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快楽と満足 ~ジェロシア~
2012/09/03(月)02:41:15(12年前) 更新
月明かりに照らされた、とある閑静な高級住宅街。その中でも特別大きな豪邸の正門前には、黒いスーツを着た厳つい男性が二人立っていた。
夜の静寂の中、どこからか足音が響いてくる。その音は徐々に大きくなり、二人の男の前に音を放っていた正体が現われた。
「・・・何か用でしょうか?」
と、一人の男が呟いた。立ち止まった女性は、何も言わず二人の男を見つめるだけだ。
「申し訳ありませんが、ご面会のお時間は過ぎられております。お引取りを」
「・・・悪いけど、その忠告は無視させてもらうわ」
女性はそう言った瞬間、左右の腰に装備していたホルスターにそれぞれの手をかけて一瞬で銃を抜くと、腕をクロスして引き金を引いた。
銃弾は二人の男の頭を確実に捕らえていた。二人の男は、言葉を発する事もなくその場に倒れこんだ。
女性の着ていた白いブラウスに、赤い模様がこびり付く。その色は、彼女の髪色と同じだった。
「・・・さぁて、楽しいお遊戯の始まりよ」
女性は銃を一旦ホルスターにしまうと、正門を勢い良く蹴り開けた。その先には大きな庭が広がっていた。
銃声を聞きつけたのか、豪邸の扉の前に武装した五人の男達が並んでいた。
女性はゆっくりと、モンローウォークで庭のど真ん中を進んでいく。
「と、止まれ!撃つぞ!」
武装した男の一人が、女性に銃を向けながら叫んだ。
「撃てばいいじゃない、撃てるものなら」
女性は素早く右の腰のホルスターから右手で銃を取り出したとほぼ同時に、男の頭を撃ち抜いた。
更に女性はそのまま左掌を撃鉄に添え、男達に照準を向けながら目にも止まらぬ速さで発砲していったのだ。
その間僅か1秒、五人の男達は一切何もすることが出来ずに絶命した。
「もう少しやり応えって物が欲しいわ、もっと私を満足させてくれないかしら?」
女性はホルスターに銃をしまい、豪邸に向かって再び足を進めた。
「侵入者だ!捕まえろ!」
四方八方からそのような声が聞こえてくるが、庭の中は暗くて何処に敵がいるか検討も付かない。
だが女性は今度は後ろの腰についた二丁の銃を構え、暗闇に向かって次々と引き金を引いていく。そのたびに、闇の中から悲鳴が飛び交った。
そして、女性は豪邸の入り口に立ち、扉を開けて中に入っていった。
豪邸のホールの二階部分からは、銃を持った男性三人がこちらを狙っていた。
「や、やっちまえー!」
男達はそう言って、女性に向かって銃を乱射した。
豪雨のように降り注ぐ銃弾を、女性は右方向に走って回避しつつ、二階へと続く階段を駆け上がっていった。
そして、まず左手で左腰のホルスターから銃を抜き、一人目の男性を素早く撃ち抜いた。
男性は後ろへと倒れこみ、それを見た残り二人の男達は銃撃をやめて後ろに下がった。
其処目掛けて女性は左足で地面を蹴って男に一気に接近すると、一人の男性を思いっきり右足で蹴り飛ばしたのだ。
男性は他の男を巻き込みながら後ろに大きく吹き飛ばされ、壁に激突した。
巻き込まれた男性は、頭を押さえながらもう一人の男性のほうを見たが、その男性は胸部に銃弾を受けて死亡していた。
「い、いつ撃ったんだ!?」
女性が引き金を引いたのは、一人目の男性を狙った際の一回だけだったはずだ。
「教えて欲しい?」
女性はそう言いながら男性に近づくと、急いで立ち上がろうとする男性の頭部に回し蹴りを食らわせた。
いくら戦闘慣れしているとは言え、人の回し蹴り程度なら悪くてもその場で気絶する程度だろう。
だが、彼女の放った回し蹴りは、とんでもなく重かった。
骨が砕け散る音が響き渡り、男性は地面にぐったりと倒れこんだ。
その男性の頭部を、女性は左足で踏みつけた。
「ブ、ブーツに・・・銃を・・・」
かろうじて息が途絶えていなかった男性は、力を振り絞ってそう言い放った。
「正解。さて、これがご褒美よ」
その瞬間、左足首につけられた銃の口から光が放たれた。
「・・・さて、お目当ての野郎はあの部屋かしら」
女性はそう言って、二階の奥の扉のほうを向き、そちらに向かって歩き出した。
そして扉を手で開けて中に入った。
「ま、待ってくれ!殺すのだけは勘弁してくれ!」
部屋の中には、高級そうなスーツを着た男性が、顔を真っ青にしながら立っていた。
「ええ、殺さないつもりよ。まずはあんたに話を聞かないといけないから」
女性はそう言いながら、男性に近づいた。
男性は恐怖で後ろに下がることすら出来なかった。
「よ、よく見てみれば、ジェロシアじゃないか・・・俺とお前は同業者だったはずだ・・・!」
「過去に仕事をしたことがあるから、こうやって襲われる理由が分からない、とでも言いたげね」
「ジェロシア・・・何を企んでいる・・・?」
「ある人物を探しているのよ。この顔、見たことあるはずよ」
ジェロシアと呼ばれた女性は、ノースリーブのベストのポケットから写真を取り出した。
「か、彼女は・・・!」
「もちろん、私のことを知っているんだったら知っているはず」
「彼女のことに関しては、お前が一番詳しいだろ!?」
「その私ですら、今の彼女の足取りが掴めていない訳。だからこうやって昔の知り合いを尋ねて回っているのよ」
「俺は、彼女と一切話したこともないし、仕事も一緒にやったこともない・・・だから、彼女のことは一切知らない・・・!」
「・・・そう。手荒な真似をして悪かったわね」
ジェロシアは写真をしまうと更に男性に近づき、男性の頬を右手で触れた。
「ジェ、ジェロシア・・・?」
「同業者であるあんたの部下を殺してしまった以上は、何かの形で償ってあげないといけないわね」
「そ、それって・・・」
「体の力を抜いて・・・全てを受け入れて」
ジェロシアはそう言うと、突然男性とキスをした。
「ん・・・ジェロシア・・・」
「さぁ・・・ゆっくりと腰を下ろして」
男性はジェロシアに押し倒される形で、ゆっくりと地面に仰向けに倒れた。
その上にジェロシアは覆いかぶさるように乗ると、男性とキスを続けた。
「・・・これで、満足かしら」
その瞬間、ジェロシアは口の中に攻め込んできた男性の舌を思いっきり噛み千切ったのだ。
男性は目を大きく見開き、顔を再び青ざめさせた。
ジェロシアは千切れた舌を男性の顔に向けて吐き出し、すぐに起き上がった。
男性は声にならない悲鳴を挙げながら、口を両手で押さえて地面をのた打ち回った。
「死の前に、少しぐらい快楽がないと可哀想だと思ったのよ。私って、意外と優しい面があるでしょ?」
ジェロシアはそう言って、背中に担いでいた特別大きな銃を右手に持ち、男性に向けた。
そして引き金を引いた瞬間、部屋の中に爆音が鳴り響き、男性は見るも無残な姿に変わってしまった。
「・・・同業者は少ないほうが、依頼が回って来易くなる・・・なのに、どうして私は彼女を探しているのかしらね・・・」
そう言って、ジェロシアはポケットからタバコを取り出して口に銜えて、ライターで火をつけて一服した。
「プレッツェ・・・どうして私に何も言わずに姿を消してしまったのよ・・・」
───時は遡り、今から約二年前、ジェロシアとプレッツェは、薄暗いバーのカウンター席で酒を飲んでいた。
「・・・やはりお前の行く店の酒は旨いな」
と、プレッツェはブランデーベースのカクテルを一口飲んでから呟いた。
「あんたと知り合って、今日で五年目だ。今日はその祝いでもしようじゃないか」
と、ジェロシアはウィスキーのストレートを飲んでから言った。
「もうそんなに経つのか・・・懐かしいな。お前が私たちのグループに入ってきた時は、此処まで親しくなるとは思ってもいなかった」
「こっちだって、あんたみたいな無愛想な人間と付き合えるわけが無いと思っていたのに、今では一緒に酒を飲む仲にまでなっている」
「・・・不思議なものだな・・・」
二人はそのまま黙々と酒を飲んだ。彼女達にとって、酒はできるだけ黙って飲みたい物だった。
「・・・ジェロシア、一つ聞きたいことがある」
一杯の酒を飲み終わったプレッツェは、同じく飲み終わったジェロシアに向かって言った。
「ん、なにかしら?」
「・・・ジェロシアは、今の生活に満足しているか?」
「・・・私にとっての生き甲斐は、他者の命を奪うこと・・・そんな私にとって、殺し屋は天職みたいなものよ」
「フッ、そうだったな・・・愚問だったか」
「そういうあんたは、金のためにこの仕事をやっているんでしょ?」
「ああ・・・だがな・・・もう金なんて要らないんだ。私は親の借金を返すためにこの職に就いた訳だが、そんなものとっくの昔に払い終わっている」
「じゃあ、あんたも殺しの美学を理解できたから、まだ仕事を続けているのかしら?」
「・・・怖いんだ」
「・・・プレッツェ?」
プレッツェの声は、少し震えているようだった。
「この仕事がなくなれば、私の存在価値なんて消えてしまう。私は小さい頃から殺し屋としての道を歩んできたから、それ以外の世界を殆ど知らない・・・」
「だから、この仕事をやめた時の次の道が見えなくて、怖いっていうことね」
「・・・正直に言わせて貰うと、殺し屋という職に対し、満足感なんてものは一切抱いていない。だが、心を満たす為だけに新たな道を進むのは怖い・・・」
「人間なんて、そんなものじゃないかしら」
「・・・え?」
「あんた、今まで殺してきた野郎共の顔を思い出してみな。あいつ等は満足した生活を送っているように思えたかい?」
「・・・いや、どこか影のある顔をしていた・・・」
「でしょ?はっきり言って、今世界中で、現状の生活に常に100%満足している人間なんて、ほんの一握りしかいない」
「じゃあ、私は別に満足の行く生活を送らなくていいとでも言うのか・・・?」
「どう足掻いても、心を全て満たすことなんて出来ない。だからこそ、ほんの少しだけでもそれを満たすために、酒があるのよ」
「フッ、何だそれは。結局酒が飲みたいって話じゃないか」
「ええ、そうよ。現にあんたも、酒を飲んでいる時は幸せそうな顔を浮かべているじゃない」
「なっ・・・私はただ、この味が好きなだけでだ・・・」
「常に心が満たされてなくていい。こういう一時にだけ、満足してるって思えたら十分っていうのが私の考え」
「・・・そういう考えもあるのか・・・」
「まぁ人によって、今幸せだ、満足しているって思う瞬間は違うし、それが沢山ある人もいれば、少ししか無い人だっている」
「・・・ジェロシアは、いくつあるんだ?」
「誰かの頭を撃ち抜くとき、酒を飲む時・・・そしてあんたとこうやって話している時の三つよ」
ジェロシアはそう言って、少し頬を赤らめた。
「や、やめてくれ、こっちまで恥ずかしくなるだろ・・・!」
「それが私の本心さ・・・あんたも、暇な時に数えてみれば良いさ」
「・・・分かった」
「まぁ、どうしても満たされるものがないっていうなら、それを探すために新しい道を進む勇気も必要だとは思うよ。その新しい道ってのも、人によって異なる。
とても過酷で、辛い道を進まないといけないときもあるし、コンクリで舗装された道を進めるときもある。
そうやって、人ってのは生きていくのよ・・・まぁ、私は今の道に十分満足しているから、どうでもいいんだけどね」
「・・・ジェロシア」
「何、まだ何かあるの?」
「ありがとう・・・気が楽になった」
「な、何よ・・・礼を言われるようなことなんて、何もしてないじゃない」
「心が満たされること、今なら見つけれる気がする」
プレッツェはそう言って、少し笑顔になった。ジェロシアもそれを見て、頬を緩めた───
「プレッツェ・・・あんたにとって、私と一緒にいるってことは、心を満たせるものじゃなかったの・・・?」
屋敷を後にしたジェロシアは、一人暗い道を歩きながら呟いた。
あの日、二人が話をした一週間後、プレッツェは自身の家から忽然と姿を消した。
それだけではない、彼女の家から彼女に関する情報、更には彼女の所持品など全てが消えていたのだ。
「せめて、別れの時位、私に一言伝えてくれてもいいじゃない・・・」
プレッツェは、きっと心が満たされるようなことを見つけたか、あるいは見つけるために彼女の前から姿を消したのだろう。
喜ばしいことなのだ、喜ばしいことであるはずなのだ。
しかしそれと同時に、ジェロシアの心には決して満たされることの無い大きな穴が開いてしまっていた。
誰かを殺そうとも、酒を浴びるように飲もうとも、何をしても埋まること無いその穴を知り、彼女は思い知らされた。
彼女にとって、プレッツェとの関わりのみが心を満たすものであったこと、それ以外は全て、一瞬の快楽だったということを。
「・・・ん?」
彼女のホットパンツのポケットに入っていた携帯のバイブで、ジェロシアは現実に引き戻された。
ジェロシアは携帯を取り出して画面を見ると、ある男からの電話が入っていた。
「・・・もしもし」
「やぁジェロシア。彼女の捜索は順調かい?」
「・・・冷やかしだったら後にして頂戴」
「相変わらずカリカリしてるねぇ、せっかくいい事を教えてやろうと思ったのに」
「どうせ、新しい手品でも考えたんでしょ?」
「・・・彼女の居場所が分かったんだよ」
「・・・直接会って話を聞かせて」
「ああ、僕からもそう言おうとしていた所だ。落ち合う場所は・・・」
~Fin~
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