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希望の紙 ~カトリーヌ・フォー~
2012/07/24(火)20:44:20(12年前) 更新
ここは、世界のどこかにある悪の学校ワルワルスクール。ここ数日ワルワルスクールに停滞していた大型低気圧は、つい先ほどようやく重い腰を上げてこの場所を去ってくれたらしく、激しい雷雨も止み、分厚い雲も徐々に薄れつつある。
雲の隙間から細い太陽の光の筋がとある寮部屋の窓を貫いた頃、その部屋では2人の少女が談笑していた。ニーナ・コルテックスとカトリーヌ・フォーである。ニーナの話を聞くと、カトリーヌは笑いながら言った。
「あっはは、それは傑作ね」
「でしょでしょ?」
ニーナがそう言った直後、寮部屋の扉が荒々しく開いた。扉を開けたのは、同級生のナット・プランクとシド・ブランダーの男子生徒2人だ。2人はかなりボロボロな格好で、何やら不服そうな顔でこちらを見つめている、というより、睨んでいる。
「あっ、帰ってきたわね。ちゃんとアレは持ってきたんでしょうね?」
ニーナは2人に対して余裕の表情でそう言った。見ると、ナットの手には何やら奇妙な形をした機械のようなものがあった。ナットは半ば呆れつつも怒りを残した様子で口を開いた。
「オイ・・・どういうことか説明してもらおうか・・・」
すると、ニーナは待ってましたとばかりに嬉々として説明をし始める。
「まず、アンタが持ってるそれは、条件が揃うと持った人に突然エネルギー波を出して吹き飛ばしちゃう逸品なのよ。びっくりしたでしょ?」
ちなみに、カトリーヌがついさっき聞いていた話はこのことについてだ。ナットの悪戯発明品によって、ニーナの悪戯発明品が学校の遥か遠くへ飛ばされてしまい、腹いせにニーナはナット達に仕返しをしようとその発明品を取りに行かせたとのことだ。
その様子はカトリーヌも見ていたのだが、それを利用してニーナが悪戯を目論んでいたとは流石に予想しかねた。
「いや、びっくりしたっていうか・・・あんなん悪戯でも何でもねぇだろ!こりゃあ立派な兵器だよ兵器ッ!!」
ナットが吠えるように叫んだ。続けざまにシドも大きく口を開ける。
「っていうか、まさか最初からそういう目的で取りに行かせたの?!」
「なかなかいい演技だったでしょ?」
「お前・・・」
既にナットは怒りを通り越して完全に呆れたようである。シドも表情からして同じようだ。
「まぁ随分と楽しませてもらったわ~。かなりの冒険譚だったものね~」
カトリーヌが不敵な笑みを漏らしながら言った。するとナットは驚いた様子で彼女を見た。
「カトリーヌ・・・お前、まさか俺達がこれを取りに行ってるところを見てやがったのか!」
「えぇ」
不敵な笑みを絶やさずに彼女は答えた。ちなみに、どうやって彼らの事を見ていたのかは、ここでは秘密だ。
「それアタイも見たかったな~」
ニーナが心底うらやましそうにカトリーヌを見ていた。
「う~ん、今度そういう方法も考えてみようかな・・・」
「マジで?よろしく頼むわ」
「・・・で、ナット、ちょっとあんたに話があるんだけど・・・」
急にカトリーヌが真剣な表情になってナットに言った。突然の言葉にナットは少し戸惑い気味に答えた。
「え・・・?なんだよ・・・?」
「いいから、ちょっとこっちに来て」
そう言ってカトリーヌはニーナの部屋を出て、自分の部屋にナットを半ば強引に連れだした。
「・・・で、なんだよ話って・・・」
部屋に入るなり、ナットがいぶかしげな表情をしながら言ってきた。
「いや、ね・・・アンタのズボンの右ポケットの中に、何か入ってるんじゃない?」
「・・・え?」
確かに、ナットは常にポケットの中に自作の悪戯発明品を入れていたりするが、それがどうかしたのだろうか。
「ちょっと出してみてよ」
「え・・・あぁ、別にいいけど・・・」
そう言ってナットが右ポケットに手を入れた時、その手に覚えのない感触があった。
「ん・・・?」
それを手にとってポケットから出してみると、それは紙切れのようなものだった。
「・・・何だコレ?俺はこんなん入れた覚えねぇぞ・・・」
なんとなくカトリーヌがナットを呼び出した理由が見えてきた。カトリーヌがナット達の行動を見ていたとすると、ナットが気付かない間にこの紙がポケットの中に入ったところをカトリーヌが見ていたのかもしれない。
「・・・なぁ、これはいったい・・・」
すると、カトリーヌはナットが持っていた紙を素早くぶんどるようにして手に取った。
「はい、ありがと。これは私が預かっとくわ」
「え?」
「もう行っていいわよ」
「なんだよそれ・・・俺にだってそれが何なのかぐらい教えてくれたっていいじゃねぇかよ」
「アンタにはどうでもいいものなのよ。さ、分かったらさっさと行きなさい」
「いや、何も分からないんだが・・・」
「ほら、とにかくもういったいった」
最終的に、ナットは追い払われるようにしてしぶしぶカトリーヌの部屋を後にした。
結局、納得がいかないままナットは再びニーナの寮部屋に戻っていた。ニーナ達も予想に反して、といった表情でナットを見た。
「あら、早かったのね。で、何だったの?」
「いや、それがよく分からねぇんだ。いつの間にか俺のポケットに紙切れが入ってて、それをカトリーヌにぶんどられて追い払われた」
「ふ~ん」
「それって、僕らがニーナの発明品を取りに行った時に入ってたってこと?」
シドがそう訊いてきたので、ナットが答えた。
「ああ、多分な・・・アイツ、いつになく真面目な顔したと思ったらこれだからなぁ」
「カトリーヌって、時々何考えてるか分かんないよね・・・僕らにも知られたくないようなことでもあるのかな?」
シドの言葉に今度はニーナが応えた。
「まぁそりゃあるでしょうね~。ましてやカトリーヌは色んなヤバい情報も持ってるんだから・・・」
そう、彼女は情報屋を目指して日夜世界のあらゆる裏情報を集めているのである。簡単に口にしてはならない情報は、彼女なら人一倍持っていることだろう。
「それじゃ、今回の紙もそんな情報だってのか・・・?」
ナットには、あんな一見何の変哲もない紙切れに、それほどの重要性があるようには見えなかった。
「さぁねぇ」
「まぁ、一応カトリーヌにもプライベートってものがあるんじゃないのかな・・・とりあえずそっとしとこうよ」
シドのこの言葉で、ニーナ達の会話はいったん途切れた。
一方、カトリーヌは部屋の窓際で紙切れを持って佇んでいた。手にはライターを持っている。そして、そのライターで紙切れをあぶり始めた。
「ふふ・・・火であぶるなんて、えらく古典的な仕掛けね」
実は、ナット達はニーナの発明品を取りに行く途中、ある人物と出会っていた。その人物は、ナット達が彼のもとを去ろうとしていた時に、こっそりナットにこの紙をポケットに入れていたのである。
しばらくすると、徐々に紙切れからぼんやりと文字のようなものが浮かび上がってきた。
「お、きたきた」
――――――――――――――――――――――――――――――――
カトリーヌへ
最近元気にやってるか?…なんて聞くまでもないな
どうやら学校生活、楽しんでるようで何よりだ
さて、お前がこの学校を出た時、何をするのかはお前次第だ
だが、残念だがお前と一緒にいてやることだけは出来そうにない
お前ならそんなことは分かっているだろうが、
何か一言くらいは伝えておきたいと思ってな
…こんな親ですまない
リドルより
――――――――――――――――――――――――――――――――
「・・・な~に言ってんだか」
ふいに窓の景色を眺めた時、カトリーヌの部屋にも雲の隙間から漏れてきた光の筋が差し込んできた。彼女は一瞬手で視界を隠したが、すぐに手を下げて外の景色を眺めた。
「・・・私はまだ諦めてないからね。いつか私も一人前の情報屋になって・・・父さんの尻尾を掴んでやるんだから・・・」
そう、ナットたちが出会っていた人物とは、彼女の父であるリドルという人物だった。彼は世界を股にかけ、裏社会の情報を知り尽くしたトップクラスの情報屋なのである。それ故に、彼は実にさまざまな種類の人間から追い求められており、常に行方をくらませているのだ。
彼女もまたそのうちの1人なのだろう。それも、この世界の誰よりも彼を追い求めているに違いない。彼女とリドルによる情報を介した戦いは、これからますます激しくなっていくことであろう。
終わり
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