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第10章
2013/04/20(土)22:03:48(11年前) 更新
恐れていた事態がとうとう現実のものとなってしまった。激しく混乱したドラゴンは、寮部屋の窓を突き破り飛び去ってしまい、そのまま行方が分からなかくなってしまったのだ。その後、コルテックス達は可能な範囲でドラゴンを捜索したものの、やはりドラゴンは発見されなかった。
そして今はただ、力なくソファーに腰を下ろして一人頭を抱えているだけだった。気が付けば、外では既に日が昇っている。ひどく眠気がするが、昨日のショックは軽々とそれを上回ってみせた。
コル「ハァ・・・僕は一体、どうすればいいんだ・・・」
一番の問題は、あのドラゴンがどこで何をしだすかが全く予想できないことだ。ドラゴンの行動によっては、後々厄介な問題につながりかねない。とにかく、今は何としてもドラゴンを捕獲することを考えなければならなかった。
?「変えられなかったか・・・未来」
突然、そんな声が聞こえてきたかと思えば、目の前にはいつの間にかリドリーが立っていた。だが、今のコルテックスには最早文句をつける気力もなかった。
コル「ハァ・・・まったく、つくづく僕はついてないなぁ~・・・」
リド「落ち込んでるとこ悪いが、せめて会話は成立させないか?」
そう言うと、コルテックスはようやく億劫そうに言葉を返した。
コル「僕に何の話があるって言うんだ・・・?」
リド「俺の情報力を甘く見てるな?話せることは大いにあるぞ?」
意味深な彼の言葉に、コルテックスは若干意識を取り戻した。
コル「何・・・?」
リド「さぁ、どうする?聞くのか、聞かないのか・・・」
コル「もったいぶるな。さっさと聞かせろ・・・!」
彼は瞬時に目の色を変えて力強くそう言った。すると、リドリーは静かに笑みを漏らしながら応える。
リド「そうこなくっちゃな。ドラゴンはまだそう遠くへは離れちゃいない。とはいえ、校外の手つかずの森の中へ入ってるから探し出すのは至難の業だろうがな」
もともと期待はしていなかったとはいえ、あまり参考になる情報ではなかった。
コル「チッ、何だよ・・・自信満々な顔して来といてその程度の情報か・・・」
リド「まぁ、確かに俺にしてはいい加減な情報と言わざるを得ないな。だが、遠く離れているわけじゃないと分かっただけでもまだ救いはあるだろう。しばらく策を練る猶予は残されてるってことだからな」
言われてみれば確かにそうなのだが、それにしてもまだ希望は薄い。第一、仮にドラゴンの居場所が分かったとしても、それを捕獲することは非常に難しい。ラングレーとロバートを揃えても手こずっていたのだ。
中途半端な策では、到底解決はできないだろう。
コル「簡単に言ってくれるよ・・・ったく」
彼は一際大きなため息をつき、再び途方もない思案に暮れるのであった。
そうは言っても、やがて今日も授業の時間はやってくる。辛うじて授業に出席してはいるものの、コルテックスの頭の中はドラゴンのことで一杯だった。すると、不意に彼の事を呼ぶ誰かの声が聞こえてきた。
?「コルテックス・・・?」
気が付くと、吉田がコルテックスの顔を覗き込んでいた。
コル「・・・な、何だよ!?」
吉田「いや、さっきからボーっとしてるからさ。大丈夫か?そういや昨夜そっち部屋の方向から物凄い音が聞こえてた気がすんだけど・・・」
この一言でコルテックスは一気に気が動転してしまった。急に背筋に冷水を流し込まれたような気分だ。
コル「い、いやっ!何でもない!ちょっと実験が長引いて疲れてるだけだ・・・!」
吉田「そ、そうか・・・まぁ、だったらいいんだ。あんま無理すんなよ?」
そんな2人の会話を偶然耳にしたレイリーは、コルテックスの様子の異変を素早く感じ取った。自分の見た未来が実現してしまったのか、あるいはそれが実現しつつあるのか、いずれにせよコルテックスの状況はよくない方向に動いているのが見て取れた。
レイリーは今度こそ思い切ってコルテックスに話しかけた。
レイ「あ、あの・・・コルテックスくん・・・大丈夫ですか・・・?」
コル「え・・・?」
レイ「困ったことがあったら、遠慮なく相談してくださいね?一人で抱え込むのはよくないです」
コル「は、はい・・・」
吉田「お前良かったな。レイリー先生に気に入られたぞ」
彼は笑いながらそんなことを言ってきた。突然の言葉にレイリーは困惑気味である。
レイ「え、えぇっ?!」
コル「何言ってんだお前は・・・」
一方のコルテックスは半ば呆れながらそう言った。
コル(・・・いくらなんでもこんなこと先生には相談できないな・・・早くなんとかしないと・・・)
彼は心の内で必死に対策を考えたが、気持ちが焦るばかりで特に有効な対策は見いだせずにいた。
いつの間にか授業も終わっていたようだ。皆が一斉に席を立ち始めてようやくそのことに気付いた。その動きに合わせてコルテックスも荷物をもって席を立つ。そのまま流れに身を任せて廊下を歩く。
その間もコルテックスはドラゴンの対策を思案し続けていた。すると、正面から思い切り何かとぶつかってしまった。
コル「おわっ・・・!?」
改めて前を確認してみると、なんとそこにはアンバリー校長が佇んでいた。
コル「こ、校長・・・!!」
アン「あら、何だか久しぶりねコルテックスちゃん。会いたかったわ~」
コル「あの・・・すいません、次の授業があるので失礼・・・」
そう言いながら横を素通りしようと試みたコルテックスだったが、アンバリーは彼の腕を無理やり掴んで引き留めてしまった。
アン「そんなつれないこと言わないで?前からあなたに聞きたいことがあったの」
コル「え・・・?」
彼は一瞬肝を冷やしたが、まさか昨夜のドラゴンの件ではないだろう。とはいえ、彼女の表情を見ていると、何故だかそのことを見透かされているような気分になる。
アン「結構前の話になっちゃうけど、前にコルテックスちゃんが居残り授業を受けた時があったじゃない?アレクサンドロちゃんの材料を盗んだ時」
コル「・・・?」
何の話かと考えたコルテックスだったが、しばらくして思い出した。何故か彼のポケットにアレクサンドロの材料が入っており、盗んだ犯人に仕立て上げられた不可解極まりない事件だ。
コル「そうだ、アレは僕がやったんじゃありませんよ・・・!知らない間にポケットの中に入っていて、僕が犯人に仕立て上げられたんです!」
アン「ふ~ん、じゃあアレクサンドロちゃんのセキュリティを掻い潜ったっていうのは・・・?」
コル「何の話か全く分かりませんよ」
アン「成程ねぇ~、コルテックスちゃんに濡れ衣を着せた真犯人がいると・・・?」
彼女は何故か不敵な笑みを漏らしながらそう言ってきた。
コル「僕は知らないですけど、とにかく僕がやってないことだけは確かです」
彼は投げやりにそう答えた。
アン「それが事実だとしたら、なかなか面白い展開ねぇ・・・」
コル「本当ですって・・・!とにかく、これで失礼します」
今度こそコルテックスはアンバリーの横を素通りしていった。アンバリーは振り返って遠のいていくコルテックスの後姿を見つめる。
アン「う~ん、他に彼のセキュリティを越えられる人がいるとすれば・・・」
彼女はやはり不敵な笑みを漏らしながら、静かにそう言った。
一方その頃、ワルワルスクールの美術室では巨大な一枚のキャンパスが急速に紅い色で染められつつあった。アルフレッドが興奮気味にインスピレーションを働かせていたのだ。
アル「おお、見える・・・!見えるぞ・・・!1つの風景が1人の人間の鮮血で染まる光景が・・・!これはいい・・・!」
そんなことを呟きながら彼は1人キャンパスの前で筆を進めていた。自分の中にあるイメージを口に出しながら、それをキャンパスに移し込んでいく。
アル「鬱蒼と生い茂る薄暗い森の中、1人の少年が木の陰で、その体をバラバラにされている・・・辺り一面に彼の血が飛び散る・・・!」
間もなく、彼の言葉をそのまま具現化させた狂気の絵は完成した。その瞬間、彼はゆっくりと筆を置き、後ろにさがって全体を丁寧に眺める。
アル「・・・うむ、素晴らしい・・・!これは今までの僕の作品の中でも5本指に入るほどの傑作だろう・・・!」
?「本当に素敵な絵ですね、先生」
突然聞こえてきた声に驚いたアルフレッドは後ろに振り返った。すると、そこには席に座ったシエラの姿があった。他にも2年生薬剤クラスの生徒たちが何人か席に座っている。
アル「おぉ、何だい?皆僕の傑作を見に来てくれたのかい?」
シエ「何言ってるんですか。もう美術の授業の時間は始まってますよ?」
ダー「ったく、相変わらず趣味の悪いもん描きやがる・・・」
怪訝そうな顔をするダークをよそに、アルフレッドは改めて体を生徒たちの正面に向けて言った。
アル「あぁ、そうだったか。ついつい没頭してしまって気づかなかったよ。それじゃあ、早速授業を始めようか。皆もう道具は揃えているね?」
一通り生徒の席を見渡してみると、どうやら既に全員準備が整っているようだった。授業の時間は思っていたよりも前から始まっていたらしい。
アル「・・・なら、早速絵画の制作を始めてくれるかい?遅くとも今日の時間中に色づけまで入れるように」
彼の言葉を皮切りに、生徒たちは一斉に筆を取り始めた。各々が各々の思うがままに作業を進めていく。アルフレッドはそんな生徒たちの間を行き来しては絵のアドバイスをしていった。
アル「君の描く絵はとても地味だねぇ。もっと情熱的な赤を使いなさい」
大概の生徒にはそんなことを言っていた。勿論、この助言には彼の思考があまりにも色濃く表れていることは言うまでもない。生徒には、若干呆れた様子でため息ともつかない相槌を打つ者もいれば、喜んで彼の意見に順応する者もいた。
すると、ここでアルフレッドの目がある一枚の絵に止まった。
アル「これは・・・」
それは、毒々しい色合いをした物体が草むらの中に転がっている奇妙な絵だった。一言で言えば、カエルの屍の絵だ。彼はしばらくその絵を見つめていると、不意に近くから声が聞こえてきた。
シエ「私の絵がどうかしたのですか?先生」
この絵を描いた張本人であるシエラである。アルフレッドは真剣な表情をしながら応えた。
アル「おお、この絵は君が描いたのかい・・・カエルの死骸とはまた面白い題材を選んだねぇ」
シエ「ありがとうございます。可愛いですよね。カエルの死骸って」
アル「ただ、少し惜しいな・・・せっかく死体といういい題材なのだから、やはり血の描写は欲しいところだ」
シエ「成程、やはりそうした方がいいのですか?」
アル「ああ、そうだな。被写体、背景ともに暗めの配色が多いだけに、色鮮やかな血はアクセントとして必要だろう」
シエ「はい、分かりました!」
そう言うと、シエラは再び筆を手に取り出した。
ワルワルスクール校舎外の森の中、1匹のカエルが草むらの陰で鳴き続けている。木々が上の方で日光を遮っているため、昼間でも仄かに薄暗い場所だったが、それ以外には変わった様子など特にない、自然の中では割とよく見かける普通の日常風景だった。
しかし、その日常は突然に破られた。鳴いていたカエルのいる地面に突如として巨大な影が現れる。その次の瞬間には、上から何かが勢いよく降ってきた。突然の出来事にカエルはそれから避けることができず、そのまま押しつぶされてしまった。
草むらの辺り一面にカエルの血が飛び散る。そしてカエルを無残に踏みつぶしたモノは、すぐにまた宙に浮かびだし、つぶれたカエルの死骸の姿が現れる。つい先ほどまで日常だった景色が、一瞬にして非日常へと塗り替えられてしまった瞬間である。
そして、その日常を塗り替えたモノは今、ワルワルスクールの校舎方面を向いているのであった。
その頃、コルテックスは自身の寮部屋で相も変わらずドラゴン捕獲の方法を考えていた。今頃他の最上級生は自分の卒業研究に没頭していることだろう。そう考えると、コルテックスはますます焦りを感じずにはいられなかった。
何とか早急にこのトラブルを片付けて、コルテックスも他の生徒に追いすがりたいところだが、こちらも相当な難関だった。重たい頭を押さえていると、ふいに扉の方からノックする音が聞こえてきた。
次にその奥から聞こえてきたのは、エヌ・ジンの声だった。
ジン「エヌ・ジンです。入ってもよろしいですか?」
コル「ああ・・・入っていいぞ」
そう答えると、扉が開きいかにも心配そうな顔をしているエヌ・ジンが部屋に入ってきた。
ジン「昨日は大変な災難でしたね・・・」
コル「あぁ、正直どうしたらいいのか皆目見当もつかないよ・・・」
ジン「コルテックス殿・・・」
一瞬だけ沈黙が流れたが、エヌ・ジンはすぐにまた口を開いた。
ジン「1人で悩む必要はございませぬぞ」
コル「・・・?」
ジン「ドラゴンを開発した時も、我々はコルテックス殿に協力してきたではありませぬか。ならばドラゴンの捕獲も同じこと。再び招集をかけて全員で対策を講じるのです・・・!」
コル「エヌ・ジン・・・」
つい先ほども、レイリーからそんなことを言われていた。そのせいもあってか、彼の言葉は冷静さを失ったコルテックスにもすんなりと入ってきた。
ジン「コルテックス殿、貴方はもう1人ではありませぬ。1人で抱え込む必要はないのです」
今にして思えば、コルテックスは以前から余裕というものがなかった。自分が何とかしなければ、そんなことばかり考えていた。だから、自分に絡んでくる人間が鬱陶しく感じられたのかもしれない。
コル「・・・そうか、そうだったな・・・悪い。少し頭が固かったかな」
ジン「いえ。これだけ追い込まれた状況下、仕方のないことだと思います」
コル「とにかく、まずはみんなを集めよう。今は授業中だから厳しいとは思うが、昼休みにでもなったらまた6人で集まろう」
ジン「ええ、それがいいと思います」
そして、昼休みの時間、コルテックスの寮部屋では再び6人が集まっていた。あれだけの騒動が起きただけあって、流石に全員がしっかり集まってくれた。
コル「さて、言うまでもないと思うが、今日は昨日の実験の件について集まってもらった」
ロバ「フン、どうせ騒ぎになる前に捉えて丸く収めようって腹なんだろう?」
ジン「人聞きの悪い言い方をするな。これは学校全体のためにもなるんだ」
ロバ「自分でまいた種だろうに・・・」
ラン「こら、コルテックス様に口が過ぎるぞ!」
ロバートの態度に憤慨するラングレーだが、当の本人は落ち着いた様子で言葉を返した。
コル「いずれにせよお前の力は必要不可欠なんだ。それに、ドラゴンが何か起こした場合、僕の部屋にいたお前にだって責任が降りかかってこないとも限らない。だからここに来たんだろう?」
彼の言葉に、ロバートは少々顔を渋らせながら小さな唸り声を漏らしていた。どうやら考えていたことはほぼ当てはまっていたらしい。すると、ここでブリオがおどおどしながら自信のない声で会話に入った。
ブリ「しかし、ロバートとラングレーの2人がかりでもドラゴンに対応するのにやっとといったところでしたよ?そんな相手に一体どうやって・・・」
コル「確かに2人を揃えてもドラゴンの捕獲は厳しいだろう。だからこそ全員に集まってもらったんだ」
ジン「左様。あの時は何も準備をしていなかったが、入念な準備を怠らなければ我々にも少なからずできることがあるはずだ」
サぺ「・・・具体的には何を準備するんですか?」
ワットがそう言うと、コルテックスは一瞬言葉を詰まらせた。
コル「そうだな・・・それはみんなで知恵を出し合って決めていきたいと思ってる」
ロバ「何だ結局おいどんたちに対策を考えるのを押し付けようとしてるだけじゃないか」
不満げに訴えるロバートに対し、フォローをしたのは意外にもワットだった。
サぺ「ま、それも仕方ないでしょうね。なんせ相手はドラゴンなんすから」
コル「とにかく、皆にも対策案を考えてほしいんだ。1人で考えるより、多くの人数で考えるに越したことはない」
サぺ「まぁ、それでよりよい意見が出れば儲けものですからね」
コル「そういうことだ。ただし、あまりもたもたしてもいられない。どんな些細なことでもいいから何か思いついたら意見してくれ」
直後に沈黙が流れる覚悟でそう言ったが、予想に反してすぐにエヌ・ジンが口を開いた。
ジン「うむ、ならば、我々がそれぞれ武具を作るのは如何でしょう。ドラゴンの足止めにでもなるようなものを作れば、2人もやりやすくなるのではないかと」
コル「成程な・・・武器か。確かにロバートやラングレーはともかく、僕らはそれがないと始まりそうもない」
ブリ「具体的にはどんな武器を作ればよいのでしょうか・・・?」
コル「そうだな・・・前線はロバートとラングレーの2人が対応して、僕らは散らばって後方支援という形が現実的かな。つまりは、中距離から遠距離にかけて対応した武器ってところだ」
ラン「成程、流石はコルテックス様!そうと決まれば、早急に武器の開発を始めるべきですね」
コル「だな。よし、今日のところはひとまず解散して、各々武器の開発をするようにしよう」
彼がそう言うと、全員が頷いて今回の集会は終了した。
こうして武器を作ることになったコルテックスは、皆が寮部屋を去った後、早速どんな武器を作ろうかと考え始めていた。中距離、あるいは遠距離に対応した武器と言えば、やはり拳銃に類するものが扱いやすいだろう。
しかし、ただの拳銃では、あのドラゴンには決定打を与えるどころか隙を作ることすらできない可能性が高い。武器一つを作るにしても、ドラゴンの頑丈な身体にも通用するような工夫が必要だ。
ひたすら威力、あるいは貫通力に特化した銃を作るのもよさそうだが、その場合は恐らく反動といった面が犠牲となり、コルテックスには少々扱いづらいものになってしまうだろう。それに、今回の目的はあくまでドラゴンの捕獲だ。
討伐などではない。それを考えると、むしろ反動が少なく扱いやすい、隙を作ることに特化した武器の方が今回の作戦に適しているのかもしれない。そうは言っても、ドラゴンの隙を作ることができる武器とは一体何なのだろうか。
鋼鉄との合成により鉄壁となったあの身体に効きうる武器となると、隙を作るにもやはりそれなりの威力は必要であるように思われた。ここに来て、またもや思考が迷走し始めていた。
コル「う~ん、何かいいアイディアはないもんか・・・」
特にこれといった確証もなく、コルテックスは自らの記憶をたどって考えてみる。予想した通り、これまで武器らしい武器を作ったことがないコルテックスに思い当たる節は見当たらなかった。
すると、何故かここで居残り授業の記憶が思い出された。確かに、これまで何度か武器を手にして校長に立ち向かった生徒はいた。だが、それを思い返してみても、やはりあのドラゴンにはどうにも通用するものとは思えない。
それ以前に居残り授業でもその武器はあまり意味を為してなかった。どんなに威力を秘めた武器でも、校長の電撃によってあらゆる効力は封殺されてしまうのだ。
コル(・・・!待てよ・・・?)
電撃、という言葉にコルテックスははたと気が付いた。電気の力を使えば、あのドラゴンの動きを止めることができるのではないか。これならば、鋼鉄を配合したあの身体を逆手にとれるはずだ。
コル「電撃・・・これだ・・・!」
かくして、コルテックスの作る武器は決まった。
シエ「98・・・99・・・100、よし、それでは捜しに行きますか」
その頃、校庭では数人の生徒が無邪気にかくれんぼをして遊んでいた。今回鬼役となっていたのは、シエラだ。彼女は何処に隠れているのかと校庭内を探し回る。しかし、いかに隠れ場所の多いこの学校でも、何度もこの遊びを繰り返していれば次第にいい隠れ場所は少なくなってくる。
さらに、ワルワルスクール生特有の発想も相まって、今やその範囲は校庭外の森の中にまで展開している始末だった。とりあえず、シエラは一通り校庭内を探し回るが、やはりそこだけでは全員は見つけられなかった。
そして、今回も例にもれず、校庭外の森の中へと足を踏み入れるのであった。
一方、隠れる側のある生徒は、やはり森の中にやって来ていた。案の定、今回も森の中で隠れようとする者がいたというわけだ。その生徒はある程度奥へと進んだところで、ひとつの大きな木を見つけた。
周囲には比較的背の低い植物が取り囲むように生い茂っており、中へ入って隠れることができそうだった。それを見た生徒は、少し考え込む表情をした後、満足げな表情に変えて呟いた。
生徒「よし、ここなら見つからないだろ」
そして、生徒は生い茂る茂みの中へと入っていった。息をひそめてしばらく待っていると、突如、彼は奇妙な音を耳にした。グォォオオ、という何とも言えない不気味さを持った音だった。
一瞬、彼の背筋は凍りつく。後ろの方から音が聞こえてくるのが分かった。こちらの方へ近づいているのか、徐々にその音は大きくなっていく。生徒はそれまで以上に息を殺して固まっていた。
下手に動けば、何故だか危険な目に遭うような気がしてならなかったのだ。しかし、背後から近づいてくる音と目に見えない恐怖から、彼はとうとう後ろを振り向くことを決意した。ゆっくりと、非常に慎重に首を回した。
もしかしたら、彼の背中は本当に凍りついていたのかもしれない。何ともぎこちない動きだった。そして、彼は完全に後ろを振り返らないうちに、ほんの一瞬だけ激しい痛みを感じながら、意識を失った。
その頃、森の中を捜索していたシエラは、順調に隠れている生徒たちを発見していた。そして、いよいよ残りあと1人というところまでこぎつけた。
シエ「さて、残りは1人だけですね・・・」
早速、最後の1人を探しに森の中を歩き出す。そして、最後の1人は案外すぐに、思ってもいない形で見つかることとなった。しばらく森の中を進んでいると、彼女はひとつの大きな木を見つけた。
周囲には比較的背の低い植物が取り囲むように生い茂っており、中へ入って隠れることができそうだった。それを見たシエラは、少し笑顔を漏らしながら呟いた。
シエ「あっ、もしかしたらここに・・・」
彼女は生い茂る茂みの中へと入っていく。その瞬間、彼女の目に飛び込んできたのは、あまりにも衝撃的な光景だった。そこには、確かに最後の1人の生徒が隠れていた。だが、その生徒は最早先程までの姿ではなく、全身をバラバラに切り刻まれた状態で、茂みの中に散乱していたのである。
これには流石のシエラも叫喚の声をあげずにはいられなかった。
シエ「・・・キャーーーーーー!!」
次章、最悪の事態にコルテックスは・・・?!
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