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第１3話 凶顎
2012/04/07（土）21：24：18（12年前） 更新
～動物一武闘会編～
闘技場
観客「イェーイ！」
実況「お待たせしましたッ！Ｃブロック試合！
東の方角！…かかった相手は再起不能！
狂気のピットファイター！…
ジャック・オセロットォォォォォォ！！
ジ「……」
実況「対するは…ボクシング界のラフファイター！…
ニーナ・クウォール！」
ニ「アンタみたいなデカブツに負けるわけないじゃないか！」
審判「両者一度離れてください。」
ニ「……」
ジ「……」
審判「…始めっ！」
ニ「10秒で叩き潰してやるよ！ウドの大木！」
ジ「……フッ……」
実況「あぁーっと！ニーナのジャブをしながらの突撃を
ジャックは指先ひとつで止めたああああ！
これはまるで向かってくる子供を止める
大人の様です！」
ニ「だったら…これならどうだ！」
＞バシュバシュバシュバシュバシュバシュ…
実況「あーっと！これは凄まじいジャブの嵐だ！」
＞バシュバシュバシュ…ズシャッ！
ジ「……」
ニ「…え！？…」
実況「あーっと！？ジャックを殴っていたニーナから謎の出血！一体何が起きたんだ！？」
ニ「…くぅぅぅ…ボクシングの試合じゃこんなことは起きねえのに…一体なんだってンだよ…（痛ってぇ…」
ジ「……！！」
ニ「あぶねえっ！？」
ジャックのアッパーギリギリで回避するニーナ。
観客席
？「こんな試合望んでないよ…」
コ「そうね…ザジ…なにかあるわね…」
ココと話しているのはザジという名の少女のようだ。
闘技場
ジ「ぬぁぁぁぁぁぁぁッッ！」
ニ「いい加減倒れろよこの野郎ォッ！」
＞バゴッ！
実況「あーっと！ニーナの右フックがジャックの顔に
直撃ィィィィィィィッ！ジャックたまらず
ダウゥゥゥゥゥゥゥゥゥン！」
ジ「……」
無言で倒れるジャック。
実況「ジャックが立ちません！果たしてこのままニーナの勝ちになってしまうのでしょうか！？」
ニ「ヒャッハー！アタシの勝ち…！？」
＞ザシャッ！
ジ「……」
実況「あぁぁぁぁぁっと！またもやニーナから謎の出血！今度は足からだーっ！」
ニ「くぅぅっ！またじゃねえか！一体何なんだよ（痛ってぇ…」
？「ちょっと待ったああああああああ！審判！
ジャックのボディチェックを！」
そう叫ぶのは主催者で日系オーストラリア人の
アレックス・ニシザワである。
審判「ハッ！」
リングの砂場の周りを囲っている木の柵を飛び越えて入る審判。
ジ「調べてくれ…何も見つからないと思うがな…」
審判「口の中…異常なし…ズボン…異常なし…（おかしいな…）」
ジ「虫歯はなかっただろ？」
ア「…そうか…では続行だ！」
ニ「続行とくればこっちのもんだよ！オラオラオラオラオラオラオラオラ…」
ジ「……」
ワン・ツーを放つニーナだがジャックは防御の姿勢を一切取っていない。
ニ「だったらこれで！」
＞ヒュッ！バシュ！
実況「あーっと！ボクシングでは反則とされるラピッドパンチを使用したああああ！」
ジ「…！！」
＞ガシッ
ニ「…え？…」
ジ「…（ニヤリ…）」
確かにラピッドパンチは当たったのだがジャックは微動だにせず、逆にニーナの手を掴み…
実況「おっと！？ジャック！ニーナの腕をつかんだ！一体何をするのか！？」
ジ「（ジュルリ…）はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ！」
＞グジャリッ！
ニ「うぁ…あぁ…あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛！！！」
～観客席～
パ「やめろ！例え反則ファイターでも腕や脚はボクサーの命だぞ！もういいんじゃねぇのか！？おい！！！」
観客「キャァァァァァァァァァァァァ！」
ジェ「うっ…見ていられない…」
ハナ「ほう…噛みつきか…」
コ「キャッ！」
観客席の者の反応は様々だ。冷静に見ている者もいれば
目を押さえるものまで…
～闘技場～
実況「な、なぁぁぁんと！？噛みつきィィィィィィィィッ！」
ジ「んがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ！」
ニ「あ゛ぁ…あ゛ぁ…！！離せ！離せ！」
必死にパンチを顔面に放ち、脱出しようとするニーナだが全く離す様子はなく、それどころか…
ジ「んんんんんんんんッ！」
＞ゴリゴリゴリ…グギギッ！
ニ「ァァァァァァァァァァァァァァァァァ！！」
実況「惨い！惨すぎる！これを技と言っていいのでしょうかッ！？」
ボクサーにとって破滅の音が響き渡る…腕の骨が粉砕されたのだ…ニーナもまるで金切声のような尋常じゃない悲鳴を上げる。
ジ「んんんん…ガァッ！」
ニ「ァァァァァァァァ…」
ジャックに顎の力で投げ飛ばされるニーナ。
ニ「…負けて…らんねえ…」
ジ「……」
口元に血がベッタリついた状態で近づいてくるジャック。まるで殺人マシーンである。
ニ「こうなったらアレだ…てりゃあああああああ！！」
＞ブォッ！バキャァァッ！
フラつきながらもニーナは力を振り絞り技を繰り出す。そう！頭突きである！が、ジャックは右アッパーで迎え撃つ。
ニ「……」
ジ「……」
実況「両者の動きが止まったぁぁぁぁぁっ！果たして砕けたのはジャックの拳か！？それともニーナの頭かッ！？」
＞…プシャァァァァァァァァァァ…
ニ「うぁ…ぁ…ぁ…ぁ！！」
割れたのはニーナの頭の方だったようだ…
ジ「…んぉああああああああああああああああああッッ！」
頭を抱え、前のめりになるニーナ。そこへジャックは容赦なくさらなる追撃の左アッパーを繰り出す。
>バギャ！バギャ！バギャ！
ニ「ァァァァアァァ………」
観客席
観客「キャアアアアアアアアアアアア！」
パンチ「…チッ！…」
ハナダ「ほぉ…すごいな…」
そのアッパーの威力は凄まじく、ニーナの血が観客席まで飛び散ったのだ…
闘技場
＞ドシャッ！
まるで何もかもを砕かれ、屍のような目をして宙を舞うニーナ。暫く舞った後、リングの床に叩きつけられる。
審判「しょ、勝負ありィィィィィィィィィィィッ！」
ジ「……きたねェもんが口の中に入っちまったぜ…返してやるよ…」
審判「決着がついた後の相手への攻撃は禁止…」
ジ「プーッ！」
＞ピシャピシャ…
噛みついた時に入った血をニーナに吹きかけるジャック。
観客席
パ「テメエ！アイツは確かに反則野郎だ…だがいくらなんでもやりすぎじゃねえか！」
ク「…許せない…」
ジェ「僕も許せないよ！パンチさんの言うとおり彼女は反則野郎だけど…同族として…これは同情しかねない…」
？「ジェシー君！うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ！」
ジェ「ジュリア…」
あまりに惨たらしい光景に思わず泣き出してしまうクウォールの少女。ジュリアという名のようだ。
ク「…アイツを優勝させるわけにはいかない…絶対に…絶対に…勝つ！！」
続く
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