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優雅なる思い出 ~シュトーレ~
2012/05/25(金)20:48:29(12年前) 更新
日曜日、昼下がりのとあるパン屋「Dear Friends」。
定休日であるこの日、店には此処で働いているシュトーレただ一人が残っていた。
同じく此処で働いているクロワやプレッツェは、パン作りに必要な材料の買出しに行っていた。
シュトーレはポットを持って店の外のテラス席に座り、テーブルの上に用意しておいたカップに紅茶を注ぎ始めた。
茶葉の香りがほのかに漂い、シュトーレはその香りにただうっとりしていた。
この香りは、彼女にかつての思い出を蘇らせてくれる貴重で、また残酷な物だった。
子供の頃から、彼女は自発的に何かをするということが大の苦手だった。
親友であるクロワやプレッツェが遊びに誘ってこない限り、彼女は一切外に出ようともせず家の中でただボーっと過ごしていた。
彼女がそんな性格になってしまった理由には、彼女の家庭環境にあった。
彼女の家は非常に裕福で、父親は大企業の社長。最早何もせずとも大量の金が入ってくるような状態だった。
そんな環境では彼女が自分から何かしなくとも、何人もの世話係が彼女をつきっきりで世話してくれる。
ただ椅子に座っているだけで豪華な料理が運ばれて来て、ボーっと突っ立っていれば勝手に服を着替えさせてくれる。
一日のスケジュールも周りが全て決めてくれていた。いろんなお稽古に勉強なども、彼女はただ言われたとおりに行っていた。
彼女にとってはそれが当たり前だったのだ。何もせずとも勝手に物事が進んでいく、やれと言われた事をやっておけばいい・・・
小学生になる前、彼女の母親が彼女に大事な話をしていた。彼女のこれからの進学先についてだ。
彼女の母親は、彼女を近くの普通の学校か、遠くの賢い学校のどちらに行きたいかを彼女に質問した。
しかし、彼女はその問いに対してもやはり明確な答えを示そうとしなかった。
結局彼女の母親の提案により、彼女は裕福で頭のいい生徒しかいないような超名門校に入学することになった。
母親はいない代わりに世話係が何人もいる家から毎日彼女は学校に通い、先生に言われたとおりに授業を受け、宿題も完璧にこなしていた。
だが、消極的な彼女にとって友達作りは決して容易ではなく、休み時間は基本的に一人で過ごしていた。
過ごす、と言っても何をしたらいいか分からない彼女は大抵、校内の庭園の花をただじっと見つめたりしているだけだった。
そんな彼女を周りの同級生はあまり親しく喋りかけようともせず、日が経つにつれて彼女は学校内でどんどんと孤立していってしまう。
それでもやれと言われた勉強は誰よりも出来ていたため、学校内の成績はほぼ学年で一位をとっていた。
友達がいないくせに勉強は出来る・・・そんな彼女を快く思わない同級生も多く、孤立していく勢いは更に増していった。
一年に一回ある親を交えての面談でも、学力は非常に高いがちょっと自発性がなさ過ぎる、と教師から言われていた。
彼女の母親はそれに対し、彼女にある習い事をさせた。薙刀である。
武道をさせれば、もしかしたら彼女も積極的な性格になるかもしれない。そんな彼女の母親の淡い希望など、既に構築されていた彼女の性格の前では一切歯が立たなかった。
結局、彼女は薙刀の稽古もやらされるだけという結果になってしまった。
さて、彼女の行っていた学校は、小学校から大学までが一つになっている少し特殊な学校で、校舎には小さな子供から、立派な年齢の大人まで様々な年代の人がいた。
また、この学校では飛び級制度があり、学力が優れていれば10歳を過ぎたくらいの年齢で大学レベルの授業を受けることが出来る。
彼女もまた、その飛び級制度を利用して12歳の頃には大学の研究室に配属されるようなレベルまで達していた。
周りには既に彼女と同年代の人などいない。もう成人しているような人だっているくらいだ。
研究室に始めて訪れた日、彼女は内心ビクビクしながら大きな扉を開けた。
すると、中からは薬品の匂いではなく、紅茶の非常にいい香りが漂ってきたのだ。
彼女はその香りにうっとりして、ついその場に立ち尽くしてしまった。
その研究室の中では、一人の男性が優雅に紅茶を飲んでいた。
「ん、小さなチャイルドがホワイカミング?早く授業のあるルームへ行きたまえ」
と、研究室の中で紅茶を飲んでいた男性が言った。
「・・・私、今日から此処の研究室に所属することになりました」
と、彼女は恥ずかしそうにそう言って頭を下げた。
彼女のその言葉を聴いた瞬間、男性は思いっきり紅茶を吹き出した。
「な、キミのようなチャイルドが、ワタクシと同じラボに所属!?キ、キミはどれだけスマートなのかね!?」
男性はそう言った後に、飛び散った紅茶をハンカチで拭き取った。
「飛び級、っていうのをしたほうがいいって言われたから・・・」
彼女はそう言って研究室の中に足を踏み入れた。
「だからって、まさかワタクシとショルダーを並べるほどとは・・・いやはや、キミの話をじっくり聞きたいところだ」
男性は、それからずっと彼女に対して質問攻めを行った。そうしないと彼女が何も話そうとしなかったからだ。
そしてまた彼女も、男性の質問に答えていくうちに男性がどのような人間かを少しずつ理解していった。
彼もまた、飛び級を利用してかなり早い段階から研究室に所属していた。だが、彼はある一つの研究のために何年も研究室にずっと残っていたらしい。
そのため彼は適当な卒業研究を行えばすぐに卒業できるレベルに達していたものの、それは彼のプライドが許さなかったらしい。
また、この研究室にはたった二人のメンバーしか所属していなかった。
はっきり言って今学校にいる全ての教師よりも、男性のほうが学力が高く指導する必要が一切なかったため、この研究室は実質彼の専用部屋のようなものだった。
そこに何故彼女が所属されたのか、恐らくは教師陣が彼女の指導を拒んだからなのかもしれない。
彼女もまた、教師達よりも頭が良かった上に自発性もない、厄介極まりない生徒だったからだろう。
「・・・成程、確かにキミは年齢の割にインテリジェント。ワタクシの研究のヘルパーには十分だね」
全ての質問を終え、再び男性は紅茶を飲み始めた。
「紅茶、好きなの?」
と、彼女が言った。
「紳士たるもの、美味しいティーをドリンキングすることは嗜みの一つみたいなものさ。それより・・・」
「何?」
「キミ、初めてワタクシにクエスチョンをしてくれたね。嬉しいことだ」
「うん・・・何だか、あなたとなら普通にお話出来そうな気がしたの」
男性と彼女はそれから毎日研究を行った。
男性の研究、それは時空間転送、俗に言うタイムマシンの開発だった。
この分野の研究は、幾多もの科学者が立ち向かっていたが、誰一人として成功はしていなかった。
「・・・うーん、またミスか。これで138回ミスしたことになるねぇ」
と、男性が大きな装置の前で呟いた。装置の中にはティーカップが入っていた。
「成功したら、どうなるつもりだったの?」
と、椅子に座ってストローでアイスティーを飲んでいた彼女が言った。
「まず、このティーカップがこの装置から姿を消す。そして、向こうに置いてあるあの装置に瞬間ワープすれば第一段階がサクセスのはずなのだ」
男性はそう言って、対角線上に置かれている反対側の装置を指差した。
「原理は?」
「この二つの装置間の時空を繋げてしまえばいいはず・・・パワー自体は十分なはずだ」
「それって、時空にトンネルを作っちゃうってこと?」
「まぁ、そうなるね・・・」
「・・・思ったんだけど、トンネルってこんなに長くなくちゃいけないの?」
「ホワッツ?」
「うーんとね・・・」
彼女はそう言って、近くに散らばっていたクリップを二つまっすぐに引き伸ばした。
「今は、此処と此処がこういう風に離れているの」
彼女はそう言って、二つのクリップを平行に並べて置いた。
「此処と此処とは・・・つまり、それはこの二つのマシーンをセイしてるのかい?」
「うん。この二つは、交わらないように時が過ぎているよね」
彼女はそう言って、二つのクリップを指でなぞるように示した。
「確かにそうだね」
「その間にこうやってトンネルを作っちゃうのって、難しいと思うの」
彼女はそう言うと、ストローをアイスティーから抜き、二つのクリップの間に橋を渡すように置いた。
「うーむ、でもそれ以外にどうすれば・・・」
「でもね、トンネルを作れるくらい凄いパワーがあるんだったら、時空をこんな風に出来ないかな・・・」
彼女はそう言って二つのクリップを持つと、その中心を合わせるようにねじり始めた。
「こうすれば、トンネルを作らなくても、ねじった所に穴を開けるだけで瞬間移動ができると思うの」
「・・・フ、ファンタスティック・・・!その手があったか・・・!」
「これを応用すればね、同じ時間同士じゃなくて違う時間同士もねじって穴を開ければ、時を越えて移動することも出来るんじゃないかな」
「となれば、まずはタイム同士をねじることから実験していこう」
「そうだね」
二人はそれからというものの、寝る間も惜しんで実験に実験を重ねた。
実験に関してだけは、彼女も積極的に発言をしたりしていた。実験が楽しかったのか、男性に心を許していたのか、今でもあまりよく分からない。
二人で研究を始めて一年が経とうとしていた時、遂に二人はタイムマシンと呼べそうな代物を完成させることが出来た。
早速二人は学会に論文を提出、そして二人は学校に集まった大勢の科学者の前でその研究成果を発表することになった。
二人は二つの装置のうち、一つを発表する前の台へ、もう一台の装置を一番後ろの台に置いた。
「まず、こっちの装置に転送させる物体をインする」
男性はそう言って片方の装置にティーカップを入れた。
「二本の時空をねじって擬似的に一本にし、そこに穴を開ける・・・そして、その穴にワープさせたいものを通す」
彼女はそう言って、装置のスイッチを押した。
装置は奇妙な音を立て、まばゆい光を放った。そして、それと同時にティーカップは装置から姿を消した。
それを見た科学者達はどよめいた。
二人は次に後ろの装置に近づいた。すると、装置が光を放ち、何と後ろの装置の中にティーカップが出現したのだ。
「これが、ワープの原理。アンダースタンツ?」
実験はひとまず成功した・・・かに思えた。
だが、次の瞬間二人は予想だにしない出来事を目の当りにしてしまう。
二つの装置がガタガタとゆれ始めたと思えば、何と二つの装置の間に巨大な穴が発生したのだ。
「こ、これは・・・!?まさか、時空の穴がヒュージ化してしまったのか・・・!?」
と、男性が言った。
科学者達は逃げることもままならず、一瞬にして時空の穴に吸い込まれてしまったのだ。
「これはマズイ・・・早くエスケープしよう・・・!」
男性はそう言って、彼女の腕を掴んで急いでその場を後にした。
彼女は黙ったまま、時空に吸い込まれて跡形もなく消え去った校舎の跡を見ていた。
時空の穴は男性の必死の努力の末、何とか埋めることが出来たものの、彼女等が生活してきた校舎はもうそこには存在しなかった。
「実験にミスは付き物・・・でも、これは流石にまずいね・・・」
と、彼女の横に立っていた男性が言った。
「・・・私ね、こんなに自分から頑張って何かをやったことって、初めてだったんだ」
と、彼女が言った。
「確かに、キミはファーストは消極的だった」
「でも、自分から何かをやったところで、結局は今回みたいに失敗しちゃうんだね」
「・・・キミは今回、自分から何かをするというインポータンツな出来事を経験した。それは、結果がどうであろうとキミのこれからのライフにおいてとっても大切なことだと思うね」
「・・・ねぇ、これからどうするの?」
「ワタクシのドリームはまだ完璧にはカムトゥルーしていない。これからもこんなことが起きないような完璧なタイムマシーンの開発をしていくつもりだ」
「そう・・・私、もうこの研究から手を引いていい?自信とか、全部なくなっちゃった・・・」
「キミのライフはキミが選んでいくものだ。自由にするんだね」
「ありがとう・・・」
「なら、せめてこれだけでもキミに渡しておこう」
男性はそう言って、茶葉の入った容器を彼女に渡した。
「これは・・・あなたの好きな紅茶じゃ・・・」
「キミ、このティーが好きだったからね」
「これ、大事に、大事にするね・・・絶対、あなたのことは忘れないから。こんなことになっちゃったけど、実験してるときとか、楽しかったよ」
「ワタクシも、キミみたいな優秀な子がいたということは決してノットフォゲットだから、それじゃあこれにてグッバイだね」
男性はそう言って、彼女に背中を見せて、歩き去っていってしまった。
それから、しばらく彼女は勉強せずに、再び薙刀の稽古に励むようになった。
彼女の行っていた学校が一瞬にして消えてしまった大事件は、瞬く間に世界中に知られたが、彼女がその学校からの生還者だと言うことは知られなかった。
彼女の母親も、彼女が生きていたことを素直に喜び、彼女のやりたいようにさせることにしたのだった。
今までは言われたとおりに練習するだけだったが、薙刀だけに関しては自分から積極的に練習に励むようになった。
元々素質はあったため、彼女は更に腕を上げていき、段を取るほどにまで成長していった。
そんな生活をしていて何年も経った後、彼女はぼんやりと、自分は薙刀の教師として人生を歩もうかと考えていた。
だが、そんな彼女の元に一通の手紙が届く。そこには、かつての懐かしき友の名前が書かれてあった。
その手紙によって、彼女の歩む道はまた大きく変わったのだった。
「・・・おい、シュトーレ。起きろ」
突然そんな声が聞こえてきて、シュトーレははっと目が覚めた。
辺りは既に夕日の色で染まっていた。
「シュトーレ、風邪引いちゃうよー?」
シュトーレの両隣には、買い物から帰ってきていたクロワとプレッツェが立っていた。
「私・・・寝てた?」
と、シュトーレが呟いた。紅茶からは既に湯気は消えていた。
「ああ、気持ちよさそうに寝ていた」
と、プレッツェが言った。
「ささ、晩御飯の支度するよー。今日はピザを焼こう!」
「ピザか、なら早く生地を作らないとな」
クロワとプレッツェは、そのまま店の中に入っていった。
「・・・研究も良いけど、こうやって友達とのんびりしているのも幸せかな・・・」
シュトーレも、紅茶のセットを持って店の中に入っていった。
かつて、共に実験を行っていたあの男性が、今何処で何をしているか、彼女は全く知らなかった。
だが、心の中では、また会っていろんなことを話したいと思っていたのだった。
それもまた、彼女の貴重な自発心の表れの一つなのかもしれない。
【プレッツェからのお願い】
・・・私も上のような思い出話を前にシュトーレから聞いたことがあるんだが、少しおかしな点がある。
シュトーレから聞いた話と比べて、やけに上の内容が陳腐な気がするんだ。
どうも、物理学方面の知識が無に等しい奴が書いた内容みたいだ。時間とか空間の概念が変なのもそのせいだろう。
・・・まぁ、だからタイムマシンの辺りの記述はできればツッコまずにやってほしい。
・・・何で私がこんなことを言わないといけないんだ。というか誰かに言わされている気がするんだが。
とりあえず、私からは以上だ。
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