キミの幸せを

2017/01/18（水）22：21：26（8年前） 更新

～番外編～

「クラッシュ、いい加減その写真を捨てんか。未練がましいぞ」タウナの写真を眺めるオイラに、アクアク爺さんがまた言う。それに対してオイラも、
「いいじゃんか！オイラの勝手だろ？」って返す。いつもと同じ日常の1コマ。キミがいなくなってから、ずっと続いているやりとり。オイラがこんなことしてる今、キミはアイツと何をしてるんだろう？

3年くらい前、初夏のある暑い日、キミは、オイラ達が初めて出会ったあの木の下で、オイラにこう言ったよね。
「あのね、別れて欲しいの」
『えっ』って言うオイラに、キミはこう続けた。
「アタシ、捕まってる時、ピンストライプさんを好きになっちゃったの。彼って、頭が良くって、カッコ良くって、クールで…本当に素敵なのよ！だからね、助けてくれたあなたには本当に感謝してる。でも、別れてくれる？」
ごめんなさいね？って言って、一方的に話を終わらせて、キミは振り向きもしないで歩いて行った。いつも一緒にいた、オイラを残して。

もちろん、最初はキミが憎くて憎くて、苦しかった。たくさん泣いたし、アクアク爺さんやココにあたったりもした。でも、だんだんオイラの中で憎しみは消えて、キミへの想いだけが残っていた。世界を守る為にパワーストーンを集めたり、コルテックスに立ち向かったりしてるうちに、この想いが消えてくれれば良いのに。…今でも夜にはキミが夢に現れるし、オイラはキミの写真を捨てられずにいる。そんな毎日の中で、オイラは気づいた。

本当にキミを愛してるなら、キミに「戻って来てほしい」って思っちゃいけない、キミに「幸せになってほしい」って思うべきだって。どんなにオイラがキミを思って、キミに「戻って来てほしい」って思っても、キミはアイツを―ピンストライプを愛してるから、オイラの所に戻っては来ない。だから、オイラがキミに出来ることは、キミの幸せを祈ることだって、そう思うようになった。

今夜は星が綺麗だ。月も綺麗な三日月、キミといつか見た星空みたいだね。
「星が綺麗な夜にお願い事をするとね、星がそのお願い事を叶えてくれるのよ」キミはあの時、そう言ってたね。あの時は、へぇって思うだけだったけど、今日からは星が叶えてくれるって、信じてみるよ。

キミの幸せを―

今夜も星が綺麗だ。今日も、きっと星がオイラのお願い事を叶えてくれるって信じて、星に向かってオイラは願う。
「キミと好きな人が、ずっとずっと、続いて行きますように」

…タウナ、愛してるよ、今も。だから、今夜もオイラは星に願うよ。

「キミが幸せでありますように」

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