|
クラッシュ・バンディクー 死亡短編集
|
![]() |
- TOP
- >
- 水無月ニトロ
- >
- クラッシュ・バンディクー 死亡短編集
- >
- 壊れた光線銃
もみみ(5年前)
バート・ラマー(6年前)
2199(7年前)
2199ノークラ(7年前)
クラットン2(7年前)
ココバンディクー(8年前)
水無月ニトロ(8年前)
RITAL(9年前)
イエクラ(9年前)
asRiche3j8bh(9年前)
テトラピアノ(9年前)
asRichp4zuit(9年前)
オリキャラ短編集協会(9年前)
asRichg3gtwn(9年前)
わいるどた~ぼ(9年前)
asRichajohom(9年前)
ショートケーキ(9年前)
asRichw7ffmu(9年前)
スティックス・ザ・バジャー(9年前)
asRichqi316v(9年前)
asRichct3qjk(9年前)
リボルバー(10年前)
ぽぴゅらあ(10年前)
りんごっち(10年前)
sasuke(11年前)
回転撃(11年前)
ルイカメ(11年前)
ヴァイオレット(11年前)
えぞももんが(/・ω・)/(11年前)
隼人 (11年前)
まんじねーしょん(11年前)
CURA(11年前)
ハートオブハート(12年前)
フレイム(12年前)
ゲーマー(12年前)
クラットン(12年前)
ひろき(12年前)
ひろき(12年前)
HIROKI(12年前)
GGGGGGGGG(12年前)
IA・N(12年前)
かめちき(12年前)
霧雨(12年前)
てんし(12年前)
昇太/神馬当瑠(13年前)
風のクロノア(13年前)
オリキャララジオ放送社(13年前)
ここなっつココ(13年前)
いお太(13年前)
テクノしん(13年前)
リレー小説委員会(13年前)
ここなっつ(13年前)
気まぐれCocoちゃん(13年前)
たクラッシュ(13年前)
ダークネス(13年前)
早川昇吾(13年前)
しんごwww(13年前)
サム(13年前)
クランチバンディクー(13年前)
闇っぽいけど闇じゃない。永遠の炎の神様メフィレス(13年前)
イエクラ.com(13年前)
イエクラ@山手(13年前)
回転撃(13年前)

壊れた光線銃
2017/01/23(月)21:44:22(8年前) 更新
~番外編~
「これでちょちょいのパーじゃ」
その言葉を信じることは出来なかった。さすがに態度に出したらまた怒鳴られることはわかっていたので、適当に相槌を打った。ウカウカ様の横で、青い肌の参謀は、私に冷たい視線を寄越していた。
タイム・ネジネジマシーンの力は凄いもので、本当に過去にも未来にも自由に行き来が出来るのだ。私にはこんなものを造ることは到底出来ない。過去の皇帝も未来の大統領も、そしてかつて私を馬鹿にした科学者どもも、皆私に跪いた。コルテックス皇帝陛下、コルテックス王、偉大なるコルテックス様、呼び方は様々で、どれも悪い気はしなかった。が、何度も何度も聞いているうちに気分が悪くなり、頭が痛くなった。「こんなはずじゃなかった」気がする。こんな風に、黒く濁った目で崇拝されるはずじゃなかった。私が夢見たそれは、こんなに味気なく、色の無いものだっただろうか。考えているうちにめまいがして、立っていられなかった。結局、私がタイム・ネジネジマシーンを使ったのはそれ一回だけだった。
「タイムマシーンの調子はどうじゃ?」
「ええ、とてもグッドですよ。このまま行けば、すぐにコルテックスの手下がパワーストーンをゲットしてくるでしょう」
「そうかそうか、さすがはエヌ・トロピー、ワシの見込んだ通りじゃ!」
そう言ってウカウカ様は笑う。私はそんな言葉、1度もかけてもらったことがない。私にかけられる言葉はいつも、私に対する不満、罵倒、そんなところだ。悔しいがそれが事実なのだ。遠巻きに二人を見つめ、唇を噛む。少し口の中に、鉄の味が広がった。そんな私の存在に気付いているかは定かではないが、直後にエヌ・トロピーが放った言葉、そしてそれに対してのウカウカ様の返答は、気持ちの沈んでいた私にとどめを刺すのには充分過ぎて、私の存在に気付いているとしか思えないものだった。
「まぁコルテックスとはブレインの出来が違いますからねぇ」
「そうじゃな!コルテックスなんかより、お前の方がよっぽど役に立つ!もっと早くお前を呼べば良かったのう!」
私は今まで、私なりに努力してきたのに、何故ここまで言われなくてはならないのだろうか。確かに前回もその前も、私はクラッシュに敗れていたが、それでも諦めずに立ち上がってきたというのに。何故。
その場にいられなくなり、そっと立ち去る。視界が滲んでいるような気がしたが、そんなことはどうでも良かった。とにかく、その場から離れたかったのだ。口の中は相変わらず鉄錆臭かった。
「おい見ろよ、またコルテックスのヤツがやらかしたぞ」
「アイツもよくやるよな、誰も期待なんかしてねぇってのに」
「おい、聞こえちまうだろ」
「良くね?だってホントのコトだし」
「可哀想だろ、ただ俺らと違って才能がなかっただけなのに」
本人たちはひそひそと話しているつもりだろうが、全て私の耳に届いている。笑い声が神経に障る。何も聞こえないふりをして片付けをしていると、何かが頭に当たった。紙くずだった。笑い声が一層大きくなる。耳鳴りがして耳が痛い。もう嫌だ。視界がぐるぐると回る。
気がつくと私は、自室のベッドの上にいた。冬なのに汗をびっしょりとかいていて気持ち悪かった。動悸も激しく、顔も熱かった。とりあえず先ほどのことが夢であったことに安堵したが、耳鳴りは止んでおらず、その後なかなか寝つけなかった。
クラッシュはどんどんとパワーストーンを集めて行った。以前は私に跪いていた者も、恐らくは元に戻って、元通りの歴史を創っていくのだろう。すぐに、タイニーもディンゴも、そしてウカウカ様の見込んだはずのエヌ・トロピーでさえもやられてしまった。私にはタイム・ネジネジマシーンの定期検診は不可能なため、マシーンは完全に制御不能になった。ウカウカ様は怒り狂っていたが、私は当然の結果だと思っていたので、怒りも何も感じなかった。自分の力でできる限り、何とかしようともしなかった。そんなだからお前は駄目なんだとか色々言われた。でも、もう終わりにするべきだと思ったのだ。無理矢理歴史に介入することへの罪悪感、そしてその結果、自分の思い通りになり過ぎてしまった世界への虚しさに、私は耐えられなかったのだ。
最近、よく記憶が途切れる。自分が何をしていたのか、何を考えていたのか、切れ切れにしか思い出せない。頭には自分のような、違うような声がずっと響いている。あの日見た夢と同じように、アイツらの笑い声も聞こえる。一日中めまいがして気持ちが悪く、胃が食べ物を受け付けなくなってきた。体がだるく、立っていることでさえもきつい。そういえば、エヌ・ジンがこの間やられてしまった。やはり歴史は繰り返していくものだ。それでいい。もう疲れた。ただひたすらに眠ってしまいたい。ああ、クラッシュ、早く来てくれ。早く私のことをぶっ飛ばしてくれ、眠らせてくれ。私の意思ではもう、やめることも後戻りも出来ないんだ。私はただ、他人に認められたかっただけで、こんな、こんなはずじゃなかったんだ。どうか、お前の手で、元に戻してくれ。
研究室のセキュリティシステムを切った。早く、クラッシュが私の元に来れるように。
早く来てくれ、クラッシュ。一刻も早く、私を楽にしてくれ。世界を、私を、助けてくれ。
9644