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コップの人魚
2016/03/14(月)16:47:18(8年前) 更新
~その他~
最近、この町ではミニサイズの人魚を飼うのが流行りでした。人魚は、金魚よりも賢くて、見栄えも良いので、ペットショップでは大人気。特に、透明なグラスや花瓶で飼うのが流行で、玄関先に飾る家もありました。ちょうど、金魚鉢でも飾るように。
あるペットショップの人魚は、他のどの人魚より賢くて、好奇心が旺盛でした。でも、尾びれが小さく粗末で、鱗も薄汚い鼠色をしていたものですから、誰も彼女のことは見ていませんでした。
ある日、高校生ほどの少女が、人魚を買いに来ました。人魚は彼女以外全てが売れてしまったので、水槽には彼女しかおりませんでした。
「他に人魚はいないんですか?」
「この子以外は売れてしまったので…」
「人魚の入荷はいつになりますか?」
「2ヶ月後ぐらいでしょうか…」
少女は仕方なく、最後の人魚を買いました。本当は、少女は流行に乗りたいだけで、人魚を本気で飼おうとはしていませんでした。でも、そんなこととは露知らず、最後の人魚は自分が売れていくことがわかって喜んでいました。自分も、他の人魚と同じように、外の世界を見られるのですから。もう、外へ行く人魚を羨ましがる必要が無いのですから。
人魚はビニール袋から出され、狭いコップの中に入れられました。わかってはいました、「人魚をグラスや花瓶に入れて飼うのが流行り」そう仲間が言ってましたから。でも、思ったよりもずっとコップは狭くて、ほとんど身動きが取れないし、水が甘いし、目を開けていると、目を刺されているくらい痛いので、目が開けられませんでした。その上、よくわからない棒が入っていて、ただでさえ狭いコップの中で棒が当たって背中が痛みました。そんな彼女の様子に気付かず、少女はスマートフォンでコップを撮って、友達に報告していました。
「見て?ソーダ入れたコップで人魚飼ってるの!」
それから人魚は一度も目を開けることができず、ただただコップの中でもがいていました。自分が夢見ていたのは、こんなことじゃない。普通にコップや花瓶に入れられて、人間や身の回りのものをたくさん見て、他の売れて行った人魚たちと同じように愛でられて、幸せに生きられると人魚は思っていました。でも、現実はどうでしょう。変な水で目が開けられず、狭いコップの中でもがくことしか出来ません。少しでも外を見たい、その一心でコップを押したり叩いたりしていると、ふわりと体が浮くような、そんな感覚がして、気づくと大きく高い音と共に、体を叩きつけられていました。頭を強く打ったせいで耳の奥で甲高い音がして、体は水のせいでベタついていました。少しでも外を見たい、と目を開けてみましたが、痛みと涙で何も見えませんでした。
人魚は眠りました。ガラスが割れる音がして、びっくりして駆け付けた少女が頭をつついても、ずっとずっと、眠っていました。
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