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Individual Way of Life ~個々の生き様~
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二月七日
2012/06/17(日)22:18:00(12年前) 更新
Evil to Defeat the Evil ~PLC編~
街を変えたい、そんな思いの果てに出来た組織「PLC」
決して善い行いではない、しかし悪を倒すために日々努力する彼等。
そんな彼等に絶好のチャンスがやってくる・・・
朝、クラッシュはベッドに項垂れた状態で腰掛けていた。
昨日のアーネストとの予想外の出会い、そしてその後の方針はクラッシュを納得させるようなものではなかった。
「何で、何でアーネストが・・・」
未だにクラッシュは信じられなかった。アーネストが麻薬の密売という罪を犯すような男だなんて全く思っていなかったのだ。
その時、扉をノックする音が聞こえてきた。
「・・・誰?」
と、クラッシュは力のない声で言った。
「ティアですけど、入っていいですか?」
というティアの声が扉の向こうから聞こえてきた。
「どうぞ・・・」
クラッシュがそう言うと、扉が開かれティアが入ってきた。
ティアはクラッシュの顔を一目見てこう言った。
「眠れなかったようですね」
クラッシュの目の下にはクマが出来ていた。
「そりゃあ・・・まぁ・・・」
「・・・アーネストさんの件、ですか」
「はい・・・」
「少し詳しく聞かせてくれませんか、あなたとアーネストさんとの関係」
ティアはそう言って、クラッシュの隣に座った。
「関係・・・まぁ、近所だったから色々付き合いがあった・・・みたいな」
「別に、血の繋がった関係ではないと?」
「えぇ・・・」
「要はただの近所の住民、ということですか」
「でも、アーネストは友達、見たいな感じでもあるし・・・」
「出来ることなら助けたい、結論を言えばそんな所ですか」
「そりゃあもちろん!でも、ピンストライプさんはこれ以降アーネストに関わる真似はするな、って言っていたから・・・」
「確かにそうです。一度警察に捕まった者と、不用意に接触することは自身の身を危険に晒すことに繋がります」
「はぁ・・・じゃあ、もうアーネストのことは忘れろっていうことですか・・・」
「・・・あなたは、本当にアーネストさんを助けたい、そう思っているんですね」
「は、はい」
「誰かを助けたい、誰かを守りたいという気持ちはとても大切な物。たとえそれが叶わなかったとしても、その気持ちだけは決して忘れてはいけません」
「わ、分かりました」
「・・・では、私はこれで失礼します」
ティアはそう言うとベッドから腰を上げて、部屋を去って行った。
「・・・はぁ・・・」
クラッシュは大きなため息をついた後、ベッドに寝転がった。
「もしもし・・・うん、うん・・・へぇ、珍しいこともあるもんだ。分かった、すぐに取り掛かるよ」
ビットはそう言って、携帯を切った。
彼は今、ブルークレイの一室の机に座っていた。彼は大抵此処で事務的な仕事を行っている。
「さてと、まずは何から始めようか・・・」
ビットはそう言いながら携帯をいじり、そして耳に当てた。
「・・・あ、もしもし?」
「・・・どうした」
「あのさ、悪いんだけど南さんの店の仲介役してくれない?滅多に行かないから顔覚えられてない気がしてさ」
「別にいいが、あいつに何の用だ?」
「まぁ、いろいろあってさ。今回はちょっと難しそうだから南さんにでも頼もうかと思って」
「そうか、分かった。店の場所は分かるな?」
「まぁ大丈夫」
「集合は店の前だ。それじゃあ後でな」
「分かった」
ビットはそう言って携帯を切った。
「よし、そうと決まれば早速出発しないと」
ビットはそう言って椅子から立ち上がると、部屋から出てエレベーターに向かって行った。
北の南の店の前で、クリムゾンが腕時計を見ながら立っていた。
「ビットが南に仕事を頼むとは、珍しいこともあるものだな」
と、クリムゾンは呟いた。
しばらく店の前で待っていると、店の前の道路に一台の車が止まり、中から一人の男性が降りてきた。
「うん、此処で合ってたね。良かった良かった」
ビットはそう言いながら車に鍵をかけて、クリムゾンのほうにやって来た。
「・・・行くぞ」
クリムゾンはそう呟いて、店の扉を開けた。ビットもその後に続いた。
店の中では、南が欠伸をしながら立っていた。
「ふぁぁ・・・ん、こいつは珍しいコンビだ」
と、南が言った。クリムゾンとビットはカウンター席に座った。
「ビットが何か依頼したいことがあるそうだ」
と、クリムゾンが言った。
「何だ、ビットの依頼かよ。じゃあお前はビットの保護者か何かか?」
「・・・腐れ仕事ばかりやって頭まで腐りかけのお前でも依頼主の所属が分かるようについて来ただけだ」
「ヘッ、中々言ってくれるじゃねぇか。で、何の依頼だ?」
「簡単に言うと、ある捕まった人物の現在の所在地を調べて欲しい」
と、ビットが言った。
「・・・成程、あれだろ、確か昨日捕まったアーネストとかって男だろ?」
と、南が言った。
「そうそう、多分まだ警察署で取調べを受けてると思うんだけど、一応ね」
「その程度なら楽勝だわ。金を取るのすら躊躇するくらいだぜ」
「なら今回はタダでいいな」
クリムゾンはそう言って席から立ち上がろうとしたが、とっさに南がクリムゾンの肩を押さえた。
「冗談くらい通じてくれって、な?今回はまぁ500ドル程度でいいぜ」
「流石、価格は安いね。はい、これ」
ビットはそう言いながらポケットから財布を取り出し、中から500ドルを取り出して南に渡した。
「・・・確かにもらった。調査結果は分かり次第すぐに返す・・・が、お前の携帯番号は知らねぇからクリムゾンを通す」
「ああ、分かった。それじゃあよろしく」
ビットはそう言って席を立った。
「一々俺を通すのか、面倒な二人だ」
クリムゾンはそう呟きながら席を立った。
そして、二人は店から出て行った。
「・・・一体何がしたい?」
店から出た後に、クリムゾンがビットに向かって言った。
「僕のスキルを最大限に生かした救出作戦、って感じ?」
「・・・まさかとは思うが、本気か?」
「頼まれたんだから仕方ないって」
「誰に頼まれた?あの新入りか?」
「頼んできた人が言わないで欲しいってさ」
「・・・それで大体分かった。そうか、またあいつの悪い癖が出たか」
「悪い癖とか言ったらダメだって。むしろいいことだと思うけどさ」
「この世界にあんな糞みたいな物は不要だ」
「それ、本人の前で言ったら?」
「・・・断る」
「そう言うと思った。じゃあ、僕は本部に行くから、例の知らせが入ったらまた電話して」
「そうさせてもらう」
クリムゾンはそう言って、自分の家の方角に向かって歩いていった。
ビットも、車の鍵を開けて運転席に座り、エンジンをかけてPLC本部の方へと走り去っていった。
PLC本部から少し離れた場所の路地に入ったところに、一軒のぼろい家が建っていた。そして、その家の扉の前にティアが立っていた。
「さてと・・・」
ティアはそう呟き、扉をノックした。
「・・・誰?」
という女性の声が聞こえてきた。
「PLCのティア・バンディクーです」
「・・・何か用?あまりそっちから来て欲しくないんだけど」
「少し話がありまして。悪い話ではないので安心してください」
「マフィアが絡んでいる時点でいい話じゃないのは確定じゃないのよ。まぁ、あなたならまだマシね。いいわ、入って」
という女性の声の後に、ティアは扉を開けて中に入った。
家の中には様々な物がぐちゃぐちゃに置かれていた。その物のジャンルも様々で、衣服に銃器、オモチャに本などが乱雑に置かれていた。
「それにしても、態々尋ねに来るなんて何かあったの?」
そう言いながら、奥から一人の女性がやって来た。
「ミストさん、少し調べてもらいたいことが」
と、ティアはミストに向かって言った。
「何?分かる範囲でならすぐに答えるけど」
「今日以降に密入国船が来航するかどうかを調べてもらいたいんですが」
「そう・・・少し待って」
ミストはそう言って、ポケットから手帳を取り出して中を見だした。
「・・・明日の23時ごろ、インドネシアのほうから一隻来るみたいね」
「その船、此処からオーストラリアに向かわせることは可能でしょうか」
「さぁ・・・船の規模によると思うけど・・・というか、そんなこと何で聞くの?」
「いろいろありましてね。とりあえず、ありがとうございました。もし船の規模などが分かりましたら私に連絡をください」
「PLCのほうに送っちゃダメ?」
「私に送ってください。それでは」
ティアはそう言って後ろを振り返り、家を後にした。
「次は・・・ネイキッドさんですね」
と、ティアが呟いた。
PLC本部、クラッシュは未だ部屋に引き篭もったままだった。
その時、再び扉のノックする音が聞こえてきた。
「今度は誰?」
と、クラッシュが言った。
「ネイキッドだ。入るぞ」
という声が聞こえてすぐに、ネイキッドが部屋に入ってきた。
「ネイキッドさん、何か用ですか?」
と、クラッシュが聞いたがネイキッドはそれを無視してクラッシュに近づき、クラッシュの腕を掴んだ。
「え、ちょ、何!?」
「今日はお前に新しい技術を教える」
「そんなこといきなり言われても・・・」
「さぁ早く来い!」
ネイキッドはそう言いながらクラッシュを無理やり立たせて、部屋の外に向かってグイグイ引っ張っていった。
その光景を、ピンストライプは廊下で不思議そうに見つめていた。
「ネイキッド、えらく新入りを気に入っているな・・・まぁ、いいことか」
と、ピンストライプが呟いた。
「ピンストライプ、半日クラッシュを借りるぞ、いいな?」
と、ネイキッドはピンストライプに向かって言った。
「ああ、煮るなり焼くなり好きにしてやってくれ」
「ちょ、そんな・・・」
と、クラッシュはネイキッドに引っ張られながら呟いた。
ネイキッドとクラッシュはそのまま外に出たところで、ビットとばったり出会った。
「あ、二人ともおはよう」
と、ビットが言った。
「おはよう・・・」
「・・・ビット、少しいいか?」
ネイキッドはそう言ってクラッシュの腕を放し、ビットに近づいた。
「・・・お前も、例の件か?」
と、ネイキッドが小さい声で言った。
「ま、多分そう」
「やはりか。だとしたら、俺の予想では今回は相当厳しいぞ」
「そんなこと百も承知だって。その時はその時、みたいな」
「・・・確かに、そうだな」
「詳しい内容は午後にでも言えそうだから、それまでクラッシュを鍛えてやって」
「まさか、あの男にこんなことまで教えることになるとは。それじゃあ、また後でな」
ネイキッドはそう言って、クラッシュのほうに戻っていった。
「クラッシュ、今回の訓練はキミの為に必ずなることだろうから、しっかりやってきて」
と、ビットはクラッシュに向かって言った。
「う、うん」
「じゃ」
ビットはそう言って、本部へと入っていった。
「さて、俺達も早く訓練場に向かうぞ」
「え、もしかして車とかはない・・・?」
「当たり前だ、訓練場まで走っていけばそれだけにトレーニングになるだろ、行くぞ!」
ネイキッドはそう言って、北の浜辺に向かって走り出していってしまった。
「え、ちょ、待ってー!」
クラッシュはそう言いながらネイキッドの後を走って追いかけていった。
正午、クリムゾンは自分の家のリビングにいた。
彼はソファーに座って、自分で作ったオムライスを食べていた。
良くある薄い卵を巻くタイプではなく、半熟のオムレツをチキンライスの上に乗せ、ナイフで切ることによってご飯全体に卵が掛かるタイプのものだ。
更に、自作のデミグラスソースをその上からかけるという、とても男性が一人で作るような代物ではないくらい手の込んだ料理を食べていた。
「・・・やはりソースに粉末のコーヒーを入れたのが良かったか」
と、クリムゾンはオムライスを食べながら呟いた。
その時、テーブルに置いていた彼の携帯が鳴り響いた。しかし、クリムゾンは一切無視をして食を進めた。
それに負けないように、携帯もずっと鳴り続けていたが、それでもクリムゾンは携帯を取ろうとはしない。
そして、数分経った後にクリムゾンはオムライスを食べ終えて、食器をキッチンに持っていって流しに置くと、今度はお湯を沸かして紅茶を入れ始めた。
最終的に10分以上が経過し、クリムゾンはティーカップを持ってリビングに戻った。
携帯はまだ鳴り続けていた。
そこでやっとクリムゾンはティーカップをテーブルに置き、携帯を手に持った。
「・・・何か用か?」
「何か用って、それは相手を10分も待たせといてから言うことかよ」
「食事中に電話を掛けて来るほうが問題だと思うけどな、南」
「何でこっちがお前の食事の時間を避けて電話しないといけないんだって話だ」
「それで、とっとと調査結果を知らせろ。紅茶が冷める前にな」
「ホント、お前は独身男性とは思えないくらい優雅な暮らしを満喫してるな・・・」
「悪いか」
「別に。で、例の調査結果だが、アーネストがあっさり罪を認めて裁判も何もなし、懲役三年だってよ。しかも今日から早速刑務所だ」
「・・・面倒なことになったな」
「お前達が何を企んでる位ある程度の検討は着く。それを踏まえてあえて言っておくが、やめとけ」
「俺に言われても困るな」
「ビットの奴、自分が相手の陣地の地理に詳しいからって張り切ってるかもしれないけど、向こうで大暴れなんかすれば返り討ちに合うだけだぜ?」
「だろうな。どう考えてもこちら側が不利だ。でも、それを今更言ったところで誰も聞きそうにない」
「フン、馬鹿しかいない組織で安心したぜ。ま、俺には迷惑かけない程度に派手にやってくれよ」
「分かっている。それじゃあな」
クリムゾンはそう言って、携帯を切り、今度はビットに電話をし始めた。
「・・・ビットか、例の件についてだ」
「ああ、それで結果は?」
「今日から刑務所だそうだ」
「かなり早い段階で決まったね・・・珍しい」
「アーネストという男が反抗もできないヘタレだということだ」
「うーん・・・とりあえず、詳しい作戦会議の為に訓練場に来てくれない?」
「・・・俺まで作戦に巻き込むつもりか」
「いいじゃん、どうせ仕事なんてないんだろうし」
「・・・悪かったな。仕方が無い、すぐに向かう」
「ああ、頼んだよ」
電話はそこで切れた。
クリムゾンはその後紅茶をゆっくりとすすった。相手をどれだけ待たしていても、自身の飲食のスタイルだけは絶対に変えようとしなかった。
そして、紅茶を飲み終わるとクリムゾンはソファーから立ち上がり、部屋を後にした。
北の訓練場には、ネイキッドとクラッシュ、そしてビットの三人が揃っていた。
「ねぇ、何であんなことを練習したの・・・?」
と、クラッシュがネイキッドに向かって言った。
「あんなこと、とは潜入技術のことか?」
と、ネイキッドが言った。
「うん」
「いいか、戦闘というのは常に多人数対多人数で行われるわけではない。一人で何人もの相手と戦う際に、正面から堂々と戦うのは愚の骨頂だ」
「へぇ・・・」
「そこで、いかに相手に気づかれないように相手を無力化できるかに特化した技術の訓練を今回行った。相手に気づかれないように敵陣に潜り込む、といったことは必ず役に立つ」
「でも、何でそれを今・・・」
「まぁ、その話はもう少ししてからするよ」
と、ビットが言った。
その時、三人の元に一人の男がやって来た。クリムゾンだ。
「・・・とっとと作戦内容を伝えろ」
と、クリムゾンがビットに向かって言った。
「あと一人来るのを待って、その人が来ないと作戦が決められないからさ」
と、ビットが言った。その時、誰かの声が聞こえてきた。
「・・・すみません、お待たせしました」
そう言いながら、四人の元にティアがやって来た。
「これで全員揃ったね・・・さてと、それじゃあ早速作戦会議を開始しよう」
と、ビットが言った。
「今回の作戦は、簡単に言えばアーネストさんの救出です」
と、ティアが言った。
「え!?そんなことして大丈夫なの!?」
と、クラッシュが驚きながら言った。
「ピンストライプ様には許可は取っていませんので、ばれたら大目玉を食らいますけどね」
「でも・・・アーネストを助けるんだったら、おいらも頑張る!」
「そう言うと思って、さっき潜入技術を教えたわけだ」
と、ネイキッドが言った。
「そういえば、密入国船の情報は?」
と、ビットが言った。
「明日の23時に、インドネシアから一隻、恐らくオーストラリアに寄る事は可能かと」
と、ティアが言った。
「分かった・・・よし、じゃあ作戦はこんな感じ。明日の22時に、東の森林を抜けた先にある刑務所付近に集合する。そこから塀の周りを歩いて、秘密の出入り口という抜け道を使って中に侵入する」
「秘密の出入り口・・・?一体なんだそれは」
と、クリムゾンが言った。
「刑務所での勤務って結構疲れるから、よくサボるために警官達が塀にちょっとした小細工をして出入りできるようにしたんだ。もちろん、囚人にはばれないようにね。
で、まずは一人がそこから上手く監視室まで潜り込んで、そこにいる監視員を無力化、監視カメラによる発見の恐れをなくす。
もう一人はそれを確認した後に、管理室に向かって囚人名簿を入手、そこでアーネストの牢屋番号を調べて、その鍵を手に入れる。
そして、三人目が牢屋の番号を確認した後に、牢屋付近の監視員を無力化、三人がアーネストの牢屋前に集合してアーネストを救出するんだ。
で、此処からが大変なんだけど、実は牢屋の扉には鍵による開閉以外に、遠隔のロックシステムがあって、鍵の開閉に関する情報が逐一警察署本部に送られるんだ。
鍵の開閉は決まった時間にしか行われない。作戦の時間帯はまず鍵の開閉なんて行われないから、しばらくすれば不審に思った警官がすぐにやってくる。
そこで、もしもの為に三人目の人は正面入り口から続く廊下に爆弾を仕掛けて欲しいんだ。もし警察が僕達が来る前についてしまったら、それを使って足止めをする。
そして後は一気に逃げるだけ。逃げた後は廃港まで行って彼を船に乗せて帰国させる。こんな感じかな」
「それで、作戦を実行するメンバーは誰だ」
と、クリムゾンが言った。
「僕、クラッシュ、クリムゾンさんの三人の予定。ネイキッドさんは緊急時に助けに来て欲しい。そしてティアさんはピンストライプさんに怪しまれないように本部に待機、それでいい?」
ビットがそう言うと、残りのメンバーは首を縦に振った。
「そうと決まれば早速準備しないと、というわけで、明日の22時まで、しっかりとコンディションを整えて来て」
ビットがそう言った後、クラッシュ、ネイキッド、クリムゾンの三人は準備の為に散っていった。
「・・・ビットさん」
と、ティアがビットに向かって言った。
「ん、何?」
「ご迷惑おかけして、申し訳ないです」
「いやいや、別にいいって。だって、今回みたいに警察が関わっているんだったら、一番内部事情に詳しい僕が率先して行くべきだからね」
「それもそうですし、態々クラッシュさんの願いにつき合わせてしまったことも・・・」
「新人には優しくするのが僕のやり方って奴だしね。それじゃあ」
ビットはそう言って、訓練場を去って行った。
アーネストを助けたい。クラッシュの叶わぬ願いは、様々な上司達によって叶いそうな願いへと変貌しようとしていた。
しかし、その願いを確実に叶えることが出来るほど、現実は甘くはなかった。
この作戦が、この街の未来を変える大きな一手になろうとは、まだ誰も考えていなかった。
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