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Individual Way of Life ~個々の生き様~
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二月二日
2012/05/29(火)00:09:45(12年前) 更新
The Exitence of Absolute Evil ~Devil Family編~
裏社会を思うがままに支配し、恐怖政治で街を恐れさせる「Devil Family」
だが、その恐怖もまもなく終焉を迎えようとしている。
組織の崩壊の危機は、刻一刻と迫ってくる・・・
「はーい、皆さんおはようございまーす。Chaonate City Newsのお時間でーす!
ニュースを読み上げるのは、いつも通りパサディーナ・オポッサムよ!
まず最初のニュースはこちら!
Chaonate City西南部で発砲事件、男性一名死亡ですって。
警察によればどうやら死亡した男性はマフィアのメンバーの一人のようね。
・・・もう、毎日こんなニュースばっかりじゃないのよ。
それで、しかも付近の道路ではスクラップの車が・・・車ですって!どこのメーカーのどのタイプの車なのかもちゃんと書いといてよ!気になるじゃないのよ!
全く、あの鶏ホント使えないんだから・・・
あら、これは失礼~それじゃあ次のニュースを・・・」
男はテレビの電源を切った。
ここはChaonate City西部のリゾート地にある巨大ビルの“パープルコンクリート”の一室である。
そこのビルは言わばDevil Familyの本拠地であるため、一般の人間は殆ど近づかない。
男は受話器を持つと、誰かに電話を始めた。
「ルミちゃ~ん、コーヒーまだかい?」
「今ねぇ、お湯沸かしてるから、もうちょっと待ってほしいの」
「そうだったのか~い。お湯で火傷しちゃ、ダメだよ~。やかんの持ち手部分も熱くなってるから、布巾で巻いて持って頂戴よ~」
「もーう、ルミそんくらい分かってるよー!ホント、ビスカントって心配性なんだから!」
「怒った?ごめんね~。それじゃあ、ルミちゃんの美味しいコーヒー待ってるよ~」
「はいはーい・・・アチッ!」
ビスカントと呼ばれた男は電話を切った。
「本当にルミちゃんは可愛いなぁ。グヘヘ・・・それにしてクランチはえらく手間取っているな」
ビスカントがそう言った時、扉をノックする音が聞こえた。
「誰だ?名乗り給え」
「クランチです。例の男を連れてきました」
「そうか、入れ」
ビスカントがそう言うと、部屋の中にクランチとフレイ、そして一人の男が二人に掴まれた状態で入ってきた。
男は恐怖で顔が真っ青になっていた。
「こいつが、昨日PLCと取引をした男か」
と、ビスカントが言った。
「ええ、こいつがあそこのゴミ箱の中にダイヤを隠し、PLCに取りに来させるというやり方を行ったそうです」
と、クランチが言った。
「そんなことしといて、今朝中央部のホテル“レッドブリック”のカフェでのうのうと朝食を食ってやがったんだぜ。堂々としすぎて逆に見つけにくかったってんだ」
と、フレイが言った。
「ち、違う!俺はそんなことやってない!」
と、男が叫んだ。
すると、コーヒーカップが乗ったお盆を持ったルミナリーと言う名の女性が入ってきた。
「えぇ~?でも、調べたらあんたにとっても似た顔の男が、昨日の夕方、例の路地のゴミ箱を漁ってたって情報があったんだけどー?もしかしてドッベルゲンガ-?」
ルミナリーは、ビスカントの机にコーヒーを置いた。
「そ、それは・・・他人のそら似ってやつじゃあ・・・」
「全く、言い訳の多い男だ。クランチ、あれを」
「了解しました」
クランチはそう言うと、懐からSAAを取り出し、男の頭に銃口を突きつけた。
「ヒ、ヒィー!!」
男はあまりの恐ろしさに失禁してしまった。
「その年でお漏らしかよ。まだオシメ外すの早かったんでちゅね~」
と、フレイがからかいながら言った。
「正直に言ったらどうなんだね?んん?君だってこんな場所で死にたくないだろ?」
ビスカントはそう言って立ち上がり、コーヒーカップを手に持つと、男に近づいた。
そして、男の頭上から熱々のコーヒーをぶちまけたのだ。
「ギャアー!熱い!熱い!」
男はその場でのた打ち回った。
「ルミちゃんのコーヒー、頭から浴びれるなんて贅沢な男ねぇ」
ルミナリーはそう言って男の腹を思いっきり蹴り飛ばした。
「す、すみません!確かに私がダイヤをあそこに隠しました!」
と、男は半泣きになりながら言った。
「やっと吐いたか。でも、私への謝罪の仕方がなってないねぇ」
と、ビスカントがニヤニヤしながら言った。
男はすぐに土下座の体制をとった。
ビスカントは男の頭を右足で踏みつけた。
「このビスカント様の島でそんなことしてもらっちゃあ困るんだよねぇ。もう絶対にしないかい?」
「はい!もう、金輪際こんなことはしません!」
「最初からそう言っておけばいいものを。ルミちゃん、窓を開けて頂戴」
「は~い」
ルミナリーはそう言って、部屋の窓に近づき、窓を開けた。
ビスカントが右足を引いた後、クランチが男を抱え上げた。
「ちょ、え、何をするんですか!?」
と、男が困惑しながら言った。しかしクランチは返事をせず窓に近づいた。
「下は海だから、アクロバティックに飛び込めば怪我しないぜ?」
と、フレイが言った。クランチは、男を窓の外に放り投げた。
「う、うそぉー!!」
男は叫びながら落ちていってしまった。
「ルミちゃ~ん、悪いけど、床を拭いてちょうだいね~」
「え~、あんな野郎のオシッコ触れたくないよ~!」
「そう言わないでさぁ、おやつにアップルパイ食べていいから」
「ホント!?じゃあルミちゃん頑張って掃除する~!」
ルミナリーはそう言って、モップを取りに部屋を出て行った。
「では、我々は仕事に戻ります」
と、クランチが言った。
「うむ、頑張っておくれ」
「俺達にもご褒美ねぇのか?」
と、フレイが言った。
「図々しいぞ!早く行け!」
「・・・ちぇっ、ケチな野郎だ」
フレイとクランチも、部屋から出て行った
「・・・さて、向こうのほうはどうなっているか・・・」
ビスカントはそう言うと、再び受話器を手に持った。
「はい、こちらアネットです」
「アネットちゃ~ん、例の件はどんな感じだ~い?」
「えーと、今のところまだ取引は始まってないみたいですね・・・まだDragon Familyの連中しかいないみたいですし」
「そうか~い・・・それじゃあ、また動きがあったら電話してちょうだ~い」
その時、雑巾を手に持ったルミナリーが部屋に入ってきて、汚れた箇所の掃除を始めた。
「パイパイパイパイアップルパ-イ♪さくっと美味しいアップルパイ♪」
ルミナリーはおやつにアップルパイを食べれると言うこともあり、ご機嫌な様子でしゃがんで掃除をしていた。
ちょうどビスカントと向き合った状態でしゃがんでいたため、ビスカントのいる場所からはルミナリーのある箇所が見えていた。
「はい・・・あ、来ました来ました!あれは・・・中国系のマフィアグループですかね」
ビスカントは電話をしながら、ルミナリーのほうをチラッと見た。
「ヌフッ・・・本当かい・・・引き続き監視してちょうだい・・・ヌフフ」
「引き続き監視は続けますが・・・あの、ビスカントさんどうかしたんですか」
「いや、何でもないさ・・・え、ルミちゃん違うんだよ!」
「違うって何が違うのよぉ!一体どこ見てたの!?」
「け、決してルミちゃんの白いパン・・・」
「きゃー!!このスケベ親父!!」
「ご、ごめんって!や、やめてくれー!!」
アネットと言う名の女性は呆れながら電話を切った。
「やれやれ・・・ビスカントさんのスケベ癖は相変わらずね・・・」
と、アネットは小さな声で呟いた。
アネットは今、南部の国際空港のカフェにいた。
空港の乗り場付近では、Dragon Familyと思わしき男達と、中国系マフィアらしき男達が集まっていた。
「アネットさん、例の連中が来ましたね」
と、アネットの隣に座っていた舞姫が言った。
「私達も動きましょう。舞姫さん、車を出しましょう」
「了承」
舞姫とアネットは立ち上がった。アネットはポケットからお金を出してテーブルに置き、二人は例のグループを見ながら外に出て行った。
外の空港前ロータリーには黒光りする大量の車が既にスタンバイされていた。
「えらく大掛かりね・・・一体取引内容は何かしら」
と、アネットが言った。
「とりあえず今は尾行優先です。こちらへ」
舞姫はそう言って、ロータリーの端のほうに止められた一台の青いスポーツカーのところへ歩いていった。
そして車の鍵を開け、中から傘を取り出した。
アネットも舞姫に近づいた。
舞姫はすぐに傘を開き、二人の顔が相手から見えないように隠した。
「暫くはここで待機しておきましょう。これで顔バレは防ぐことが出来るはず」
舞姫とアネットは傘の影から相手を監視し続けた。
しばらくして空港の入り口から続々とマフィア達が出てきた。
そして途中で一人の大柄な男性が、中国マフィアのボスと思わしき男と会話をしながら出てきた。
「間違いない、モーね」
と、アネットが言った。
「彼自身が出てくるあたり、相当大きな取引のようですね」
と、舞姫が言った。
モーと呼ばれた男性と中国マフィアのボスは同じ車に乗り込んだ。
そしてその取り巻きも次々と車に乗り込んでいった。
そして車は二列になり、続々と走っていった。
「さぁ、行きましょう」
舞姫はそう言って即座に車に乗り込んだ。アネットも助手席に乗り込んだ。
舞姫はすぐにアクセルを踏み、車を発進させた。
幸いにも相手の集団は非常に目立っていたため、かなり遠方からでも見失わずに追跡することができた。
「この方向だと、恐らくレッドブリックで話をするようですね」
と、舞姫が言った。長年この街で活動している彼女等にとって、相手の進む方向で大体の目的地が把握することなんてたやすいのだろう。
「では、別の班に盗聴器を仕掛けさせましょうか」
アネットはそう言って、携帯電話を手に持った。
「・・・またあそこかよ。分かった、とっとと済ましてくるわ」
フレイはそう言って、電話を切った。
彼は今、カジノで経理の仕事をしていた。
フレイは机の引き出しから盗聴器を取り出し、再び携帯電話を手に持った。
「・・・も、もしもし、ビスカントだ」
「こちらフレイ。今から取引場所に盗聴器を仕掛けてくる。いつものナンバーで盗聴してくれよ」
「ほぅ、分かった。しくじらないように頑張ってくれ」
「俺がしくじる訳ねぇだろ?ま、悠々と部屋で盗聴を楽しんでくれって」
フレイはそう言って電話を切った。
フレイは部屋を出て、屋上に向かった。
しばらくしてフレイは屋上にたどり着いた。フレイは東の方向を向いた。
「風は普通ってところか。ま、大丈夫だろう」
と、フレイが呟いた。
そしてフレイは準備運動をした後、カジノの屋上から大きくジャンプしたのだ。
そしてフレイは大きく翼を広げた。すると下からの上昇気流がフレイの体を上に大きく飛ばしたのだ。
「やっぱりこの移動方法が一番楽だぜ!」
と、フレイは機嫌良く言った。
フレイがいたカジノは二十五階建てなのに対し、目的地のレッドブリックは十五階建てなので、よほどのことがない限り空を飛んでいけば楽々レッドブリックに渡ることが出来るのだ。
フレイは気持ちよく空を飛びながら、地上を見た。遥か下ではミニカーくらいの大きさに見える車が忙しなく行き交い、豆粒のような人々がたくさん歩いていた。
「ホント、この楽さを味わっちまったら地上の移動なんてかったるくてありゃしねぇぜ」
しばらくして、フレイはレッドブリックの屋上に着陸した。
フレイは右手に空気銃を装備した。
「それじゃ、ミッション開始と行こうか」
フレイはそう言って、屋上から建物内部へと侵入した。
当然不法侵入なので、フレイは係員に見つからないよう慎重に行動した。
「・・・来てみたはいいが、どこの部屋で取引が行われるかわかんねぇな・・・」
と、フレイが呟いたその時、フレイの横の扉から係員が出てきた。
「・・・お客様、ホテル内で銃器を構えるのはおやめください」
と、係員がフレイに向かって言った。
「その部屋、係員室か何かか?」
と、フレイは係員のほうを向いて言った。
「そうですが・・・お客様、早く銃をおしまいください・・・さもないと警察に・・・」
係員が続きを言おうとしたその瞬間、フレイが空気銃の引き金を引いた。
銃口から突風が飛び出し、係員は壁に打ち付けられて気絶してしまった。
「温いぜ」
フレイはそう言って、係員が首から下げていたカードを奪い、係員を抱きかかえて係員室に入った。幸いにもその部屋には誰もいなかった。
フレイはまず部屋にあったロッカーの中に係員を詰め込んだ。
「しばらくお寝んねしておいてくれよっと。さてと、顧客名簿を探すか」
フレイはそう言って、係員室に置かれていたファイルをぺらぺらとめくり始めた。
「・・・あったあった、代表者はコモド・モーで、部屋は・・・5階の大部屋だな。エレベーターを使おうっと」
フレイはそう言って、係員室を後にした。
そして、フロアのエレベーターの所に行き、ボタンを押した。
その際もフレイはあたりを見回し、警戒を怠らなかった。
しばらくしてエレベーターが来たので、フレイはエレベーターに乗り込んだ。
「ふぅ・・・もう一息だな」
フレイはそう言って、空気銃を懐に隠した。
エレベーターが五階に着き、扉が開いた。
その瞬間このフロアに異様な雰囲気が漂っていることが分かった。
「マフィアのえらいさんが集まるだけあって、かなりピピカピかに掃除されてやがるぜ」
フレイが言ったその時、携帯電話が鳴った。
「もしもし、フレイだけど?」
「フレイさん、連中はあと五分くらいで到着しそうです」
電話をかけてきたのはアネットだった。
「そうか、分かった。すぐに終わらすわ」
フレイはそう言って電話を切った。
「・・・さてと、これで何とかするか」
フレイはそう言うと、さっき係員から奪ったカードを取り出した。
「お、顔写真もついてねぇし大丈夫だな」
フレイはカードを首からぶら下げ、堂々と大部屋に向かって歩き出した。
途中で何人ものマフィアと思われる男とすれ違ったが、
幸いにもフレイのことを知っていなかったようで、ただの係員としてスルーされた。
そしてフレイはいとも容易く大部屋の前に来た。
大部屋の前にもマフィアが一人立っていた。
「・・・最後のチェックをしたいので、中に入らせてもらえませんか?」
と、フレイはマフィアに向かって言った。
マフィアは一瞬怖い顔をしたが、カードを見てすぐに顔を戻した。
「ああ、ボスに大目玉食らいたくないからしっかりチェックしてくれよ」
「ええ、もちろん。では、中に入らせてもらいます」
フレイはそう言って部屋の中に入った。
部屋の中は既に完璧にセッティングされており、チェックする場所なんてなかった。
フレイは扉を閉めると、ほっと一息ついた。
「心配しなくても、お前は一生怒られることなんてねぇよ。責任負わされて殺されるだけさ」
フレイはそう呟くと、部屋に置かれていた観葉植物に近づいた。
そして、観葉植物の鉢植えを持ち上げ、鉢植えの底に盗聴器を貼り付けた。
「よし、テストしてみるか」
フレイはそう言って携帯電話を手に持った。
「・・・もしもし、ビスカントだ」
「フレイだ。今からマイクテストをするから盗聴ナンバーを押してくれ」
「ああ・・・準備完了だよ」
「分かった」
フレイはそう言って、携帯電話を口元から離し、観葉植物から離れた。
「アーアーアー・・・こんな感じでいいか?」
フレイはそう言った後再び携帯電話を口元に近づけた。
「十分聞こえる。フレイ、ご苦労だった」
「このくらいお茶の子さいさい。それじゃあ、報酬はたんまりと・・・」
「この程度でボーナスが出るとでも?」
「・・・じゃあな」
フレイはそう言って電話を切った。
「ケチが」
そう吐き捨てた後、フレイは大部屋を後にした。
「これでもう完璧ですよ。マフィアの方々も大満足するでしょう」
フレイは立っていたマフィアにそう言って、エレベーターに向かった。
ビスカントは、自分の部屋で顔についた傷に薬を塗っていた。
「おー、イタイイタイ・・・ルミちゃん、いくらなんでも爪を立てないでもいいじゃないか・・・」
と、小さな声で呟いた。その時、部屋の電話が鳴った。
「もしもし、ビスカントだ」
「こちらアネット。例の相手がレッドブリックに到着しました」
「おおそうか、ご苦労ご苦労。では、そちらの班はもう帰っていいぞ。見つからないようにな」
「分かりました。では、切りますね」
アネットの言葉の後、電話が切れた。
「では、盗聴を始めようか」
ビスカントはそう言って、電話にダイアルを入れた。
しばらくして、電話についているスピーカーから声が聞こえ始めた。
『・・・では、これから例の件のお話を始めたいと思います』
『ええ、それではまずブツを見せてください、モーさん』
『こちらです』
『ほぉ・・・なかなか純度が高そうだ』
『そりゃあ、もう本場モノですからね。メキシコで熾烈な争いの末に勝ち取ったブツですから』
『そのようなものをこんな安全な街で取引させてもらえるなんて、幸いですよ・・・ヘッヘッヘ』
『確かに、この街くらいマフィアにとって安全な場所はないですね。それでは、値段は予告していた通り、これで3万ドルで』
『もちろんいいですとも。それでは、取引成立ですな』
『ええ。では、お帰りはどうしましょうか』
『我々だけで空港に行くとしよう。ブツは我々のチャーターした船で送っておくことにする』
『最近サツの目が厳しいですからね。お気をつけて』
ビスカントはそこで盗聴を止めた。
「・・・安全な街か。果たしてそうかな?」
ビスカントはそう言って、また別の場所へ電話をかけた。
「・・・名は何だ?仕事の話ならいつもの名前で頼むぜ」
と、受話器から男の声が聞こえた。
「絶対的な悪の頂点に立つ悪魔」
「・・・用件を聞かせろ」
「・・・レッドブリックから空港にかけて、中国系マフィアの一団が車で移動中だそうでね。彼等を一掃した後、ヤクを盗んできてもらいたい。報酬は1万ドルだ」
「了解だ。首を長くして待っとけ」
「頼んだぞ、ABCDくん」
「てめぇ、俺様の名前はDACBだって言って・・・」
ビスカントは男の声を無視して電話を切った。
「チッ、気分の悪い野郎だ。何回俺様の名前はDACBだって言えば覚えれるんだってんだ」
と、DACBと言う名の男が小さな声で呟いた。
男は今、街の北側にある廃墟の中にいた。その場所に住んでいた人は既に違う場所に引っ越しており、人気のない土地だったこともあり、今はDACBが無断で簡易的な寝床として利用していた。
DACBは銃のセットされたホルスターを腰に巻き、壁にかけていた藍色のマントを羽織った。
そして懐に予め作成しておいた爆弾を隠すと、建物の外に出た。
そして、建物の近くに止めてあった彼のバイクに乗り、エンジンをキックで始動させた。
「さて、仕事の時間だ」
DACBは冷静にそう言って、マントをなびかせながらバイクを走らせた。
道路の制限速度など一切考慮せず、物凄いスピードでバイクを走らせて行った。
「空港へ向かっているなら高速に乗っているだろうな」
DACBはそう言いながらバイクを走らせ続け、街の中央部北側に存在する高速道路乗り場から高速道路に入った。
DACBは更にバイクの速度を上げて行き、すぐに街の中央部付近高速道路までやってきた。
DACBはそこでバイクを端に寄せ、バイクを止めた。
「ここで待っていれば大丈夫だろうな」
と、DACBが呟いた。
すると、中央部の高速道路乗り場から大量の黒光りした車が続々とやってきた。
車はDACBの存在に気づくこともなく、南方向の空港に向かって走っていった。
DACBはすれ違う車の中にうっすら見える人物の顔を即座に判断した。
「中国顔のスーツ姿。ビンゴか」
DACBはそう言うと、再びバイクを走らせ、車を追った。
そして、左手でホルスターからProを取り出すと、最後尾を走る車の後部に向かって銃弾を撃ち込んだのだ。
すると、銃弾を撃たれた車を始めとして、続々とその場で車の集団が停車していったのだ。恐らく銃を撃ってきた相手を始末するために車を止めたのだろう。
車に乗っていたものたちは続々と降りてきて、銃を構えた。彼等はすぐに犯人が後ろを走るDACBだと分かった。
だが、DACBはバイクを走らせながらProをホルスターにしまい、懐から爆弾を取り出すと、どんどんと停車している車に向かって近づいていった。
そして、遂に相手が銃を撃ち始めたその時、DACBがバイクの前輪を浮かせ、ウィリー走行をさせた。
そして車に向かって突っ込んでいくと、何と車を発射台の如く利用してバイクをジャンプさせたのだ。
「中国の連中はもっと銃の腕を上げろって話だ」
DACBはそう言って、左手に持っていた爆弾のピンを口で外し、下の車の集団に向かって落とした。
爆弾は地面に落ちたその瞬間爆発し、それに連鎖して次々と車が爆発していった。
DACBは爆風に巻き込まれないぎりぎりの場所にバイクを着地させると、バイクから降りて燃え盛る一台の車に近づいた。
車の中でボスらしき男がバッグを手に持ちながら苦しんでいる姿が見えたので、DACBは再びProを構え、車の外から銃弾を撃ち込んだ。
そして、炎の熱さに動じることもなく車の扉を開け、中からバッグを取り出し、中身を確認した。
「・・・なかなかいい買い物が出来たのに、残念だったな」
DACBはそう吐き捨てて、バイクに戻っていった。
そしてバイクを再び走らせると、北側に向かって高速道路を走らせていった。
しばらくバイクを走らせた後、DACBは西部のビルの前でバイクを止めた。
すると、ビルの入り口から一人の女性が出てきた。
「あ、ABCD!」
「DACBだ!」
「ごめんねぇ、ルミはあんたの名前なんて一々覚えてられないの。で、今日は何の用事?」
「ビスカントにある物を渡しに来たんだよ。通してくれ」
「ふーん、ホント?嘘ついてたりしない?」
「嘘ついて何になるんだよ。今日はこれを渡しに来たんだよ」
DACBはそう言って、ルミナリーにバッグを渡した。
「・・・へぇ~、ABCDにしてはいい仕事するじゃん」
「てめぇなぁ・・・何度言えば分かるんだよ!」
「ビスカントはこれにいくら払うって?」
「・・・1万だ。まぁ、妥当ってところだな」
「えー、それだけの量に1万?まぁ、ビスカントが言ったのなら仕方ないかぁ・・・」
「さぁ、もういいだろ」
DACBはそう言って、ルミナリーからバッグをひったくると、ビルの中に入っていった。
何気ない日常・・・ではないが、この街ではありきたりな風景。
この風景が毎日のように続くと、今は全ての者達が思っていた。
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