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紅い日常 ~Crimson Eyes Mad Scientist~
2012/04/08(日)12:47:18(12年前) 更新
「…今日は、天気がいいな」
その一言で、一日は始まった。
彼の名はCrimson Eyes Mad Scientist。本名は誰にも明かしていないらしく、周りの人々からは「クリムゾン」と呼ばれているらしい。
そしてここはクリムゾンの自宅兼研究所。彼がこの島を最初に訪れたときに元々あった空き家を改造したという。
「今日は2つ実験をするか。その為には準備をしないとな…」
「おいクリムゾン、飯はまだかー?俺様腹が減っちまって動けねェぜ…」
突然クリムゾンに話しかけたのは、Dark Assassin Cyclone Bomber。彼もまた本名は明かしておらず、頭文字を取って「DACB」と呼ばれている。
この研究所に「居候」という名目で住み着いている。
「あぁ、カレーでも作ってやる。だが、その前に準備がひと段落したらな」
「何!?早く作ってくれよ!!」
「文句を言うなら自分で作れ。大体まだ朝6時半だぞ?そんな朝早く起きて飯なんか食えないだろ」
「…ちぇっ、何だよ……作ってくれたっていいじゃねェか…」
「それにお前もいい年だろう?そろそろ自炊できるようになれ」
「うるせェ!!俺様は不器用なんだよ!!それにそんな庶民みたいなこと…」
また始まった。クリムゾンはそう思った。いつもの逆ギレだ…こうなると長くなって非常に気分が悪くなる。
これがもはや習慣になってしまっているので、無意識に、反射的に、クリムゾンは無視を決め込む。
DACBはまだ文句、否、逆ギレをしていたようだったが、彼の耳にはもう入っていなかった。
クリムゾンは実験の準備に取り掛かった。彼は科学者なので日常的に白衣を着ている。外へ材料の買い出しに行く時なども、基本的には白衣のままだ。
「よし、始めるか…」
そこからは時間の流れを気にする暇もなかった。無事1つ目の実験が終了し、ふと時計を見たら既に昼の1時を過ぎていた。
「だいぶ空気が汚れてしまったな…窓を開けて換気するか」
彼はそういって窓を開けた。研究所は比較的海に近い場所にあるため、潮の香りがする。
新鮮な空気を全身で感じたあと、彼は大きく深呼吸をした。と、同時にまた1つのことを考えた。
「…ちょっと風呂にでも入るか」
朝風呂ならぬ昼風呂、とでも言うべきか。クリムゾンは風呂に入ることが好きであり、また一種の趣味のようなものでもあった。
少なくとも一日に二回は入る。それほど好きだった。
とりあえず白衣を脱ぎ、風呂に向かう。脱衣所で衣服を脱ぎ、たたんで棚の上に置いた。彼の几帳面な性格がわかる一面だ。
シャワーを浴びながら、この後のもう一つの実験のことを考えていた。
「1つ目のほうは何事も起こらなかったが、次はどうだろうな……まぁ俺は全力を注ぎ込むわけだが」
そう言って、考えることとシャワーを同時に止めた。湯船に浸かる。温度は41度と熱めだったが、彼は特に気にすることもなく肩まで浸かった。
「…ふう、たまにはゆっくり浸かるのもいいな。今日は長めに入るか」
つぶやきながら、目を瞑った。長め、というのは、てっとり早く言えば恐らく1時間ほどのことだろうか。彼は普段40分は確実に湯船に浸かる。
普通の人ならまずそんな時間も入らない。入っても入らなくても、のぼせることは目に見えている。
だが彼は違った。20分多く浸かろうが、彼にとって「気持ちがよい」という思いは変わらない。それほど風呂が好きなのだ。
特に考えることもなく、じっとあご辺りまで浸かった。鼻で息をするたびに、湯船に張った湯が波を立てる。他人から見れば溺れる寸前かと思うだろう。
心地よさに日頃の疲れが重なったためだろう。気が付けば眠っていた。
「…ん?そうか俺は寝てたのか…今何時だ?」
風呂場にあるモニターに目をやる。「14:53」…もうすぐ3時というところだった。
「寝すぎたな…早く実験に取り掛かるとするか」
湯船から出て用意していたバスタオルで体を拭いた。彼の茶髪はまだしっとり濡れたままだが、風呂から出たばかりで暑いから丁度いいと思った。このままでいい。
「頭寒足熱」という四字熟語があるように、頭は冷やし、足は暖めておく。これが健康にいいということはずっと前に学んだ。
「さて、やるか…」
そこからは時が飛んでいくかのようなスピードで過ぎていった。英語で言えば「Time flies.」と言うべきか。
もう夜の9時になってしまった。今日の実験は終わりだろう。そう頭の中で決めた。
「ほう、今夜は満月か」
窓の外を見たら、黄金と言ってもあながち間違いではないほどの、きれいな満月が夜空を照らしていた。というか、昼からずっと開けっ放しだったということを今更思い出したが、もうどうでもいい。
「そういえば、アイツと初めて会ったときも、満月の夜だったな…」
そこから過去を思い出す。
あれは紅い満月が出ていた夜だった。俺はワルワルスクールに入学して間もなくいじめを受けた。理由は、紅い目をしていたからだ。
確かに珍しいものだっただろう、いじめた者にしてみれば。だがその時の俺にはわかるはずもない。抵抗もままならずそこから3年間、いじめを受け続けていた。
憎しみ。いつしかそんな感情が常に俺の脳を支配するようになった。誰もが憎い。いじめた奴は言うまでもないが…この事を黙って見過ごしていた教師、更には…こんな俺を産んだ両親でさえ憎いと思うようになってしまった。
そしてとうとう、我慢の限界が来た。俺が4年生のとき。両親が死んだ。
俺は驚いて声も出なかった。涙も出なかった。ストレスで死ぬことなんてあるのか?両親は俺がいじめられていたということを薄々感じていたらしい。
いつになったらそのことを言ってくれるのか…ずっとその時を待っていた。だが俺は言わなかった。憎んでいたとしても、やはり両親には心配なんてかけたくなかったからだ。
もっと早く俺が言えば、このことを避けられたかもしれない。もっと勉強していれば、何か役に立つことができたかもしれない。
そう思った瞬間、せき止めていた涙があふれ出た。
そして落ち着いてから、これからのことを考えた。両親が死んだ今、俺はどうやって生きていけばいいんだ。そう思った矢先の出来事だった。
今日もいつもと同じように登校した。またいじめられることを覚悟してだ。案の定廊下にいじめた奴がいた。だがその日は今までとは比べ物にならないぐらいのものだった。
「よぉ、お前今日もボロボロだなぁ?まぁ俺たちがいつもみたいに、これからもっとボロボロにするんだけどな!!ギャハハハハ…」
いじめた奴はそう言って俺を蹴り飛ばした。壁にぶつかった衝撃のせいもあったが、俺は何も言えなかった。どうせこうなることはわかっていた。しかし、そいつは信じられないことを言った。
「お前の両親、死んだんだって?かわいそうにねぇ…お前みたいなゴミの心配ばかりしてたから、そいつらもゴミになっちまったんだよ」
…俺の中で何か爆発が起きた気がした。なぜこいつは俺の両親が死んだことを知っている?いや、そんなことを考えても無駄だ。俺は無意識に懐に手を入れ、何かを掴むと、いじめた奴に向かって走り出した。
「僕の両親を……馬鹿にするなあああぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
そして俺は突き刺した。相手の心臓に、紅い光を放つ剣を。ついこの前授業で学んだ知識を生かして作った、レーザーソードを。
いじめた奴は当然吐血した。急所を狙ってしまったのだから。即死だった。
相当な勢いで刺したせいか、廊下の床や壁はおろか、天井にまで鮮血が飛び散った。
その時は手が震えていただろう。だがなぜか口元は引きつっていた。憎い奴を殺せた喜びだろう。俺は静かに笑っていた。
直後、教師たちが慌てふためいて廊下にやってきた。誰かが悲鳴を上げた。恐らくこの現場を見ていた通りがかりの奴だろう。
俺は相談室に連れて行かれた。
それからはいじめられることはなくなったが、逆に恐れられるようになった。「人殺し」、と。教師やほかの生徒は避けるばかりだ。
俺はますます孤独になった。両親も、友達も、誰一人いない。空しさだけがそこにあった。
だが、一人だけ、そんな俺に声をかけてくれた奴がいた。
「お前、どうしたんだ?そんな暗い顔して」
「え…?」
そう、DACBだ。あいつは昔はキレる奴じゃなかったが、代わりに「世間」や「一般」などといった「普通」のものが嫌いだった。まぁ簡単に言えば、周りとは違う考えを持ってあえて抗うような、変な奴だった。
「大丈夫か?体もボロボロだぞ?立てるか?手、貸してやるよ」
「あ、うん…ありがとう」
「気にすんなって。俺はブラックっていうんだ。よろしくな!お前の名前は?」
「僕…?ぼ、僕は…セムス!よろしく、ブラック!」
そこから俺はDACBと友達になった。初めてちゃんとした友達が持てた瞬間だ。嬉しくなって、また泣いてしまった。そのときDACBを困らせてしまったようだが。
ちなみにブラックは偽名だ。俺のセムスというのもそうだった。
DACBは俺を友達の輪の中に入れてくれた。DACBの友達も初めは俺のことを疑ったり、快く思っていなかったらしいが、一緒に過ごすにつれて徐々に心を開いていってくれた。
教師たちも、俺の元の優しい性格を改めて確認すると、もう何も言ってこなくなった。
DACBと友達になった日…その日にも、黄金とも言えるほどの、きれいな満月が夜空…いや、俺たちを照らしていた。
俺はやっと、楽しい学校生活を送れるようになった。
そしていつかコルテックス先輩のように、立派な科学者になってみせる。そう誓った。
「…そんなこともあったな…あいつにあの時会ってなかったら、俺は今頃どうなってたことやら」
俺は、ちょっと笑った。その為にも、早くあの実験の準備をしなくては。今日は早めに寝ることにしよう。
翌朝、DACBが昨日と同じように話しかけてきた。
「クリムゾン、飯まだかー?」
「仕方ない、作ってやる…カレーでいいな?」
「おう!てめぇ特製の激辛カレーを…って、今日はやけにあっさりしてんなァ?」
「……ありがとな、DACB」
「…んあ?なんか言ったか?」
「いや、何でもない。それよりそんな事言ったら、作ってやらんぞ」
「おいおいそりゃねェだろ!」
俺は笑った。そしたらなぜか、DACBも笑った。
終わり
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