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第3話
2016/08/29(月)21:09:27(8年前) 更新
本編
午前7時、所変わってめざめビーチ。
「お兄ちゃん!!!!!!」
容赦なくクラッシュを叩き起こすのはココ。
ご存知クラッシュの妹である。
「むにゃむにゃ…なんだよ痛いなぁ〜。」
頭をさすりながらのそのそと起きるクラッシュ。
「なんだじゃないでしょ!隠したって無駄よ、お兄ちゃんまーた溝落とし使ったでしょ!アレボディに傷がつくからやめなさいって言ってるじゃない!!」
「まぁまぁココ、大した傷じゃないし俺がすぐ直すからそんな怒るなよ。」
というのはクランチ。
自動車を弄ることを趣味にしている。
「それにしてもクラッシュ、なんで溝落としなんてやったんだ?ミスって落ちるなんてお前がするわけないし。」
「あー、なんか帰りに峠走ってる車がいてさ〜。最初はもし邪魔だったら抜いてこうってくらいだったんだけど、思ったより速かったからついついヒートアップしちゃって。」
「そうか、お前は他の走り屋がいる時間に峠行ったことないもんな。どんな車だった?」
「えーっと、黄色くて赤で雷みたいなのが描いてあったかな」
「えっ!それってもしかして峠の稲妻のMR-2じゃない!?」
食いついてきたのはココ。
「峠の稲妻…確かクモクモ峠のトップランカーがそう呼ばれてるんだったな」
「へぇ〜。有名な人だったのか〜。」
「私達の世界じゃそこそこに名の知れた人物よ…お兄ちゃんいつまでたってもリンゴのためにしか車使わないからそういうこと知らないのよ。」
「え〜だって走り屋って事故ったら死んじゃうんでしょ〜?怖いし面倒だし〜。」
「お前の走りの方がよっぽど怖いから大して変わんないと思うけどな。」
呆れるクランチ。
「そうよ。せっかく速いんだからもっと他の峠行ったりして楽しんだっていいじゃない。」
「え〜面倒くさいよ〜。」
「まぁまぁ、そう言わず一度くらい俺らと一緒に行ってみようぜ?」
「わかったわかった、行くよ〜」
乗り気ではないが、しぶしぶ今日の夜、ココ達と共に峠に行くようだ…
そして午前1時。今日も賑わいを見せるタスマニア峠頂上。
そこへS2000とFD-3Sがやってきた。
「よー、みんなやってるな。」
「こんばんわー。」
S2000とFDから降りたクランチとココが走り屋の一人に声をかける。
「あっ、どうもクランチさん、ココちゃん。今日はなんだかいつもより多いんですよね。」
そこへもう一人の走り屋が近づいてきた。
「あら?あんたら知らんの?昨日見慣れないワンエイティが峠の稲妻をブチ抜いたんだ。それで噂を聞きつけて一目見ようとならず者達が集まってるんさ。」
クランチとココはそれを聞いてニヤリと笑う。
「見慣れないワンエイティねぇ…それはもしかしてアレのことじゃないか?」
言われて振り返ると、ゆっくりと登ってくるのはリトラクタブルの光。
ギャラリーがそれを見て湧く。
「き、来た!間違いない、あの車だ!」
「峠の稲妻を叩きのめした謎のワンエイティ!」
ゆっくりと止まるワンエイティ。出てきたのは…
「おいっす〜。」
「「「ク、クラッシュ!?!?」」」
誰もが予想しない意外な人物であった。
「どういうことだ!?昨日乗ってたのはクラッシュだったのか!?」
「あんなリンゴばかり食べてるような奴があの走りを!?」
「きっとクランチに車貸してただけだ!」
散々言うギャラリーにクラッシュはほおを膨らます。
「ひどい言い草だ…」
「アハハ、でも普段のお兄ちゃんじゃそう思われてても仕方ないよ。」
「違いないな。クラッシュ、奴らに一泡吹かせてやったらどうだ。」
「そうだなぁ。他の車いるとやりづらいんだけど、あんだけ言われて黙ってるのもな〜。」
そうしているクラッシュ達に近づいてきたのは、見た目からチャラついたイヤミな男だ。
「おうクラッシュさんとやらよ。昨日乗ってたのが本当にお前なら、今からこの俺を負かしてみろや。」
「出た出た、口だけ男。クラッシュ、軽く遊んでやれ。」
「うるせぇんだよクランチ!お前には負けたが、こんなヒョロッちいやつに負けるいわれはねぇ!」
「相変わらず威勢だけは充分ねぇ。折角だしハンデでもつけてあげたら?」
「ハンデ?」
クラッシュがそう言うと、ココはニヤリと笑って周りに聞こえる声で、
「お兄ちゃんはこのバトル、4速までしか使いません!さらに、発進は相手の10秒後でいいそうです!」
言い放った。
「おい!!何勝手に決めてんだココ!おいらバトルにすら全然慣れてないのに!」
「大丈夫大丈夫、あの程度お兄ちゃんならそれでも4連ヘアピンまでにブチ抜けるわよ。」
クランチも横で頷いている。
「だな。お前の相手になるような男じゃねぇ」
「揃いも揃って舐めやがって…ぶっ潰してやる!さっさと車並べやがれ!」
そう言いながら自分のS15シルビアを取りに行くチャラ男。
「あ〜怒っちゃった〜。おいらのせいじゃないからな〜。」
そう言いながらクラッシュもスタート位置に並べる。
カウントをとるのはクランチ。
「じゃあお前は好きなように始めろ。クラッシュはその10秒後に発進する。」
「調子に乗りやがって…!後悔すんじゃねぇぞ!」
毒づきながら発進していくS15。一つ目のコーナーに消えるころ…
「3、2、1、よし、行って来い!」
キュキュキュキュッ!ガガッ!
ジャスト10秒、180SXも発進!
4速縛りのクラッシュ、追いつけるか!?
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