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Individual Way of Life ~個々の生き様~
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二月六日
2012/05/29(火)00:10:10(12年前) 更新
The Exitence of Absolute Evil ~Devil Family編~
裏社会を思うがままに支配し、恐怖政治で街を恐れさせる「Devil Family」
だが、その恐怖もまもなく終焉を迎えようとしている。
組織の崩壊の危機は、刻一刻と迫ってくる・・・
朝、パープルコンクリートビルの談話室で舞姫とアネット、そしてルミナリーの三人が朝食を取っていた。
「いっただーきまーす!」
ルミナリーはそう言って、アップルパイを美味しそうに食べ始めた。
「それにしても、まさかRoo Familyと同盟を組むことになるとは、予想外です」
舞姫はそう言って、コーヒーをすすった。
「確かに、まさか此処に来て他の組織と同盟を組むなんて、一体どういう考えがあるんでしょうか・・・」
アネットはそう言って、紅茶を一口飲んだ。
「なんか、Dragon FamilyとPLCが同盟を組んだことに対抗して組んだんだって」
と、ルミナリーが言った。
「Dragonはともかく、PLCはまだ放っておいて大丈夫かと思うんですが」
と、舞姫が言った。
「うーん、でもクランチやフレイは、確かクリムゾンって奴に怪我させられたんだよね。あいつも確かPLCだったし、早めに潰しときたいんじゃないの?」
「クリムゾン・・・私、あの人だけは許せないです。クランチさんに怪我を負わせるなんて・・・!」
と、アネットが言った。
「PLCは、クリムゾン辺りさえ潰してしまえばどうにでもなりそうだね。まぁ、それが多分大変なんだろうけど」
「・・・それに、あの南という男も危険かと」
「南?あいつがどうかしたか?」
そう言いながら談話室に入ってきたのはフレイだ。彼は手にハンバーガーを持っていた。
「あ、フレイ。こっちに来るなんて珍しいじゃん」
と、ルミナリーが言った。
「何となく来て見ただけだ。で、南がなんだって?」
「一昨日のあの作戦の時さ、ルミと舞姫で車を追いかけてたんだけど、その途中で南って奴に邪魔されてねー。まぁ大事にはならなかったけど、もう少しでこっちが負けそうになったんだ」
「南がか・・・何かの仕事か?」
「そんなこと言ってた気がするー。それより、フレイは南のこと知ってるの?」
「知ってるも何も、俺やクランチは南からしょっちゅう銃器を買ってるからなぁ。ま、顔馴染みってやつだな」
「ウッソー!?あんな奴から銃とか買ってるの!?信じられなーい!」
「・・・そんなこと言われても、正規のルートで仕入れるよりもかなり安いんだぜ?」
フレイはそう言って、近くの椅子に座ってハンバーガーを食べ始めた。
「そういえばさ、フレイは同盟の話は聞いてる?」
と、ルミナリーが言った。
「クランチから聞いた。今日から早速共同で仕事だとよ。俺も飯を食い終わったら行かねぇとな」
「ふーん、仕事内容は?」
「確か大量の銃器の取引の仲介だったか。一緒に行くか?南もいるけど」
「行くわけないでしょ、バーカ!」
「あいつ、そんなに嫌われるようなこと言ってたんだな・・・ま、あいつらしいか」
フレイはそう言って、手早くハンバーガーを食べ終えた。
「んじゃ、モーニングタイムはほどほどにして仕事しろよ?」
フレイは三人にそう言った後に談話室を後にした。
北の廃港の倉庫前に、一台の車が停まった。
車の中からは、クランチと南が降りてきた。
「早速Rooの所と仕事か、重役は大変だな」
と、南が言った。
「まぁな」
「それより、フレイの野郎はどうした?」
「飯を食ってから行くとか言っていた。多分すぐに来るだろう」
「呑気な奴だ。まぁ、取引物を積んだトラックが来るのに時間も掛かるだろうし丁度良いか」
「・・・そう言えば、一昨日に俺達の所と何か一悶着あったらしいな」
「ああ、メイド服着た奴と傘振り回してた奴と色々あってな」
「ルミナリーと舞姫か・・・あの二人が失敗した理由がまさかお前にあったとは」
「悪かったな。こっちも仕事じゃなかったら、お得意さんのカワイコちゃんに傷を負わせることなんてしなかったけどな」
「フッ、逆にお前はそのカワイコちゃんに傷を負わされたんだろ」
「ダイヤモンドカッターってやつに腕をな。結構切れるもんだな、あれ」
その時、空から一人の男性がクランチの隣に降りてきた。
「ワリッ、少し遅れちまった」
「ハンバーガーを心行くまで堪能してきたか?」
と、クランチが降りてきたフレイに向かって言った。
「正直腹が膨らんだだけだったぜ」
と、フレイが言った。
「さて、後はRooの所とバイヤーのトラックを待つだけだな」
と、南が言った。
三人がしばらく倉庫の前で待っていると、一台のトラックが倉庫前に停車し、一人の男性が運転席から降りてきた。
「ちわーっす、南さん」
と、男性が南に向かって言った。
「頼んどいた分は持ってきたか?」
と、南が言った。
「もちろんっすよー。でも、いきなりM4が100丁にベレッタが300丁、手榴弾200個も注文するなんてどうしたんすか?どっかと戦争でもする気っすか?」
「そんなこと知るか。それよりもだ、もう少ししたら別のトラックが来るから、そっちに武器を全て移してくれ」
「分かりやした」
そうこうしてる間に、また別のトラックが倉庫前に停まった。
そして、トラックからから日本人の男性が何人か降りてきて、クランチ達のほうに向かって歩いてきた。
「もしかして、Devil Familyの方々でしょうか?」
と、日本人男性の一人が言った。
「ああ、そうだ」
と、クランチが言った。
「遅れて申し訳ございません。我々はRoo Familyの者です」
「これだけの銃を買って、何やらかすんだ?」
と、フレイが言った。
「そんなこと、Devil Familyの方々もご存知でしょう」
「ヘッ、まぁな。それより、さっさと済ませようぜ」
と、フレイが言った。
「値段は前もって宣告してしていた通りだ」
と、南が言った。
「こちらです」
と、日本人男性はそう言ってアタッシュケースを南に渡した。
南がアタッシュケースを開けてみると、中にはいくつもの札束が入っていた。
「・・・確かに受け取った。じゃ、とっとと積み替えしてしまうか」
南がそう言った後、武器の詰め替え作業が始まった。
人員はそこそこいたので作業は円滑に進み、数分もせずに全ての武器の詰め替え作業が終わった。
「よし、終わりましたね、では我々はこれで・・・」
日本人男性がそう言った瞬間、突然周囲にサイレンの音が鳴り響いた。
「チッ、感付かれたか。とっとと撤収するぞ」
と、クランチが言った。
「撤収できると思ってんのか?」
突然、どこからか男性のそのような声が聞こえた。
クランチ達は声の主を探したが、何処にも見当たらない。
「取引のほうは全て覗かせてもらったわ」
今度はこのような女性の声が聞こえてきた。
「まさか、倉庫に隠れてやがったか・・・?」
と、南が呟いた。
「大正解、でも景品はなしだ」
そう言いながら倉庫から大柄な男性が出てきた。そして、その後ろからは女性が出てきた。
「おいおい、よりにもよってザヌサーと月田亜貴の二人かよ。面倒すぎるぜ」
と、フレイが言った。
「面倒で悪かったわね」
と、亜貴という名の女性が言った。
「お前等全員銃刀法違反でしょっ引くからな、覚悟しやがれってんだ」
と、ザヌサーと呼ばれた男性が言った。
「点数稼ぎご苦労さんっと。いいか、この二人は俺達でどうにかするから、Rooの所とバイヤーの所は逃げろ」
と、南が言った。
「おいおい、俺達二人まで巻き込むのかよ」
と、フレイが言った。
「別にいいけどな」
と、クランチが言った。
他の男達は急いでそれぞれのトラックに乗り込むと、その場を次々と去っていった。
「大型のトラック二台、AW3842とHF6924だ。至急追跡に当たれ」
と、ザヌサーは無線に向かって言った。
「久しぶりに警察を相手することになっちまった」
と、南が言った。
「おとなしく捕まったほうが罪も減ると思うけれど」
と、亜貴が言った。
「生憎、埃の出やすい体でな」
と、クランチが言った。
「全く、埃臭くてたまったもんじゃねぇ野郎ばかりだ」
と、ザヌサーが言った。
「・・・南、フレイ、相手が複数だと決まりが悪い。俺は片方を別の場所に陽動する」
と、クランチが小さな声で言った。
「いいぜ、あまり無茶するなよ?」
と、フレイが呟いた。
「さて、悪いが急用を思い出した。俺はここらでおさらばだ」
クランチはそう言うと、廃港の出口の方面に向かって走っていってしまった。
「チッ・・・亜貴、あいつを追ってくれ。俺はこの二人を相手する」
「ザヌサーさん、大丈夫?」
「心配はいらねぇ。ほら、早く行け」
「えぇ、幸運を」
亜貴はそう言って、クランチを追っていった。
「ヘッ、女子の前でカッコつけたつもりか?2対1でしかもこっちは戦い慣れしている。そんな相手とやり合うなんて無茶に等しいぜ?」
と、フレイがザヌサーをからかって言った。
「悪いが、この程度の相手が出来ないようじゃあ今まで刑事として生きて来れてねぇな」
と、ザヌサーが言った。
「さぁ、どうでもいい喋りはこのくらいにして、とっとと勝負を決めるぞ」
南はそう言って、刀を抜いて中段に構えると、ザヌサーに向かって一気に突っ込んで行った。
ザヌサーは背中に担いでいた大剣を手に持つと、刃を盾のようにして南の刀をガードした。
巨大な剣にぶつかった刀はいとも簡単に弾かれてしまい、南は体制を少し崩してしまった。
「壁に正面から挑むとは良い心掛けだな」
ザヌサーはそう言うと、大剣を大きく振り上げ、南に向かって一気に振り下ろした。
南は即座に横に回避した。大剣は地面にぶつかり、コンクリートの地面には亀裂が生じていた。
「相変わらず凄い力だ。惚れ惚れしちまう」
南はそう言って改めて刀を構え直した。
ザヌサーはそこから今度は大剣を横に大きく振り回してきた。南は高くジャンプしてそれを避けた。
「その程度で安全圏に入ったでも思ってたか?」
ザヌサーはそう言うと、素早く地面を蹴り上げてジャンプし、大剣を南に向かって勢い良く振り下ろそうとした。
あの大剣を刀でガードしたところでこちらは大きく吹き飛ばされてしまうだろう。かといって此処から回避の体制に入るのも無理に等しい。
南はこの一瞬で如何にザヌサーの攻撃を対処するか思考したが、良い案は一つも浮かばなかった。
しかし、フレイは一つの案を素早く練っていた。
「ほらよ、これでも貰っとけ」
地面にいたフレイはそう言って素早く南の下に近づき、空気銃を何と南に向けて撃ったのだ。
風圧により南は更に高く空を舞い、ザヌサーの攻撃を意図も簡単に避けた。
ザヌサーはそのまま地面に着地し、今度はフレイのほうを向いた。
「そこだ」
南は空中でそう呟くと、刀の剣先を下に向けてザヌサーの頭上目掛けて一気に落下していった。
「危なっかしい野郎だ」
ザヌサーはそう言って、バックステップで南を避けた。
そこにすかさずフレイが空気銃を撃ち込んだ。その瞬間ザヌサーのいた場所につむじ風が発生し、ザヌサーの着ていたコートにいくつもの切り傷が生じた。
切り傷はザヌサーの顔にもついたが、その程度でザヌサーはひるまなかった。
しかし、今度は南が左手にガバメントを持つと、ザヌサーに向かって引き金を引いた。
ザヌサーは素早く大剣を盾状に構え、銃弾を弾いた、と思っていた。
「残念だったな、そんな豆鉄砲じゃあ俺様の剣を貫くことなんて出来やしねぇ」
ザヌサーはそう言って大剣を構えなおした。
「貫く気なんて更々ねぇって」
と、南が言った。
「ああ?どういうことだ・・・」
その瞬間、ザヌサーの構えていた大剣が大爆発を生じたのだ。爆風によってザヌサーは剣を手放して後ろに大きく吹き飛ばされ、南とフレイもまた爆風に飲み込まれてしまった。
辺りには砂塵と煙幕が舞い、殆ど何も見えない状況だ。
「お、おい南、何しやがった!?」
と、フレイは素早く頭につけていたゴーグルを掛けながら言った。
「小細工を仕組むのって面白いだろ?今回は相手にくっつくタイプの爆弾を作ってみた訳だ。しかも煙幕付きでな」
南はそう言いながらフレイに近づいた。
「だからって使い時を考えろよ」
「これ以上勝負を長引かせても何も楽しくねぇからな。とっとと逃げるぞ」
「そうだな、じゃあ行くか」
フレイと南は前方が殆ど見えない中を急いで走り去っていった。
二人がしばらく走っていくとやっと視界が晴れた場所に出ることができた。
廃港には他の警察は見当たらなかった。恐らくトラックの追跡に回ったのだろう。
「フレイ、クランチはどうする?助けに行くか?」
と、南が走りながら言った。
「何処に逃げたか分かんのか?ま、あいつは多分大丈夫だ。俺達はとっととずらかろうぜ。今回の金はいつもの所から取っといてくれよ」
「ああ、そうさせてもらう。それじゃあ、次の仕事の時も贔屓にしてくれよ」
南はそう言って、廃港を後にしていった。
フレイも、その場で翼を羽ばたかせると、一気に上昇気流に乗り、廃港から飛び去っていった。
昼過ぎ、ビスカントは自身の部屋でラジオをかけながら書類に目を通していた。
「うーむ、向こうの支部は先月あまり稼げなかったのか」
と、ビスカントが呟いた。
彼が目を通していたのは、各支部の売上報告書だった。
Devil Familyは此処の街以外にも色んな場所に支部があり、そこで様々な商売をやっている。
商売、とは言っても表沙汰にできないような取引ばかりが主な収入源であるが。
「まぁ、新年ということもあって色々忙しかったのだろう」
その時、部屋の扉が開かれ、お盆を持ったルミナリーが入ってきた。
「コーヒー入れてきたけど、今飲む?」
と、ルミナリーが言った。
「後にしてくれるかい?書類にコーヒーがかかると困るから」
「ねぇねぇ、何の書類見てるのー?」
「売上報告書さ・・・ルミちゃん、お金の稼げないマフィアってどう思う?」
「うーん・・・マフィアだけに限らず、お金も稼げないようならそんな仕事やめちゃえばいいのに、って思うかな」
「相変わらず厳しいねぇ」
「そんな風に思うのは、社会人として当たり前だから!」
「なら、今月も下がり調子なら向こうは一斉解雇か。そうでも言えば気合が入るだろう」
その時、ラジオから流れていた曲が突然切れた。
「番組の途中で悪いけど、此処で緊急ニュース!
Chaonate City国際空港にて、たった今男性が麻薬及び向精神薬取締法違反で逮捕されました。
男性はオーストラリア発の航空機で、ヘロイン約10kgを密輸した疑いだそうよ!」
という内容が、ラジオから聞こえてきた。
「・・・ほぅ、そんなことがあったのか」
と、ビスカントが呟いた。
「ヘロイン10kgを密輸って、大胆だねー」
と、ルミナリーが言った。
「・・・ルミちゃん、この件について詳しく調べてくれるかい?一体何処がこんな大胆な取引をしようとしていたか気になる」
「そんなことならお茶の子さいさい!すぐに調べてくるから、コーヒー机に置いとくよ」
ルミナリーはそう言ってコーヒーの乗ったお盆をビスカントの前の机に置き、部屋から出て行った。
「実に惜しいねぇ・・・警察に捕まらなければ楽に強奪できただろうに・・・」
と、ビスカントが呟いた。
それから数分後、再びルミナリーがビスカントの部屋に入ってきた。
「お待たせー」
「おお、早かったねぇ。それで、どうだった?」
「今回捕まったのは、オーストラリアからやって来たアーネストって奴だって。PLCと取引しようとこの街にやってきたところをお縄、って感じだね」
「そのアーネストって奴はどこかのマフィア?それか個人かい?」
「調べてみたけど、あまりヒットしなかったから多分個人かなー。堂々と密輸しようとした感じ、この世界に慣れてないんじゃない?」
「成程・・・それにしても、またPLCか・・・やはり動きが怪しいねぇ。とりあえず、ルミちゃんご苦労だった」
夕方、カジノの一室で、フレイが暇そうに椅子にかけていた。
「クランチ、全然連絡寄こさねぇじゃねぇか」
フレイはそう呟きながら携帯電話をいじっていた。
「まさか、しくじってねぇだろうな・・・」
その時、フレイの携帯からメールの着信音が鳴り響いた。
「ん・・・お、クランチじゃねぇか。何々・・・少ししくじって今動けそうにない・・・おいおいマジかよ」
「ああ、マジだぞ」
突然、部屋にそんな声が響いた。
「ああ、誰だ?何処に居やがるんだ、出て来いよ」
フレイはそう言って携帯を机に置き、椅子から立ち上がった。
「窓が開いていたから勝手に入らせてもらったぜ」
という声がフレイの後ろから聞こえてきた。フレイが素早く振り返ると、そこには黒髪の男が立っていた。
「・・・あ、さっき帰ってきた時に閉め忘れていたのか」
と、フレイが言った。
「・・・おい、俺様についてはノーコメントか?」
と、男性が言った。
「いや、コメントしようにも名前を度忘れしちまってな、もう少しで出そうなんだけどな・・・」
「ったく、俺様の名前くらいしっかり覚えておけ!俺様の名前は・・・」
「思い出した!DABCだったな?」
「・・・違う!何でそこまで分かっていて間違えるんだ!?俺様は・・・」
「ああ、じゃあABCDか、ワリィワリィ」
「てめぇ、さっきよりも遠くなってんじゃねぇか!!いいか、俺様の名前はDACBだ!覚えておけ!」
「まぁ、最初から知ってたけどな」
「な、何だと!?俺様をからかってやがったのか!?」
「短気な奴はイジリ甲斐があるからな」
「な・・・!?てめぇ、俺様を怒らせちまったようだな!?俺様を怒らして只で済むと思うな・・・!」
「暴れるなら外でやっとけよ。用件を伝えてとっとと帰ってくれ」
「本当に気分の悪い野郎だ」
DACBはそう言った後に咳払いをして、また話を始めた。
「いいか、今俺様の家に怪我をしてぶっ倒れているクランチがいる。意識こそあるが足をやられて立つ事ができねぇそうだ」
「何だと?まさか、あの女にやられちまったのか・・・?」
「ああ。もう少しで逮捕されちまうところだったから、ちょっと情けをかけて助けてやったわけだ」
「お前、クランチと仲が良かったのか?」
「飲み仲間って奴だ」
「そんだけの理由で助けたのかよ。お前、言っちゃ悪いが殺し屋とか向いてないんじゃね?」
「うるせぇ!俺様はこの街一の暗殺請負人だぞ!?今回は依頼がなかったから助けてやっただけだからな!」
「煩いのはお前のほうだわ。で、クランチを迎えに来いってのが用件なんだろ?とっとと案内しろよ」
「クソ・・・何でよりによってクランチの仲間がこんな奴なんだ、近くにいるだけで腹が立つ」
DACBはそう言った後に、窓に近づいた。
「おいおい、お前此処まで何で来たんだよ」
と、フレイが言った。
「下にバイクを止めてある。てめぇもそれに乗ればいいだろ?」
「そんなチャチなもんに乗ったらケツを痛めて痔になっちまうって。お前はポンコツマシンに乗って普通に行けよ。俺は空からそれを見て追いかけて行くからよ」
「ポ、ポンコツ!?俺様の愛車を馬鹿にするなんて本当にてめぇは・・・」
「あーもうさっきから一々煩いったらありゃしねぇ!早く行けよ!」
「分かってるからてめぇも黙ってついてきやがれ!」
DACBはそう言って、窓から外に出て行ってしまった。
フレイは机の上の携帯をポケットに入れた後に窓に近づき、下を見ると既にDACBは道路に停めてあったバイクにまたがっていた。
そして、こちらを向いて手招きした後に、バイクで走って行った。
「あー、めんどくせぇ」
フレイはそう言って、窓から飛び出し、翼を羽ばたかせて空を舞った。
DACBの乗ったバイクは北側に向かって颯爽と走っていく。制限速度などお構い無しだ。
「へぇ、結構スピード出るもんだな。ま、空を飛ぶのに比べれば全然だけど」
と、フレイは空を飛びながら言った。
バイクは西側のリゾート地を抜け、北側の港町に入っていった。
そして、しばらく進んだ後に一軒の寂れた家の前でバイクは停車した。
それにあわせてフレイもその家の前に着陸した。
「此処が俺様の家だ。あまり他人を入れたくはねぇけど、今回は仕方ねぇ」
「こんなぼろっちぃ所に住んでんのかよ。殺しってそんなに儲からねぇのか?」
「下手に住居を構えると、命を狙われかねないからな、俺様はこうやって廃墟を無断で寝床にしてるって訳だ」
「ま、そんなことはどうでもいいとしてとっとと中に入ろうぜ」
「どうでもいいって、てめぇなぁ・・・!」
「まーた癇癪起こす気かよ?一々怒鳴り散らさないと死んじまうのか?」
「・・・この件が済んだら覚えておけよ・・・!」
DACBはそう言って、家の玄関の扉を開けて中に入った。フレイもその後ろをついていった。
家の廊下を少し歩き、二人は一室に入った。
その部屋のベッドには、クランチが横になっていた。
「よぉ、クランチ。迎えに来てやったぜ?」
フレイはそう言って、クランチの寝ているベッドに近づいた。
「・・・悪いな」
と、クランチが呟いた。
「またしくじったんだって?そんなにあの女は強かったのかよ?」
「俺も女だと思ってなめてかかったら返り討ちにあった。見事に足をやられちまった」
「でも、見た感じ折れてはねぇみてぇだな」
「折れてたらこんな所でじっとしていられないほど苦しんでるだろうな」
「そうだよな、まぁ良かったぜ。でだ、帰りは車のほうがいいよな?」
「・・・すまないな」
「ヘッ、仕方ねぇな」
フレイはそう言って携帯を取り出した。
「もしもし?フレイだけど」
「フレイさんですか・・・何か用ですか?」
「アネット、悪いけど車をチャーターしてくれねぇか?」
「えぇ、いいですけど・・・フレイさんが車を呼ぶなんて珍しいですね」
「まぁ、ちょっと怪我人が出ちまってな」
「怪我人!?ま、まさかクランチさんですか!?」
「ああ。で、場所だけどな・・・」
「ク、クランチさんの怪我は大丈夫なんですか!?その、何処を怪我されたんですか!?」
「とりあえずその辺の話は迎えに来てからにしてくれって。場所はだな・・・」
「わ、分かりました!スグに向かいますので!!」
「いや、だから場所は・・・」
しかし、そこで電話は切れてしまった。
「相変わらずクランチのことになると話を聞かねぇ。此処の場所なんて絶対分からねぇだろうに」
フレイはそう言って、携帯電話をポケットに閉まった。
何気ない日常、決して変わる事のないであろう日常。
しかしそれは、こうやって普通の日々を過ごしている間にも少しずつ変化しようとしていた。
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