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7月22日 part2 絶対に負けられない戦いがここにある
2012/10/08(月)01:00:12(12年前) 更新
ここからやっと本編です
ここは、まぁアレだ。『死後の世界』って奴だ。
最近下界の方がずいぶん騒がしいから、一度見に行ってみたいんだが、俺は最近は忙しくてそんな暇は無いんだ。
なんてったって、俺は『神様』だからな。
と言っても、ついこの間先代が引退して俺が継ぐことになったのだが。
で、今日は大事な対談があるんだ。なんでも、精霊さんだから、頑張って丁寧に接しないとな。
神様「ふーっ、普段私服で会議やってたからな。あれ、ネクタイってどうやって締めるんだっけ?」
この俺、ニ酒大は、鏡の前でネクタイと格闘している。
時代はクールビズだというのに、こういった大事な場面ではとりあえずきちっとしておかないといけないのは下界と一緒だ。
高崎「かーみーさーまー、か☆み☆さ☆ま!早くしてください!先方さん来ちゃいましたよ!」
大「うるさい!あと、その気色悪い呼び方をやめろ!あーっ!こ!の!糞!ネ!ク!タ!イ!め!」
俺はキレた。神様であるにもかかわらずキレた。
で、俺がキレると、それに反応してかネクタイが真っ二つに切れた。
大「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!」
絶体絶命。神という立場から、格好だけでもしっかりしなければならないのだ。
ちぎれたネクタイで出るわけにも行くまい。
一体どうしたものか・・・
大「決めた!俺はクールビズを貫き通す!」
高崎「・・・一応言っておきますけど、自己責任ですからね。」
俺はネクタイをかなぐり捨て、応接室に向かった。
――――神の応接室――――
高崎「すみません、遅くなりました。」
アクアク「おお、構わんぞよ。」
大「お待たせしました、第3776代目神様、ニ酒大です。」
アクアク「おお、お主が神か。ちと頼みごとがあってのう。」
ニ酒大はソファに腰掛け、アクアクの話に耳を傾けた。
アクアク「今、下界で世界の運命を賭けた、大きな戦いが始まったのは知っておるかのう?」
大「ええ、存じています。」
アクアク「その戦いは、どうやら悪の精霊、ウカウカが関わっている可能性があるようじゃ。」
大「そうですか。しかし、ウカウカが世界征服のために行動を起こすことなど、今まで何度もあった事ではないですか。」
アクアク「じゃが、今回は抜かりない準備を行ってきているようなのじゃ。もし、ウカウカの率いる勢力が勝ち、下界の世界が悪で染まってしまったら・・・だから、お主らの力を借りたいのじゃ。」
大「・・・本当に悪に染まると思いますか?」
アクアク「どういう事じゃ?」
ニ酒大はソファから立ち上がり、大きな本棚から一冊の本を取り出した。
大「この本は、代々受け継いできた未来を知るための書。言うなれば、『運命』が記されている本です。」
アクアク「何ッ!」
大「【運命の書(神の台本)】と、我々は呼んでいます。もちろん、神の座についたものしか中身を読むことは許されません。教えることも同様です。」
アクアク「そうか。」
大「しかし、私が今ここで読んで、リアクションし、そのリアクションを見ることは可能です。」
アクアク「そのリアクションで内容を想像することは出来るようじゃな。頼む、やってくれ。」
ニ酒大は運命の書(神の台本)を開き、リアクションを試みた。
大「えっ・・・マジで!うわーそう来るか~。」
アクアク(・・・何ともありがちなリアクションじゃな・・・)
在り来たりな二酒大の反応にアクアクはツッコミを入れようかと思ったが、彼があまりにも真剣にリアクションをしてくるので、何も言えずにいた。
数分ほどして、ニ酒大は運命の書(神の台本)を閉じた。
大「この運命の書を読む限り、非常に厳しい展開になるかもしれません。」
アクアク「何じゃと!ならば、今すぐウカウカの元に行き、世界征服を止めさせなければ・・・」
大「ダメです。お二人がいがみ合っても意味は無いと思われます。」
アクアク「ならば、どうすれば良いのじゃ!?」
大「・・・運命の書は特定の条件を満たせば、書き換えることが出来るのです。」
アクアク「その条件とは何じゃ?」
大「道を選ぶこと。つまり『選択』です。我々は【人々の選択(アドリブ)】と、呼んでいます。」
アクアク「彼らの選択(アドリブ)に賭けるしかないという事か。分かった。ワシはあ奴らに賭けてみる事にする。貴重な時間を割いてすまなかったな。」
大「いえいえ、お力になれたのなら幸いです。」
対談は終わった。
そう、彼らの選択がこの戦いを変えてゆく。
善と悪がいがみ合っていてもこの戦いでは何の意味も成さない。
そして、遅かれ早かれ、我々神の世界の者も動かざるを得なくなる。
――――富士スピードウェイ――――
実況「さぁ、第一コーナー、ここはグリッドの並びのまま入るか?いや、後方でとてつもなく遅いクルマが一台・・・」
とてつもなく遅いスタートを切ったクラッシュ(withクランチ)。
無理もない。無改造の普通のセダンで彼らは走っているのだ。
解説「ちょっとこれは、厳しいを通り越して不可能と言った方が良いかもしれません。」
ココ「これは、カラージャさんに交代した方が良さそうね。」
クラッシュ(withクランチ)を除く9台が、第一コーナーを抜けて次のコーナーに向かって加速していった。
左の少しだけキツいコーナーを、神上が先頭で入っていく。
DACB「・・・甘いぜ!」
DACBは神上のクルマの内側にねじ込み、順位を1位に上げた。
DACB「やっぱりテメェは初心者か。クルマは中々速そうだが、肝心の腕が伴ってなくちゃ宝の持ち腐れだぜ!」
神上「クソッ・・・!」
その直後に、神上は白いクルマにまた抜かされた。大川だ。
大川《神上君、あいつは私に任せて。》
如月《レースは初めてだろう。慣れるまでは勝負に出なくて良いから、落ち着いて運転しろ。》
神上「はい!」
――――富士スピードウェイ ピットエリア――――
パンチはコルテックス側に、クラッシュの代わりにカラージャを出しても良いかを聞きに行った。
そしてカラージャは、いつでもレースに出れるように準備をしていた。
パンチ「そこの親玉みたいなオッサン、一つ頼みがあるんだ。」
コルテックス「ムッ・・・一体なんだ?」
コルテックスは『オッサン』という言葉に若干イラっとしながらも、パンチの話を聞いた。
パンチ「この状態じゃあ、実質4対5みたいなものだろう。だから、ちょっと選手交代をしたいんだ。」
コルテックス「あぁ、構わんぞ。好きなように交代すると良い。」
パンチ「本当か!?ありがとよ!オッサン!」
パンチは駆け足でこの事を伝えに戻った。
――――コース上――――
9台は集団となっており、コースの後半へ突入していた。
順位は大きく変動し、先頭からDACB、大川、ジョー、平島、モー、フレイ、フォウヘン、神上、セリカとなっている。
実況「順位が大きく変動してはいますが、まだ事故はありません。」
解説「気持ち悪いほど、全車スムーズな流れですね。」
序盤というのは事故が起こりやすい。
タイヤというのは暖かい方が路面をしっかり掴んでくれる。
しかし、まだ走行距離が少ない序盤はタイヤの温度がまだ低いのだ。
なので、十分なグリップ力が得られずにコースアウトなどが多発する。
人間と同じように、クルマにも十分なウォーミングアップが必要なのだ。
また、レース序盤の、特に一周目は多くのクルマが固まって一つの集団をなしている。
その集団の中で、一台でも事故を起こせば周りのクルマも連鎖的にバランスを崩して事故を起こしたりする。
コルテックス「ここまで作戦通り進んでる。奴らに初戦黒星を突きつけるのだ!」
ココ「ここで勝って、私達の力を見せ付けてやりましょう!」
富士スピードウェイの後半は、きついコーナーが多くなっている。
スタートから10番目のコーナー、通称【ダンロップコーナー】で、神上は順位を9位に落とした。
セリカ「何だコイツ。やる気あんのか?」
如月《よし、まずはお前と同じクルマのやつについていってみろ。》
神上「了解!」
その少し前、フレイとフォウヘンが争っている。
平島はコモド兄弟に前後から挟み撃ちでプレッシャーをかけられ、大川は前のDACBに互角の戦いを見せていた。
DACB「成るほど、曲がりに特化したFDか。」
クリムゾン《まだ飛ばしすぎるなよ。》
DACB「んな事言われなくても分かってるぜ!」
平島「クッ、前後2台でプレッシャーを掛けて来る。確実に俺を落とそうとして来るか。」
ジョー「コイツがどこまで耐えられるか、見ものだぜ。」
フレイ「蝶は大人しくヒラヒラ飛んでやがれ!」
フォウヘン「鷹なら大空に吹っ飛んでいけば?クルマと一緒にね。」
まだ争いは火種程度で2周目に入ろうとしていた。
スタート地点の直線、【ホームストレート】に差し掛かり、先頭のDACBがいきなり勝負に出る。
DACB「いくぜ!最高速なら負ける気はしねぇぜ!」
大川「うわっ、速い!加速で負けてる!?」
DACBが実力のリミッターを解除し、本気の走りに出たのが分かった。
それに続き、平島達も本気になりだす。
平島「プレッシャーを与える暇も無いくらい、圧倒的にねじ伏せてやる!」
モー「後ろから煽ってやるんだな。」
ジョー「ss勝負だ!」
フォウヘン「ウォーミングアップ完了!レッツ・プレイアップ!」
フレイ「蝶と孔雀か。汚しがいがありそうだぜ!」
神上「よぉし、行くぞ!神上熱海!」
セリカ「さぁ、スクラップタイムの始まりだぜェ!」
如月「クラッシュ(withクランチ)が来るまであと30秒だ!」
カラージャ「準備OK!いつでも出れるわ!」
パンチ「クルマの方もOKだ!一気に逆転と行こうじゃねぇか!」
2周目突入――――ッ!
最初はフォウヘンとフレイとのバトルが激化した。
――――フォウヘン VS フレイ――――
1500メートルに及ぶ直線からのブレーキング勝負。
フォウヘンがブレーキを遅らせてフレイのR34の右に並ぶ。
右コーナーなので、フォウヘンが上手くイン側を突いた。
フレイ「何ッ!」
フォウヘン「ふふっ、私の華麗な走りを見なさい。」
フォウヘンは鮮やかなドリフトでフレイのR34を追い抜いた。
観客席から歓声が沸き起こる。
フレイ「ヘッ、それならこっちにも考えがあるぜ。」
フレイは一旦退いてフォウヘンのシルエイティの後ろをしばらく付いて行く事にした。
すると、次の左コーナーでセリカのXXに追い抜かれた。
セリカ「こんな勝負俺様が一瞬で決めてやる!」
フレイ「へ~、こいつは頼もしいのが来たな。」
セリカは前方のフォウヘンのシルエイティに狙いを定めた。
右に緩やかに曲がっていくコーナー。2台の距離が徐々に縮まる。
次のコーナーは左のヘアピンコーナーだ。
フォウヘン「あ、別の車が来たわね。またアピールするチャンスかしら?」
フォウヘンはここぞとばかりにドリフトをかます。
角度の大きいドリフトにより、道を塞がれたセリカは思わず舌打ちを鳴らす。
セリカ「チッ!そんなにドリフトしたけりゃドリフトコンテストに出やがれ!」
一旦は失速したセリカだが、直後の直線で再びフォウヘンに追いつく。
次のコーナーは右、左とヘアピンコーナーが連続する、難関区間だ。
フォウヘン「こういうコーナーは、あたしが自分で飛んだ方が速いかな?でも、ドリフトアピールには最高だけどね!」
セリカ「ドリフトで道塞がれんなら、ドリフトする前にブチ抜けば良いだけだ!」
セリカはフォウヘンよりも遅くブレーキをかけた。
セリカのXXが前に出て、一気に波に乗るかと思われたが・・・
セリカ「な、何だ?曲がらねぇ!!」
専門用語で言うと【アンダーステア】と言うやつを引き起こしてしまったのだ。
タイヤのグリップ力を全て減速に費やしているため、ハンドルを切っても思った通りに曲がらなくなってしまうのだ。
馬力の大きな車ならば、ある程度減速してから一気にアクセルを踏み込んで、強引にドリフトに持ち込む事でとりあえずは曲がることが出来るのだ。(と思う)
だが、冷静な判断に欠けるセリカにはそんな事をする余裕はなかった。
セリカ「クソがァァァァァ!!!」
そのままコースを外れ、芝生に置いてあるクッション材に突っ込んだ。
かなりのスピードで突っ込み、パーツがいくつか破損したが、再起は十分可能な程度の破損だ。
ドライバーのセリカも軽いケガだけで済んだようだ。
ただし、このレースは続行不可能だ。
フォウヘン「あ~ぁ、あんまり激しく攻め立てちゃったから壊れちゃったね。」
フレイ「うん、お前の宣言通り、一瞬で終わったな。」
セリカ & セリカXX クラッシュ――――
レースはそのまま続行し、3周目に突入した!
――――クラッシュ側 ピットエリア――――
クラッシュ「うわっ、事故っちゃったよ!」
如月「心配するな。あれはコルテックス側の車だ。」
クラッシュ「そっか、良かった~。」
クラッシュは安心して胸をなでおろす。
その隣でクランチは、レースの様子をモニターで真剣に見ていた。
クランチ「なぁ、車に詳しいあんた達なら、このレース、どう見る?」
クランチは如月とパンチに尋ねた。
二人はモニターやたくさんのパソコンを見て、冷静に分析した。
如月「このレース、大きく分けて3つの争いが勃発している。先頭から順に【DACB vs 大川】【コモド兄弟 vs 平島】【フレイ vs フォウヘン】神上はまだレースに慣れていないから遅れているな。その後ろから、カラージャが物凄い勢いで追い上げてきている。」
パンチ「だが、全体的に見てこのレース、押されているな。大川はまだ互角だが、平島は2対1で分が悪く、フォウヘンは少しドリフトを使いすぎか。」
二人はまず、フォウヘンに連絡し、ドリフト止めるように言った。
パンチ《フォウヘン、聞こえるか?ドリフト走行を止めてグリップ走行に入るんだ。》
フォウヘン《え~、何で?》
如月《ドリフトではタイヤを使いすぎてしまって後々不利になる。ドリフトしない、グリップ走行に切り替えてくれ。》
フォウヘン《でも、観客のハートをつかむ走りも大切じゃない?》
そういう事じゃないんだ。と、二人は言いたくなったが、言い争っても埒が明かない。
すると、ココが無線機を取ってフォウヘンに言った。
ココ《グリップ走行にしないと負けてしまうの。そうなるよりも、1位でゴールするほうがもっと良いアピールになると思うから。》
フォウヘン《そういう事だったの!?だったら早く言ってくれればいいのに。》
如月&パンチ(マ、マジかよ・・・)
ココは、フォウヘンの少し天然な性格に付け込んで彼女を説得したのだった。
大川と平島はどうなるのか?
レースは4周目に突入する!
――――4周目――――
DACBと大川のトップ争いが激化していた。
――――大川 vs DACB――――
まずは第一コーナー。250km/h近いスピードから一気にブレーキをかけ、60km/h近くまで減速する、ぶれーキング勝負だ。
大川はブレーキをぎりぎりまで遅らせてDACBに並んだ。第一コーナーは右に曲がるので、大川がイン側、DACBがアウト側になった。
大川「よし、インにつけた!一気に追い抜く!」
イン側から追い抜きにかかった大川。だが、DACBはアウト側にいるにもかかわらず、大川と並んで第一コーナーをクリアした。
DACBのクルマがおかしな動きをしたのに大川は気づいた。
クラッシュ側 ピット――――
第一コーナーでの出来事はピットの者たちも見ていた。
クラッシュ「ウソッ!今いけると思ったのに・・・」
クランチ「今、何か変じゃなかったか?」
クラッシュはただただ驚くだけだが、クランチは何かが起きたことは理解していた。
だが、その『何か』にまで気づけたのは如月とパンチの二人だけだった。
パンチ「【ダウンフォース】というやつか?」
【ダウンフォース】というのは、走行中にクルマにぶつかる空気を使ってクルマを地面に押さえつける力のことだ。
クルマを早く走らせる上では欠かせないものであり、レースの勝敗を左右する要因のひとつでもある。
【ダウンフォース】が高いと、コーナーで曲がるときに安定性が増し、曲がるスピードを上げられる。
逆に低いと、コーナーで不安定になり、コーナースピードは下がるが、空気抵抗が減少するため最高速度が上昇する。
コースのレイアウトや風向きなどをしっかり分析してダウンフォースというものを調整していくが、DACBの場合、ダウンフォースの高い場合と低い場合のいいとこ取りで反則もいいところである。
が、戦闘では風の能力を駆使するDACBらしい改造である。
如月「あぁ、ABCDとやらのクルマは、走行中にウイングの角度を変えられる機械を使っているんだろう。」
パンチ「ずいぶんなメカを使ってるじゃないか。やっぱ、一筋縄じゃいかないな。」
――――4周目 第2コーナーから第3コーナー間――――
DACB「ッ!今、どこかで俺の名前が間違えられた気がする!」
第一コーナーでは追い抜ききれなかった大川。
第3コーナー【コカコーラコーナー】で追い抜きをかけにいく。
大川「次こそ・・・追い抜くッ!」
大川はブレーキを遅らせて再びDACBに並ぶ。
左コーナーの外側から追い抜きにかかったため一見不利に見えるが、その次の第4第5コーナーは【100R】という長い右コーナーになるので、そこでは大川のFDがイン側になり結果的に有利になる。
だが、【100R】でもDACBは上手くウイングを操作してダウンフォースを変化させ、大川のFDの真横にぴったりとつけたまま第6コーナーのヘアピンコーナーに向かっていった。
DACB「前は渡さねーぞ。」
第6コーナー。今度はDACBがイン側になった。
今度こそ大川が離されると思っていたが、得意のレイト(遅い)ブレーキングで意地でも先頭を奪い取る。
前に出た大川だが、この先第10コーナーまで【300R】という右に緩やかに曲がるコーナーがあり、アクセル全開でクリアできる部分なので、直線で不利な大川には少しきつい。
大川「このサーキットは後半にコーナーが多いから、【300R】の次の【ダンロップコーナー】からが勝負どころね。」
【300R】でDACBに再び前を取られたが、【ダンロップコーナー】のブレーキ勝負で再びDACBに並ぶ。
【ダンロップコーナー】は、第10コーナーから第12コーナーまでが連続して配置されていて、非常に難しい区間だ。
その区間を大川とDACBが並んで進入した!
並んで進入することが困難な区間であり、しかも、ここまで勝負がもつれるとマシン同士がぶつかり、マシンに重大なダメージを負わせてしまうこともある。
何よりも、ドライバーにかかる負担も大きい。
DACB「チッ、まるで俺が苦戦してるみてーじゃねぇか。気に入らねぇ・・・一気に勝負かけて突き放す!」
第12コーナーまで横並びになり、DACBの苛立ちが募る。
大川も、何度追い抜きをかけても追い抜ききれない焦りが彼女のクルマの動きにも表れてくる。
第13コーナーも【サイド・バイ・サイド(横並び)】でクリア。
ここまでくると、決着の場所も見えてくる。
大川「最終コーナーの第16コーナーまでに追い抜かないと、スタート地点の1500mの直線でまた離される。」
DACB「第16コーナーまでトップを守りきれば俺の勝ちだ!ここは本気で行かせてもらうぜ!」
第15コーナーへ並んで進入。
二人の勝負に賭ける情熱がぶつかり合う。並んだままコーナーを疾走する2台は、1周4500mのサーキットで、プライドという名の剣の鍔迫り合いを繰り広げる!
最終コーナー【パナソニックコーナー】に入る。
大川がイン側、DACBはアウト側!
DACB「この先の直線でコイツとおさらばだ!」
大川「アクセルを踏むのが一瞬でも遅れれば追いつけない、速すぎれば無駄なドリフトが出るかコースアウト・・・」
DACB「コンマ1秒も無駄にできない!」
大川「一瞬たりとも気を緩められない!」
減速――――
コーナーの外側を回り、イン側につくタイミングを遅らせる鋭角的な走行ラインで――――
いわゆる【コーナーの立ち上がり重視】のテクニックを使って――――
そしてアクセルを踏み込む――――
DACB「ッ!若干速すぎたか・・・!」
大川「いや、微妙にドリフトさせて、アクセルを緩めないように・・・ッ!」
アクセルを踏み込まなければ――――
自身の限界点のその先へ――――
踏 み 込 ま な け れ ば ――――
ステアリングを通してFDがバランスを崩したのを大川は感じ取った。
体を支えるシート(座席)を通して右側に何かがぶつかったのがDACBは分かった。
2台のマシンがスピンを起こして、コースの外側に流れていく。
大川のFDがまずスピンを起こし、それに巻き込まれる形でDACBのパンテーラもFDにぶつけられてスピンしたのだ。
大川「やっちゃった・・・後ろのタイヤがちょっと壊れたみたい・・・」
DACB「クソッ!どっか凹んで空力のバランスが崩れやがった!さっきまでみたいには走れねぇな。次はこうはいかないからなッ!」
2台の鍔迫り合いは相討ちという形で決着した。
――――大川FD & DACBパンテーラ 共にスピンアウト――――
3台がリタイヤし、残りは7台が走っている。
5周目はこう着状態となり、レースは半分を消化した。
6周目では、ついにカラージャが神上を追い抜き、トップ集団の争いに距離を大きく縮めた。
――――7周目 中盤――――
平島とコモド兄弟の1対2変則バトルが展開した。
ジョー「おい、モー。このコーナーを曲がったら一気にss勝負賭けるぜ!」
モー《了解なんだな。》
6番ヘアピンを過ぎて、コモド兄弟は平島のZ31に襲い掛かった。
平島「この辺で勝負しようってか?気配で分かるぜ!」
平島はフェンシングの試合や走り屋時代の経験から、相手の気配から次に向こうがどう動くかが察知できるようになっていた。
それまでの温存の走りから、激しく体力を消耗する勝負の走りに3台が切り替わった。
コモド兄弟は平島のZ31を前後から挟み撃ちにして、双方からプレッシャーをかける作戦に出た。
モー「後ろにぴったりとくっついて、煽りまくってやるんだな。」
ジョー「モーの奴が後ろから追いかけ、俺は前で逃げまくる。追いつけないプレッssシャーと追い掛け回ssされるプレッssシャーの二重苦だ!どこまで耐えられる?」
ダンロップコーナーを3台は順番に通過。
3台の距離はかなり接近しているにもかかわらず、勝負にどこか不気味な静けさを感じる。
平島「下手に追い抜くわけでもなく、そして差を付けにかかるでもない。敵ながらいい作戦だな。」
連続するコーナーを順番に駆け抜け、次のコーナーで7周目は終わろうとしていた。
ジョー「良くここまで耐えたな。だが、本当のss作戦はこっちだぜ!」
モーのFDが遅いタイミングでブレーキをかけた。
そして躊躇いもせずに平島のZ31の後ろに、軽くぶつけてきた!
平島「何っ!!」
最初の、前後で挟み込む作戦は布石だった。
後半のコーナーが連続する箇所で一気にプレッシャーをかけ、クルマとドライバーの体力を削ぎ、最後のパナソニックコーナーで車のバランスをぶつけることで崩す。
プレッシャーに押しつぶされた状態でバランスが崩されれば、立て直すのは至難の業だ。
平島「クソッ!外側に目を向けちゃダメだ!視線は、1500メートルの直線の先!」
アクセルとハンドルを慎重に操作して崩れた均衡を戻そうとする。
ズルズルと滑るタイヤが徐々に手ごたえを取り戻し始めた。
平島「戻った!!よし、次はこっちの反撃だ!」
体勢を立て直した平島のZ31は、1500メートルの直線を加速。
コモド兄弟の2台のクルマとの差は少しずつ縮まっていく。
平島「そっちのクルマ、【ロータリーエンジン】ってエンジンなんだろ?」
コモド兄弟のRX-7の心臓部、【ロータリーエンジン】は他のエンジンとは構造が全く違う。
異質な構造ゆえ、エンジン一つで強力な曲がりの性能を手に入れた。
だが弱点はある。
平島「弱点その1。ロータリーエンジンは加速に弱い!」
加速力で勝る平島のZ31はコモド兄弟のRX-7を一気に追い抜いた。
平島「弱点その2。強力なエンジンだが、その分、繊細だ。繊細って事は・・・」
一歩間違えればもろく崩れ去る――――
コモド兄弟の2台のRX-7のマフラーから白煙が飛び出した。
2台のエンジンは壊れてしまったのだ。
平島「7周目後半の連続コーナー。あそこでRX-7最大の武器の曲がり性能を使わずに、俺にプレッシャーをかける事に徹したのが敗因だ。」
コモド兄弟 RX-7 エンジンブローにより走行不能――――
――――8周目――――
コモド兄弟が走行不能となり、コルテックス勢でコースを走っているのはフレイだけとなった。
そのフレイの後方から、フォウヘンが追い上げてきている。
フレイ「ったく、こっちの戦いに回されたヤツはどいつもコイツもすぐやられちまった。」
フレイは戦意を喪失していた。
単に不利な状況だからではなく、別の理由からだった。
フレイ「コルテックス。もう俺走らなくてもいいんじゃないのか?所詮はオトリだろ?」
コルテックス《そう言うな。データ取りも兼ねているんだ。後2周まじめに走れ。》
フレイ「ちっ・・・どうもやる気起きねぇな。」
第二コーナーを過ぎると、フォウヘンのシルエイティがフレイのR34の真後ろについていた。
フォウヘン「あたしの【速いドリフト】見せてあげる!」
第三コーナー【コカコーラ・コーナー】で、フォウヘンはフレイのR34よりも遅いタイミングでブレーキをかけた。
フレイ「何やってんだ?もうちょっと減速しないとコースアウトするぞ。あいつ。」
無謀とも思えるコーナーの速度。
フォウヘンはここぞとばかりにドリフトをする。
だが、今までのアピール重視のドリフトとは違い、見た目は地味なドリフトだ。
タイヤからの白煙は無く、角度はかなり浅い。
フレイ「へぇ。あれが【速いドリフト】ってやつか。良いモン拝ませてもらったぜ。」
フォウヘンのシルエイティは、フレイのR34を見事に追い抜き、そのまま一気に差を広げていった。
彼女にはフレイが走る気が無い事が何となく分かった。
フォウヘン「走る気無いの~?もっとあたしのドリフト見てほしかったな。」
フレイ「コルテックスの親父。もう良いだろ?」
コルテックス《フン。食堂のメニューからハンバーガーを消し去ろうと思ったが、気が変わった。時は満ちたのだ!》
フレイはR34をピットエリアまで運転し、そのままクルマから降りていった。
クラッシュ側のピットは、明らかに怪しいその行動に疑問が飛び交っていた。
如月「どういう事だ?レースは後2周あるってのに。」
やがてコルテックスがクラッシュ側のピットにやってきた。
負けているはずなのに、どこか勝ち誇ったような雰囲気があり、非常に不気味だ。
コルテックス「このレースは我々の負けだ。それは認めよう。」
クラッシュ「コルテックス!どういうつもりだ!」
コルテックス「そう声を荒げるな。そうだな。お前たちの仲間に大阪を拠点とした走り屋がいると聞いた。彼に戦勝の報告をすれば、事を理解できるだろう。」
パンチ「なんだそりゃぁ!訳分からねぇぞ!」
意味深な言葉に戸惑うクラッシュ達だが、平島から無線が飛び、その疑問は解決に向かう。
平島《レースは終わったのか?終わったのなら、大阪に居る渡嘉敷エイジって奴に連絡を取ってくれ!》
如月「分かった!」
如月は渡嘉敷の連絡先を速攻で調べ、携帯から連絡を取った。
連絡はつかない。
レースの真っ最中か、クルマのメンテナンスでもやっているのか。
もう一度電話する。
だけどもやっぱり連絡はつかない。
如月「ハッ!!」
ふと目に入ったテレビのニュースの画面に、如月は釘付けとなった。
――――大阪がコルテックス勢の占領下に入った――――
2410