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Individual Way of Life ~個々の生き様~
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二月九日
2012/09/16(日)21:27:31(12年前) 更新
Evil to Defeat the Evil ~PLC編~
街を変えたい、そんな思いの果てに出来た組織「PLC」
決して善い行いではない、しかし悪を倒すために日々努力する彼等。
そんな彼等に絶好のチャンスがやってくる・・・
「・・・昨夜二十二時頃、Chaonate市立刑務所に複数の男が侵入、被収容者のアーネスト・エミューの脱獄を扶助した。
現在犯人は全員逃走中、メンバーの数人の顔写真を公開・・・おいおい、身バレしてるじゃないか」
ピンストライプはそう言った後に、新聞を机の上に広げた。新聞にはクリムゾン、ビット、アーネスト、そしてクラッシュの顔写真がでかでかと掲載されていた。
「当分、表立った行動は控えたほうがよろしいかと」
と、ピンストライプの前に立っていたティアが呟いた。
「そうだな・・・ったく、これじゃあ十二日のレースの出場も無理だな。それで、他の面々の状況はどうなってる」
「クラッシュさんは現在部屋で寝ています。クリムゾンさんとビットさんは未だ連絡が取れていませんし、ネイキッドさんとも音信不通です」
「あいつ等の事だから大丈夫だとは思うが・・・やはり心配だな」
ピンストライプが呟いたその時、部屋の扉が開かれ、中に一人の男性が入ってきた。
「・・・悪いな、警察から逃げるのに精一杯で連絡が出来なかった」
「クリムゾン・・・まさか、ずっと逃げ回っていたのか」
部屋に入ってきたのはクリムゾンだった。常に異常なまでの清潔感を漂わせている普段の彼とは異なり、白衣には血がこびりつき、顔もやつれていた。
「ああ、此処まで来れたことすら奇跡だと言えるな・・・それよりも、ビットと連絡はつくか?」
「まだだ」
「そうか・・・クソ、もしかしたら駄目かもしれないな・・・」
「・・・どういうことですか?」
と、ティアが口を挟んできた。
「あの男、負傷した俺が刑務所から撤退しやすいように、刑務所内に最後まで残って戦ったようだ。だから、最悪のケースを考えると・・・」
「それ以上は言うな。何、ビットのことだからいつも通りひょっこり顔を出しに来るだろ」
「だと良いが・・・」
その時、部屋の電話が喧しく鳴り響いた。
ピンストライプはすぐに受話器をとり、通話を始めた。
「もしもし、俺だ」
「こちらネイキッドだ・・・すまない、手短に話す。今警察から逃げ切るために州境に向かっている。どうしても振り切れそうになければ、隣の州に逃げるつもりだ」
「負傷者はいるのか?」
「数人やられてしまった・・・俺もある女にもう少しで捕らえられそうになったぐらいだ」
「逃亡する体制に入れただけでも十分と行った所か・・・分かった、何とかして警察を振り切ってくれ。それで安全を確保してからこちらに戻って来い」
「了解、また後で」
電話はそこで切れた。
「ネイキッドも相当苦戦したらしいな」
と、クリムゾンが呟いた。
「お前等に説教するつもりで言葉も考えていたんだが、それどころじゃないな。クリムゾン、もしビットと連絡がとれたら教えてくれ。それまでは警察になんとしてでも見つからないようにしろ」
「ああ、そのつもりだ・・・フン、昨日から風呂に入っていないから不愉快で仕方ない。先に帰らせてもらう」
クリムゾンはそう言って、部屋から出て行った。
「ティア、お前は顔がバレなかったのか?」
「警察と鉢合わせにはなりましたが、丁度その時にネイキッドさんが駆けつけてくれたので、恐らく特定に至らなかったのかと・・・」
「重役が一人でもバレなかったのは良かったと考えるべきか・・・」
「・・・改めて謝ります。今回は私の勝手な判断のせいでこのような自体を招いてしまって、本当にすみませんでした」
「過ぎてしまった事は仕方が無い、ただあの新入りを此処まで優遇してやる理由が分からないな」
「・・・ピンストライプ様は、彼の目には夢が満ち溢れていると言ってましたよね」
「ああ、あの目はそこら辺の社会人のような死んだ目じゃなかった」
「ですが、私には彼が大きな夢と同時に、何か大きな不安を抱いているように思えるんです」
「不安、か。言われてみればそうかもしれないな。あの男が金を欲しがっていたのには、もしかしたら深い訳があるのかもな」
「ですから、彼の親戚があのような形で捕まってしまって、彼が更にその不安を抱いてしまうのは決して良くないと思って・・・」
「相変わらずだな。まぁいい、ティアもしばらく身を隠して休んでおけ。尻拭いは俺が引き受ける」
「・・・ありがとうございます」
同じ時間帯、クラッシュは自分の部屋でイビキをかきながら眠っていた。
太陽の光が彼の顔を明るく照らしていたが、彼は一向に起きる気配を見せない。
だが、ある物音が耳に飛び込んできたのをきっかけに、彼はゆっくりと目を開けた。
「・・・んん・・・何の音?」
クラッシュはそう言いながら体を起こし、辺りを見渡した。
その時、再び部屋の中にコツンという音が響いた。クラッシュはすぐに、音の正体が分かった。
「ん・・・誰が窓に物をぶつけてるんだ・・・?」
クラッシュは立ち上がり、窓を開けて下を覗いた。
丁度この部屋の下は裏路地になっており、時たま人が通りかかるのを目にすることもある。
そして、今日はある人物がクラッシュを見上げながら立っていたのだ。
「あれって・・・南さん!?」
其処に立っていたのは南だった。彼はクラッシュのほうを見ながら、手招きをした。
クラッシュは首を縦に振った後に部屋に戻り、外出用の服を手早く着てから部屋を飛び出した。
階段を降り、一階から外に出た後すぐにクラッシュは裏路地へと走って行った。
「よ、犯罪者」
と、裏路地に立っていた南がクラッシュのほうを向いて言った。
「い、いきなり何!?」
「今メディア連中はお前達のことを騒ぎ立てまくっているから、お前はもうこの街の超有名人だ。良かったな」
「いやそれ全然良くないような・・・」
「店に入れば店員に睨まれ、裏で警察に通報される。そんな生活がお前を心からお待ちしているぞ」
「そ、そうだよね・・・ってことは、おいらってこれからはコソコソと生きていくしかないの?」
「ああ、これで晴れて俺達と同じラインに並ぶ準備が出来たってわけだ」
「・・・どういうこと?」
「いやな、俺だってこういう仕事をしている以上は、あんまり表立って行動とか出来ない。でも飯はやっぱり旨い物が食いたいから、飯屋には行きたい。さぁ此処でお前ならどうする」
「どうするって言われても・・・宅配ピザを頼むとか?」
クラッシュの酷い解答に、南は呆れた表情を浮かべて両手を広げて首を横に振った。
「それだと住所がバレちまうだろ・・・もう少し犯罪者としての自覚を持てって」
「じゃあ答えは何さ?」
「通報されない店に行けばいいだけの話だろ?」
「何その意地悪問題みたいな答え・・・」
「ま、そんな事はともかく、お前もそういう店をある程度知っておいたほうが良いって事を伝えに来てやった。それだけだ」
「え、店を紹介してくれるとかは・・・?」
「そうだな・・・一店舗につき情報料10ドルでどうだ」
「そんなことにはお金を要求してくるの!?いいよ、他の人に聞くから」
「それが賢明だな。じゃ、俺はそろそろ別の用事があるから」
南はそう言って、裏路地の奥へと消えていった。
「おいらはもう犯罪者、か・・・いよいよ引き下がれなくなってきた・・・」
クラッシュは自分に言い聞かせるように呟き、再び自分の部屋へと戻っていった。
昼下がり、クリムゾンは自身の家のリビングにいた。
彼の座っていたソファーの前にあるテーブル、その上にはいつもなら豪勢なランチが置かれているはずだった。
だが、今は彼の携帯電話が一つ置かれているだけだった。
「・・・未だ連絡なしか」
と、クリムゾンは静かに呟いた。
待てども待てども携帯電話が音を放つ様子は伺えない。
「チッ、一体あの後何があったんだ・・・」
その時、クリムゾンの携帯から電子音が響いてきた。
クリムゾンは目をカッと開き、即座に携帯電話を手に持った。
だが、携帯の画面を見て、クリムゾンはため息をついた。
「・・・何か用か」
クリムゾンは携帯を耳に当てて、そう言った。
「今、家にいる?」
「ああ、だがそれがどうかしたか?」
「お話とかしない?色々言いたいこともあるし」
「・・・くれぐれも警察がいないことを確認してから来い。いいな」
「ええ、分かってる。じゃあ後で」
電話はそこで終了した。
「・・・紛らわしい真似を」
クリムゾンはそう呟き、また携帯を机の上に置いてじっと待っていた。
数十分後、扉をノックする音がかすかに聞こえてきたため、クリムゾンは玄関へと向かった。
覗き窓から外を見ると、其処にはミストが立っていた。
「・・・来たか」
クリムゾンは鍵を開けて、扉を開いた。
「つけられてはいないから心配しないで」
「・・・中で話を聞かせろ」
「そうさせてもらうわ」
ミストはそう言って家の中に入ってきた。
クリムゾンは扉の外に顔を出して辺りを確認した後に扉を閉め、厳重に鍵もかけた。
そして二人はそのままリビングへと向かった。
「適当な場所に座ってくれ」
クリムゾンはそう言いながら、ソファーに腰を掛けた。
「ありがとう」
ミストはそう言って、クリムゾンと向かい合うようにして座った。
「それにしても、今朝のニュースを聞いて驚いた。アレだけ大掛かりに脱獄を手伝うとは思ってもなかったわ」
「アクシデントがいくつかあったらしくてな。それで、話は何だ?」
「昨日の事とは関係ないんだけど、今日DevilとRooの二陣営がDragonの本拠地に殴り込みに行くらしい」
「・・・聞きたいことが二つある。まず、悪魔と猿が何故手を組んでいる?」
「知らなかったの?あそこ、同盟を結んだらしいの。理由は、恐らくあなた達に対抗するためじゃないかしら」
「・・・二つ目の質問だ。情報は何処からだ?」
「DACB。知ってるでしょ?」
「フッ、あいつか。ならその情報はデマだな。あの男は昔から虚言癖が酷いからな」
「まぁ自称凄腕の暗殺請負人とか言っちゃってるし、風呂敷を広げるのが得意なのは確かだろうけど、この情報は信用していいと思う」
「どうして言い切れる、他に理由があるのか?」
「何か、今回の作戦のキーマンは俺様だ!!・・・みたいなこと言ってたし」
「・・・こっちまで頭が痛くなるくらいの馬鹿だな」
クリムゾンはそう言って、右手で頭を押さえた。
「とにかく、Dragonの所とあなた達の所って同盟結んでるんでしょ?だから一応伝えに来たって話」
「ピンストライプに直接言いに行けばいいだろ」
「それは・・・まぁ細かいことは気にしないで。じゃあ、それだけだから」
ミストはそう言ってソファーから立ち上がり、リビングを立ち去っていった。
「次から次に厄介事が起こるな・・・」
クリムゾンはそう呟いたその時、再び携帯電話が鳴り響いた。
携帯を手に取って画面を覗いたクリムゾンは、即座に電話に応じた。
「・・・ビットか、状況は?」
「何とかやってるよ。今は刑務所からの追っ手をやり過ごすために森に隠れてる」
「森・・・?この時期は木が枯れて逆に見晴らしがよさそうだが」
「常緑樹林、ってやつじゃないかな。刑務所より更に東に向かった所にある森は緑で一杯だから丁度良かったんだ」
「そうか、まぁいい。こっちに帰る事は出来そうか?」
「うーん・・・若干厳しいかも。でも、そろそろ捜索も終わりそうだし、明日には帰れると思う」
「野宿でもするつもりか?凍死するぞ」
「それが偶々森の中に廃屋を見つけてさ、夜は其処に隠れてやり過ごせそうなんだよね」
「悪運だけは尽きないな。分かった、また何かあったら連絡しろ」
「ああ、それじゃあ」
電話が切れた後、クリムゾンは次にピンストライプに電話を掛けた。
「・・・もしもし、ビットの件か?」
「ああ、ビットに関しては今も逃亡中だが、問題はないらしい」
「本当か、そりゃあ良かった」
「後、もう一つ伝えるべきことがある」
「ん、何だ?これ以上面倒事を増やす気か?」
「・・・今日、悪魔と猿の連中が竜の所に襲撃をかけるらしい」
「・・・クリムゾン、お前が冗談を言うなんて珍しいこともあるもんだ」
「俺がこの状況で冗談を飛ばすような馬鹿な男だと思うか?」
「クソッ、タイミングが最悪すぎる・・・!今表立って行動できる連中が一人もいないのに、どうすればいいんだ・・・」
「フッ、ピンストライプ、逆に考えろ。これは図らずともお前の夢の実現が一歩近づくチャンスだと」
「そうは言っても放っておいたら別の問題に発展するだろ。こうなったら下っ端の連中に行かせるしか・・・」
「・・・なら、俺が行ってやってもいいぞ」
「それ、今度こそ冗談だよな?」
「相手に顔の知れた男がいるらしくてな。もしかしたら止めることが出来るかもしれない」
「・・・頼むから、無茶だけはしないでくれ。いいな」
「ああ」
クリムゾンはそう言ってから電話を切り、携帯をポケットにしまってからゆっくりと立ち上がった。
「竜の本拠地は、確か南東の高級住宅街のどこかにあったはずだな。とりあえず足を運ぶか」
夜、東側の森の中に一軒のボロボロの小屋がひっそりと佇んでいた。
辺り一面が真っ暗闇に包まれいる中、その小屋の中だけぼんやりと明りが灯っていた。
「ふぅ・・・このくらいの火でもやっぱり暖かくて助かる」
小屋の中、燃え上がる暖炉の炎の前でビットは手を当ててしゃがみ込んでいた。
その小屋は外見こそ酷く寂れていたものの、中はある程度綺麗で、いくつかの保存食も賞味期限が切れることなく保管されていた。
その内のいくつかを拝借していたビットは、早速封を開けて食べだした。
「いい加減捜索の手が止んでもおかしくないだろうけど、今日一杯は此処のお世話になろっと」
ビットが保存食を食べながら呟いたその時、小屋の外からかすかに物音が聞こえた。
即座に立ち上がったビットは、床に置いていた鞘を左手に持ち、小屋の入り口に向かって忍び足で歩いていった。
どうやら小屋の外に誰かいるようで、足音がわずかに聞こえてくる。
ビットは近くの置物の影に身を潜めた。
その時遂に小屋の扉が開かれ、中に一人の大柄な人物が入ってきた。が、外は暗く小屋の中も明りは暖炉だけだったので顔がはっきりと見えない。
「・・・どうして暖炉がついているんだ?」
暖炉を消す余裕なんて全くなかったビットは、小屋の中に誰かが入ってきたら即座に仕留めようと考えていた。
だが、相手の声を聞いてビットは刀に手をかけるのを躊躇した。
何故ならその声に聞き覚えがあったからだ。しかも警察関係者ではない、ある意味もっと厄介な相手である。
「逃げた痕跡は見つからない・・・まだこの小屋の中にいやがるな」
男は小屋の中を見回りながらそう呟いた。
ビットは物陰から顔を少しだけ出して、相手の様子を伺った。
相手は歩く時に足を引き摺っており、どうやら怪我をしているようだった。
その状況なら、ある程度はこちらが有利なはず。ビットはそう考えて大胆な行動に出た。
「ああ、ちょっとお邪魔させてもらってるよ」
ビットはそう言いながら、物陰から出てきた。
男は急いで振り返り、ビットのほうを睨んだ。
「・・・お前は、PLCの・・・」
「そうそう、その通り。それにしても、まさか悪魔のお偉いさんがこんな所に家を持ってるなんて思ってもなかったよ、クランチ」
「其処は別にいいだろう。で、一体何の用事だ?」
と、クランチが言った。
「ま、色々あってさ。大丈夫、別にキミに危害を加えるためにこの小屋に忍び込んだわけじゃない」
「・・・ああ、アレだな。昨日の事件に関係してるんだろ。だから道中あんなにサツが多かったのか・・・」
「へぇ、もう情報が回ってるんだ。そりゃあ面倒だ」
「今もそこら中で警察が血眼になってお前達を捜している。俺だって面倒事に巻き込まれたくないからとっととお前を突き出したいが、俺も職業柄無理だからな・・・」
「それに見た感じ怪我してるようだし、此処で僕を倒すことも追い出すことも出来そうに無い、そんな感じ?」
相手は怪我をしている上に、警察と関わることもできない。このまま強気に出れば、こちら側が不利な状況に立つことは無いはずだ。
「・・・フン、それでお前はどうしたいんだ?今夜一杯此処で過ごしたいのか?」
「まぁそんな所かな。今夜を乗り越えれば、捜査の手が多少は緩むだろうし」
「そうか、だったら自由にしてくれ。だが、俺はお前と一緒にこの小屋で泊まるのは御免だ」
クランチはそう言って、小屋の出口へと歩いていった。
そして、扉に手をかけようとした時、後ろを振り返ってビットのほうを見た。
「いくつか忠告がある。まずこの小屋は俺にとって大事な場所だ。出来るだけ丁寧に扱ってくれ」
「その点は心配要らないからさ」
「それともう一つ。今夜俺達の所が戦争を起こすということだけ伝えといてやる」
「・・・戦争?何処とやるんだい?」
「さぁな、其処まで教える義務は無い」
クランチはそう言って再度振り返り、小屋の扉を開けて外へ出て行った。
「戦争か・・・悪魔の所が動くなんて珍しい」
ビットはそう言って再び暖炉のほうへ向かい、燃え盛る炎に手をかざした。
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