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とある温泉の光速競走(ハイスピードバトル)
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7月20日 始まりの日(スターティング・グリッド)
2012/05/06(日)23:20:41(12年前) 更新
ここからやっと本編です
神上「っしゃー!一学期終了のお知らせじゃぁーバカヤロー!」
俺の名前は神上熱海(しんじょう あつみ)。熱河市に住む高校3年生だ。
今日から夏休みという、高校生にとって最も大切な青春の時期。
そして、私神上君にとっては人生で最も大切な時期となった。
OVER300km/hで駆け抜けた、40日間の記録――――
夏休みが始まり最初にたどり着いたのは、町の中にあるいつもの食堂。
とりあえず腹ごしらえから俺の夏休みは始まった。
神上「飯食ったらさ、どこ行くヨ。」
俺はいつも遊んでる仲間達と飯を食っていた。
飯を食い終わったら、ゲーセンに行ったり、誰か女子を誘って遊園地にでも行こうかと思った。
織田「わりぃ、俺今日の午後から塾なんだ。」
福田「俺バイト入ってんだ。」
坂本「今日はデート入ってんだ。悪いな。」
神上「んだよ~、みんなして都合つかねぇのか。」
この俺、神上君は今日はバイトも休みだし、宿題なんて夏休みの初日からやるつもりは無い。
本日の予定は無く、死ぬほど暇だと思われた。
藤巻「死ぬほど暇な神上に朗報だ。今日はテレビで何かイベントやるらしいぞ。それでも見とけ。」
神上「イベント?」
藤巻が箸でテレビを指し、俺達は店の隅にぶら下がっているテレビを見た。
画面には芸能情報が映っていたが、右上の字幕には『本日、世界同時生中継 あと6時間25分』と書いてあった。
織田「世界同時生中継?その時間俺塾だわ。」
福田「俺はコンビニのレジで客捌いてる頃かな。」
神上「ふーん、ま、正直あんまり興味ないからどーでも良いんだけどサ。」
その後も、俺達は他愛の無い会話を続けた。
飯を食い終わり、俺達は解散してそれぞれの一日を送る。
俺は町をぶらぶらしながら何をするか考えた結果、一人だけどゲーセンに行くことにした。
格ゲーやガンアクションのゲームなどを一時間ほどした頃だろうか。
次は何のゲームをしようかと考えていたとき、レースゲームのコーナーに俺が今一番狙っている女が居た。
神上「あ、また会いましたね。」
大川「ん?あ、道案内君だ。」
大川桜(19)。この人は東京から来た人で、熱河の辺りにある大学に通うために、今年からこの辺りに住み始めた人だ。
4月頃だったか、俺は早くもこの人の美しさに気付き、道に迷っているところを『狙って』助けてあげた。
それ以降、俺は会うたびに『道案内君』と呼ばれている。
神上「俺、今日は一日暇なんですよ。良かったら、どっか一緒に行きませんか?」
大川「ごめんね。今日は午後から大学なんだ。今は暇つぶし。」
神上「そーなんですか・・・じゃァ俺、どうしよっかナ。」
大川「今日、午後6時から世界同時生中継があるらしいよ。それ見れば?」
神上「あー、知ってます。でもそれ、どーせ歌謡祭みたいな感じだと思いますよ。」
俺はその生中継に興味は一切示さなかった。あまり期待してないし。
大川「うーん、もうそろそろ行かなきゃ。じゃぁね。」
神上「あ、さよならー。」
今日は本当に暇になりそうだ。
仕方が無いので、家に帰ることにした。もちろん、宿題はやらない。
三年は宿題が少ないし、ある程度ほったらかしにしといても大丈夫だろう。
神上「今週のジャンプ買ってなかったな。買うか。」
俺は暇つぶしアイテムを一つ購入し、家に帰った。
ジャンプを読み、ゲームをして、ちょっとエロ本読んで・・・
神上「よし、オキサイドの二度目の対決もクリアしたし、レーシングは大体クリアしたかな。」
※ゲームの世界の話です。
気付けば夕方5時。宿題には手をつけていない。
ここまで来て俺はあることに気付いた。
神上「俺って、このままだとダメ人間となる気がする。仕方ない。今日は夜の街に繰り出すか。」
ここで、「君、親は居ないのか」という質問が来るだろうが、心配無用。
俺の両親は離婚して、二人は別々の人と結婚し、新たな家庭を築いている。
俺はお二人さんの新たな人生に水を指したくなかったから、一人暮らしをすることに決めた。
お金は、元両親からある程度出るので、大丈夫だ。
だから、夜の街に繰り出そうが、真昼間からエロ本読もうが関係ないのだ。
神上「そーいや、そろそろ風呂は居る時間かな。温泉行くか。」
俺はこの温泉街唯一の混浴、『高砂の湯』に向かった。
風呂に入るのと同時に、女が来るかもしれないという期待ができる。
俺は入り口でお金を払い、温泉につかった。
神上「ふぅーっ、さてと、女の子は来るかな~。」
夕日が沈んでとても美しい。
ここ『高砂の湯』は海辺に位置する露天風呂なので、とても眺めがいい。
観光客の人気スポットの一つだ。
神上「はぁ~、こんな夕日みたいにきれいな人が来れば良いのにな~。」
狙ってる人が一人居るにも拘らずこんな発言をするのは、腐ってると思うだろうか?
否、男性としてはとても健全だと俺は思う!
45分ほど高砂の湯にいたが、女性どころか野良犬一匹入ってくる様子が無いので、そろそろ上がろうと思っていた時、突然誰かが入ってきた。
女かと思ったが、残念ながら男性二人組みだった。
神上「なんだ、男か~↓↓」
茶髪に赤い目をした人と黒髪に黒い目をした人だ。
どちらも長身なので、外国人の観光客だろう。
なにやら話し合っている。だが、その内容は波の音やカモメの鳴き声、時折通る車の音でかき消されよく聞こえなかった。
だけど、なんだかこちらを見て話している気がする。
一旦上がって体を洗い、再び入るときに俺は二人組みの近くに入った。
今度は会話が少し聞こえるようになった。
茶髪の男「後10分ほどで始まるな。」
黒髪の男「ああ、この計画が成功したら、俺達が世界を統治できる。」
茶髪の男「俺は面白い研究ができればそれで良いんだがな。」
神上(何かよくワカラン話だな~。後10分って、もしかして全世界生中継のことか?)
その後も、なんだか現実味の無い話が二人の間で飛び交っていた。
夕日は海に半分ほど隠れ、少しずつ星空が天を支配してきた。
オレンジレンジの『落陽』が頭の中に流れてきた。
海沿いの町だから何度も同じような景色を見てきたが、この時は何故か死ぬほど綺麗に思えた。
学校もバイトも、俺を追い立てるものが無い日で、心が波一つ無い湖面のように静かだったからだろう。
茶髪の男「さてと、もう上がるぞ。」
黒髪の男「早くねーか?」
茶髪の男「そろそろ戻るんだ。俺達は今日のメインキャストだからな。」
黒髪の男「チッ、もう少しゆっくりさせろよな。」
茶髪の男「お前が訓練でモタモタしなければ、後20分は入れたんだがな。」
黒髪の男「うっせー。とにかく帰るんなら帰るぞ!」
二人の男達は風呂から上がり帰って行った。
時刻は午後6時になっていた。
神上「あ、世界同時生中継って奴が始まったのか。どうりで女の人が来ないはずだ。」
恐らく全世界がその生中継を見ている中、この俺神上だけは夕焼けを見ていた。
今思い返すと、これがまさに「嵐の前の静けさ」って奴だと思う。
波の音とカモメの鳴き声以外が聞こえないこの景色を10分少々見ていた頃だろうか。
突然、受付のおっちゃんが血相を変えて飛び出してきた。
右足が悪いのに良く飛び出してこれたものだ(そこか?
おっちゃん「・・・間違いない!お前、大変なことになってるぞ!!」
神上「・・・は???」
突然、混浴から強制退場させられた。
俺の高校生活最後の青春が砕け散った瞬間でもあった。
受付に置いてあるテレビには、なんと俺の写真が映っていた。
神上「おっちゃん、これ・・・どういう事・・・?」
おっちゃん「お前は全世界を代表してレースをするんだ。」
意☆味☆不☆明
当時の俺の脳みそはこの四字熟語が支配していた。
おっちゃんの話によれば、『コルテックス』という人が世界征服をすると言って、全世界に宣戦布告したそうな。
コルテックスの組織に勝てたら、世界征服は見逃すらしい。対決の方式は『カーレース』だ。
で、どうやら代表となる選手を選ぶと言ってきたそうな。
世界地図が現れて、ダーツの矢を刺し、刺さった座標の住所に住んでいる人が全世界代表となる。
で、私神上さんは総勢70億人の中から見事に選ばれた、栄えある代表者なのだ。
神上「えっ・・・?そんな馬鹿なww『コルテックス』ってゲームの中の人じゃんww」
おっちゃん「俺もにわかに信じがたいが、どうも本当らしい。発信元を特定した米軍がミサイル攻撃を行ったら、迎撃されて失敗したらしい。」
神上「ま、マジで?」
おっちゃん「ダーツで矢が刺さっただけで正確に住所や顔が割り出せるのも、普通じゃできない。恐らく連中は本気だろう。」
神上「そんな・・・ぜんぜん信じられない・・・」
おっちゃん「俺もまだ完全に信じられんが、軍隊が動き出している所を見ると、本当らしい。そういえば、お前、免許は持ってるのか?」
神上「は、はい。マニュアルです。」
俺はバイト先の都合でマニュアルの車を運転することもあるので、教習所でいきなりマニュアルから始めたのだ。
おっちゃん「それなら都合がいい。ちょっと来てみろ。」
おっちゃんは松葉杖をつきながら、温泉の裏の大きな倉庫に俺を連れてった。
車が3台入っているガレージだ。白い車が2台と、カバーをかけられている車が1台。
おっちゃん「若造、こういうクルマ、知らないだろ。」
神上「はい・・・」
バイトで使ってるのは軽トラで、まだ普通の乗用車を運転したことは無かった。
そしてここにある、恐らく『暴走族』みたいのが乗りそうな感じの車は見たことも無かった。
普通の乗用車よりも背が低く、ド派手なウイングが付いている。
おっちゃん「そっちの白い2台はお客さんのクルマだ。」
神上「お、お客さん?」
おっちゃん「ああ、俺は改造車の店もやっててナ、俺らの業界では【チューニングショップ】と言うんだが・・・俺のクルマはこれだ。」
神上「・・・・・・(改造車の店・・・?俺のクルマ?)」
よく分からないけど、レースでつかえそうな車があることはなんとなく分かった。
おっちゃんはカバーを外した。現れたのは銀色の車。
おっちゃん「お前には、このクルマに乗って戦ってもらう。」
何がなんだか分からないけど、言うとおりにこのクルマに乗るしかなさそうだ。
銀色のクルマの運転席のドアを開けた。内装は、一目見ただけで普通ではないというのが素人の俺でも分かった。
へんてこな形をしたシート、やたらと多いメーター、車内一面に張り巡らされている鉄パイプ・・・
そして、最も驚いたのはスピードメーター。一番大きい数字はなんと320km/hだ!
おっちゃん「夜10時になったら、熱河峠で運転してみろ。」
神上「あのさ・・・おっちゃんて、何者・・・?」
おっちゃん「俺は・・・温泉の受付の人さ。」
神上「いや、そうじゃなくてさ・・・」
ちょっとズッコケそうになった。
だけど俺は、車の話をする時のおっちゃんは、いつもと別人に思えた。
おっちゃん「その車で少し街中をドライブしてみろ。少しでも慣れておくことが重要だ。」
神上「は、はい・・・」
言われるままに俺は銀色の車で街に出た。
分かってはいたことだが、バイトで使っている軽トラとは全然違った。
車はガタガタと揺れ、ハンドルは岩のように重く、動かしづらい。
ほんの20分ほど乗ってみたが、こんなものは到底乗りこなせそうに無かった。
とりあえずおっちゃんのガレージに戻った。
そこに居たのは、俺にとって意外であり、幸運であり、でもやっぱり意外な人が居た。
大川「ん、君は・・・」
神上「えっ・・・えぇぇぇーーー!!!」
おっちゃん「ン?知り合いなのか?」
神上「大川さんて、暴走族だったんですか!?」
大川「暴走族じゃなくて【走り屋】って言ってよ。」
俺の愛しの人はこういう趣味があったのか。今日は驚きの連続だ。
夜7時になり、俺と愛しの人は町のレストランへ行った。
おっちゃんは何か作業を続けてた。飯は自分で食うってさ。
だが、町に繰り出した途端、地元の新聞記者やテレビ局が俺の周りを囲んだ。
やっぱり来たかとは思ったが、何も考えずに外に出たのは今思うと馬鹿したと思った。
記者「あの、世界代表のレーサーに選ばれたそうですが・・・」
記者「選ばれて、現在のお気持ちは・・・」
記者「今後、どのようになさるおつもりですか?」
うっとおしい!!こっちは二人の時間を過ごそうというのに!!
芸能人の気持ちが分かった瞬間だった。
適当に答えて振り切った。町のはずれの料亭に逃げ込み、俺と彼女の二人だけの時間をすごそうとしていた。
メニューを頼むと、やはり店員は俺の顔をやたらと見ていた。
速攻で飯を食い終わり、速攻でガレージに戻った。
おっちゃん「戻ったか。長かったな。そろそろ10時だから、熱河峠へ行くぞ。」
俺は慣れない車に戸惑いながら、熱河峠へ向かった。
愛しの大川さんも一緒に来てくれる事になって、少し心強い。
おっちゃんは俺のクルマの助手席だ。
温泉街の道を駅を越えてさらに進めば、そこは熱河峠。
おっちゃん「どうした。飛ばさないのか?」
無茶言うなよ。免許とって早何日という俺がレースなんて。
しかも、一般車の通る道だぞ!
おっちゃん「行け行け!少年!」
神上「おっちゃん、無茶言うなよ・・・」
今俺が上っているのは【熱河峠】の【温泉街道道路】というところだ。
熱河峠は熱河の地区を一周するつくりになっていて、今上っている【温泉街道道路】と下りの【熱河裏街道】がつながって【熱河峠】と呼ばれている。
何周か走って休憩しようという感じになった。
1時間半後、頂上にたどり着いた俺。もちろん、安全運転で周回して来た。
広場に車を止め、缶コーヒーブレイクだ。
おっちゃん「全く、遅すぎて眠くなりそうだったぜ。」
神上「んな事言ったって・・・」
大川「君はこういう道路を速く走ることは初めてなんでしょ?しょうがないよ。」
その通り。全く持ってその通りだ。
大体、そういった走りはサーキットでやるべきだ。
日本人のモラルがどうとか言われるのはこの為だと思った。
大川「それにしても、ここからだと星がホントに綺麗だな~。」
神上「そうですね。でも俺、この夜空は見慣れてしまいましたけど。」
大川「東京じゃこんなに綺麗には見えないよ。」
おっちゃん「そうだな。世界征服だかなんだか知らないが、こういう景色がぶち壊しになるような事は、俺は絶対許さない。」
俺はおっちゃんを見て変な気持ちになった。
さっきまでただの元暴走族かと思っていたけど、こういう一面もあるんだな。
缶コーヒーを飲み干し、その辺のゴミ箱に捨てたとき、ここにもう一台の車がやってきた。
ものすごい轟音と共にやってきた車。そこから出てきたのは・・・
タイニー「ガァーーー!!タイニー登場!!」
ディンゴ「ここに居やがったか。本来ならここで火炎放射器をぶっ放したいところだが、仕方ねぇ。俺っち達とバトルしてもらうぜ!!」
神上「すげっ、本物だ!!」
本物の芸能人に会ったかのように興奮する俺。
だが、こいつらは芸能人ではなく俺が戦うべき敵だと思い出すのに20秒ほどかかった。
おっちゃん「お前ら、コルテックスとかいう奴の仲間か?」
ディンゴ「そりゃそうさ。俺っち達はここで神上を倒すために来た。」
神上「マジかよ・・・俺絶対無理だぜ・・・。」
大川「私が行く。」
神上「えっ・・・」
おっちゃん「ここは仕方ないな。お譲ちゃん。勝って来い。」
いったい俺の驚きはいつ終わるのか。
愛しの人が自ら戦いの場に出て、おっちゃんは止めずにむしろ送り出しているし。
そして何よりも驚いたのは、本来なら守りべき愛しの人が戦おうとしているのに、俺は何もできない。
18年間これといった特技も持たずに生きてきた高校生の無力さを知った。
おっちゃん「ちょうど良い。お前、あのお譲ちゃんの隣に乗ってみろ。」
神上「隣・・・?」
おっちゃん「助手席に乗って、走り屋のバトルってモノを見てみろ!」
俺はとりあえず、大川さんの白い車の助手席に乗った。
シートベルトは3点式ではなく、4点式で少し戸惑ったが、愛しの人に手取り足取り教えてもらって、一瞬だけ幸せだった。
大川「窓の上にあるつり革とかにしっかりつかまってね。結構飛ばすから。」
神上「は、はい・・・(何この展開)」
2台が並んだ。
変な緊張感が俺の心を支配する。
お互いのドライバー同士がコースを決める。
大川「熱河峠を1周してここ頂上に先に戻った方の勝ちで良いですか?」
タイニー「ガァ!!タイニーどんなコースでも負けない!!」
大川「決まりですね。では、私が3回ハザードランプを点灯させたらスタートで。」
いつもの大川さんとは違う雰囲気だ。
受付のおっちゃんと言い、愛しの人と言い、車一つでそんなに本気になれる物なのか?
大川さんはエンジンをフカし、ハザードランプを点灯させた。
1回・・・2回・・・3回目ッ!!
強烈なスタートダッシュの衝撃――――
非日常の速度域での戦いが火蓋を切った――――
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