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出会い
2013/10/10(木)16:20:03(11年前) 更新
ここからが本編です
…体が痛い。強化光線とかっていってるけど、光線を浴びせられた他の精霊もあたしも、浴びせられるたびに体が痛くなる。…これって本当はあたし達の力を弱めるものなんじゃないか?と思うほど。
なんであたし、こんなことになってんだろう…。あのニトロ箱から引きずり出されてから、ずっと思ってきたことだ。
…最初、なんだか光がさしたかと思ったら、急に体が痛くなって…痛くて…痛くて…そして、今ここにいる。
で、何でかはよくわからないけど、コルテックスとかって言う奴があたし達に命令してるし(あたしは従わないけど)、『フェアリックス』って言う機械の光線を浴びせられるし…秘書のクレアラとか言う女はあたし達に攻撃してきて、それのせいであたし達の体は日に日にボロボロになっていく。
あいつは一体何がしたいんだ?全くわからない。あたしらは、ただ体が痛くて辛いだけ。あいつの意図なんて知る由もない。
ある日の夜中、あたしはいつものように床に寝転がっていた。寝なきゃ動けないことは分かっている。だけどいつもいつも、痛みで全くといっていいほど眠れない。
今日もいつも通り、痛みで眠れずにぼーっとしていた。そうしていると、青い髪の背の高い男があたしの隣に来て座った。暗かったせいで顔をはっきり見ることはできなかったが、優しそうな顔だということはわかった。その男とは初対面なのに、どこか懐かしいように感じた。そいつは優しい声でこう言った。
「俺、チェックって言うんだ。君は?」
…ちょっとためらった。そんな優しく話しかけてくれるなんてこと今までなかったから、裏がありそうで少し怖かった。でも、おそるおそる名前を言った。
「…ニトロ・グリセリン。」小さめの声で言った。
「そっか。じゃ、これからよろしくね、ニトロ。」優しい口調でチェックは言った。嬉しかった。誰かに自分の名前を呼ばれて、ここまで嬉しく思ったことはなかった。
「ねぇ、今から少し話さないか?」思わず言っていた。言ってから自分の顔が真っ赤になるのが分かった。
な、何言ってんだろう、あたし!?初対面の奴に…恥ずかしい…。絶対『何こいつ、初対面で馴れ馴れしい』って思うだろうなぁ…。でも、チェックの答えは、意外なものだった。チェックは笑ってこう言った。
「俺は話が下手だし、聞き上手でもないけど、それでもいいなら…構わないよ?」
嬉しかった。口下手のくせに話好きで、初対面で、しかもかなり嫌な態度とっちゃったのに…。
それからあたしとチェックは、自分たちの今までの事を話していた。話が弾んで、寝ることも忘れていた。いつも眠れないけど、ただただ痛みで眠れない夜よりも、ずっと楽しくて、楽しくて…
あたしがようやく眠りについた時、コルテックス城の窓には朝日の光が、かすかに流れ込んでいた。
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