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TIA'S TEARS ~ティア・バンディクー~
2012/04/06(金)13:11:23(12年前) 更新
不意に誰かの声が聞こえてきた。ティアはゆっくりと目を開ける。目の前には1人の少女が心配そうにこちらを見つめている。
「あっ、起きた?あなた大丈夫?すごくボロボロだけど・・・」
「ここは・・・」
ティアは起き上りながら辺りを見回す。そこにはとても穏やかな浜辺の景色が広がっていた。再び少女が視界に入る。
「ここはタスマニアの島よ・・・ねぇ、何かあったの?こんなところに倒れているなんて・・・」
そう言われて、ティアはようやく自分の事を思い出す。ティアはコルテックスの支配から逃れるため、彼の城から脱走してきたのだ。しかし、そんなことを言っても果たして信じてもらえるのだろうか。
暗殺とか洗脳どころか、喧騒という言葉さえ無縁に思えるこの地の者が、そんな状況を想像できるのだろうか。
「・・・いや、何でも・・・」
「ふーん・・・そう。言いたくなったら、いつでも言ってね。力になるから」
少女は物憂げな表情でそう言ってきた。どうやらティアの嘘はあっさりと見破られたようだ。すると、少女は気を取り直すように明るい調子で話し始めた。
「さてと、とりあえずここで会ったのも何かの縁だし、自己紹介でもしましょう。私はココ・バンディクー、あなたは?」
ココと名乗る少女がそう言うのを聞いて、ティアは少し考える。自分の名がティアであることをようやく思い出す。
「・・・私は、ティア・バンディクー」
「そう、よろしくティア」
そう言ってココはティアに手を差し伸べた。握手を求めているのだろう。ティアもそれに応えるべく手を伸ばして握手をした。
「ところで、あなたはこれから何か予定あるの?」
そう言えば、コルテックス達から逃げることばかり考えていて、これから先の事など少しも考えていなかった。
「いえ、特には・・・」
「じゃあ、まずはこの島を見て回るってのはどう?ここに来るのは初めてでしょ?」
「はい・・・」
「じゃ決まり♪」
ココの提案で島を案内してもらうことにしたティア。なんでもティアが漂流したこの島はタスマニア本島で、周囲の島の中で最も文化の進んだ場所らしい。買い物などもこの島でするのだという。
そんなわけで、ココ達は郊外のショッピングモールを訪れていた。
「さて、とりあえず、ティアのその格好を何とかしたいわね・・・まずは洋服を探しましょっか」
確かに、ティアの恰好は夜の荒波に揉まれたせいでかなりくたびれた様子だった。それでなくとも、ティアが着ていたのは申し訳程度に与えられた服とフード付きのマントといった身なりだった。
ココは洋服店に吸い込まれるように歩いていく。ティアは少々困惑気味に彼女についていった。
同じ頃、洋服店に入っていく2人を、別の建物の陰から見つめている2人の姿があった。コモド兄弟だ。
「・・・見つけたぜェ。こんなところにいやがったか・・・」
「でも兄貴、アイツの隣にいた奴って・・・もしかしてクラッシュの妹じゃ・・・」
「オイオイこいつぁスス少し厄介なことになってんじゃねぇかぁ・・・?」
「どうする兄貴、一応上に伝えといた方が・・・」
「いや、こうなりゃ大事になる前にとっととスス済ませちまうのがいいだろ」
ジョーはそう言って、不敵な笑みをこぼしながら持っていた剣を軽く肩に乗せた。
一方、店内ではココが嬉々としてティアに合う服を選び回っていた。
「う~ん、これがいいかなぁ・・・あ~でもこっちもいいわね~」
ティアはそんなココにただただ茫然とついて回ることしかできずにいた。
「迷うわね~・・・ねぇ、どれがいいかな?」
ふいにココがそう訊いてきたので、ティアは当惑の表情を浮かべる。
「え・・・えーと・・・」
ティアが返答に困っていると、突如店の入り口から客の悲鳴の声が聞こえてきた。2人はすぐに悲鳴のした方を向く。そこには見覚えのある2人の人物が堂々とこちらに向かって歩いてきていた。
「邪魔ススするぜェ!」
「お前達は・・・!」
ティアはコモド兄弟を見て即座に身構える。恐らく彼らはティアを捕らえるためにここまでやってきたのであろう。ジョーはティアを見るなり笑みを浮かべて口を開いた。
「ススさぁて・・・ススさっさとお前ッさんも城に戻ってもらうぜェ」
「あなたは逃げて・・・!」
ティアはココにそう言うと、マントの下に隠し持っていた刀を持って、鞘から抜くと同時にジョーの攻撃を防いだ。しかし、ジョーはすぐに次の一手を繰り出す。ティアも素早くそれに応じ、瞬く間に激しい攻防が繰り広げられた。
すると、横の服を並べる棚の奥から唐突にモーの刃が突き出てきた。
「ッッッ!」
見えない場所からの攻撃はどうにか間一髪で避けたものの、それによってジョーに隙を与えてしまい、ティアの刀が弾かれてしまった。
「決まったァ!!」
叫び声とともに連続攻撃を繰り出すジョー。しかし、体勢を崩したティアに代わって、後ろからココが飛び出してジョーの振り上げた手首に向かって素早い蹴りを放った。
「何ッ・・・!?」
ジョーの剣も勢いよく弾き飛ばされる。ティアは驚いた様子でココを見つめる。
「ココさん・・・」
「心配しないで、私だって闘える・・・!」
「チィッ、面倒なことになったぜ・・・」
ジョーは素早く後退しながらそう言って、弾き飛ばされた剣を拾い上げた。
「おいモー!」
ジョーがそう叫んだ瞬間、先程の棚の奥から再び斬撃が飛び出してきた。それも今回は棚ごと切断してしまう程の威力だ。ティアはとっさに彼の剣撃を刀で止める。彼は2つの剣で攻撃してきたらしく、その衝撃もかなりのものだった。
「くっ・・・!(コイツ・・・重い一撃だな・・・)」
「このまま2人ごとブッ倒すぞ!」
ジョーはそう言ってココに斬りかかる。ココはしゃがみ込んでそれを避け、反撃しようとするが、後ろからの刀剣がぶつかり合う音がしなくなっていた事に気付く。
「・・・!!」
ココはモーの一撃を間一髪で回避する。後ろを見るが、どうやらティアは無事のようだった。単にココにターゲットを変えてきただけらしい。と、そうしている間にも背後からジョーの刃が迫る。
「危ないッ・・・!」
ティアが刀を突き出しながら飛び込んで、ジョーの刃を寸前で止める。一方ココはそんな2人の下をくぐり抜けると同時に、ティアに刃を振るおうとするモーの腹に渾身の蹴りを入れる。
そのままココがモーの相手をしている間、ジョーはティアと鎬を削り合いながら声を上げた。
「オイてめぇ、いい加減俺達のところへ戻ったらどうだァ!?」
「誰が・・・!」
「このまま逃げ続けても、俺らみてぇな奴に追われ続けるだけだぜぇ?いいか・・・お前ッさんみてぇな野郎が、今ッ更のうのうと生きていけると思うなよ?周りを見てみろよ!」
気が付くと、辺りの物は既に切り刻まれて見るも無残な様子になっていた。店にいた人々は皆恐れおののき外へ飛び出してしまっている。確かに、自分がいなければこんな物騒な事件は起こるはずもなかった。
自分が逃げている限り、どこかで関係のない人々を巻き込んでしまうのかもしれない。ティアの頭にそんな考えが生まれてきた。
「俺達はなァ・・・闘う以外に生きる道はねぇのさァ!いい加減覚悟決めたらどうだ?あァ?!」
ジョーはそう叫んでティアの刀を振り払う。
「くっ・・・」
「ティア、あなたは・・・」
ジョーの声を聞いていたココは振り向いてティアを見た。
「ごめんなさい・・・私は・・・」
「今はいいわ!とにかくあいつらを・・・!」
ココはそう言うと襲いかかってきたモーの攻撃を避けて反撃に出た。ティアもジョーの攻撃をガードして反撃する。ジョーは間一髪で後退して着ていた衣が破れる程度で済んだ。
一方のモーはココの攻撃を避ける事はなかったが、腕で彼女の蹴りをガードし、そのまま剣をふるった。
「くっ・・・!」
ココはしゃがんでそれを避けつつモーに足払いをかます。これは見事に成功し、モーは大きく体勢を崩す。
「モーッ!」
ジョーはとどめを刺そうとするココに向かって一直線に飛び込む。しかし、その目前でティアが素早くジョーの刃を弾く。次の瞬間、ココはモーに強烈なストンピングを、ティアはジョーに神速の太刀を同時に繰り出した。
「ぐふっ!」「ぐあっ!」
これで、勝負は決まったも同然だろう。コモド兄弟もその事は自覚したらしく、ジョーが片膝をつきながら言った。
「・・・チッ、今回はここで引かススせてもらうが・・・次は覚えておけよ」
そう言うとコモド兄弟はそそくさとその場を去っていった。
結局、戦闘痕の残骸はココが店長に謝罪して、弁償することになった。驚くべきことに彼女は、今の若さで一会社の社長を務めているので、お金の心配は無用なのだという。さっきの戦いぶりに社長という肩書、この人は一体何者なのだろうかとティアは茫然とするばかりである。
事件のほとぼりが冷めると、2人は一旦ショッピングモールを離れ、再び浜辺に戻ってきた。すると、ココは静かにティアに話しかけた。
「・・・ねぇ、あなたって、あいつらと何か関係があるの?」
「・・・そうですね、今更隠しても仕方ないでしょう」
ティアは自分がしてきた体験をココにありのままに話した。
「そっか・・・あなた、コルテックス達から逃げてこの島に流れ着いたのね・・・」
「はい・・・」
力なくティアがそう答えると、少しの間沈黙が流れた。すると、ティアは俯きながら静かに口を開いた。
「・・・私は・・・これから、どうやって生きていけばいいのでしょうか・・・」
とても哀しみを隠し切れてはいない表情だった。ココは少し切ない表情をしながらも、すぐに答えた。
「そうね・・・例えば、私にはお兄ちゃんがいるんだけど、お兄ちゃんもそのコルテックスから逃げてきたのよ」
「え・・・?」
「それに、もう1人、お兄ちゃんを倒すためにコルテックスに作られて、洗脳されてた人もいたわ。でもその人も洗脳が解けて、今では私達3人でこの島でのんびり暮らしてるわ。まぁ、何が言いたいかって言うとね、そんなに深く悩まなくたっていいと思うの。自分の生きたいように生きればいいじゃない」
ココはあっけらかんと笑いながらそう言った。
「・・・でも、これだけは忘れないで。あなたは1人なんかじゃない。私が力になるから・・・」
そう言われて、ティアはようやく自分の気持ちを理解した。自分はただ、周囲の人間を信じることが出来ず、他人に怯えていただけだったのだ。他人を信じることが出来ず、自分は1人だと思いこんでいたのかもしれない。
孤独は怖かった。寂しかった。だが、そう思っている間にも、自分と同じような状況に置かれている人がいる。そして、そんな自分に手を差し伸べてくれる人がいる。知らぬ間に、ティアの目から涙が溢れ出していた。
今まで無意識に抑えていたものが、涙とともに一気にとめどなく湧き出してくる気がした。ようやく分かった、自分が求め望んでいたもの。そして、それを与えてくれた人。
「・・・ありがとう」
終わり
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