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クラッシュ・バンディクー 死亡短編集
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青と緑
2017/01/18(水)22:07:59(7年前) 更新
~番外編~
昔々あるところに、二人の小さな精霊がいました。一人は緑の髪の女の子で名前はミント、もう一人は茶色い髪の男の子で、名前はシアンと言いました。―彼らの名前は、お互いがお互いに呼びやすいように付けたモノですから、本当の名前は違うのでしょうが、それを知る者は誰ひとりとしておらず、二人ですら知りませんでした―彼らに親はいませんでした。いや、そもそも彼らに親などという者がいたのかすら定かではありません。彼らは物心ついたころから、ずっと二人で生きてきたのです。コルテックスという恐ろしい存在に怯えながら。
彼らは少し前に、コルテックスという世界征服をたくらむ男にさらわれ、奴隷のような扱いを受けていたのです。…コルテックスが彼らをさらった理由は、彼らが生まれながらに持っている、特別な能力を手に入れたかったからです。実は、ミントには「物を触れただけで爆発させる」能力が、シアンには「生き物を復活させる能力」があったのです。こんな風に、生まれながらに能力を持っている精霊はほとんどいません。つまり、彼らは特別だったのです。コルテックスは偶然それに気付いて、彼らを誘拐し、能力を自在に操ろうとしたのです。もしも彼らにこんな能力が無かったら…今のような生活を送らなくて済んだでしょう。どこかでひっそりと、二人で暮していけたことでしょう。
小さな彼らにとって、コルテックス城での生活はとても苦しかったことでしょう。毎日
毎日おかしな薬を飲まされ、変なビームを浴びせられ…他にも、考えただけでぞっとするようなコトを繰り返しやられていたのです。それのせいで、ミントの自慢の髪の毛は傷んでくしゃくしゃ、シアンの綺麗な黄色い瞳は、片方が緑色に変色してしまい、視力も落ちてしまいました。
でも、彼らにはひとつだけ楽しみがありました。その楽しみというのは、コルテックスが眠ったころに二人で夜空を眺め、話をすることでした。話と言っても、シアンが自分の作った物語をミントに語り、ミントはそれを聞いているだけ、というものでした。ですが、それだけが二人の心の支えであり、その楽しみのおかげで、コルテックス城の暮らしに耐えていけたのです。
「…それで?それで主人公(シイラ)はどうなっちゃうの?」
「主人公(シイラ)はね…そのあと魔女のノエルに会うんだ。それで、不思議な薬を飲んで…」
シアンの作る物語の主人公は、全て女の子でした。それは、薬やビームのせいで体も心もボロボロになってしまったミントを、慰めてあげるためでした。そんなシアンの優しさのおかげで、夜の間だけはミントの顔に、笑顔が戻っていました。
でも、運命というのは残酷なモノです。これ以上酷いコトをしたら、ホントに二人は壊れてしまうかもしれないのに。コルテックスは二人に、クラッシュの残機を奪うことを二人に無理矢理やらせたのです。ミントの能力でクラッシュを爆発に巻き込ませ、シアンの能力で残機と引き換えに生き返らせる。これを繰り返せば、クラッシュはどんどん残機が無くなっていって、自分と戦う時に自分が有利になる。そう思ったんでしょうね。抵抗したら自分達はもっと酷い目にあうことを二人は知っていたので、二人はコルテックスの言いなり。来る日も来る日もクラッシュの残機を奪うばかりでした。そしてついに、そんな生活に耐えられなくなったミントとシアンが行動を起こします。
「シアン、あたし…ここから逃げるよ。今までありがと。じゃ…行くね」
「俺も行くよ。俺だってここにいるのは嫌だし、ミントちゃんは方向オンチだろ?俺がいなきゃ、ミントちゃんが迷っちゃうよ」
それだけの会話を交わすと、二人は迷わず窓から飛び降りました。ここは最上階です。いくら精霊とはいえ、それだけの高さから落下したら…ケガどころでは済まないでしょう。二人はあっという間に、波の激しい海へ消えました。
先に目が覚めたのはシアンでした。ミントも多少の擦り傷、切り傷があるものの、致命的な傷はありませんでした。少しすると、ミントも目を覚ましました。
「あんな高さから飛び降りたのに…凄いラッキーだね」
「しかも、どこかの島に打ちあげられたみたいだね。これはかなりラッキーだよ。でも、ここは一体どこだろうね?とりあえず、その辺を歩きまわってみようか。何か見つかるかもしれないし」
「うん」
そこは緑に囲まれていて、どこをどう見ても街などはありませんでした。そのうえ、食糧になりそうなものも、水すらもありませんでした。精霊とはいえ、二人は神様のように、かすみか何かを食べていけるわけではありませんから、水や食料がないと生きていけません。この島にずっといれば、やがて飢えてしまいます。でも、よく見ると隣の島との間に、細く長い橋の様なものがかかっていました。隣の島には、建物がたくさん建っているのが見えました。出来る事なら隣の島で暮らしたいけれど、二人にはお金がありません。
「どうしようか?俺達にはお金がないから、街では暮らせないよ」
「でも…この島には食べ物もお水も無いよ?このままじゃ死んじゃう…」
と、その時、紫の髪の女の人が二人に近づいて来て、こう言いました。
「あんた達、仕事探してんの?…私達のところに来ない?ちょっと子供にはきつい仕事だけど、お金はたくさん入って来るわよ」
お金、というその言葉に反応した二人はすぐに返事をしました。どんな仕事かも聞かないまま。
「働かせてください」
その仕事が、コルテックスにやらされていたのと同じ「残機削り」だと知ったのは、返事をした少し後でした。でも、もう後には引けません。とうとう二人は、クラッシュの残機を削る仕事を引き受けてしまったのです。
そして、ミントはニトロと名前を変え、長かった髪を切り、シアンはチェックと名前を変え、茶色の髪を青く染め、幼いころの自分達を切り離して、未だに残機削りの仕事を続けているのです。
「夢を見たよ。俺達が小さいころの夢だ。リーダーに勧誘されて、ここに入った時の夢だった」
「…そうか。あたし達が小さいころの…。なぁチェック…」
「ん?」
「あの時、あの島の街で別の仕事を探すか、リーダーの誘いに乗って今の状態になるか、それとも…あの無人島で餓死するか。どれが正解だったんだろうなぁ?」
「…さあ。俺にもわからないよ」
…あなたは、一体どれが正解だったと思いますか?
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