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青い王女様
2015/02/12(木)16:13:07(9年前) 更新
「青い王国」シリーズ
昔々、コバルトと言う王国がありました。その王国の王様と王妃様の間に、子供が一人生まれました。名前はネイビー、可愛い女の子です。王女様は小さいころから、王様と王妃様に「いつも国民のコトを考えて行動しなさい」と言われて育ちました。王女様はその言いつけをしっかりと守り、いつか両親である王様と王妃様のように、国民のみんなから慕われる、素敵な王様になりたいと思っていました。だから、北にパンも買えないほど貧しい者がいれば、自分のドレスをお金に換えて渡し、南で子供が生まれれば、駆けつけてお祝いをしました。西に罪を犯す者がいれば、飛んで行って叱り、東で葬式があれば、その者の死を悼み涙を流しました。王女様は国中の誰からも愛されていましたし、国中の誰もを等しく愛していました。誰ひとりとして、王女様を恨んだり、憎んだりする者などいませんでした、あの日までは。
ある時、王様と王妃様が流行り病で亡くなりました。王様の遺言によって、王女様が大人になるまでは、王様のお世話係であったディープロと言う男が政治を行うコトが決定しました。王女様は最初、ディープロのコトを王様と同じ「国民を思いやる優しい人」と思っていました。ですが、彼は政治の実権を手にすると、今までとは別人のようになり、自分勝手な政治を行い始めました。例えば、今までは非常に軽いものだった税は、その10倍にも膨れ上がりましたし、ごくごく小さな罪を犯した者に対して、重すぎるほどの刑罰を与えました。さらには隣の王国や海の向こうの王国と身勝手な約束を結び、国民を振り回しました。その時王女様は気付きました。「彼は自分の父親(王様)とは違う。自分のためなら国民を殺すことだってできる、恐ろしい人だ」と。そして「このままでは自分の愛する国民たちが、彼の政治によってつぶされてしまうのではないだろうか」という恐怖を感じました。このまま彼の思い通りにするわけにはいかない。愛する国民たちを守るために。そう思った王女様は、摂政になったディープロに対して、身勝手な政治をやめるように何度も言いました。が、相手にされなかった挙げ句、地下の部屋に閉じ込められてしまいました。使用人達は、自分の執事であるヨーゼフ以外、ディープロの言いなりになっていました。もう自分の声はディープロには届きません。
ですが、この程度で諦めるわけにはいかないと王女様は思いました。ならばせめて、と執事のヨーゼフに頼んで、自分の身の回りの物を売り払って、そのお金をパンや薬にかえるなどして、特に税で苦しむ人たちに渡しました。が、ディープロはそれに気付き、すぐに税をより重いものに、またお金で払えないのなら物で、と人々の食べ物や薬、衣服から住居に至るまで、全てを国民から奪い取りました。それでも、王女様は諦めませんでした。国民たちを救うためならと、自分の食事を人々に渡すこと、身の回りの物をすべて売り払い、ついには長く伸ばしていた美しい髪まで売って、人々に届けることをヨーゼフに頼みました。ですが、それも全て税によってディープロに吸われ、国民たちには届きませんでした。
さらに、ディープロは「全ては王女様の命令である」と言って酷い政治を行っていて、それを信じた国民は「自分達がここまで苦しいのは王女様のせいだ」「王女様さえいなければ、自分達は自由になれるんだ」と考えるようになり、いつしか優しかったころの王女様を覚えているものはいなくなりました、たった一人の執事を除いて。
そんな事が何年も続いたある日、全てが崩れてゆくのを王女様は見ました。ヴァイオレティアという男が、革命軍を率いて王宮を攻めてきたのです。ディープロはそれにいち早く気付き、自分が助かるため、少しでも刑が軽くなるためにと、王女様を豪華な自分の部屋に連れて行き、豪華なドレスを着せ、自分は王女様を幽閉していた地下牢に行き、自分は地下で幽閉されていたことを装いました。もちろん、ディープロがそれを行った理由を、王女様が気付かないはずがありませんでした。ですが、心から自分を恨み、汚物を見るかのようなまなざしを自分に向ける革命軍を見て、「自分が悪者を装って死んだ方が、みんなは幸せに生きられるのではないだろうか」と思いました。そして王女様は、革命軍に捕えられた時、覚悟を決めました。自分が「王国を狂わせた独裁者」として死ぬことを。後日、王女様とディープロは死刑が確定しました。処刑は7日後、王女様は覚悟を決めたので何も怖くなどありませんでした。
ですが、それに断固反対した者が一人だけいました。自分に仕え続けてくれた執事ヨーゼフです。王女様が罪を被る必要などない、ディープロの罪こそ裁かれるべきなのだと言い続け、それを国民に訴え続けました。もちろん、国民はそれに耳を貸しなどしませんでした。が、王女様は、このままだと彼も共犯だとされ、処刑されてしまうのではないかと思いました。自分が死ぬのは怖くなどないけれど、たった一人、ずっと自分に仕えてきてくれたヨーゼフが死ぬことになるのではないかと思うと、怖くなりました。そして、なんとか彼に罪がかからないようにと思い、噂を流しました。「ヨーゼフは自分に歪んだ恋心を持っていて、それのせいで自分の無罪を訴え続けている」と。これを国民が信じるのに、そう時間はかかりませんでした。これでヨーゼフを共犯だと考えるような人はいなくなり、誰もが彼に哀れみのまなざしを向けました。王女様は悲しくなどありませんでした。彼が死んでしまうより、この方がずっといいと思いました。
そしてついに、処刑の日がやってきました。まずディープロが殺されました。国民がわざと、死の恐怖を感じながら死ぬようにと、王女様を後にしたのです。悲しくはありましたが、王女様は恐怖などすこしも感じませんでした。ただただ、自分が死んだあと、みんなが幸せに暮らせるよう、祈りながら断頭台に立ちました。その時、ヨーゼフがまだ自分の無罪を主張していることに気付きました。せめて、自分のコトを最低の人間だと思ってくれれば、きっと彼はいつか自分を忘れて、幸せになれると思い、
「ヨーゼフ、あなた、何を言っているの?今まで国民どもを苦しめてきたのは、まぎれもなく私よ?これを大罪と言わず、何と言うのかしら?こんな大罪人を無罪と訴え続けるなんて…傑作だわ!」
こう言ってけらけらと笑いました。笑っているのに、王女様は自分の胸が痛くなるのを感じました。でも、彼のためをと思って、狂ったように笑い続けました。それを見た国民が石や枝を投げつけてきましたが、ちっとも痛くありませんでした。ふと笑いながら、ヨーゼフを見ました。彼は黙って自分を見つめていました。ぼろぼろと涙を流しながら。それを見てより胸が痛くなりましたが、顔には出しませんでした。完璧な大罪人を演じ、死ぬために。しばらく狂ったように笑った後、あぁ、可笑しかった。などと言いながら、台に頭を置きました。「最後に言っておくことはあるか?」ヴァイオレティアに言われ、ほんの少しの間考えてから
「別に?あんたたちなんかに言い残すようなコト、あるはずないでしょ?」
と言いました。その直後、王女様は処刑されました。そのあとまさかヨーゼフが、自分の後を追うだなんて、王女様には知る由もありません。
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