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クラッシュ・ウェスタン2 ~Leute beim Edelstein~
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第十五章
2012/06/01(金)23:50:33(12年前) 更新
これより下は本編です
・・・
「・・・ちょっとリラ・ルー、あんた薬の配分間違えたんじゃないの?」
「いや、ブリオはんは十五分だけ眠りにつく睡眠薬やって言ってたから大丈夫やろ」
・・・何者かの声が聞こえる。聞いた事のある声だが、仲間の声ではないことは確認できる。
「ったく、上の連中もめんどくせぇ作戦を提案するよな。敵は近いんだから総攻撃を仕掛けるのが手っ取り早いはずなのによ」
「・・・そうしたところでこっちの雑魚どもがあいつ等に勝てるとでも?」
「カタパルトと俺とニーナの三人が頑張ればどうにでもなるだろ?後は科学者連中も戦わせりゃ完璧だな」
「・・・科学者なんて所詮戦い知らずの腰抜け野郎だ。戦力にはなるまい」
「誰が単身で戦わせるんだよ。エヌ・ジンとかのロボットとかで戦わせたら十分だろ」
あたい・・・どうやらVaterの基地にいるみたいだ。
ザンナーはその場から動こうとしたが無理だった。どうやら椅子に手足を縛られているようだ。
「あ、やっと目が覚めた。おはよー、おばさん」
「ん・・・あたいのどこがおばさんなのよ・・・あんたが若すぎるだけでこっちは世間一般ではまだ若いのよ」
「はいはいそんな言い訳は置いといて、とりあえず今あんたが置かれている状態を確認させてあげるわ」
「言われなくても分かる。あたい、捕まってるんだろ?それで、何が目的か早く言ってよ」
「悪役が相手の女をとっ捕まえる理由なんて限られてるだろ。相手をこの基地に誘い込むって寸法さ」
と、フレイが言った。
「あら、じゃああたいお姫様の役?」
「普通はな。だが今回はちょっと違う。悪いお姫様の役だ」
「どういうことよ?まぁ、あんたたちがやることなんてどうせ催眠術でもかけて操ったりするんでしょ?」
「・・・敵に捕まっておいてその度胸の据わり方。やはり記憶を失っても元は変わらないか」
と、カタパルトが呟いた。
「き、記憶!?まさか記憶をいじるんじゃないでしょうね!?」
と、ザンナーが大声で言った。
「あいにく記憶がいじれるほど科学は進歩していないわよ。でも、呼び戻すことなら可能」
ニーナはそう言うと、ポケットから例のオパールを取り出した。
「記憶を戻す!?一体そんなことして何がしたいのよ!?」
「それは記憶が戻ったら教えてあげる」
ニーナはそう言うと、ザンナーの目の前にオパールを持って行った。
「さぁ、この宝石をじっと見るの。そうすればあんたの望みどおり記憶が戻ってくる。そうそう、記憶が戻る時に頭が痛くなるかもしれないけど、あんたなら十分耐えれるはずよ」
ザンナーは無意識のうちに宝石を凝視していた。その時、ザンナーの頭に激痛が走った。
「う、うぅ・・・頭が・・・」
頭が割れるように痛い。今まで経験したことのないほどの激痛だ。
ザンナーはあまりの痛さに手足をばたつかせた。とっさにフレイがザンナーの体を押さえる。
「もう少しの辛抱だ。これを耐えれば真実が分かる」
フレイが小さな声で呟いたその時、ザンナーは再び気絶状態に陥った。
・・・ある一室、一人の男と一人の女が向かい合って座っていた。
「君が例の殺し屋か。まさか女性だったとは」
「今は女性の殺し屋の方が圧倒的に数が多い。何せ相手を油断させることができるからね。それより改めてこれを」
女はそう言うと、小さなケースから名刺を取り出すと男に渡した。
「・・・ザンナー・ブリッツ、噂では中々腕の立つ殺し屋だと聞いたが」
「あたいはただ単に戦いを楽しんでいるだけ。どうせなら楽しいことをやって商売したいじゃない?その結果が殺し屋という商売よ」
「ほぉ、殺しを楽しむとはいい神経をしているな・・・」
「それで、あたいの話はこのくらいにして、仕事の話をしてちょうだい」
「正直殺し屋に頼むほどの依頼ではないとは思うが・・・」
男はそう言うと、写真を机の上においた。写真にはオレンジ色の毛が生えた男が映っていた。
「・・・誰よこのアホみたいな顔した奴」
「オーストラリア西部にある小さな村、アップルタウンに住む男、クラッシュバンディクーだ。職業は一応保安官だ。今回はこの男の暗殺を依頼したい」
「この顔で保安官・・・人一人守れそうに無いわね」
「これでもポトルーズを壊滅させた男だ。油断はできない。それに取巻きもかなり優秀だからな」
「アップルタウンといえば、確か元ポトルーズのポトリゲスや、ならず者の南さとりのような強豪も住んでいるのよね。そちらの暗殺は?」
「いや、今回はクラッシュ一人でいい。まずはリーダー格を潰しておけば、後はどうにでもなる」
「分かった。それで、報酬はいくらなの?」
「・・・100万ドルでどうだ」
「100万?まぁ、少なくはない額だけど、本当にこの男のためだけにそんな大金出してもいいの?あたいは1ドルでも殺しができるなら働くのよ?」
「いいのさ、金は此処最近の出来事のお陰で腐るほど持っている。クラッシュを殺したら再度此処に来い。その際に金を渡す」
「フフ、交渉成立ね。それじゃあ、あたいは早速準備に取り掛かるわ」
ザンナーはそう言うとスーツケースを手に持ち、立ち上がった。
「そうそう、ここから直接本土への船は出ていないから、一度タスマニア島に寄ってから船に乗ってくれ。Vaterの船を直接出してもいいんだが、あいにく本土は警戒が厳しくてな。タスマニア島は我々の管轄内だから簡単に本土に渡れる」
「分かったわ。ここから船に乗ってタスマニア島に行くとするわ」
「後もう一つ。君はクリムゾンという男を知っているか?」
「クリムゾン・・・ある程度の情報なら聞いたことあるわ。赤い目をして、いかなる時も白衣を着ているマッドサイエンティストよね」
「そう、そいつだ。どうも此処最近オーストラリアで暴れまわっているようでな。見かけたら注意した方がいい」
「ご忠告どうも。それじゃあ期待して待っていなさい」
ザンナーはそう言うと、部屋から出て行った。
ザンナーはVater基地内の廊下を歩き、タスマニア島行きの船着場に向かうことにした。
廊下を歩く途中、まだ若そうな少女とすれ違ったが、特に会話を交わすこともなかった。
「あんな子まで所属しているのね・・・世界は広いわね」
ザンナーはそう小さな声で呟くと、基地を後にした。
・・・オーストラリア南部、タスマニア島にて。
ザンナーは、オーストラリア本土の南部に位置する港町行きのフェリーに乗っていた。
「そろそろ出航かしら・・・」
ザンナーが呟いたその時、船の汽笛が鳴り響き、船がゆっくりと動き出した。
「本船は午前10:00発、目的地に到着するのは明日の午後2:00の予定。それまで船旅をお楽しみください・・・」
船内にアナウンスが鳴り響く。明日までこの船で過ごす事になるようだ。
「退屈ね・・・」
ザンナーは海をボーっと見ながら呟いた。
船は何の問題もなく港町に着く。そこからは自らの足でアップルタウンに行き、クラッシュバンディクーを殺す。
なんてこともない、いつもどおりの仕事・・・彼女はそう思っていた。この後に大惨事が起こることなど考えようがなかった。
・・・早朝の船上。早めに目を覚ましたザンナーは、朝日を甲板から見ていた。
「奇麗な海ね・・・」
ザンナーがそう呟いたその時、船に振動が走った。ザンナーはその場でふらついてしまった。
「緊急事態発生、エンジンルームにてトラブル発生!乗客は乗務員の指示に従い、冷静に行動を・・・ギャァアアアア!」
船内に船長と思わしき男の断末魔が轟いた。
目を覚ました乗客たちがパニックになり、次々と甲板に出てきた。
「な、何が起こったの!?」
ザンナーはそう言いながら辺りを見回した。
「落ち着いてください!今から脱出艇を用意します!乗務員の指示の後、皆さん落ち着いて一人ずつ乗り込んでください!」
乗務員の声が響く。勿論そんな声を聞く余裕が乗客にあるはずもなく、辺りはあらゆる雑音でいっぱいになった。
中にはパニックのあまり船から飛び降りようとしている者もいた。そのような人を乗務員が必死になって止めようとする。
「この近海は危険なサメ類が多くいます!なので船から絶対に落ちないようにしてください!」
再び乗務員の声が響く。
「な、何よこれ・・・こんなことじゃあ全員海の藻屑になるじゃないのよ」
ザンナーはそう言うと、できるだけ人の少ない場所に行こうとした。
その時、乗客たちのいる方で再び爆発音が鳴り響いた。
ザンナーが振り返った先には、今までパニックに陥った乗客たちが静かになってその場に倒れている光景が広がっていた。
そしてその向こうに、一人の男の影が見えた。手に棒状の何かを持っているようだった。
ザンナーの第六感が警鐘を鳴らす。絶対に逃げるべきだと。
だが遅かった。男はどんどんとザンナーに向かって近づいてくる。背中を向ければ殺される。ザンナーはそう感じた。
ザンナーは手に持っていたアタッシュケースからバズーカを取り出し、弾をセットした。
「それ以上、あたいに近寄るな・・・撃つぞ!」
ザンナーの言葉もむなしく、男はドンドン近づいてくる。
男は白衣を身に着けていた。白衣には返り血がこびりついていた。
「・・・早まるな」
と、男が言った。
「さ、殺人鬼に近づかれて自衛しようとするのは普通でしょ!?」
「質問にだけ答えろ。お前等はVaterか」
「もしそうだったらどうするのよ!?」
「殺すだけだ・・・もしVaterじゃなかったら逃げるだけだ」
男はザンナーの目をじっと見ながら言った。ザンナーはその目を見た瞬間驚愕した。
「その赤い目に、白衣・・・まさか!?」
「どうやら俺のことを知っているようだな」
「あんた・・・クリムゾンでしょ?」
「如何にも。俺のことが分かるなら話は早い」
クリムゾンはそう言うとレーザーソードを構えた。
「結局殺しにかかるんじゃない・・・でもあたいだって此処で死ぬほど柔じゃないわよ!」
ザンナーはそう言った瞬間、バズーカの引き金を引いた。
砲口から飛び出したバズーカ弾はクリムゾンに向かって飛んでいく。
「場に適した武器を使え」
クリムゾンはそう言うとバズーカ弾を左に避けた。
そして、一気にザンナーに近づくと、レーザーソードを振り下ろした。
ザンナーは、バズーカの砲身でレーザーソードをガードした。
その時、クリムゾンが素早くザンナーに蹴りを入れた。
「ウッ!」
ザンナーは少々ひるみ、ガードを崩してしまった。
クリムゾンはすかさず左手を伸ばし、ザンナーの首を掴んだ。
ザンナーは必死に手を振り解こうともがいたが、クリムゾンの力のほうが強かった。
「は、離して・・・!」
「・・・ヒャッヒャッヒャ、苦しむ顔を見るのは実に愉快な物だ・・・」
「何よこの変態・・・」
「だが、その顔を見ることができるのも終わりだ・・・」
クリムゾンはそう言うと、ザンナーを海に向かって勢い良く放り投げた。
「い、いやぁあーーー!」
ザンナーはそう叫びながら、海に落ちていってしまった。右手バズーカを持ちながら。
「・・・タスマニア島発の船だから、Vaterの連中が乗っていると思ったが・・・まぁいい」
クリムゾンはそう言うと、その場から立ち去っていった。
・・・どこかの町の病院にて。
「ん・・・」
ザンナーは目を開けた。目の前にはひたすら白い風景が広がっていた。
「ここは・・・どこなの?」
ザンナーは上半身を起こし、辺りを見回した。そこは病院の一室だった。
「あたい・・・どうなったの?」
ザンナーは状況を把握しようと試みた。が、あまり詳しいことが思い出せない。
その時、部屋に一人の医師が入ってきた。
「おお、目を覚ましたか!どこか痛い所はないか?」
と、医師が言った。
「いえ・・・別に。それより、ここは一体・・・あたいは何でこの場所に・・・?」
「うむ、ではその話をさせてもらおう。ここは港町の病院だ、君は四日前、この町の港で発見された。意識が全くなく、まさに生と死の境目を漂っていた危険な状態だったんだ。唯一の救いは出血をしていなかったこと。もし血を流していたらこの近海のサメにやられていただろう。まさに不幸中の幸いというわけだ。此処に運び込まれて四日経った今、君が目を覚ましたというわけだ」
「そ、そうなの・・・」
「とにかく目を覚ましてくれて良かったよ・・・」
医師はそう言ってほっとため息をついた。
「あの・・・入院費とかはどうしたら?」
と、ザンナーが言った。
「・・・あまり大きい声では言えないけど君、何か良くない職業についていたりしていないか?」
「え?」
「君の手にある物がしっかりと握られていてね・・・これなんだ」
医師はそう言うと、ザンナーのベッドの下から何かを取り出そうとしゃがんだ。
そして、手に筒状の物を取り出すと立ち上がった。
「これ、私の見た感じバズーカだと思うのだが・・・」
「そ、そうだと思うけど・・・」
「あまり濁さない方がいい。正直に言ってもらいたい、君は何者なのだ」
「あたい、あたいの名前はザンナー・・・」
「ザンナーさんか。職業は?」
「職業・・・うぅ!」
突然ザンナーの頭が痛み始めた。
「だ、大丈夫かね!?」
「うぅ・・・お、思い出せない・・・」
「とぼけていないかね?」
「ホントに詳しいことが思い出せない・・・!」
「・・・まずいな。もしかしたら脳に障害が起こった可能性がある。どうだ、詳しい検査を受けて見ないか」
ザンナーは迷った。確かに検査は受けた方がいいかもしれない。だがうっすらと記憶が自分に呼びかけている気がするのだ。今すぐ北に行かないといけないという記憶が。
「あの、すぐに此処を出ないといけないんだけど・・・お願い、どうしてもすぐ行かないと」
「何を言っているんだ君は!まだ体も良くないだろうし、何より記憶が戻っていない状態で外に出せるわけないだろう!」
「お願い!お金はすぐに持ってくるから、今は行かせて!」
「ダメと言っているだろ!」
「融通が利かないわね・・・ほら、こんな感じで体は大丈夫だから!」
ザンナーはそう言うと素早く医師に蹴りを入れた。見事下半身にヒットし、医師はその場でもだえ苦しんだ。
「ごめんなさいね・・・でもどうしても行かないと」
ザンナーはそう言ってバズーカを手に持つと、全速力で病院から脱出した。
・・・オーストラリア、荒野にて。
日は沈み、遠くの方で車の走る音が聞こえる。
病院からの追手を恐れたザンナーは、丸腰で荒野を歩いていた。
「我ながら無謀だったわね・・・暗すぎるわ」
ザンナーはそう言いながらゆっくりと歩いた。
辺りには何があるかは分からない。だが道が続いていることだけは確かだ。
終わりのない道を歩き続け、気がつけば朝だった。
さすがのザンナーにも疲労の色が見え始めていた。
一体自分は何のために歩いているのか。そんなことも分からないままひたすら歩いていた。
いくら考えても何も思い出せない。逆に考えれば考えるほど記憶が遠のいていくようだった。
「・・・もう、無理」
ザンナーはそう言ってその場に倒れこんだ。
・・・Vater基地内。そこには全てを思い出したザンナーと、ニーナ、フレイ、カタパルトがいた。
「・・・」
ザンナーは黙ったまま椅子に座っていた。
「どうやら、無事思い出せたみたいね。現実ってのは辛いよねー。仲間だと思っていたはずなのに、実は自分が殺す予定だった相手だったなんて、あたしですら悲しくて涙が出そうよ、アハハハハハ!」
と、ニーナは大笑いしながら言った。
「まぁ、俺からは深くは言わねぇ。とりあえずお前がVaterの依頼を続けるかどうかを聞かせてくれよ」
と、フレイが言った。
ザンナーは黙ったまま考えた。彼女には、かつて殺し屋だった頃の記憶と、クラッシュたちと共に行動した記憶の両方が残っていた。
もし、自分が殺し屋だったという事実のみを思い出していたなら、これから依頼を引き受ける気にはならなかっただろう。
だが、今の彼女にはかつての殺し屋だった時のプライドが残っていた。引き受けた依頼は絶対に成功させる。そして戦いを楽しむ、そんな狂気的な心情が彼女を更に動揺させる。
長く考えた末、彼女はついに言葉を発した。
「・・・やるわ」
ザンナーは小さな声で呟いた。
「さすがプロの殺し屋だ。情すらも捨てることができるとはな」
と、カタパルトが言った。
「今から行って来る。武器を貸して」
ザンナーはそう言うと椅子から立ち上がった。
「まぁ待ってよ。あんた一人があの人数に勝てると思ってるの?しかも中にはあんたの記憶喪失の原因を作ったクリムゾンもいるのよ。ここは、ちょっとあたいたちの作戦にのってみない?」
ニーナはそう言うと、ザンナーの耳元で何かを囁いた。
「・・・そんなに親切なことをしてくれるの?手間が省けるけど、戦いがちょっと楽しみにくくなるわね」
と、ザンナーが言った。
「で、どうするんだ?」
と、フレイが言った。
「いいわ、その作戦に入れさせてもらおうじゃないの」
と、ザンナーが言った。
「・・・早速準備だ」
カタパルトはそう言うと部屋から出て行った。残りの三人も部屋から出て行った。
・・・Vater基地内。ある部屋にて。
ある男が電話を片手に誰かと話していた。
「ええ、計画の方はほぼ成功です。部下が色々ヘマをやらかして手こずりましたが、結果オーライと言った所でしょうか」
「ご苦労、流石Vater内でも一二を争う部隊なだけはある。それより、オーストラリアの基地はどうだい?最新鋭の兵器も多くて満足してくれたかい?」
「ええ、それはそれは立派な兵器です。ただ、どうも部下が上手く使いこなせなくて・・・でも、エヌ・ジンを始めとする科学者仲間が来てくれたお陰でかなり戦力向上となりましたよ」
「フッ、それは良かった・・・さて、僕がわざわざ君なんかに電話を掛けた理由、分かるかい?」
「・・・てっきり激励の意かと思いましたが」
「君にはそんなことしなくたって大丈夫だろ。君、どうやら個別に殺し屋を雇っていたそうだね?僕の許可なしに何でそんなことをした?」
「・・・クリムゾンや他の邪魔者を排除しようと思いまして・・・」
「ほう、君にとってクラッシュは邪魔者なんだね?」
「は!?い、いえ・・・」
「君が何を考えているかは知らないけど、僕の作戦は、アップルタウンから宝石を盗み出す、という自演を行うとっても簡単な物だったはずだよね?たとえ宝石の持ち主がクラッシュだったからとしても、わざわざ個別に殺し屋を送るレベルとは思えないが?」
「そ、その件につきましては・・・」
「君が何を考えているか知らないが、あまり変な気は起こさないほうがいいよ。僕もそろそろそっちに向かうとする。表の仕事が丁度終わったところだしね」
「は、はい、分かりました。では滑走路を空ける様に指示しておきます」
「ひとまずこの作戦が終わったらゆっくり君と話がしたい。では、また会おう」
電話はそこで切れた。
「・・・あの鳥頭め、無駄に勘がいいな・・・にしてもあの袋ネズミ、相当好かれているようだな・・・」
男はそう言うと、今度は部下の一人に電話を掛け始めた。
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