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Individual Way of Life ~個々の生き様~
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二月四日
2012/04/15(日)22:02:42(13年前) 更新
The Exitence of Absolute Evil ~Devil Family編~
裏社会を思うがままに支配し、恐怖政治で街を恐れさせる「Devil Family」
だが、その恐怖もまもなく終焉を迎えようとしている。
組織の崩壊の危機は、刻一刻と迫ってくる・・・
朝、ビスカントが自分の部屋で新聞を読んでいた。
「・・・此処最近、マフィア間での争いが激化している。その原因が、Devil Familyのビスカントにあるのではないかと、我々編集部は考えている・・・全く、あそこはこんないい加減な記事しか書かないねぇ」
ビスカントはそう言って、机においてあったコーヒーをすすった。
その時、突然扉が勢いよく開かれ、ルミナリーがドタバタと入ってきた。
「お・し・ら・せ!」
「ルミちゃん、そんなに慌ててるってことはかなり重要なことを伝えに来たのかい?」
「今日の午後七時に、北側の廃港でDragon Familyと東南アジアグループが取引をするんだって」
「ほぅ、内容物は?」
「それが、そこまでは情報を掴めなかったんだー。でも、結構大きな取引みたい」
「なるほど・・・奪う価値はある、か」
「召集かけちゃう?」
「ああ、頼むよ」
「分かったー」
ルミナリーはそう言ってポケットから携帯を取り出し、早速メールを打ち始めた。
「ルミちゃん、仕事の連絡は電話でしたほうがいいと思うよぉ」
「一斉に連絡するときはメールのほうが楽だもん」
ルミナリーはそう言いながら、女子高生の如きスピードで携帯のボタンを連打していた。
「召集するだけなのに、そんなにボタンを押さないといけないのかい?」
「もう、黙っててよー!メールってのは絵文字がないと地味なんだからー!」
「絵文字って・・・ルミちゃん、業務連絡なんだから・・・」
「うるさーい!!ビスカントはおっさんだから絵文字とか要らないと思ってるんだと思うけど、ルミみたいに若い女の子で、絵文字がないなんて、怒ってるようにとられちゃうんだよ?そこらへん分かってる!?」
「お、おっさん・・・」
ビスカントはルミナリーのきつい一言で完全に意気消沈していた。
しばらくしてルミナリーがメールを送り終わり、続々とビスカントの部屋にメンバーが集まりだした。
「・・・集まったのは、クランチ、フレイ、舞姫ちゃん、アネットちゃんの四人か」
と、ビスカントが言った。
「ったく、ルミのメールは何でああチカチカする文字ばっかり入れるんだよ。見にくいったらありゃしねぇ」
と、フレイが言った。ルミナリーはフレイをギロっと睨み付けた。
「それで本日の仕事の内容は、どのような物でしょうか」
と、舞姫が言った。
「いつも通り、取引物の強奪だ。場所は北の廃港。時間は午後七時。竜共と、東南アジア系のグループが取引を行うそうだ」
「・・・了解。では、早速準備に取り掛かろう」
と、クランチが言った。
「メンバーはその四人で・・・」
ビスカントがそう言ったとき、突然ルミナリーが高く手を上げた。
「何だか、今日はルミも暴れたい気分!」
「ル、ルミちゃん!?と言う事は、ルミちゃんも今回の作戦に参加するつもりか・・・?」
と、ビスカントが驚いた表情を浮かべながら言った。
「だって、此処でのお仕事って、つまんないんだもん!クランチとかはいっつも外で暴れてるのに、ずるいじゃん」
「・・・代われる物なら代わってもらいたいものだ」
と、クランチが呟いた。
「でも、ルミが此処を離れるとなると、此処には誰が残るんだ?」
と、フレイが言った。
「そうだね・・・」
ルミナリーはそう言ってしばらく考えた後、アネットに向かって指を指した。
「アネット、今日は此処でお留守番!」
「え、私!?そんな、此処での仕事なんてあんまりしたことないのに・・・」
「仕事なんて、ビスカントの言うこと聞くだけだから楽だよ!」
「で、でもビスカントさんは・・・?」
「アネットちゃんになら、幾らでもお世話されたいねぇ」
「というわけで、アネットよろしくねー」
と、ルミナリーが言った。
「では、我々はこれで失礼します」
クランチはそう言って部屋を出て行った。それに続くように、フレイ、舞姫、そしてルミナリーが部屋から出て行った。
「・・・行っちゃった」
と、アネットが呟いた。
「それじゃあ、アネットちゃん、早速悪いけど、コーヒーのお替り入れてきて頂戴」
と、ビスカントが言った。
「え、あ、はい!すぐに入れてきます!」
アネットはそう言って、小走りで部屋から出て行った。
夕方、一台の青い車が北側の港町を走っていた。
運転席には舞姫、助手席にルミナリー、そして後ろの席にはクランチとフレイが乗っていた。
「うわー、久しぶりにこっちに来たよー。相変わらずボロッちいね」
と、ルミナリーが窓の外の景色を見ながら言った。
「相変わらずお嬢様は呑気なこった」
と、フレイが言った。
「お、お嬢様って言わないでよ!」
と、ルミナリーが顔を真っ赤にして言った。
「確かに、ルミナリーは殆どビルから出ないからな。Devil Familyの箱入り娘みたいな存在だな」
と、クランチが言った。
「もう、クランチまでー!やめてよー!」
「・・・満更でもなさそうですね」
と、舞姫が言った。
「いいもん、ルミこれからドンドン外に出て行くんだから!」
「・・・さてと、まだ七時まで時間はあるな。もう一度作戦確認しておくぞ」
と、クランチが言った。
「確認するまでもねぇって。まず俺とクランチ、そして舞姫とルミに分かれる。俺とクランチは港で取引に乱入、敵の陽動を担当する」
と、フレイが言った。
「そして私とルミは恐らく取引物を持って逃走するグループを車で追跡、取引物の強奪といったところですか」
と、舞姫が言った。
「・・・流石にこのメンバーだと一々確認する必要がないな」
と、クランチが言った。
しばらくして、車は廃港に到着した。
「取引の時間になるまで、車はどこかに隠しておきましょう」
舞姫はそう言うと、車を少し走らせ、倉庫の中に停車させた。
車の中で、四人は各々の武器をセッティングしたりして時間を過ごした。
しばらくしてクランチが自分の腕時計を見た。
「・・・六時五十五分、そろそろだな」
と、クランチが言った。
「だな、俺達は降りるから、舞姫達は此処で待機しといてくれよ。俺達が連絡したら、作戦開始だ」
と、フレイが言った。
「・・・クランチさん、そのような内容でよろしいですか?」
と、舞姫が言った。
「ああ、いいぞ」
「・・・何で一旦クランチを通すんだよ」
と、フレイが小さな声で呟いた。
「二人とも、ちゃんと上手くやって来てよ!」
と、ルミナリーが言った。
「心配は要らない。何か予想外な事が起きない限り大丈夫だ」
と、クランチが言った。
「予想外なことなんてねぇって、いつも通りチョチョイと終わらせて来るわ。んじゃあな」
フレイはそう言って、車から降りた。クランチもそれに続いて車から降りて行った。
そして、二人はそのまま倉庫を出て行った。
「・・・そういえば、舞姫とこうやって二人で一緒にいることって殆どなかったね」
と、ルミナリーが言った。
「言われてみれば、確かにそうですね。私は戦闘員で、ルミナリーさんは世話係、身分というものが違いますし」
「身分なんて、女の子の間じゃあ関係ないよー。舞姫も、アネットも、皆同じ立場みたいなものだって」
「・・・しかし、この世界に入った以上身分ほど大事なものはないかと」
「そうだけどさー、堅苦しいのキライなんだよねー。ねぇ、これから女の子の間では敬語とかなしにしようよ」
「そうは言われましても、もう敬語が体に染み付いてしまっているので・・・」
「えー、じゃあこれから敬語を喋らないように努力したら?」
「・・・ルミナリーさんみたいに誰に対してもタメ口で喋れるようになりたいものです」
「それ、ちょっと馬鹿にしてる?」
「いいえ、単なる憧れです」
その時、舞姫の携帯が鳴った。舞姫はすぐに携帯を取った。
「こちら舞姫」
「こちらクランチ、取引が始まった。竜共は予想通り車で来てる」
「了承、車の型や取引物の内容は分かりますか?」
「悪い、そこまでは良く分からん。でも相手の車は一台のようだ・・・ん、あれは・・・?」
「どうかしましたか?」
「いや、まさかな・・・何でもない、忘れてくれ」
「そうですか。では、こちらも追跡開始位置へ移動します」
「ああ、頼む。俺達の迎えは必要ないから、追跡に全神経を使ってくれ」
「では、またビルで」
舞姫はそう言って電話を切った。
そして、車のエンジンをかけ、倉庫から発進して、廃港の入り口に再び車を止めた。
「しばらくは此処で待機しておきましょう」
「分かったー」
その時、突然車内にコンコンと何かを叩く音が聞こえた。
舞姫が左を見ると、そこには何とアネットが立っていたのだ。
舞姫はすぐに車の窓を開けた。
「はぁ・・・はぁ・・・やっと追いついた・・・」
「アネットさん、どうして此処に?」
「何だか、嫌な予感がしたんですよ・・・とてつもなく悪い予感が」
「アネットー、ビスカントに何も言われなかったの?」
「一応一言言ってから来ましたので大丈夫です。それより、クランチさんは?」
「クランチさんとフレイさんは、向こうの港で取引の妨害を担当しています・・・あ、そういえば、クランチさん、何か言おうとしてました」
「・・・何かですか・・・やっぱり気になる・・・私、クランチさんの所に行って来ていいですか!?」
「てか、元々そのつもりで来たんでしょー?ルミには分かるよー」
「い、いえ別にそういうわけではないですよ!で、では行って来ます!」
アネットはそう言って、港のほうに走っていってしまった。
そして、それとほぼ同時に、一台の車が港のほうから物凄いスピードでやってきた。
「・・・作戦開始、ルミナリーさんは相手の車をどうにかして停めてもらえますか?」
「まかしといて、そのくらい楽勝だから!」
「では、お願いします」
舞姫はそう言って、アクセルをベタ踏みした。
車は一気に加速し、ターゲットの車の後ろについた。
「・・・遅い」
舞姫はそう呟き、車のギアを変えた。車のスピードはどんどん上がっていく。
相手もかなりのスピードを出して道路を走っていたが、舞姫の車のスピードはずば抜けて速く、すぐに並走することが出来た。
舞姫の車の右隣には今、ターゲットの車がいる状態だ。
「わー、はやーい!!すごーい!!」
と、ルミナリーは舞姫の車の性能に感心していた。
「ルミナリーさん、感心するのは後にしていただけますか?」
「あ、ごめーん」
ルミナリーはそう言って、車の窓を開けた。
そして、右手に何かブーメランのような物を握った。
「それー!」
ルミナリーはそう言うと、ブーメランを相手の車に向かって投げたのだ。
ブーメランは回転しながら車に接近して、運転席の窓を突き破った。
そして、何とブーメランが運転手の首を跳ね飛ばしたのだ。更にブーメランは飛んでいき、助手席に座っていた男の首を跳ねた。
相手の車は運転手の死亡により横転してしまった。
一方ルミナリーの投げたブーメランはしっかりとルミナリーの手元に向かって帰ってきた。
ルミナリーはそれをキャッチした後、窓を閉めた。
舞姫も、車のスピードを落とし、横転した相手の車の近くに止めた。
「ルミナリーさん、面白い武器を使われるんですね」
と、舞姫が言った。
「これね、ダイアモンドの刃で出来てるんだ。だから、人の首なんて簡単に切れちゃうんだよ」
「なるほど・・・そんな高度な武器を扱っていたとは思いませんでした」
「これでも戦闘は何回かしたことあるもん。それじゃあ、取引の物を取りにいこ」
ルミナリーはそう言って車から降りた。
「・・・一応用意はしておきましょうか」
舞姫はそう言うと、運転席の下から傘を取り出してから車から降りた。
ルミナリーは舞姫が傘を持っているのをみて疑問を感じた。
「傘なんか持ってどうしたのー?雨なんか降ってないじゃん」
「何事にも備えておくほうが良いかと思いまして」
「だからって、雨にまで備えなくても・・・それより、中にまだ生きてる人がいるみたいだよ」
ルミナリーはそう言って横転した車の後部座席の窓を覗き込んだ。
車内では、二人の男が扉を開けようと必死でもがいていた。
「出られないみたいだから、楽にしてあげるねー」
ルミナリーはそう言うと、自分の穿いていたスカートの右側を少しだけ巻くりあげた。
「・・・そんなところにも武器を隠し持っていたんですか」
と、ルミナリーの姿を見て舞姫が呟いた。
ルミナリーの穿いていたニーソックスの右側にはホルスターが備え付けられており、そこにはブローニング・ハイパワーがセットされていたのだ。
ルミナリーはホルスターからブローニング・ハイパワーを取り出すと、横転した車の窓ガラスに向かって引き金を何回も引いた。
中の男達は動かなくなった。
「さてと、ブツはどこにあるかな・・・」
ルミナリーはそう言いながらブローニング・ハイパワーをホルスターにしまった。
「恐らくトランクでしょう」
舞姫はそう言ってトランクに近づいていった。
「鍵、開いてる?」
ルミナリーはそう言いながら、舞姫に近づいた。
舞姫がトランクに手にかけると、トランクは簡単に開いた。
「どうやら横転した際の衝撃で鍵が壊れたようです」
トランクからは、いくつもの麻袋がどんどんと倒れて落ちてきた。
「麻袋・・・?こんな物で何運んでたんだろう?」
ルミナリーはそう言って、麻袋を触ろうとした。その時、麻袋が大きく動いたのだ。
ルミナリーは驚いて後ろに倒れてしまった。
「え、何!?何で動くのよー!?」
ルミナリーは顔を強張らせながら言った。
「動物の密輸、でしょうか・・・」
舞姫はそう言って、麻袋の口を開けた。
すると、何と中から突然子供が飛び出してきたのだ。
流石の舞姫も、驚きを隠せなかった。
「こ、子供・・・!?まさか、今回の取引は人身売買?」
「じゃあ、このたくさんの麻袋の中、ぜーんぶに子供が入ってるの?」
「恐らく・・・」
「こ、こりゃあ大変なモノに関わっちゃったね・・・」
ルミナリーはそう言って深くため息をついた。
この街では様々な違法な取引が行われている。その為どこでどんな取引があろうと別に驚くことではない。
しかし、その中でも人身売買、特に子供となると話は別だ。
こちらの取引は当たり前だが特に罪が重い。そのため、この型の取引にはできるだけ関わらないほうがいいのだ。
「・・・ルミナリーさん、どうしますか?」
と、舞姫が言った。
「とりあえず、ビスカントも訳を話したら分かってくれるだろうし、此処は一旦退散・・・」
「おいおい、そんなに派手にやっといて逃げることができると思ってんのか?」
突然、二人の後ろから男の声が聞こえてきた。
二人が後ろを振り返ると、そこには黒髪の男性が立っていた。
ルミナリーはそれが誰かすぐに分かった。
「あんた、確か何でも屋の南だよね?」
「さすがは情報通、俺のことも知っていたって訳か」
「で、こんなところで何してるの?」
「・・・今日はちょっとした仕事でな」
「ふーん、お仕事頑張ってねー」
「他人事みたいに言ってるけど、お前達も関係してるぜ」
「・・・もしかして、この車のこと?」
ルミナリーはそう言って、横転している車を指差した。
「ああ、そうだ。今日の仕事内容は、北の廃港で取引されている物の強奪だ」
「そ、それにはルミたちは関わってないもん、ね、舞姫!?」
「え、えぇ。確かにこの取引を行ったのは私達ではありません」
と、舞姫が言った。
「でも、その物を奪おうとしてただろ?そして現に強奪は終わった。だから、その物は今お前達の物なんだろ?」
「ち、違うわよ!こんなもん、奪おうなんて思ってないから!大体、こんなもの奪って来いなんてあんたに命令したのは誰?」
「依頼主の名前を漏らす馬鹿がどこにいるんだ。とにかく、そのブツは貰っていくぞ。そして・・・」
「そして?まだ何かあるの?」
「お前達を此処で倒す」
「は、はぁー!?何でルミたちを倒す必要があるのよ!?」
「実はもう一つ依頼された仕事があってな、取引を妨害するグループもついでに倒して欲しいって」
「何よそれー!結局ルミたちを倒すのが目的!?」
「いや、だからついでだ」
「・・・ルミナリーさん、南さんについて何か知っていることは?」
と、舞姫が言った。
「えーっとね・・・とにかく相手すべきじゃないねー。この街の中でも彼と戦って生きて帰ってきた人はいないって噂まであるし」
「そうでもない、数人は俺の手から逃れた奴はいる。まぁ、その逃れた奴は化け物みたいな野郎だったけどな」
と、南が言った。
「・・・ならば、此処は逃げるべきですか」
「うん、舞姫は車をおねが・・・」
「作戦会議ってのは、敵に聞こえないようにやるものだぞ?」
南はそう言った瞬間、舞姫に向かって一気に距離を詰めながら、腰に差していた刀に手をかけ、素早く鞘から抜いた。
舞姫はとっさに持っていた傘で、南の刀をガードした。
普通の傘なら日本刀を受ける事はできなかっただろう。しかし、舞姫の傘は違った。
「ほう・・・その傘、金属を仕込んでるのか、珍しいな」
南はそう言って、即座に後ろに下がった。
「厳密には刃を仕込んでいる、という感じですか」
舞姫はそう言って、傘を構えた。
「ちょっと、舞姫、さっき逃げることを優先だって・・・」
「逃走に全力を尽くしても、あの男なら簡単に追いついてくるでしょう。此処はある程度足止めしてから逃げるべきです」
「そう・・・じゃあ、もう少し頑張ろっと!」
ルミナリーはそう言って、右手にダイヤモンドカッターを持った。
「おいおい、さっきから色物ばっかり出してくるな、何かのコスプレ大会か?」
「そんなに余裕でいられるのは、今だけなんだから!」
ルミナリーはそう言って、ダイヤモンドカッターを南に向かって投げた。
「ブーメランねぇ・・・そんなオモチャで戦おうなんて、無謀にもほどがあるって」
南はそう言って、刀で飛んできたダイヤモンドカッターを弾こうとした。
しかし、刀がダイヤモンドカッターに触れた瞬間、周辺に火花が飛び散り、何と南の刀が折れてしまったのだ。
ダイヤモンドカッターはそのままルミナリーの手元に戻っていった。
南は、折れた刀を地面に叩き付けた。
「金属が切れちまった。もしかしてそれ、ダイヤ入れてんのか?」
と、南が言った。
「そうだよー、いいでしょー?お金はたくさんあるからね!」
「ダイヤ入りのカッターなんか、工事用に安くで売られてるだろ。珍しくもなんともねぇ」
「うるさいわねぇ!」
「ま、安物の刀を使って良かった。次からはこうはいかないぜ?」
南はそう言うと、腰に差していたもう一本の刀を鞘から抜いた。
ルミナリーや舞姫が見ても分かるくらい、さっきの刀とは輝き方が異なっていた。
「まさに一級品の刀ですね。しかし、こちらはどうでしょうか」
舞姫はそう言うと、傘の先端を南に向けた。
そして次の瞬間、何と先端から銃弾が飛び出したのだ。
「剣の次は銃まで隠していたか、隠し事はしすぎるとよくないぞ?」
南はそう言うと、刀で銃弾を弾いてしまった。
「その態度、気に食わない!」
ルミナリーはそう言って南に近づいていき、ダイヤモンドカッターを手に持ってそのまま横になぎ払った。
南はそれを後ろに大きくジャンプしながら避けると、今度は左手にガバメントを持った。
「性格面はよく悪いって言われるな。自分ではそう思わないんだけどな」
南はそう言って空中でガバメントの引き金を引いた。
ルミナリーはそれを横に転がって避けた。
南は地面に着地し、ガバメントを仕舞い、再び刀を両手で構えた。
そこに今度は舞姫が傘を構えて突っ込んでいき、縦に振り下ろした。
「正面から戦うなんて、お前は侍か?」
南はそう言って傘を刀でガードした。舞姫と南はそのまま鍔迫り合いへと発展していった。
舞姫は何とか南の体勢を崩そうと力をかけるが、南はビクともせず、逆にドンドン押し返されていく。
そして舞姫は遂に体勢を崩してしまい、後ろに大きく下がってしまった。
「あぶなーい!」
ルミナリーはそう言ってダイヤモンドカッターを投げた。
「もう少しチームワークって奴を磨いたほうがいいと思うが」
南はそう言って再び素早く左手にガバメントを持つと、ダイヤモンドカッター狙って銃弾を撃ち込んだ。
銃弾はダイヤモンドカッターの持ち手部分にヒットし、ダイヤモンドカッターは失速して地面に落ちてしまった。
「え、撃ち落されちゃった・・・!?」
「過信しすぎたな」
南はそう言ってルミナリーに一気に近づき、刀を振り下ろした。
ルミナリーはとっさにメイド服の左の袖から短剣を取り出し、南の刀を何とかガードした。
南はそこから何度も刀を振って行く。ルミナリーは後ろに下がりながら何とか刀をガードしていったが、南の刀の振るスピードはかなり速く、ガードするのだけで精一杯だった。
「お前、結構剣の素質あるかもな」
南はそう言って素早くルミナリーの腹部に蹴りを入れた。ルミナリーはそれを避け損ねてしまい、一瞬ひるんでしまった。
そこを目掛けて南は刀を大きく振りかぶった。
「失せろ」
南はそう呟き、刀を振り下ろした。が、突如南の目の前に何かの壁が生じた。
刀はそれに遮られ跳ね返ってしまい、南は少し後ろに下がった。
「ま、舞姫・・・!」
そう、舞姫が南とルミナリーの間に入り、傘を開いたのだ。
「チッ、今度は盾かよ・・・」
南はそう言って再び刀を構え直そうとした。が、その時またしてもダイヤモンドカッターが南目掛けて飛んできたのだ。
「な、まだあったのか!?」
南は突然の攻撃に対処することが出来ず、ダイヤモンドカッターは南の右腕を切り裂いた。
幸いにも骨は切れなかったが、南の腕からは血が大量に流れ出ていた。
「クソ、動脈を切られたか・・・」
「油断してるからそうなるんだよー」
ルミナリーはそう言って、戻ってきたダイヤモンドカッターをキャッチした。舞姫も傘を閉じた。
「流石の俺でも動脈が切れたらキツイな・・・」
南はそう言うと刀を鞘に戻し、ポケットからハンカチを取り出し、右腕にくくり付けた。
「ねぇ、もう行っていい?片方だけでも仕事うまく行ったんだからいいじゃん」
と、ルミナリーが言った。
「・・・久しぶりにしくじっちまったな」
と、南が呟いた。
「ルミナリーさん、今のうちに・・・」
と、舞姫が言った。
「・・・そうだ、一つだけ言わせてくれ」
と、南が二人に向かって言った。
「何よ」
と、ルミナリーが言った。
「何でも屋、御贔屓にしてくれよ」
「誰があんたに仕事なんて頼むのよ!」
「いいじゃねぇか。次俺の店に来たら10%オフで武器を売ってやるから、仲間にも言っといてくれ」
「言う訳ないでしょー!舞姫、早く行こう!」
「は、はい」
ルミナリーと舞姫は、車のほうへ走って行き、車に乗り込んだ。
想定外の取引物、そして予想外の来客により、今回の作戦は失敗に終わってしまった。
この失敗が、後々に響いてくることはない、二人はそう信じて車でその場を後にした。
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