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力と剣と女性恐怖症 ~コーディル・アーミン~
2012/07/07(土)22:59:35(12年前) 更新
暗い廊下を、二人の男達が走っていた。
後ろからは武器を持った何人もの敵が迫ってきていたが、そんなことを構っている暇など無い。
しかし、敵の放った一発の銃弾が一人の男の足を貫いき、男はその場で転倒してしまった。
「お、おい大丈夫か!?」
そう言いながら、すぐにもう一人の男が駆け寄った。
「どうやら、私はこれまでのようだ・・・私に構わず、早く行ってくれ」
「ヘッ、そんなことを俺が守るとでも思ってんのかよ」
男はそう言いつつ、背中に担いでいた大剣の持ち手を右手で掴んだ。
敵は二人に追いつき、改めて武器を構え直した。
「にしても、こんな馬鹿でかい剣を振り回すことなんて本当にできんのかよ」
男はそう言って、大剣を構えた。
そして、それと同時に複数の敵が剣を構えて、男に向かって走っていった。
男はじっと大剣を構えたまま、敵が近づいてくるのを待った。
敵が剣を振り下ろそうと振り上げた瞬間、男は大剣を一気に横になぎ払ったのだ。
巨大な鉄の塊が凄まじいスピードで敵達に直撃し、次々と吹き飛ばされていった。
「何だ、改造手術は成功してんだな」
男はそう言って、残りの敵達に向かって剣先を向けた。
「貴様等、此処で無駄死にしたくなけりゃあ俺達を逃がしな。それとも、此処で挽肉にされるのが望みか?」
先ほどの男の怪力を見た敵達は、おびえて後ろに下がりだした。
「いい判断だと思うぜ、まぁ上司にはこっ酷く叱られるだろうけどな」
男はそう言って大剣を背中に背負った後、怪我をした男を肩に担いだ。
「凄い力だ・・・」
と、担がれている男性が言った。
「全くだな。素直に喜んでいいのか分からねぇが」
と、男はそう言いながら廊下を歩いていった。
その後、二人は小さな船を見つけ、それを使って暗い海を渡っていった。
二人が望んだもの、それは確かに手に入れることができたはずだった。
しかし、それ以上の何かが、一人は気に入らなかった。
それを受け入れるくらいなら、今までどおりの生き方のほうが何倍も良かった。
どこかの浜辺に、一台のボートが乗り捨てられていた。
そして、そのボートの近くでは、二人の男が横になっていた。
「これから、どうするつもりだ?コーディル」
と、男がコーディルという名の男性に向かって言った。
「行く当てもないから、あんな男のところに行くことになったんだ。ザヌサーは、どこか当てでもあるのか?」
と、コーディルはザヌサーという名の男性に向かって言った。
「俺もねぇな。だからよ、また適当に旅でもするか?」
「それもいいけど・・・一つ確かめたいことがあるんだ」
「・・・改造手術の結果か?」
「ああ・・・一体どのくらい強くなったのか、自分のことを知っておきたいと思って」
コーディルはそう言って、ゆっくりと立ち上がった。ザヌサーもまた立ち上がった。
そして、二人は近くに置いておいた各々の武器を手に持った。
「取り決めは?」
と、コーディルが直剣を鞘から抜き、右手に持ってから言った。
「殺さない、それだけでいいだろ」
と、ザヌサーが大剣を構えながら言った。
「相変わらず大雑把だ。それじゃあ、早速いかせてもらう」
コーディルはそう言って、直剣を構えてザヌサーに向かって走っていった。
ザヌサーも、大剣を構えてコーディルに向かって走っていった。
二人は近づいた瞬間、ほぼ同時に剣を振り下ろした。
両者ともほぼ互角の力だったため、剣は空中でぶつかり、静止した。
「お前もかなり強くなってるな」
「ああ、まさかそんな大剣を相殺できるなんて思わなかった」
二人はそのまま鍔迫り合いへと発展した。
二人とも前に力を加えるも、両者とも一歩も退く事はなかった。
その体制が数秒続き、ふとコーディルが疲れて力を緩めてしまった。
その瞬間ザヌサーは一気にコーディルの剣を押し上げた。
「スタミナに関してはこっちのほうが上手みたいだったな」
ザヌサーはそう言って、そこから一気に大剣を振り下ろした。
しかし、コーディルは素早く左手の篭手を前に出し、ザヌサーの大剣をいとも簡単に受け流したのだ。
大剣は篭手をかすっただけで、大剣は地面に勢い良く叩きつけられた。
ザヌサーはそこから急いで大剣を持ち上げようとしたが、それより先にコーディルが直剣の剣先をザヌサーの喉に突きつけた。
「・・・勝負あり」
コーディルはそう呟き、直剣を降ろした。
「ケッ、またこの負けのパターンか。力が強くなったところで戦法自体は変わらねぇな」
ザヌサーはそう言って、大剣を背中に担いだ。
「とりあえず、ある程度の力を測る事はできたが・・・出発する?」
「だな、とりあえず、まずはこの島だか何だか知らねぇ土地を歩いてみるか」
それから、ザヌサーとコーディルの二人は、世界各地を転々と旅した。
それまで二人がしてきたことと見た目は同じだったが、一つだけ違う点があった。
それは、二人の夢でもあり願いでもあった「力」を手に入れるという目的が、あの日を境に消えてしまったことだ。
あの日、「力」は手に入ったが、それと引き換えに「悪」として生きる道を進む羽目になりそうになった。
だが、「正義」を貫くことを決めていたザヌサーにとって、それは絶対に許されることではなかった。
コーディルもまた、ザヌサーの考えに賛成し、二人は「力」をくれた男の元から逃げることにしたのだ。
目的も何もない二人の旅は、決して終わることがない、はずであった。
名前も知らないある村に、二人は食糧確保などの為にお邪魔していた。
その村には電気もガスも何もないような、文明レベルの低い村だったが、人々は優しく二人を受け入れた。
二人は、村の長の家に招かれ、御馳走を振舞ってもらっていた。
「こりゃあかなりいい村に来ることができたなぁ」
と、ザヌサーは木でできたコップに入った酒をガブガブ飲みながら言った。
「いきなりの訪問、申し訳ございません」
と、コーディルが村長に向かって言った。
「いえいえ、いいんです。こうやって外部から誰かが来ることなんて滅多にないですから、村の者達への良い刺激になります」
「刺激だぁ?俺達はそんな過激じゃねぇぜ?」
と、ザヌサーが言った。
「いえ、その装備を見ればあなた達が戦いに長けていることが良く分かります」
「確かに、腕には自信はあるぜ。でも、それが関係あんのか?」
「ええ・・・この村には、実際に戦いを行ったことがある者が一人もいないのです。しかし、この村の外部には、いつ戦争を仕掛けてきてもおかしくないような所もありまして・・・」
「つまり、我々に村を守ってほしいと?」
と、コーディルが言った。
「このようなことをいきなり頼むご無礼をお許しください・・・」
村長はそう言って、二人に向かって深く頭を下げた。
「おいおい、そんな真似されちゃあ断るに断れねぇじゃねぇか。コーディル、俺は別にこの頼みを受け入れてやってもいいが、お前はどうだ?」
「・・・しかし、一つの村に留まり続けていれば、もしかしたらあの男達が・・・」
「その時はその時だろ?第一、こんな場所まで追ってくるほど暇な連中じゃないと思うけどな」
「なら・・・私も、別に構いません」
コーディルのその言葉を聞いた村長は、更に深く頭を下げた。
「あ、ありがとうございます・・・!」
「だから、そんなに頭を下げられると何だかこっちが悪いことしてるみたいじゃねぇか。もう上げろよ」
村長はその後、頭を上げた。
「もちろん、この村で一番の住居と、毎日の食料は保障します。それと・・・」
村長はそう言って、その場で立ち上がると、家の奥へと入っていった。
そして、しばらくして二人の元に、一人の女性を連れて戻ってきた。
「実は、この私の娘の婿を探しておりまして・・・せめて話だけでもしてやって、もしその気があれば・・・」
村長のその言葉に対し、村長の娘は顔を赤らめた。
「ヘッ、若い小娘までセットでついて来るなんて、えらく豪華なこった。でもよぉ、俺はそういうのはパスだぜ。第一もう歳だしな」
と、ザヌサーが言った。
「では、そちらの若い方は・・・?」
村長はそう言って、コーディルのほうを向いた。
「わ、私ですか・・・私もザヌサーと同じ歳ですし・・・それに・・・」
「こいつは今まで女と付き合った事もないような小心者だぜ?それがいきなり結婚だなんて、無理に決まっんだろう?」
だが、村長の娘は床に座っているコーディルの前にひざまずくと、コーディルの手を握った。
「あ、あの、お名前は何とおっしゃられるんでしょうか・・・?」
と、村長の娘が言った。
しかし、コーディルはいきなりの出来事に気が動転してしまい、目が泳いでしまっていた。
「え、いえ、わ、私は・・・コ、コーディルです・・・」
と、コーディルは声が半分裏返りつつそう言った。
「コーディルさん・・・ああ、私はどうやらあなたに一目惚れしてしまったようです・・・」
「ヘッ、やっぱりイケメンは違うなぁ。そんな可愛い娘をも虜にしちまうなんてよ」
と、ザヌサーはニヤニヤしながら言った。
「あの、コーディルさん、これから少しお話しませんか・・・?」
「は、話・・・え、ええはい・・・い、いいですけど・・・」
「なら、俺は先に新しい家にでも行かせて貰うぜ。案内してくれよ」
ザヌサーはそう言って、その場に立ち上がった。
「では、私が案内を」
村長はそう言って、ザヌサーと共に家から出て行ってしまった。
「これで、二人っきりですね・・・」
と、村長の娘が言った。
「え、他には誰も、お、おられないんでしょうか・・・?」
「母上は、私が小さい頃に病気でなくなられてしまったと聞きます・・・」
「す、すみません・・・」
「いえ、大丈夫です。そういえば、私のお名前を申し上げるのを忘れていましたね・・・私は・・・」
それからほぼ一年もの間、ザヌサーとコーディルの二人は村で穏やかに暮らしていた。
最初のほうは緊張でまともに話せていなかったこーディルも、今ではすっかり村長の娘と会話できるようになっていた。
ザヌサーのほうは、二人の仲が良くなっている光景を微笑ましく思いながら、日々鍛錬を行っていた。
コーディルも、村長の娘との楽しい一時を過ごした後はザヌサーと共に鍛錬に励んでいた。
しかし、そんな平和な日々も、ある日を境に全て消失してしまう。
早朝、ザヌサーとコーディルは変な臭いで目が覚めた。
二人はすぐに、それが物が燃える臭いだと気がついた。
「コーディル、こいつはまずいぜ・・・!」
「ああ・・・」
二人は急いで服を着て、武器を持つと家から飛び出していった。
そこには、かつての優しい村の姿は無かった。
武器を持った男達が村人に襲い掛かり、家を燃やし、色んな物を破壊していた。地獄絵図とは、このことだった。
「コーディル、お前は村の奴等の保護だ!俺が連中の相手をする!」
ザヌサーはそう言って、大剣を構えた。
「ザヌサー、しかし・・・」
「お前には俺なんかよりも守るべき者があるはずだろ?早く行け!」
「・・・すまない」
コーディルはそう言って、村長の家へと走っていった。
ザヌサーはそれを確認した後に、敵に向かって突っ込んでいった。
だが、幾ら鍛錬を積んでいた彼であろうと、一年も実際に戦闘を行っていないと体が鈍っていた。
ザヌサーは必死で剣を振り回して戦ったものの、多勢に無勢、はっきり言って劣勢だった。
幾多もの傷がザヌサーの体を蝕んでいったが、ザヌサーは決して手を休めることは無かった。
一方、コーディルは村長の家にたどり着いたものの、既に村長の家は炎に包まれていた。
しかし、コーディルはそんなことはお構いなしで、家の中に入っていった。
炎によって体が熱くなっていく中で必死に生存者を探したが、家の中にはもう誰もいなかった。
コーディルは歯を食いしばった後に、家から脱出した。
そして、近くにいた敵に向かって突進して行くと、見境なしに敵を切り刻んでいった。
怒り、それのみが彼を動かしていた。
いくら傷がつこうと、コーディルは一切構わずに敵を殺していった。
・・・何時間が経っただろうか。ザヌサーとコーディルは、いつの間にか一緒になって燃えカスの溜まった地面の上に倒れこんでいた。
辺りには物が焼けた臭いと、村人や敵の死体しか残っていなかった。
「一年も探させるとは、手間かけさせやがってよ!」
そんな声が、村の中に響いた。
「だ、誰だ・・・」
ザヌサーはそう言いながら、大剣を杖のようにして立とうとしたが、傷が痛んでその場にひざまずく形になった。
「てめぇ等の大先輩だ!」
男はそう言って、ザヌサーに近づくと、ザヌサーの顔を思いっきり蹴り飛ばした。
ザヌサーは後ろに吹き飛ばされ、地面に仰向けに倒れこんだ。
「まさか、此処まで・・・」
コーディルはそう言って、何とか立ち上がった。
「そうだ!てめぇ等が逃げ出してから、オレっち達は血眼になって探したんだぜ?そしたら、まさかこんなチンケな村でノウノウと暮らしてたなんてな!」
「黙れ・・・!」
コーディルはそう言って、直剣を振りかぶろうとしたが、それより先に男がコーディルの腹部を殴った。
コーディルは剣を放し、その場でうずくまった。
「ヘッ、その程度かよ!?あのハゲ頭はかなりの戦力になるとか言ってやがったのに、これじゃあ全然話にならねぇじゃねぇか!」
「それで・・・何が目的だ・・・殺したければ俺を殺せ」
と、ザヌサーが倒れながら言った。
「いや、殺しはしねぇぜ」
男はそう言うと、うずくまっているコーディルの髪の毛を引っ張って無理やり立たせた。
「お前達に、もっと力をくれてやるって話を持ってきてやったんだ」
男のその言葉に対し、コーディルは一瞬目の色が変わった。
「力だぁ?今更、そんなもん望んじゃいねぇよ・・・」
と、ザヌサーが言った。
だが、男はコーディルの耳元で今度は囁き始めた。
「力がもっとあれば、こんな風にはならなかったかもなぁ?もしこのチャンスを逃しちまえば、これからもてめぇは雑魚のまま、誰も守れないだろう」
「・・・本当に、力をくれるのか?」
と、コーディルが呟いた。
「もちろんだ!オレっち達と一緒に働くことが条件だけどな」
男はそう言って、コーディルの髪の毛から手を離した。
「おい、コーディル!まさかお前・・・!」
ザヌサーはそう言うと、痛みに耐えつつ立ち上がった。
「ザヌサー・・・もっと私には、力が必要なんだ・・・!」
「お前、正気か!?そいつは、お前が好きだった女や、此処の村人を殺した野郎だぞ!?」
「しかし・・・今以上の力があれば、今回のような事態は招かないはずだ・・・!」
「そいつらは悪だぞ!?そいつ等と共に働くってことはお前も悪に身を置くことになる・・・」
「黙れ!!ザヌサー、いい加減にしろ!正義だのなんだの言ったところで、力が無ければどうしようもないだろ!!」
「貴様・・・力を手に入れたところで、悪に染まっちまえば何も意味無いだろ!!」
「・・・ザヌサー、どうやら此処で私達は別れる必要がありそうだ。これ以上言ったところで、互いの意見が一致することはないはずだ」
「・・・いや、俺は何としてでもお前を止めてやる。お前が悪に染まった姿なんて見たくねぇ・・・!」
ザヌサーはそう言って、力を振り絞って大剣を構えた。
「私だって、自分の道を邪魔されるのは御免だ・・・!」
コーディルはそう言うと、直剣を構えた。
「・・・取り決めは?」
と、コーディルが呟いた。
「そんなもの、一切なしだ・・・!」
ザヌサーはそう言って、大剣を構えて突っ込んでいった。
コーディルもまた、直剣を構えて走っていった。
其処から、二人は最後の力を振り絞って激闘を繰り広げた。
「こいつはえらく元気な野郎共だぜ・・・あのハゲが固執する理由も分かる」
と、男は二人の激闘を見ながら呟いた。
激闘は何十分と続いたが、両者とも倒れることはなかった。
だが、スタミナの消費は凄まじく、二人とも腕の力だけで剣を振り回していた。
「コーディル・・・これで、終わりだ!」
ザヌサーはそう言って、思いっきり大剣を振り降ろした。
「それは・・・こっちの台詞だ!」
その瞬間、コーディルは大剣を左手の篭手で弾き返した。
ザヌサーは一瞬体制を崩してしまった。
そこにすかさずコーディルが、直剣をザヌサーの腹部目掛けて突き刺した。
ザヌサーは大剣を手放し、その場にうなだれた。
直剣を引き抜いた後、コーディルは直剣の血を払い、鞘に収めた。
「・・・コーディル、取り決めは無しだと言ったはずだぞ・・・」
ザヌサーはそう呟きながら、地面に倒れこんだ。
「・・・だからこそ、力が必要なんだ・・・今の私には、一撃を外してしまう程度の力しかない・・・」
コーディルはそう呟き、男の所にゆっくりと歩いていった。
「・・・とまぁ、俺とコルテックスの野郎との関係はこんな感じだな。コーディルのことが多くなっちまったが。
一体あの日から何年経ったんだろうな、すっかりこの場所まであいつ等にばれちまったし、そろそろ移動したほうがいいかもなぁ」
ある小屋の中で、ザヌサーはウィスキーの瓶を片手にそう言った。
しかし、彼の目の前ではクラッシュがイビキをかいて寝ているだけだった。
「ケッ、オッサンの長話なんか聞く価値もねぇってか?」
と、ザヌサーが呟いた。
時を同じくして、ある基地のバルコニーに、一人の男性が立っていた。
男性は遠くの島をボーっと見つめていた。
「おいコーディル、こんな所でサボりかよ?」
そう言いながら、バルコニーに立っていたコーディルの元に男が近づいた。
「ああ、ディンゴさんですか。すみません、少し物思いに耽ってまして」
と、コーディルがディンゴに向かって言った。
「ヘッ、そうか。コルテックスの野郎が呼んでたから、とっとと行ったほうが身のためだぜ?」
「本当ですか、教えてくれてありがとうございます」
コーディルはそう言って、バルコニーを後にした。
「・・・まるであん時の出来事が無かったかのように馴染んでやがるぜ、あいつ」
と、ディンゴが呟いた。
正義によって得られる力か、力によって得られる正義か。どちらが正しいのかは二人にとっても分からない。
しかし、コーディルがいずれ得るであろう物は、正義ではなく悪だろう。
今の彼は、とにかく力のみが必要だと強く思っていた。
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