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Individual Way of Life ~個々の生き様~
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二月二日
2012/04/11(水)22:23:56(12年前) 更新
Boundary between the Justice of Truth and False ~CPAO編~
街の平和を守り、市民の安全を確保する「CPAO」
しかし、警察内ではある問題が起きていた。
正義とは一体何なのか、考える暇はもうなかった・・・
「・・・今回の事件で把握できている点はこれだけだ」
と、ザヌサーが言った。
今、ザヌサーは警察署の会議室のホワイトボードの前で、昨夜の事件についての説明を行っていた。
会議室にはザヌサーのほかに亜貴を始めとした刑事達がいたが、全員暇そうにしていた。
はっきり言ってこのような事件は毎日のように起きている。
毎日同じような説明を聞かされていては、不謹慎ながら飽きてしまうものである。
そのようなことはザヌサー自身も自覚しているが、仕事なので彼も仕方なく行っていた。
「終わり?じゃあ解散でいいわよね」
と、亜貴が言った。
「ま、俺達も職業柄マフィアの連中に目をつけられやすいから、注意してくれって事で、解散だ」
と、ザヌサーが言うと、他の刑事達は次々と会議室を後にした。
ザヌサーは説明に利用した資料を片付けていた。そこに、亜貴が近づいてきた。
「ザヌサーさん、この事件の詳細を追わなくてもいいの?」
「追った所でどうせ犯人はマフィア。俺達警察はマフィアのゴタゴタに首を突っ込みすぎちゃあいけねぇからな」
「ホント、署長のその規約はおかしいと思うわ」
「・・・だな。さてと、俺は今から署長と話があるから、先に失礼させてもらうぜ」
「え、嘘!?あたしがこんなこと言ってたこと告げ口しないでよ!」
「俺様がそんなちいせぇ事をチクると思うか?それじゃあな」
ザヌサーはそう言って、資料を持って会議室を出て行った。
「・・・相変わらずね」
亜貴はそう呟き、会議室を後にした。
しばらくして、ザヌサーは一つの扉の前で立ち止まった。
ザヌサーは扉をノックした。
「ん、誰だね?ネームプリーズ」
と、扉の中から独特の口調の声が聞こえてきた。
「刑事課のザヌサーだ」
「ザヌサーくんかい。入ってオ~ケ~」
ザヌサーは扉を開けた。
部屋の中では一人の男が、窓のほうを見ながら立っていた。
男は手にカップを持っていた。
「エヌ・トロピー署長、とっとと話を終わらせてくれ。俺だってやるべき仕事が山ほどあるんだ」
「相変わらずキミは分かってないねぇ」
「あん?」
「ワタクシはティータイムなうな訳だよ。部下であるキミは、ワタクシの調子にマッチングさせるべきなのだよ。バッツ、キミはいつもワンセルフ、自分自身の都合をファーストさせようとする」
「・・・何でこの俺様が貴様なんぞの茶に付き合わなきゃいけねぇんだよ、ああ?」
と、ザヌサーは低い声で呟き、エヌ・トロピーと言う名の男を睨み付けた。
ザヌサーに対し上から物を言っていたエヌ・トロピーも、ザヌサーの恐ろしい気迫にビビッてしまった。
「ちょ、ちょっとしたジョークじゃないか・・・そんなにアングリーしないでおくれよ・・・」
「・・・なら、早く話をしてくれよ」
「ああ、だがもう一人コールをかけていてね。もう少し待っておいてくれないか」
「此処の奴等なら俺が呼んできてやってもいいぞ?」
「いや、アウッツサイドのピーポゥさ」
警察署の玄関に一人の男が立っていた。
「ここか・・・自分から警察署に来るなんて、何だか自首しに来た気分だ」
と、男が呟いた。
男が警察署の中に入っていくと、すぐに一人の女性が男に近づいてきた。
「ソルお兄ちゃん、来てたんだ!」
女性はそう言うと、ソルと言う名の男に抱きついた。
「お、おいルナ、恥ずかしいからやめてくれ!」
「お兄ちゃん、連絡してくれたら迎えに行ったのに~」
「ルナに迷惑かけるのも悪いと思ってな」
「んもう、お兄ちゃんの頼み事が迷惑な訳ないでしょ!」
「じゃあ、今度からはそうさせてもらうよ。とりあえず、此処の署長にお呼ばれしてるんだけど、行っていいか?」
「へぇ、そうだったの・・・一体何の用事なんだろう」
ルナはそう言って、ソルから離れた。
「さぁな。とりあえず、行って見れば分かるし。それじゃあ、後でゆっくり話でもしようか」
「うん!いいお店知ってるから、私の仕事が終わったら一緒に行こう!」
「ああ、そうしよう」
ソルはそう言って、署長室に向かって歩いていった・・・が、しばらくしてまたルナの元に戻ってきた。
「お兄ちゃん、どうしたの?」
「・・・道、分からないんだけど」
「本当だ、お兄ちゃん此処に来るの初めてなのに分かるはずないよ!私が案内するよ」
「お、サンキュー」
ソルとルナは、その後も二人で仲良くしゃべりながら署長室に歩いていった。
そして、二人は署長室前の扉で止まった。
ルナが一歩前に出て、扉をノックした。
「ネームプリーズ?」
という男の声が聞こえてきた。
「ソルが到着しました」
「おお、そうかい。こちらにカミング」
ルナは扉を開けて中に入った。
部屋の中では、エヌ・トロピーとザヌサーがソファーに向かい合って座っていた。
「エヌ・トロピーさん、だよな?」
と、ソルがエヌ・トロピーに向かって言った。
「イエス、ワタクシがエヌ・トロピーだ」
「俺は刑事のザヌサーだ」
と、ザヌサーが言った。
「ザヌサーさんか。まぁ、よろしく」
「ソル君もこちらに来たまえ。ザヌサーのサイドにシッダウンしておくれ」
「ああ」
ソルはそう言って、ザヌサーの隣に座った。
「では、私はこれで失礼します」
ルナはそう言って部屋から出て扉を閉めた。
ザヌサーは、隣に座ったソルの目をじっと見つめた。
今まで何人もの人々の目を見てきたザヌサーにとって、目を見れば大まかな職種くらいは見当がつく。
ソルの目は特定の職種に見られるものだった。
相手を鋭く睨みつけるような目つき、それは何かしらの戦いを主としている職業や、一対一の勝負をするスポーツをする者によく見られる。
そしてその中でも更に、瞳に一切の感情が篭っていないとなると、更に職種は絞られてくる。
「お前・・・殺しをしたことがあるな」
と、ザヌサーはソルに言った。
「・・・だとしたら?」
「ザヌサー、彼は優秀な賞金稼ぎだからノープロブレムさ」
と、エヌ・トロピーが言った。
「そんな野郎を何故此処に呼んだ?此処は仮にも警察署だぞ?」
「端的にトークすれば、我々のワークを減らすためさ」
「・・・こいつに犯罪者を殺させるってわけか」
「イエス、そうすれば彼はワークが出来てハッピー、我々は処理する事件が少なくなってハッピーと言うわけさ」
「そんなこと言うけど、俺はまだ了解してないぞ?大体俺は賞金稼ぎが目的な訳だし、一人当たりの額を定めてくれないと困るんだけど」
と、ソルが言った。
「賞金については追々ディサイドしていくつもりだから安心を。とりあえず、我々に協力してくれたら、この街での殺人行為を特別にアロウしてあげよう」
「署長・・・本気で言っているのか?」
と、ザヌサーがエヌ・トロピーを睨みながら言った。
「オフコース、もちろんさ。ザヌサー、この話はキミ達にメリットのほうが多いとシンキングできるけど?」
「・・・もういい、好きにしやがれ」
ザヌサーはそう言って立ち上がると、扉を蹴り飛ばして外に出て行ってしまった。
「・・・ザヌサーさん、相当怒っていたみたいだけど」
と、ソルが言った。
「ザヌサーはヘッドが石みたいに硬いからね。まぁ、気にしなくてオーケーさ。それより、この話、乗ってくれるかい?」
「賞金が確定されるまで保留とさせてもらう。ま、よっぽど低い額じゃない限り大丈夫だけど」
「そうか、ならまた追々コンタクトさせてもらうよ」
「ああ、そうしてくれ。それじゃあな」
ソルはそう言って立ち上がり、部屋から出て行った。
「・・・意味が分からん」
ザヌサーはそう呟いて、タバコを口に銜えた。
ザヌサーは今、警察署の屋上にいた。署内は全面的に禁煙なので、タバコを吸えるのは此処くらいしかないのだ。
屋上には警察ヘリが常に停められており、緊急の際などに出動したりする。
「あ、サボり発見!」
突然、ザヌサーの後ろから女性の声が聞こえた。
ザヌサーがゆっくり振り返ると、そこにはスタイルのいい一人の女性が立っていた。
「真利亜だったか」
と、ザヌサーが真利亜と言う名の女性に向かって言った。
「まだ勤務時間なんだから、こんなところで油売ってたらだめでしょ」
「そういうお前も、暇だから此処に来たんだろ?」
「いや、署長に用があったんだけど、何か忙しそうだったので時間つぶしに来ただけよ」
「・・・そうか」
「何か、嫌な事でも?」
「・・・お前は、正義が悪を認めるという行為をどう思う?」
「え?それは・・・正義は悪をなくすためにあるものだから、正義が悪を認めた時点で、正義が正義でなくなると思うけど」
「・・・やはりお前はいい」
「どういうこと?」
「警察というのは本来お前みたいな野郎が務めるべきだよな。だが、署長は・・・」
「ザヌサーさん!」
「何だ?」
「愚痴はもういいでしょ?まだ仕事はいっぱいあるのに、今からそんなのでどうするの?何だかザヌサーさんらしくないんだけど」
「悪い、あまりに気に食わないことがあったからな」
「そうだ、せっかくだしストレス発散しない?思いっきり体動かしてさ」
真利亜はそう言うと、一歩後ろに下がり、手首をぐるぐると回し始めた。
「ほう、そりゃいい案だ」
ザヌサーはそう言うと、コートをその場で脱ぎ捨て、ネクタイを緩めた。
「最近部下としか組んでなかったから体が鈍ってるのよ。あなたなら腕っ節が強そうだし楽しめそうだわ」
「余裕こいてて、後で泣くなよ?」
「ルールはどちらかが降参っていうまで。大怪我はさせないから安心して」
「余計なお世話だ!」
ザヌサーはそう言うと、真利亜に向かって素早く左フックを繰り出した。
しかし、それと同時に真利亜が左手でザヌサーの左手をいとも簡単に弾いたのだ。
真利亜はほんの少しひるんだザヌサーに向かって一気に近づくと、ザヌサーの右手を左手で掴み、素早く後ろに回りこんだ。
そしてザヌサーの右手を後ろに回し、さらに真利亜は右腕でザヌサーの首を捕らえた。
「ヌッ、やりやがる・・・」
ザヌサーはそう言って、真利亜の手を必死に振りほどこうとするが、不思議なことに全く力が入らないのだ。
「どう、まだ降参しない?」
真利亜はそう言うと、ザヌサーの右手を上方向にグイッと上げたのだ。
ザヌサーの右腕に激痛が走る。流石のザヌサーも関節の痛みには敵わなかった。
「アー!やめてくれ!降参だ降参!」
ザヌサーがそう言うと、真利亜は前にザヌサーを押し倒した。
「勝負あり、筋肉馬鹿な戦い方は相変わらずって感じね」
と、真利亜が言った。
「ケッ、逆にストレスが溜まっちまった」
ザヌサーはそう言ってゆっくりと立ち上がり、服についた汚れを払った。
「ザヌサーさんも、相手の技に応じる戦い方を学んだほうがいいと思うけんだけど」
「俺はそういう戦法は苦手なんだよ。相手を一撃でぶちのめす戦い方のほうが性に合う」
ザヌサーはそう言いながらコートを羽織った。
「確かにそっちのほうがザヌサーさんらしいわね。それじゃ、そろそろ署長の用事も終わってる頃だろうし、行くわね」
真利亜はそう言って、屋上から立ち去っていった。
「俺もそろそろ仕事に戻るか」
ザヌサーがそう言ったとき、コートについていた無線が鳴った。
「街の北部にて不審な青年集団を発見。付近の警官は早く来てほしいな」
街の北側の道路に、一台のパトカーが止まっていた。
中には一人の女性が乗っていた。リリーだ。
リリーの乗るパトカーの少し先の道に、不審な集団がいたのだ。
彼等の近くには何台ものバイクが置かれていた。
「何だか、怪しい雰囲気だなー。一応声かけてみようかな・・・」
リリーはそう言うと、パトカー内のマイクを手に持った。
「ちょっとー、そこで何してるのー?」
と、リリーはマイクに向かって言った。
すると、相手は次々とパトカーのほうを睨みつけてきた。
「やっぱり怪しいねぇ。職務質問しとこうかなぁ」
リリーはそう呟いて、パトカーから降りた。
そしてリリーは集団に近づいた。
彼等に近づくと、タバコの臭いが鼻を突いた。
「ちょっと、お話し聞いていいかな?」
リリーはそう言って、警察手帳を集団に見せた。
「な、 何だよ、俺達何もしてねーよ」
と、一人の男が言った。
「貴方達、何歳?」
「そんなこと関係ねぇだろ」
「でもさ、タバコ吸ってたよね?免許証とか年齢確認できるもの見せてくれない?」
「免許証?家に置いて来ちまった」
「じゃあ、あのバイクは誰の?貴方達のだったら、無免許運転だよね?」
リリーがそう言うと、男の顔が変わった。
「・・・あんた、結構可愛いじゃねぇか」
「え、いきなり何?」
「俺達とちょっと遊ばねぇか?ちょっといけない遊びをさ!」
「貴方達、誰に向かってそんなこと言ってるのか分かる?警察だよ、ケ・イ・サ・ツ」
リリーがそう言った瞬間、男達がリリーに近づいてきた。
「例えサツだろうと一人の女が俺達の相手できるわけねぇだろ?」
男はそう言うと、何と手にナイフを持ち出したのだ。
男達はゆっくりと近づいてくる。リリーは一歩ずつ後ろに下がっていく。
流石に青年の集団相手に一人で対処するのは難しい。リリーはこの後どうやって彼等を静めるかを考えていた。
リリーは胸についていた無線機を手に持った。
「街の北部にて不審な青年集団を発見。付近の警官は早く来てほしいな」
と、リリーは無線機に向かって言った。
「野郎、やっちまおうぜ!」
男がそう言った瞬間、男達が一気にリリーに向かって走ってきた。
リリーはホルスターからUSPを取り出したが、男のナイフの突きのほうが早かった。
ナイフは無残にもリリーの下腹部に突き刺さった。
「ウッ・・・」
生憎リリーはこの際防弾ベストなどの防具を装備していなかったため、ダイレクトにナイフが突き刺さっていた。
リリーはその場に跪いてしまった。
「あーあ、何だかあっさりした終わり方だな・・・」
リリーが呟いたその瞬間、どこからか銃声が鳴り響いた。
そしてそれと同時に、ナイフを持った男がその場に倒れこんだ。
他の男達は突然の出来事に驚き、後ろに引き下がった。
その時、リリーと男達の間に、一人の男が割り込んできた。
その男は白衣と思わしきものを着ていたが、リリーにはその男の後姿しか確認できなかった。
「・・・俺の家の前で勝手なことをされたら困る」
男はそう言うと、右手にレーザーソードらしきものを構えた。
それを見た他の男達は恐れ戦いて次々とその場から逃げ去っていってしまった。
「・・・狐共が」
男はそう呟くと、リリーのほうを向いた。
リリーは彼の顔をどこかで見たことある気がしたが、意識が朦朧としだしていたため思い出せなかった。
「・・・警察か。まぁいい」
男はそう言うと左手に注射器を持ち、リリーの首筋に何かを注射した。
その瞬間、リリーの意識が飛んでしまった。
リリーが目が覚めたのは、ベッドの上だった。
リリーは上半身を起こした。腹部の痛みは全く無かった。
「う、うーん・・・ここ、どこだろう?」
リリーはそう言ってあたりを見渡した。周りにはいくつものベッドや、様々な実験器具、更には生き物がホルマリン漬けされているものなどが置かれており、非常に気味が悪かった。
「目が覚めたか」
どこからか男がやってきた。さっきの男だ。
意識がはっきりしていた今のリリーには、彼が誰なのかはすぐに分かった。
「貴方、もしかしてPLCのクリムゾン?」
「流石警察だ。如何にも、俺はクリムゾンだ」
と、クリムゾンが言った。
PLCの幹部を務めているクリムゾンという男は、名前や顔こそ警察は知っていたが、実際に彼と出会った者はごく一部しかいなかった。
それだけ、外部との接触が少ない人間なのだ。
リリーはクリムゾンがこんな場所に住んでいたなんて思いもよらなかった。
しかし、それ以上にマフィアであるはずの彼に助けられたことに対して驚きを隠せなかった。
「安心しろ。傷は内臓まで達していない」
「そ、そう・・・ねぇ、何で私を助けたの?」
「俺の家の前に警察の死体があったら、その周りを警察に調べられるからな」
「でも、助けられたその警察が貴方の住む場所を言い触らす可能性もあるよ?」
「・・・汚い警察ならそうするだろうな。その時は話される前に殺すまでだ」
「マフィアらしいね。でも、命の恩人を裏切るなんて、私にはできないかなぁ・・・」
「そうか、ならいい。今、警察共がこの辺りでお前の捜索をしている。そこの階段を上がって、裏口から裏庭に行ってくれ。表口からだと此処が俺の住居だとばれるかもしれないからな」
「分かったよー。それと・・・助けてくれてありがとう!ねぇねぇ、また遊びに来てもいい?何かお礼がしたいから!」
「・・・来るなと言っても来るんだろ?」
「エヘヘ、バレちゃった?それじゃあ、またね」
リリーはそう言ってベッドから降りて、階段を上っていった。
そして、綺麗な部屋を通り過ぎ、裏口の扉を開け、裏庭に出た。
外ではサイレンの音がうるさく響いていた。
「ありゃりゃ、相当大事になっちゃったみたい」
リリーはそう言って裏庭から路地に出て行った。
他の警察と合流し、適当な嘘を言ってごまかしていたリリーは、クリムゾンが自分を助けた本当の理由を考えていた。
警察内では最も危険な人物として挙げられていた男、クリムゾン。
何故そのような男が、このような人助けをしたのか、リリーには理解できないでいた。
警察が勝手にクリムゾンという男の危険さをでっち上げたのか、クリムゾンに何か狙いがあったのか、今の彼女に知る術はなかった。
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