人見ています。 |
クラッシュ・バンディクー 謎の精霊と支配された世界の舞台裏
|
- TOP
- >
- 水無月ニトロ
- >
- クラッシュ・バンディクー 謎の精霊と支配された世界の舞台裏
- >
- 番外編4:姉と妹
もみみ(4年前)
バート・ラマー(5年前)
2199(6年前)
2199ノークラ(6年前)
クラットン2(6年前)
ココバンディクー(7年前)
水無月ニトロ(7年前)
RITAL(8年前)
イエクラ(8年前)
asRiche3j8bh(8年前)
テトラピアノ(8年前)
asRichp4zuit(8年前)
オリキャラ短編集協会(8年前)
asRichg3gtwn(8年前)
わいるどた~ぼ(8年前)
asRichajohom(8年前)
ショートケーキ(8年前)
asRichw7ffmu(8年前)
スティックス・ザ・バジャー(8年前)
asRichqi316v(8年前)
asRichct3qjk(8年前)
リボルバー(9年前)
ぽぴゅらあ(9年前)
りんごっち(9年前)
sasuke(10年前)
回転撃(10年前)
ルイカメ(10年前)
ヴァイオレット(10年前)
えぞももんが(/・ω・)/(10年前)
隼人 (10年前)
まんじねーしょん(10年前)
CURA(10年前)
ハートオブハート(11年前)
フレイム(11年前)
ゲーマー(11年前)
クラットン(11年前)
ひろき(11年前)
ひろき(11年前)
HIROKI(11年前)
GGGGGGGGG(11年前)
IA・N(11年前)
かめちき(11年前)
霧雨(11年前)
てんし(11年前)
昇太/神馬当瑠(12年前)
風のクロノア(12年前)
オリキャララジオ放送社(12年前)
ここなっつココ(12年前)
いお太(12年前)
テクノしん(12年前)
リレー小説委員会(12年前)
ここなっつ(12年前)
気まぐれCocoちゃん(12年前)
たクラッシュ(12年前)
ダークネス(12年前)
早川昇吾(12年前)
しんごwww(12年前)
サム(12年前)
クランチバンディクー(12年前)
闇っぽいけど闇じゃない。永遠の炎の神様メフィレス(12年前)
イエクラ.com(12年前)
イエクラ@山手(12年前)
回転撃(12年前)
番外編4:姉と妹
2015/02/14(土)13:07:15(9年前) 更新
冬のある晴れた日、私のお墓(というか慰霊碑に近いかな?)にアネットお姉ちゃんがやってきた。手にはマフラーと帽子、それからシクラメンの花束を持って。
「シェリー、なかなか来られなくってごめんね。仕事が忙しくって…」
お姉ちゃんをこうやってお墓の方から見ていていつも思うんだけど、お姉ちゃんって、私が生きてた頃と全然変わってないんだなぁ。腰近くまで伸ばしている、ふわっふわの黒い髪。コレが楽なの、って言っていつも着てる白衣、黒いタンクトップ、黒くて太めのズボン、黒い靴。喋り方も全然変わってない。ただ、お姉ちゃんが昔と変わったところが2つある。1つ目は、黒くて薄い手袋をするようになったコト。2つ目は…
私のところに来た時、必ず泣くようになったコト。
「最近特に寒いからね、毛糸でマフラーと帽子を編んできたの。ホラ、可愛いでしょ?シェリーはピンクが好きだったからね、マフラーも帽子もピンクの毛糸で編んだんだ。お店で売ってるのよりは綺麗じゃないけど、結構な自信作なの」
「あと、シェリーの好きだったシクラメンの花を持ってきたの。昔はよく冬場になると飾ってたっけね。家にあった白いシンプルな花瓶に生けて…」お姉ちゃんはそう言ってから俯いて、口を手で覆った。…ほら、また泣いてる。
「やだ、私ったらまた泣いてる…もう、何年前の話だと思ってんのかしらね…?」
そのセリフももう何年も言ってるよね、お姉ちゃんは気付いてないだろうけど。…もう、私は別に怒ってるわけでも恨んでるわけでもないのに、お姉ちゃんったら、自分を責め続けてる…。もうやめてよ、あれはお姉ちゃんのせいなんかじゃないよ。そう言いたいけど、私の声はきっとお姉ちゃんには届かない。こうやって、お姉ちゃんが自分を責め続けてる様子を、私は黙って見てるコトしかできない。
しばらく泣いてから、お姉ちゃんは「また来るね」って言った。涙でぐしょぐしょになった顔で、無理矢理笑ってた。
それから何日か経った後、ふらふらと海辺を散歩していると、お姉ちゃんを海岸で見つけた。隣には可愛い顔をしたバンディクーの男の子、いや、男の人?が居て、2人は楽しそうに話をしていた。恋人なのかな、お姉ちゃんはすっごく幸せそうな顔をしてた。知らなかったなぁ、お姉ちゃんに恋人が出来てたなんて。私は自分の姿がお姉ちゃんたちに見えていないコトを良いコトに、ちょっと2人の会話に聞き耳を立ててみた。
「アネットには、家族とか居ないの?」「えっと…両親も妹も死んじゃって…」「あ…ごめん…」「いいのいいの。気にしないで」「ところで…妹って、どんな子なんだ?」「シェリーって言ってね、素直で可愛くて、歌がとっても上手な子だったのよ。写真あるけど、見る?」そう言ってお姉ちゃんは白衣のポケットから私とお姉ちゃんの2人で写っている写真を取り出して、男の人に見せた。「ホラ、この左の金髪の子。可愛いでしょ?」「うん、凄く可愛いのだ!」…そこまで聞いてた時、お姉ちゃんが悲しそうな顔をしてるコトに気付いた。…また泣きそう。もうこれ以上は私の方が聞いていられなくって、そっとその場を離れた。日が出ているのに、何だかものすごく寒く感じた。
10年前のあの日、私とお姉ちゃんは、あんなふうに海辺を散歩してた。そしていきなり、頭にNマークのある科学者と、頭にボルトの刺さった科学者に捕まって、研究所みたいなところに連れて行かれて、変な光線をあてる実験の、実験台にされた。お姉ちゃんはそのせいで、Nマークの科学者の手下みたいになってて、私はそれを見たちょっと後、実験の事故による爆発で死んだ。お姉ちゃんは、私が死んだのは自分のせいだって、今でもずっと自分を責め続けてて、私のお墓に来るたびに泣くようになった。どうして守ってあげられなかったんだろう、どうして助けてあげられなかったんだろうって言いながら。でも、私は別にお姉ちゃんのせいだなんて思ってないし、ましてやお姉ちゃんを恨んだり、怒ったりなんかしてない。でも、私の姿はお姉ちゃんには見えないし、声だって聞こえないから、どうすることもできない。でも、次お姉ちゃんが来た時、大声で言うつもり、「もう泣かないで、もう自分を責めないで。お姉ちゃんは悪くないんだよ」って。たとえ聞こえなくっても。
次にお姉ちゃんが来たのは、私の誕生日だった。手にはピンクの胡蝶蘭の花束と、白い手袋を持って。
「シェリー、17歳の誕生日おめでとう。コレ、私からのプレゼント。この前マフラーと帽子をあげたでしょ?その時に、今年のシェリーの誕生日には手袋をあげようって思ったの。あと、12月26日の誕生花ってピンクの胡蝶蘭だってネットで知ったから、ピンクの胡蝶蘭を持って来たんだ。知ってる?ピンクの胡蝶蘭の花言葉って『あなたを愛します』なんだって。生きていたらシェリーは、誰か素敵な男の人に、こんなコトを言ったのかしらね…?」そう言ってお姉ちゃんは、また前に来た時みたいに、口を手で覆った。もう見てられない。
「お姉ちゃんッ!」大声で言ったら、何でかお姉ちゃんは私の方を向いて、ビックリしていた。…聞こえたのかな?いや、そんなコトどうでも良い。聞こえてなくて良い。私は私の思いをお姉ちゃんに伝えるの、今日こそ。
「もう泣かないで!お姉ちゃんは悪くない!私が死んだのはお姉ちゃんのせいなんかじゃない!」「シェリー…?」「ずっとお姉ちゃんのコト見てた!お姉ちゃん、私のところに来ると、必ず泣いて帰ってくの!理由もわかってる!でも、もう自分のコトを責めないで!別に私は、お姉ちゃんのコトを恨んでるわけでも、怒ってるわけでもないんだから!」お姉ちゃんは泣いてた。私もいつの間にか泣いてたみたいで、お姉ちゃんや周りが歪んで見えた。でも私は、精一杯笑顔を作って言った。
「もう泣かないでよ。もう私のコト、考えなくって良いの。自分の幸せのコトを考えて。そうだ、この前一緒に海岸を散歩してたあの人、紹介してよ」
お姉ちゃんも、笑ってた。私もお姉ちゃんも、ちょっと前まで泣いてたのに。
「うん、あの人はね…」
日が暮れるまで、2人で話し続けた。見えてるとか聞こえてるとか、考えてみれば不思議だったけど、そんなのどうでも良かった。
年が明けてちょっと経ったある日、お姉ちゃんがまた私のところに来てくれた。スコーンを入れたバスケットと、イチゴのジャムの小瓶と、たくさんのお土産話を持って。お姉ちゃんに聞こえるかはわからないけど、私も言っておくね。
「あなたを愛しています」
5588