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犠牲と報酬 ~フレイホーク~
2012/04/06(金)13:10:08(12年前) 更新
晴れ渡る空の下に広がる青色の海と大地の緑。その島の中に、太陽を目指さんばかりの鉄の塔が1つ伸びている。今日のコルテックス城は、内部の陰鬱的な雰囲気とは対照的な快晴だった。
そんなコルテックス城の上層のバルコニーに、コルテックスとエヌ・ジンがいた。そこからの景色は実に壮観で、2人はしばらく普段の溜まりに溜まったストレスを癒した。
しかし、2人は景色を眺めるためだけにここへやって来たわけではない。
「・・・どれ、そろそろ始めるとするか」
鑑賞もそこそこに、コルテックスは光線銃を構えた。光線銃の銃口の先には、空を飛んでいる数羽の鳥がいた。コルテックスはその鳥に向けて光線銃を数発放つ。無論そんなことなど少しも予期していなかった1匹の鳥は、その1つに命中し、あっけなくかすんだ大地へと落ちていってしまった。
その様子を見て、コルテックスは不敵な笑みを浮かべながらつぶやいた。
「よし、まずは1匹」
「お見事ですぞ、コルテックス殿」
エヌ・ジンもコルテックスをはやし立てる。
「では、拙者も」
エヌ・ジンも持っていた光線銃を構え、的確に鳥を撃ち落とす。最近、コルテックス達は光線銃の射撃精度を高めるという名目のもと、ここで空を飛ぶ鳥を落ち落とす余興にふけっていたのだ。
1羽、また1羽と鳥達が地面へと落ちていく。そして、とうとうここから見える鳥の姿は残り1匹となってしまった。残っていたのは悠然と翼を広げた鷹だった。その鷹は、他の鳥達が撃たれた事を全く気にしていないのか、その場を離れようとする様子は微塵も見せなかった。
時より甲高い鳴き声を発しているが、何故かそれは滑空を心底楽しんでいるように聞こえた。
「・・・よし、じゃあ最後にどちらがあの鳥を先に落とすか競争といこうじゃないか」
不意にコルテックスがそんな事を言ってきた。
「成程、受けて立ちましょうぞ」
エヌ・ジンが答えると、コルテックスはその場で考えたルールを説明し始めた。
「では、あの鷹を狙い交互に1発ずつ撃って先に命中した方の勝利としよう」
「どちらが先に撃つのですか?」
「それは勿論、ワシからだ」
「・・・ここは公平にじゃんけんで決めるというのは?」
「エヌ・ジンはその眼があるのだからワシを先行にするのが真の公平ってもんだろう」
エヌ・ジンの機械化された右目には、ズームやロックオンなどいかにも機械らしい様々な機能が付加されている。そのため、当然命中率で言うとエヌ・ジンの方が圧倒的に有利と言えるだろう。
コルテックスの言葉に納得したのか、結局エヌ・ジンもコルテックス先攻で勝負を始めることを承諾した。
「では、どうぞ」
「よし、いくぞ・・・」
静かにそう言ってコルテックスは光線銃を1匹の鷹に向ける。鷹は相変わらず呑気に鳴き声を発しながら優雅に空に浮いている。そして、とうとうコルテックスの光線銃から光線弾が放たれた。
弾はまっすぐに鷹の方へと向かっていく。
(狙いは完璧・・・!)
しかし、あと一歩で直撃と言うところで、瞬時に鷹は翼をたたみつつ急降下して華麗に光線弾を避けた。
「なっ・・・!?」
「惜しかったですな~。今のは鷹が避けていなかったら当たっていましたぞ」
余裕の表情でエヌ・ジンはそう言ってきた。そして、次はエヌ・ジンが光線銃を構える。
「では、今度は拙者が・・・」
そう言って狙いを定めた後、エヌ・ジンは光線銃を撃った。これも的確に鷹の方へ向かっていく。しかし、やはり鷹は鋭い緩急をつけた動きでこれを避けた。
「何ッ・・・?!」
「ハッハッハ、どうやら今回、運はワシに味方しているようだな」
見ると、先程のエヌ・ジンの1発で、鷹はこちらとの距離を幾分縮めていた。
「これならば光線銃の射速から言って、鷹の動きは間に合わないはずだ」
コルテックスは自信に満ちた表情で光線銃を放つ。するとその瞬間、鷹はこちらの動きを読んでか早めに翼をたたんでそれを避けたかと思うと、直後に翼をはばたかせてこちらに向かって飛んできた。
「ッッッ!!」
そしてその鷹は、たくましいくちばしを開けてコルテックスに向かって襲いかかる。コルテックスは間一髪直撃を避けたものの、鷹は彼の髪の毛を豪快に食いちぎり、むしり取ってしまった。
「あっ・・・!」
「・・・ギャァァァアアアアアアア!!」
コルテックスはその場にうずくまり、ただちに失った髪の部分を丁寧に触って確認した。
「ワシの大事な髪が・・・ワシの貴重な美髪がぁぁぁあああ!!」
「だ・・・大丈夫でございますか?コルテックス殿!(美髪て・・・)」
「エヌ・ジン!勝負はやめだ!全力であいつを撃ち落とすぞッ!!アイツの羽毛全部剥ぎ取ってやる!!」
コルテックスは声を荒げてそう叫んだ。怒りと悲しみとが絶妙に入り混じった切実な表情になっている。
「しょ、承知!」
そう言ってエヌ・ジンは慌てて鷹に光線銃を撃つ。しかし、やはり鷹はそれを華麗に避けていった。
「ええい、小賢しい!」
コルテックスも荒れ狂いながら光線銃を乱射する。しかしそれでも一向に鷹に弾が当たる気配がない。
「くっそ・・・こうなったら、エヌ・ジン、奴を誘導していてくれ」
コルテックスはそう言うと光線銃のエネルギーを充電し始めた。プラズマ弾を使う気だ。その間に、鷹はエヌ・ジンの光線銃を避けつつ再びコルテックスに超特急で突進してくる。
「させるかぁ!これでもくらええええええ!!」
激しい叫び声とともにコルテックスの光線銃から巨大なプラズマ弾が吐き出された。それを見た鷹は急激に高度を上げて一度はそれを避けたが、ホーミング性能を持つプラズマ弾もそれを追って一気に急上昇した。
これにはさすがに避けられず、ついにプラズマ弾は鷹に直撃した。鷹は調度コルテックス達のいるバルコニーの床に叩きつけられた。
「ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・ったく、とんだ災難にあったわい」
呼吸を少し整えて言ったコルテックスは、気絶してしまった鷹に軽蔑のまなざしを送っていた。それに対してエヌ・ジンは何やら考え込んだ様子でその鷹を見つめていた。
「こんなやつ・・・」
コルテックスがその鷹を掴もうとしたその時、エヌ・ジンは何故かそれを止めに入った。
「ちょっとお待ちくださいコルテックス殿」
「何だ?」
「その鷹、このまま処分するには少し勿体ないと思いませぬか?」
「・・・どういう意味だ」
「あれだけの光線銃を1発も余すことなく避ける機敏な動き・・・他の鳥どもとも一線を画しておりました。こやつはエヴォルヴォレイの研究対象としての資質が充分にあるかと・・・」
それを聞いて、コルテックスは改めて鷹を見た。多少冷静になってきたのか、確かにエヌ・ジンの言うとおり、普通の鷹であるにもかかわらずこれだけ仕留めるのに苦労したあたり、エヴォルヴォレイの実験対象としてかなりのポテンシャルを秘めているように思えてきた。
「・・・成程な。それはいい考えかもしれん。ワシの髪をむさぼった大罪は、働いて償ってもらうとしよう」
そう言うと、コルテックスは不敵な笑みを漏らしながらゆっくりとその鷹を掴んだ。そうして、彼らはその仕留めた鷹を手土産に再び陰鬱な城内へと戻っていくのであった。
終わり
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