人見ています。 |
オリキャラ短編集
|
- TOP
- >
- オリキャラ短編集協会
- >
- オリキャラ短編集
- >
- 病みと血塗られた恋 ~霊月霧春~
もみみ(4年前)
バート・ラマー(5年前)
2199(6年前)
2199ノークラ(6年前)
クラットン2(6年前)
ココバンディクー(7年前)
水無月ニトロ(7年前)
RITAL(8年前)
イエクラ(8年前)
asRiche3j8bh(8年前)
テトラピアノ(8年前)
asRichp4zuit(8年前)
オリキャラ短編集協会(8年前)
asRichg3gtwn(8年前)
わいるどた~ぼ(8年前)
asRichajohom(8年前)
ショートケーキ(8年前)
asRichw7ffmu(8年前)
スティックス・ザ・バジャー(8年前)
asRichqi316v(8年前)
asRichct3qjk(8年前)
リボルバー(9年前)
ぽぴゅらあ(9年前)
りんごっち(9年前)
sasuke(10年前)
回転撃(10年前)
ルイカメ(10年前)
ヴァイオレット(10年前)
えぞももんが(/・ω・)/(10年前)
隼人 (10年前)
まんじねーしょん(10年前)
CURA(10年前)
ハートオブハート(11年前)
フレイム(11年前)
ゲーマー(11年前)
クラットン(11年前)
ひろき(11年前)
ひろき(11年前)
HIROKI(11年前)
GGGGGGGGG(11年前)
IA・N(11年前)
かめちき(11年前)
霧雨(11年前)
てんし(11年前)
昇太/神馬当瑠(12年前)
風のクロノア(12年前)
オリキャララジオ放送社(12年前)
ここなっつココ(12年前)
いお太(12年前)
テクノしん(12年前)
リレー小説委員会(12年前)
ここなっつ(12年前)
気まぐれCocoちゃん(12年前)
たクラッシュ(12年前)
ダークネス(12年前)
早川昇吾(12年前)
しんごwww(12年前)
サム(12年前)
クランチバンディクー(12年前)
闇っぽいけど闇じゃない。永遠の炎の神様メフィレス(12年前)
イエクラ.com(12年前)
イエクラ@山手(12年前)
回転撃(12年前)
病みと血塗られた恋 ~霊月霧春~
2016/08/27(土)22:59:12(8年前) 更新
霊月霧春―…
幽霊のように透き通った月のように突然消え、霧のように謎に包まれる―…という意味の偽名だ。
霊月霧春…という名前の男の本名はフェルミ・エコスナー…。
美しい銀の髪の持ち主の若きマフィアの首領…。
実力が認められ、今となっては彼は現・マフィアの王であるジョット・ポトルー伯爵7世の次期候補となっている。
そんな彼に唯一の友達がいる。
友達の名前はマチス・カルタッド・ロングゲート―…。通称マカロンだ…。
実は―…、フェルミも、マカロンとモーリスと同様、人身売買された子供達のうちの1人だった。
フェルミはイタリアで生まれ、フランスで育てられた。
彼の父親はアメリカ人、彼の母親はオーストリア人だったので、彼はハーフなのだ。
フェルミが5歳ぐらいの頃まで、普通に周りの子供達と遊んでいた。友達が多く、『優しい子』として周りの人からの評判が高かった。
しかし、霧春が5歳の誕生日の日に幸せな生活に終わりを告げた。
…
「フェルミー、かくれんぼしよう!」
「かくれんぼ?!俺もやる!!」
友達の1人に誘われたフェルミはすぐに乗った。
「俺が鬼だから、フェルミは隠れる役だな!すぐに見つけるから、覚悟しろよ!」
「いきなり脅しですか…!」
フェルミは苦笑いしながらも樽の中に隠れることにした。
「ここなら見つからな…。」
そう思ったその時、人々の悲鳴が次々と聴こえた。しかも、焦げ臭い臭いが漂う。
「えっ?!」
フェルミは樽の穴からその様子を見てみた。
そこには謎の武装集団がフェルミが住んでいる町を放火し、そこに住む人々を捕まえては殺している姿があった。
殺された人々の中に、仲のよかった友達や自分の両親と兄弟が含まれていた。
「うっ…。嗚呼…。」
息を殺しておきながらも、フェルミは涙を流していた。
「…この餓鬼をどうするんだい?」
死んだフェルミの友達の1人をわしづかみにしながら部下は尋ねた。
「今夜、これをステーキにしてご馳走しよう。」
リーダーと思われる男は答えた。
「この老夫婦は?」
「そいつらは豚や馬のえさにしとけ!後、あの男もな!!」
リーダーが言うあの男とは、自分の父親のことだった。
それを見聞きしたフェルミのレイプ目から憎悪の炎が静かに燃え盛っていた。
自分の家族、友達を殺し―…
殺された両親を豚のえさと同然と嘲笑し、殺された大好きな友達を食べる―…
その証拠隠滅のために町を放火した―…
あいつらを殺してやりたい―…!
力があれば、あいつらを彼らのように八つ裂きしたい―…!!
フェルミは息を殺して、身動きもしなかったが、不運にも武装集団に捕まってしまった。フェルミを捕まえた後、彼らはとある施設へ向かった。
その施設の中は豚小屋のように不潔極まりなく、腐敗臭もひどい。やせ細った死体がどこそこ転がっていた。
フェルミはそのような場所に放り出された後、鞭を散々叩かれ、仕舞いにはオークションに出された。
「…売り出される…。俺って死ぬんだ…。何も出来ないまま…。」
やせ細って、泣き叫ぶ元気すらなかった。
その後、突然断末魔が次々と響き渡った。他に手首などを切断する音、鎖を引きずるような音が聴こえた。
「何があったんだ?!」
フェルミを連れた人達はフェルミを放って、そちらへ向かった。
一際叫び声が聴こえたかと思うと、その人達は帰ってくることは無かった。しばらくすると、手錠を持った自分と同い年ぐらいの少年が現れた。
「…俺を殺すのか…?」
血が付いた手錠を見て、フェルミは死を覚悟した。すると、少年はフッと笑った。
「いや…。」
少年は自分の手錠で、フェルミの手錠を斬りおとした。しばらく、驚いた表情で少年を見ていた。
この手錠、こんなに切れ味がいいのか?何故、自分を殺さないのか?
「何故、僕は君を殺さないといけないんだ?」
「はっ?!」
少年の台詞にフェルミはあっけに取られた。
「だって…、手錠が…。」
「あ、これか…。邪魔者を排除する時に使ったんだ。…そういえば、君は?」
少年がそう言うと、フェルミはドキッとした。
「…名前か…。俺はフェルミ・エコスナー…。お前は?」
「僕はマチス・カルタッド・ロングゲート。マチスと呼んでいい。」
軽い自己紹介をした後、フェルミは脱力した。
「…それにしても、これからどうしたらいいんだろう?俺には帰る場所が無いし…。」
「…それは僕もそうだよ…。だから、これからどうするかを考えていた所なんだ。」
フェルミはその時、居場所が出来たと思った。
とは言っても、急に本当の居場所が出来たわけではなかった。しばらくマチスと共に行き場が無く、さまようことになってしまったのだ。
その中、1人の美少女に出会った。この時、彼女が皇族であることは知らなかったが、そこら辺の庶民の娘と言う感じではなかった。
「何なんだ、お前は?」
「これ、皇女である私に向かって何なんだ、その口は?!」
「皇女だと…?!」
「私はポフィーネ・フランテア・クランツよ。クラータ帝国の次期女帝です。」
彼女が次期女帝であることも十分に驚いたが、いきなり強気に出たということも驚いた。
「…そうなんですか…。僕はマチス・カルタッド・ロングゲート…。マチスと呼んでいただければ…。」
「俺はフェルミ・エコスナー…。フェルミと呼んで下さい。」
「丁寧な自己紹介、どうもありがとうございます。しかし、あなた達は不法侵入で逮捕よ?」
「えっ?!!」
フェルミとマチスは驚きを隠せなかった。逮捕されることは思いもしなかったのだ。それどころが、ここがクラータ帝国であることを知らなかった。
「ちょっと待て下さい!お話を…。」
マチスは慌てて続けるも、どこ吹く風。フェルミとマチスは逮捕され、城へ連行された。
その時のマチスとフェルミは10歳、ポフィーネは8歳だった。
数日間、2人は投獄されたが、ポフィーネの母の命令で釈放された。
「何で、俺達はこんな目に…?!」
「まあ、出られてよかったよ…。」
2人はしゃべりながら、大広間へ向かった。大広間にはポフィーネはもちろん、2人の獣人もいた。猫耳の生えた少年もいる。
「?!…リンネか?!」
「マチス?!…何でこんなところに?!!」
マチスの声に猫耳の少年は反応した。猫耳の幼い少年の名前はリンネらしい。
話によると、マチスとリンネはいとこ関係で、このように再開するのはリンネが赤ん坊以来らしい。
「ピアノの練習とか頑張っている?」
「うん、この前のキッズピアノコンクールで優勝したんだ。」
「優勝か…すごいな…。」
マチスにとってはこんなに微笑ましい会話は久しぶりのことだった。
「マ…チス……。」
震えながらフェルミは尋ねた。いくらいとこ関係を持っているからと言っても、恋人のように仲良くされると不快に感じていた。
「さて、本題に入りましょうか…。」
ポフィーネの母は言った。
挨拶を含めての自己紹介、任命、武器の授与の順に行われた。
ポフィーネの母の名前はアルムと言い、2人の獣人はそれぞれクレチアス・フレイラ・コモド、ジョット・ポトルー伯爵7世と言うらしい。さらに、クレチアスは現・教皇であり、ジョットは現・大臣だ。
その後、マチスは軍人の1人となり、武器は数個の手錠と1丁の拳銃が与えられた。その上、これからは『マチス』ではなく『マカロン』と呼ばれる。
フェルミの場合は、ジョットの次期候補の1人となり、武器は数丁の拳銃とマシンガン、1つのダガーナイフが与えられた。その上、これからは『フェルミ』ではなく『霊月霧春』と呼ばれる。
マチスの場合は『マチス・カルタッド・ロングゲート』の頭の部分を取った『マカロン』、フェルミの場合は『霊月霧春』という謎に包まれているという意味の通称だ。
始めは納得しなかったが、みんなと仕事をしていくうちにここが自分の居場所であることを悟っていった。
それから約2年後、アルムは病気で亡くなり、ポフィーネが女帝として即位した。
その時のポフィーネは幼かったので、ジョットをはじめマカロン達と協力しながら国を治めていった。その状態で5年も保てたことは奇跡的なことだった。
ポフィーネが15歳ぐらいになると自分で国を治めるようになった。その時は支持率が高く、これから国が栄えようとしている所だった。
ところが、ポフィーネは何らかの理由で突然国を失ってしまった。
国を失った彼女は大病を患いながら、再建を目指して旅をするようになった。マカロン達もそれぞれ居場所を求めてばらばらに散り、それ以来消息不明となった。
霧春は大雨の中、自分が幼い頃住んでた家に向かった。
そこには自分の家の代わりに小さな喫茶店が建っていた。今日はお休みなのか、店は開いてなかった。
「………。」
霧春はそこですすり泣いていた。
その後ダガーナイフを取り出し、自分の右腕を刺した。強烈な痛みが襲ってきた―…夢ではなく、現実だ。そこから大量の血が流れていく―…別れる前に何故マチスに飲ませなかったか、彼はその時身も心もボロボロだったではないか―…!
失望している中、霧春は自分の血を見ながらその時のことを思い出していた。その頃のマカロンは血だらけで、栄養失調気味であったのかフラフラしていた。
自分が流れている血が赤ワインに見えてきた。
「マチスのために…。」
そう思うと、笑みが止まらなかった。
「マチス、マチス、マチス…。」
霧春は聖歌を歌っているかのように彼の名前を連呼しながら、倒れた。
その時、マカロンは自分の名前が呼ばれていることに気が付いて、喫茶店の近くに向かった。そこには親友である霧春が大量出血しながら倒れていた。
「フェルミ?!!おいっ?!!!」
マカロンは驚いて、霧春を起こそうとした。
「マチスか…俺の血…飲む?」
霧春は虚ろな目で笑っていた。マカロンはそれを見てぞくっとした。
「こいつ……精神面が完全にいっちゃってる…!!」
気が付いたら、ここは病院だった。
マカロンの話によれば、霧春は外科の後、精神科へ送られるらしい。
「マチス、来てくれたんだ…!」
霧春はほっとしながら言った。
「当然だよ。まさかこんな形で君に会うなんて思いもし無かったよ。」
マカロンは少し照れながら言った。
「それよりも、何で血を流しながら倒れていたんだ?誰かに襲われたのか?」
「いや、自分で刺したんだ。夢か現実かを知るために。その時流れていた血が赤ワインに似ていたから…。」
微笑しながら答える霧春の様子を見て、マカロンは少し恐怖を感じた。
退院し、精神安定剤をもらった後、霧春はマカロンと別れてしまうと思い憂鬱に感じていた。
「マチス、行ってしまうのか…?」
「うん、僕にはやるべきことがあるんでね。フェルミもあるんだろ?」
「…そうなんだけど…。」
霧春は戸惑いながら答えた。
「…好きな人がいなくなるなんて…。」
そう思うと、目から涙が出てきた。
「…君はもう二度と僕に会うことが出来ないと思っているんだね…。大丈夫だ、また会えるって…。」
マカロンはなだめるように言った。正直、彼が自分のことを思ってくれていると知って驚いていた。マカロンは上着の内側のポケットから箱を出して、霧春に指輪を見せた。
「何だ、これは?」
「お守りだ。ずっと持ってたんでね。」
「いいのかよ、大事なものだろ?」
「当たり前だ。君は僕の親友だからな。」
マカロンがそう言うと、霧春は自分の右手の薬指に指輪をはめた。指輪は銀色に輝いていた。
「フェルミ、悪いけど僕はすぐに行かないといけなくなったんだ…。」
そう言うと、マカロンは去っていった。
「…?!!マチス?!!」
霧春はマカロンを呼んだが、彼は聞いてる様子は無かった。そのまましばらくの間、ぼんやりと見送っていた。
それから、霧春はフリーの殺し屋として活動するようになった。
「ちょっ…?!」
殺し屋と思われる男が言い切る前に霧春は銃で男を撃った。
「……お前はそれでも殺し屋かよ?」
霧春は銃の先を男に向けた。男は恐怖のあまり、固まっている。
「この街にはもっとマシな奴はいないのかよ?」
とはいえど、男のうめき声が霧春にとっては快楽に値するものとなっていた。
「お前はブラックリストの1人、霊月霧春…。」
「だから何?」
男がそう言うと、霧春はじわじわと近寄ってきた。レイプされたような目からは何かが燃えていた。
「ひっ…?!」
「お前はもう飽きた…。」
霧春はダガーナイフを上から落とした。男の断末魔が街中に響き渡る。
「はぁー…はぁー…。はぁー…。」
ダガーナイフを取り出し、しばらく眺めていた。息切れしながらも、異様な快楽が心から沸き起こっていた。
返り血を浴びた霧春は闇の中へと姿を消した。
おしまい
18200