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DIVE INTO DARKNESS ~ティア・バンディクー~
2012/04/06(金)13:10:59(12年前) 更新
突如として目の前に現れた世界は、ひどく陰湿で薄暗く、無愛想な鋼鉄に包まれた部屋だった。ティア・バンディクーは、コルテックス城のエヴォルヴォレイ研究所にて誕生した。
もっとも、バンディクーとしての生は別の場所で生まれたのだが、その頃の記憶はなかった。今は、目の前に広がる無機質な世界をただただ何を思う事もなく見つめているだけだ。
ふと、その景色の中にいた1人の人物に目がとまった。そこにいたのは勿論、ネオ・コルテックスだ。すると、コルテックスは微笑を浮かべながら言った。
「フッフッフ、さぁ完成だ。お前はティア・バンディクー。お前にはクラッシュ暗殺計画のために存分に働いてもらおう」
コルテックスが、自分の事を指してティアと呼んでいることに気付くのには時間がかかった。
「・・・私が・・・?」
「そうだ。ワシがお前に人間レベルの知能と、人間以上の身体能力を与えてやったのだ。感謝するがいい」
「・・・」
感謝。誰から教わったわけではないが、何故かティアにはその言葉の意味はおおまかに分かっていた。感謝とは、自分が望んだ事を誰かに実現してもらった時にするものだ。しかし、彼女は今何かを望んでいるわけではない。
何故、この男に感謝をする必要があるのか。今のところはその理由が見当たらない。
「さぁ、これがお前の武器だ」
そう言ってコルテックスは、そばに置いていた日本刀を持って、ティアに差し出した。柄の先から鞘の先まで全体が漆黒に包まれた日本刀だった。彼女はそれを受け取って、鞘から抜いて刀身を眺めてみる。
漆黒の鞘とは対照的に、刀身は薄暗いこの部屋の中でも鋭く銀色に光り輝いていた。
「では、早速お前の実力を見せてもらおうか」
唐突にコルテックスがそう言ってきた。
「ついてこい」
更にそう言ってコルテックスが部屋を出ていく。ティアは少しの間その場に立ちつくしていたが、黙って彼についていくことにした。
ティアが連れてこられたのは、先ほどよりも少し広めの空間だった。中には何のインテリアもない。そして、壁は相変わらず情緒のない金属そのままの色だ。すると、天井から拡声器を介したコルテックスの声が聞こえてきた。
「さてティア、お前にはこれからこの部屋であるテストを受けてもらう」
「テスト・・・?」
ティアはいぶかしげな表情をしながらそう言った。
「なに、これから出てくる敵を倒せばいいだけだ。基本的にどんな手段を使ってくれてもかまわない。それでは、これよりテストを開始する」
コルテックスがそう言うと、ブザー音が部屋に鳴り響いたかと思えば、部屋の奥の壁の一部が上に移動し、その奥に何か黒い影が見えた。すると、突然その影が凄まじい速さでティアめがけて突進してきた。
「・・・ッ!!」
ティアはとっさに持っていた刀を抜いて、その攻撃をガードした。かなりの衝撃が刀を伝って腕に伝わってくる。そのまま刀を振り払ってそれを受け流す。見ると、その正体はどうやら生物の形をした金属のロボットのようだった。
その姿はイノシシのようだ。イノシシと分かったのは、自然にいた頃にその存在を知っていたからだろうか。そのイノシシ型の鉄の塊は、再びティアの方を向くと、すぐさまその方へまっしぐらに突進してきた。
不意打ちではなかったが、ロボの動きは機械のそれとは思えないほど速かった。そのくせ威力は見た目通りの重々しい攻撃だ。ティアはまた、刀でロボの攻撃を何とか受け流した。
しかし、それでロボが体勢を崩したのは瞬き程の一瞬で、間髪いれずに次の攻撃を仕掛けてきた。単調だが、絶え間ない猛攻はかなり厄介なものだった。
(こちらも単純な対応だけではらちが明かないな・・・)
そう考えたティアは、ロボの突進を受け流すと同時に刀を構え直し、負けじとロボに突っ込んで斬りかかっていった。すると、意外にもロボットはあっさりとバラバラに砕けてしまった。
金属が砕け散る嫌な音が耳に響いてくる。続けざまに、天井から例の声が聞こえてきた。
「うむ、合格だろう。期待した通りの結果だ。この後の連絡があるまでそこで少し休んでいるといい」
休むと言っても、先ほど述べたようにこの部屋には何も無い。ティアはその場で茫然と立ち尽くしていると、また天井から声が聞こえてきた。ただ、この声はどうもティアに向けて発しているものではないようだった。
恐らくスピーカーのスイッチでも切り忘れているのだろう。ティアはなんとなくその会話に耳を傾けた。
「いかがでしたか?」
不意に隣にいたエヌ・ジンが聞いてきた。
「ああ、予測通り反射神経と瞬発力に特化した身体能力に仕上がっているな。加えて判断力にも優れている。暗殺計画にはもってこいの出来だな」
コルテックスは正直な感想を言った。事実、その表情は自信に満ち溢れたものだった。それを見て、エヌ・ジンも安堵の表情を浮かべた。
「そうですか・・・ならば、取り急ぎ作戦の詳細をうち立てねばなりませんな」
「そうだな。だが、その前にティアには洗脳を施す必要があるかもしれないな・・・念のためだ」
最初にティアに話しかけた時から訓練場に連れてくるまでの彼女の振舞いが、コルテックスには少し引っかかるものがあった。反発的なわけではないが、信用しているわけでもなく、ずっとこちらの様子を窺っているように見えたのだ。
「左様でございますな。では、早いうちに彼女を洗脳施設に誘導しましょう」
「ああ」
そう言ってスピーカーの電源を再び入れようと手を伸ばして初めて、コルテックスはスピーカーの電源が入りっぱなしであることに気がついた。
「あっ・・・」
「どうしました・・・?」
「・・・洗脳とはどういうことだ?」
エヌ・ジンが言いきるとほぼ同時に、ティアの声が聞こえてきた。2人はその言葉に一気に顔を青ざめさせた。やってしまった。声に出さずとも内心ではそう言っているのが見て取れる。
「あ・・・、いや、これはだな・・・」
天井から明らかにうろたえたコルテックスの声が聞こえてくる。すると、先程ロボが出てきた入口が再び開くのが見えた。ティアはすかさず刀を抜き、飛び出してきたイノシシのロボを叩き斬る。
「・・・こんなことをしても無駄だ」
「ぐぬぬ・・・ならば、行けッ!タイニー!」
そんなコルテックスの声を聞くと、例の入口から今度は巨大な影が飛び出してきた。ティアは刀でその影を斬ろうとしたが、それが持っていた槍に激突した。
「ぐっ・・・!」
明らかにさっきのロボとは威力が違う。ティアは勢いよく部屋の壁際まで吹き飛ばされてしまった。
「ガオー!タイニー勝つぞぉ!」
威勢よく雄叫びをあげるタイニーは、そのままさらにティアに襲いかかってきた。ティアは素早く横に飛び込んでそれを避けた。
(こんな所にいても時間の無駄だな・・・)
そう考えたティアは、部屋の出口を目指して走りだす。タイニーもそれを追って走りだした。そして、ティアが部屋を出ると、その横からまた何者かが飛び出してきた。ティアは刀でその攻撃をガードする。
どうやら相手も剣で攻撃していたようだ。コモド・ジョーである。
「よぉ、お前ッッさんも刀使いかぁ・・・俺とシシ勝負しろォ!!」
そう言ってジョーは素早く剣を振り回してきた。ティアも刀でその攻撃を余すことなく振り払う。一瞬、横目にタイニーの姿が見えた。ティアは素早いバックステップでタイニーの文字通りの横槍を回避する。
「・・・なんだよタイニー、俺はススサシでシシ勝負がッしてんだよ!!」
「タイニーあいつ捕まえる・・・!」
「ケッ、じゃあシシ勝負はススその後だ!」
そう言うと、2人ともティアの追跡を再開した。一方ティアは2人の会話の間にも廊下を走っていた。すると、今度は目の前から剣が手裏剣のように飛んできた。ティアはそれを華麗に避けて、奥を見つめる。
そこにはコモド・モーが立ちはだかっていた。
「ここは通さないんだな!」
「くっ、次から次へと・・・」
ティアは刀を構え、モーに向かって勢いよく走っていく。モーも剣を勢いよく振りかざしてきた。
「ッ・・・!」
しかしティアはその攻撃を素早く見切り、モーに反撃しようと地面を蹴ろうとした。が、その直後背後からせわしない足音が聞こえた。ティアは急きょ軌道を変えて横に転がりこむように背後からの攻撃を避ける。
ジョーの攻撃だ。ジョーは更にティアに対して疾風怒濤の攻撃を繰り出す。ティアも何とかその攻撃に対応し、体勢を立て直した。間もなく、ジョーの背後からタイニーが迫力満点に飛び出して、そのままジョーを跳び越えてティアに槍を向けてきた。
しかし、これもバックステップで素早く避ける。タイニーも着地をバネにさらにまっすぐ突っ込んできた。ティアはこれを右に避けるが、その先にはジョーの刃が待ち構えていた。
「・・・!!」
ティアはギリギリでこの攻撃を刀で防ぐ。さすがにこの人数相手だと苦戦を強いられざるを得なかった。そこへ追い打ちをかけるように、火炎放射器を携えたディンゴがその場にやってきた。
「そこまでだぜぇ。大人しくあきらめな」
「その通りだ」
さらにその後ろからはコルテックスが光線銃を構えながら歩いてきた。
「お前が大人しくしてくれれば手荒なまねはしない」
「くっ・・・」
ティアはそれでも構えを解かなかったが、5人に囲まれたこの状況では出来る事は限られている。ティアは辺りを見回して再度状況を確認する。目の前には5人の敵が死角なく並んでいる。
背後にはガラス張りの壁があり、その外の様子は夜の暗闇でまったく分からない。しばらくして、ティアは口を開いた。
「・・・お前達に操られるくらいなら・・・1人になる方がマシだ」
そう言うと、ティアは刀で素早く背後のガラスを斬り刻み、そのまま彼女は暗闇の奥へと飛び込んでいってしまった。
「なッッ・・・!?」
ティアの突然の行動に驚愕したコルテックス達は、割れたガラスから恐る恐る身を乗りだして下の様子を眺めた。そこには、ただただ漆黒の夜が広がるばかりであった。
終わり
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