！奇跡のライバルたち　～悪と悪、善二名。～
　「お前ら、この勝負に勝つ気あるのかよ？」

バンディクー二匹がたどり着いたところは、薄暗～い館の最上階。
「ま、なんとか守ることはできたな。」
額の汗を肘で拭って、安堵の笑みを作るクランチと、どこか好かない顔と気分のクラッシュ。
「で、帰り路…どっちだったかな？」
クランチが申し訳ない気分で訊く。疲れていて思い出すことさえ億劫だ。

「お前、それくらい覚えておけよ…。こっちだろ、こっち」

密林でパワーストーンを狙っていた他の四人は、こっちに向かってくる気配など、ほとほとなかった。一人が二匹を取り残し、残りの三人から選んでいるようなものだった。
こっそりぶんどってもいいくらいだったけどそうしなかったのは、きっと彼らに何らかの期待を抱いていたに近い。

…結局、四人は誰もバンディクー達に攻撃することはなかった。
「…バトルロワイヤルで取り残されてる奴みたいだ」


「これで持ってるパワーストーンは二個だな…いつもに増して遅い」
「いつもに増して遅いのは、中ボスがいっぱいいるからじゃないのか？」

クラッシュはその一瞬、人の気配を感じて立ち止まった。
「そうだな。でも、大したもんじゃなっ…」
慌てて口を押えさせる。

そこから聞こえてくるのは、味方（？）と敵の戦いの音声だった。

「コルテックスの部下とクッパさんの部下がケンカしてらぁ。親分同士かよ…。」
クランチは呆れている。一つだけクラッシュが問う。
「は？クッパは親分じゃないだろ？」
「え？そうなのか！？」
クランチは予想以上に驚いた。ただし、これはこちらからの予想だが。
「親分は他にいるはずだ」
「そうだったのか…。知らなかった…」
「いや、知らない方がいいのかも」

「このことは秘密だからな？」
「ああ」



戦いに参加しますか？
「ＮＯ▼」
「やめとく▼」

クランチは冷や汗をかくし、クラッシュは回り道をし兼ねないし…避けて通ることにした。


この後、喧嘩はさらに激化する。避けて通るのが良かったのかどうかは、正直、どうかと思う…。

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