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Individual Way of Life ~個々の生き様~
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二月四日
2012/04/27(金)00:27:40(12年前) 更新
Boundary between the Justice of Truth and False ~CPAO編~
街の平和を守り、市民の安全を確保する「CPAO」
しかし、警察内ではある問題が起きていた。
正義とは一体何なのか、考える暇はもうなかった・・・
昼下がりの街の西部。ショッピング街にサイレンが喧しく鳴り響く。
サイレンを鳴らしていたのは、ルナとリリーの乗ったパトカーだった。
「・・・真昼間から路上で喧嘩だなんて、何考えてるのかしら」
と、パトカーを運転していたルナが言った。
「通報するくらいだから、結構大モメしてるんだろうねー」
と、リリーが言った。
「・・・そう言えばリリー、最近あなた一人でパトロールに行ってるみたいだけど、どうして?」
「んーとね・・・気分?」
「気分・・・リリーらしいわね。でも、この街で一人でパトロールなんて危険だから、出来るだけ二人以上で行ったほうがいいわよ?私も出来るだけこうやって付き合うし」
「分かったー」
「もう、リリーは小柄なんだから、男に狙われやすいでしょ?もう少し危機管理をしないと・・・」
「今度からキキカンリってのをするよ」
「・・・相変わらずフワフワしてるわね」
「あー、あれが例の現場じゃない?」
リリーはそう言って、前方右側の歩道を指差した。
そこでは、大勢の人達が何かを取り囲んでいるようにして立っていた。その中心では二人の男が口喧嘩をしているようだった。
「本当ね」
ルナはそう言って近くにパトカーを止め、マイクを手に持った。
「ちょっとそこ、何してるの?」
ルナがマイクに向かってそう言うと、野次馬達はパトカーのほうを向いたが、喧嘩をしている二人は一切やめようとしない。
「言っても無駄みたいだね」
リリーはそう言ってシートベルトを外した。
「ちょっと、止めにいくのは危険だって・・・!」
「でも、此処で見てるだけなのもだめじゃん」
リリーはそう言ってパトカーから降りてしまった。
「もう、さっき危機管理をしろって言ったばかりなのに・・・」
ルナはそう呟いてパトカーから降りた。
「警察だよー、喧嘩をやめなさーい!」
リリーはそう言いながら喧嘩をしている二人に向かって行ったが、二人はまだやめる気配がない。
「ったく、こっちが気持ちよく飲んでたのに、騒ぎながら店に入ってきやがった上に喧嘩を吹っかけに来るなんて、どういう神経してんだよ!?」
と、顔に傷がついた男が怒鳴った。
「喧嘩を吹っかけてきたのはそっちだろ?変な言いがかりつけんなよ、バーカ!」
と、パーカーを着た男も負けじと怒鳴った。
「自分を誰だか知ってやがるのか!?パンチ・ザ・ジャンプだぞ!?ボクサー相手に喧嘩して勝てると思ってんのか!?」
「ヘッ、元ボクサーの分際で調子にのんなよ、こっちは街一番のストリートギャング、Fox Fangのリーダー、ゴルブ・フォックスだぜ?」
「クソガキが調子乗ってんじゃねぇ!!」
パンチという名の男性はそう言って、ゴルブという名の男性に向かって右ストレートを繰り出した。
元ボクサーというだけあって、パンチのスピードはかなり速かったが、現役で喧嘩をしているゴルブはそれを素早くしゃがんで避けた。
「そんなヘナチョコパンチしか撃てねぇんじゃ、引退して正解だったじゃねぇか」
ゴルブはそう言うと、ポケットからナイフを取り出し、パンチの腹部目掛けて突き刺そうとした。
だがその時、リリーが素早くゴルブの後ろに回りこむと、ゴルブを後ろから羽交い絞めにしたのだ。
「ウググ!!グルジイ・・・」
と、ゴルブはもがきながら言った。
「真利亜からちょっとした束縛術を教えてもらっといて良かったよー!」
リリーはそう言って、ゴルブを前方に思いっきり突き倒した。
更に、急いで起き上がろうとするゴルブの背中にまたがると、ゴルブの両手を掴み、手早く手錠をかけた。
「いっちょあーがりっと!」
リリーはそう言って立ち上がり、今度はパンチのほうを見た。
「クソ、警察か」
と、パンチが言った。
「パンチさん、あなたも現行犯逮捕します」
と、ルナがそう言いながらパンチに近づいた。
「心配しなくても、両方怪我をさせてないみたいだから事情徴収だけで終わると思うよ」
と、リリーが言った。
「リリー、そんなこと言ったらだめじゃない!」
と、ルナがリリーに向かって怒りながら言った。
「でも、そうでも言わないと逃げちゃうかもしれないじゃん」
「いや、逃げなんかしねぇ。自分も少しは悪かったからな」
と、パンチが言った。
「それにしても、まさかパンチさんを逮捕することになるなんて思いにもよらなかったわ」
ルナはそう言いながらパンチの腕に手錠をかけた。
「え、パンチさんって何か有名なことしたの?」
リリーはそう言いながら地面に転がっていたゴルブを起こした。
「有名も何も、元プロボクサー世界チャンピオンですし・・・だから、あんなふうにちょっとしたことで記者が駆けつけてくる」
ルナはそう言ってある方向を指差した。リリーがその方向を見ると、鳥の男性二人が何かをメモ帳に書きなぐっていた。
「あれって、情報局の?」
「情報局の記者のチックとスチュー。どんなところにも取材に来るから、刑事の方とか全員が嫌ってるのよ」
「へぇー」
リリーはそう言って、チックとスチューに近づいていった。
「おお、これはこれは、CPAO一のおてんば娘こと、リリーさんじゃあないですか」
と、チックが言った。
「おてんばなんて言われたら、照れちゃうじゃんかー」
と、リリーが言った。
「こいつ、おてんばを褒め言葉だと思ってやがるぜ!相変わらずCPAOはぶっ飛んだ連中ばかりだな!」
スチューはそう言って、首から提げていたカメラを構えた。
「写真撮ってくれるのー?うれしいなー!」
リリーはそう言ってカメラの前でポーズを取った。
「おお、いいねぇそのポーズ!こんなもん見た世のお父さん達は、鼻血吹き出してぶっ倒れちまう!こんな警官に、夜に手錠をかけられてぇぜ!」
スチューはそう言いながら何回もカメラのシャッターを押した。
「おいおいスチュー、今日のターゲットはパンチさんだろ?此処でフィルムを使い切っちまったら、記事にならないじゃないか」
「いいじゃねぇか!こいつを破廉恥な雑誌にのせりゃあ、大もうけだぜ!?」
「・・・それもそうだね。今日はリリーさん特集ということで一つ取材を組もう」
「ホント!?でも、私もお仕事忙しいから、写真だけで許してくれる?」
リリーはそう言って、手を合わせて二人のほうを円らな瞳で見た。
「クーッ!そんな目で見られちゃあ断るわけにはいかねぇ!よし、そのポーズをカメラで撮ったら今日は帰るぜ!」
スチューはそう言ってこれでもかというほどシャッターを押した。
「リリーさん、今回はどうもありがとう!これ、ちょっとしたギャラだけど」
チックはそう言ってポケットからお金を出そうとしたが、リリーはすぐに首を横に振った。
「いらないよー!写真を撮ってくれただけで十分だよー!じゃあ、出来上がった雑誌楽しみにしてるねー!」
リリーはそう言って二人に手を振った後、ルナの元に戻っていった。
ルナは既にパンチとゴルブをパトカーに乗せ終わっており、リリーのほうを怖い表情で見ていた。
「・・・リリー、度が過ぎるわよ」
と、ルナが言った。
「ごめーん。でも、これで多分パンチさんの逮捕の記事は表沙汰にはならないんじゃないかな?」
「え、そのためにあんなことしていたの?」
「当たり前じゃん。そうでもないとあんな二人に付き合うわけないよー」
「・・・フフッ、ホント、リリーって凄いわね」
「ささ、早く二人を署に送ろうよ」
リリーはそう言って助手席のほうに回っていき、そこからパトカーに乗り込んだ。
ルナもまた、運転席のほうからパトカーに乗った。
日も傾いた頃、警察署内でパンチとゴルブの取調べが行われていた。
パンチの取調べの様子を外から亜貴がじっと見ていた。
「・・・また、狐の所が問題を起こしたのね。このところ毎日騒ぎを起こしてるけど、どうにかならないかしら」
と、亜貴が呟いた。
「真利亜はそれ以上に、あのパンチさんが捕まったことに驚いたわ」
亜貴の後ろからそんな声が聞こえてきた。亜貴が後ろを振り返ると、そこには真利亜が立っていた。
「あなたも取調べを見に来たの?」
と、亜貴が言った。
「だってパンチさんの取調べなんて、珍しいじゃない」
真利亜はそう言いながら、亜貴の隣に立った。
「取調べは見世物じゃないんだから」
「・・・だって、あの伝説のボクサーが、落ちぶれて暴力沙汰を起こしそうになるなんて、信じられないじゃない」
「確かに・・・そもそも、パンチさんの引退理由ってなんだったかな・・・」
「公式には腕の骨折だと言われていたはずだぜ」
突然二人の後ろからまた誰かの声が聞こえた。二人が後ろを見ると、ザヌサーが立っていた。
「ザヌサーさんか・・・へぇ、ボクシングとか興味あったんですね」
と、亜貴が言った。
「ボクシングに興味はねぇ。でもそんな俺でさえ知ってたような奴だったからな。引退時はマスコミの連中が大騒ぎして煩かったからなぁ」
「それよりも、公式にはってどういうこと?」
と、真利亜が言った。
「・・・引退騒動に俺も関わっていたから、裏の事情まで知ってんだよ」
「え、そうなん!?警察が関わるような内容だったとは・・・」
と、亜貴が言った。
「結構前の話だけどな。暇なときにでも資料室を漁ってみれば、いろいろ出てくるかもしれねぇぞ・・・ん?」
その時、ザヌサーの持っていた無線が鳴った。
「こちらザヌサー・・・あぁ?北の廃港付近から銃声?ったく、またマフィア連中かよ。すぐに行く」
ザヌサーはそう言って無線を切った。
「ザヌサーさん、事件?」
と、亜貴が言った。
「また発砲事件だそうだ。どうする、亜貴はまだ取調べを見物しとくか?」
「いや、あたしも行きますよ。警察はペア行動が基本ですからね」
「その言葉、リリーにも言ってやれ。じゃ、行くぞ」
ザヌサーはそう言って取調室を後にした。
「それじゃあ、また後でね」
亜貴は真利亜にそう言って、部屋を後にした。
「・・・何だか、普通の警察の仕事もしてみたいなぁ」
真利亜はそう呟いて、再び取調べを見物し始めた。
北の廃港の倉庫の屋根の上で、ソルが音楽を聴きながら寝そべっていた。
その場所は、この街に来て間もない彼が見つけたちょっとした癒しの場だった。
そこからは綺麗な星を見ることが出来るので、ソルは夜になると大抵そこで寛いでいた。
誰にも邪魔されない一人だけの空間。ソルはそう思っていた。
だが、ソルの耳に音楽以外のある音が聞こえてきた。
「・・・銃声?」
ソルはそう言ってイヤホンを外して立ち上がり、屋根の端まで歩いていった。
「・・・何だ、マフィアの争いか」
ソルは下の光景を見て呟いた。下ではマフィアと思わしき人達が何やら戦っていたようだった。
「確かに考えてみれば此処なんて取引に打って付けだから、争いも起こるか」
ソルはそう言ってまた音楽を聴こうとした。が、争っていた男の一人の顔が、銃口から発せられた光によって確認できたとき、ソルは驚愕した。
「あ、あれは・・・!?」
ソルはそう言うと急いで携帯を取り出した。
「えっと、あの顔は、確か賞金が掛かっていた筈・・・」
ソルはそう言いながら携帯のボタンを押した。彼が見ているのは、賞金首が掲載されているサイトである。
そこには彼の所属している賞金稼ぎグループが決めた賞金首と、その賞金が載っており、ソルはそれを見て誰を狩るかを決めている。
「・・・あった、正式名称不明、通称紅の瞳を持つ狂科学者、クリムゾン。賞金は・・・じゅ、10万ドル!?」
ソルはクリムゾンに掛けられていた賞金の多さにまたしても驚いてしまった。
10万ドルもの賞金が掛かることなんて滅多にない。なぜならそれまでに大抵誰かの手によって殺されてしまうからだ。
「こんな額になるまで生きているなんて・・・何て恐ろしい男なんだ」
ソルが携帯を見ていた間に、戦いは既に終わっていた。
クリムゾンともう一人の男、そしてもう一方には二人の男と一人の女がそれぞれ別の方向へ歩いていっているところだった。
クリムゾンは腹部を押さえながら歩いており、どうやら撃たれたようだった。
「こ、これはチャンスか・・・!?」
ソルはそう言って携帯をしまった。
例え多額の賞金が掛かっているような強豪であろうと、怪我をしているのなら圧倒的にこちらのほうが有利だ。
今なら簡単に仕留めることが出来るだろう。ソルはそう判断して、ホルスターに手を掛けようとした。
「おい、そこで何してやがる?」
突然ソルの後ろから声が聞こえてきた。ソルが後ろを振り返ると、そこには一人の男が立っていた。
「・・・別に、何も」
と、ソルは冷静を装って言った。
「何も?なら何で銃に手をかけようとした?」
と、男が言った。
「それは・・・何となく」
「何となくで銃を抜く奴がいるわけねぇだろ!!ったく、冗談もほどほどにしておけよ」
「それより、何か用?」
ソルはそう言って、下をチラッと見た。クリムゾン達はこの場から離れていっている。
「てめぇ、どうせ下にいる奴を殺そうとしてたんだろ?」
「・・・それが分かるってことは、お前も只者じゃない?」
「ああ、この俺様はこの街一の暗殺請負人、DACBだ!!」
「・・・DACB?聞いたことないけど」
「それはてめぇの情報不足だろ?俺様はてめぇのことも知ってるぜ?確か・・・」
「ソル。一応賞金稼ぎをやっている。まぁ、職業は似た物同士か」
「じ、自己紹介なんかして何だよ」
「自己紹介されたら返すってのが礼儀だから」
「お、おう・・・そうだな・・・って、話がずれちまった。てめぇは下の男を殺すのが目的だろ?」
「・・・そうだけど、もしかしてDACBもそれが目的?」
「いや、違う。俺様の目的は・・・」
DACBという名の男はそう言った後に左手をマントの右脇に突っ込み、何かを装着して取り出した。
彼の左手についていたのは鉤爪だった。
「・・・もしかして、ターゲットは俺?」
と、ソルが言った。
「このままいけばそうなるな」
と、DACBが言った。
「何か、俺悪いことでも言った?俺は単純にクリムゾンを倒そうとしているだけだが・・・」
「それが気に食わねぇんだよ!」
「え、何で?別にDACBには関係ないんじゃ・・・あ、もしかしてクリムゾンと友達だとか?」
「あいつが友達だからとかいう理由じゃねぇ。此処は俺様のテリトリーだから失せろって話だ!!」
「テリトリーだから何なんだよ」
「俺様のテリトリーで似た職業の奴に変な真似をされると困るんだよ!いいか、五秒だけ考える時間をくれてやる。その間に此処からどうするかを決めやがれ」
ソルは端から考えを変える気なんてなかった。彼は左右の足についていたホルスターから二丁のグロックを抜き、DACBに向かって構えた。
「・・・やはりそうするつもりか。後悔しても知らないからな?」
「そっちこそ、喧嘩売っといてボロ負けなんて恥ずかしいことにならないように気をつけたら?」
「うるせぇ!」
DACBはそう言って鉤爪を構えると、ソルに向かって走っていった。
「銃相手に接近戦で来るなんて、面白い殺し屋なこった」
ソルはそう言うと、走ってきたDACBに向かって右手のグロックの引き金を引いた。
「まっすぐに突っ込んでいくほど、馬鹿じゃねぇんだよ」
DACBはそう呟くと、素早くジャンプして銃弾を避けた。
ソルは空中にいるDACBに銃口を向けると、更に右手のグロックを撃ち続けた。
しかし、それよりも早くDACBは右手に爆弾を持つと、ソルに向かって投げつけた。
一発の銃弾が爆弾に直撃し、爆弾はDACBとソルの間で小さな爆発を起こした。
二人には特にダメージはなかったものの、爆風によってグロックの銃弾は全て吹き飛んでしまった。
DACBはソルの目の前で着地すると、素早く左手についた鉤爪を右に振り払った。
「おっと危ない」
ソルはそれをバックステップで避けたが、DACBは距離を素早く詰め、再び鉤爪を振り払った。
ソルは今度はDACBを飛び越えるようにしてジャンプして避けると、DACBの背中に左手のグロックを突きつけた。
「これで、勝負ありって所かな」
と、ソルが言った。
「その程度で勝った気になるなんて、まだまだだな」
DACBはそう言いながら、鉤爪をなぎ払いつつ素早く後ろを振り返った。
ソルの左手に鉤爪が当たり、ソルはグロックを落としてしまった。急いで引っ込めた手には、引っ掻き痕が生々しく残っていた。
「銃を突きつけられても動じないとは、流石って所かな」
ソルはそう言って右手のグロックを構えた。
「・・・そろそろ終わりの時間だ」
DACBはそう言うと、素早く右手にProを持つと、銃口をソルに向けて引き金を引いた。
ソルは銃弾を横に転がって素早く避けたが、体勢を立て直す前にDACBは一気に距離を詰め、鉤爪を振り下ろした。
鉤爪は今度はソルの上半身を引き裂いた。
「グッ・・・やられちまったか」
ソルは傷口を左手で押さえて、その場にしゃがみこんだ。
「これで分かっただろ?俺様の忠告を無視すると、こうなるってな!」
DACBはそう言って、ソルの頭に銃口を向けた。
しかしその時、一筋の光がDACBの頬を掠めた。DACBの顔の光に当たった箇所からは煙が上がっていた。
「アチッ・・・な、何だ?」
DACBがそう言った時、再び光がDACBに向かって飛んできた。
DACBはそれを横に回避した後、光の発生箇所を突き止めた。暗闇の中に、うっすらと人影のような物が見えたのだ。
「そこにいるのは誰だ?戦いの邪魔しやがって!」
DACBはそう言って人影に向かって走っていった。
「お兄ちゃんに・・・お兄ちゃんに何をした!?」
という声が聞こえてきたかと思えば、今度は無数の光がDACBに向かって飛んできた。
「なッ!?」
DACBは光を避けようと高くジャンプしたが、いくつかの光がDACBの足に当たってしまった。
光は足を貫通し、その箇所からは血が滴り落ちていた。
DACBは空中で体勢を崩してしまい、地面に背中から落ちてしまった。
倒れているDACBに、人影が近づいてきた。
「・・・てめぇ、何者だ?」
DACBはそう言って仰向けになりながら相手の姿を見た。どうやら女性警官のようだった。
「お兄ちゃんを傷つける奴は、私が絶対に許さない・・・!」
その警官はそう言ってDACBに銃を向けた。
「ちょっとルナー、待ってよー!」
と、警官の後ろから女性の声と足音が聞こえてきた。そしてもう一人の警官がルナの隣に立った。リリーだ。
ルナはリリーのほうを見ずに、銃を構えたままだ。
「ちょっとルナ、此処は逮捕しないと!まだ生きてるんだから・・・」
「ちょっと黙ってて!こいつはお兄ちゃんを傷つけた最低な男なんだから!此処で私が、こいつを仕留めてやる・・・!」
「ルナ、もういい!」
と、ソルがそう言いながらルナの元にゆっくりと歩いてきた。
「お兄ちゃん!怪我してるのに、安静にしてないと・・・!」
「ルナ、この男のことは放っておけばいいんだ。元はと言えば、忠告を無視した俺が悪いんだから」
「・・・ヘッ、何だか俺様に情けをかけようとしているみてぇだが、そんなものいらねぇぜ」
DACBはそう言うと、素早くポケットから爆弾を取り出したのだ。
三人はDACBのほうを見て、武器を構えようとしたが、それよりも早くDACBの持った爆弾が爆発した。
その瞬間、辺りに閃光が走り、三人はあまりの眩しさに目を瞑ってしまった。
しばらくして三人が目を開けると、既にDACBの姿はなかった。
「あーあ、逃げられちゃった」
と、リリーが言った。
「・・・お兄ちゃん、もしかしてこの事件を起こしたのって・・・」
ルナはそう言いながら、銃を降ろした。
「いいや、俺やさっきの男は関係ない。それよりもルナと、もう一人の子。あんまり警察が俺と関わっているって知られたら面倒だから、そろそろどこかに行ったほうがいい」
「私、リリーだよー」
と、リリーが言った。
「リリーか、覚えておく」
「お兄ちゃん、怪我は・・・?」
「このくらい自分で治せるから心配は要らない。さ、俺はそろそろ行くから、二人は仕事に戻って」
ソルはそう言って、倉庫の屋根の端に行くと、そこから飛び降りて行ってしまった。
「ねぇねぇ、さっきの人って誰?」
と、リリーが言った。
「ソル。私のお兄ちゃんよ」
「ああ~、あの人ががルナのお兄ちゃんだったんだ!へぇー」
「とりあえず、お兄ちゃんは事件には関係ないと・・・銃声が屋根から聞こえたから来てみたけど、まさかお兄ちゃんがいたとは・・・」
その時、ルナの無線が鳴った。
「こちらルナ」
「こちらザヌサー。現場には着いたか?」
「はい、着きました」
「そうか、悪い。こっちは現場途中の道で恐らくこの事件と関連するモンを見つけてな、そっちのほうは俺達抜きで調べてくれないか?」
「了解しました」
ルナはそう言って無線を切った。
それとほぼ同時に、他のパトカーのサイレンが続々と聞こえてきた。
「今日は、長くなりそうだねー!」
と、リリーが言った。
一台の車が、道の端で停車した。中からはザヌサーと亜貴が降りて来た。
そこの道路の中心には一台の横転した車と、いくつかの血痕、そして麻袋が散らばっていた。
「事件と関係ありそうね」
亜貴はそう言って、ゴム手袋をつけた。
「大有りだな」
ザヌサーはそう言って、横転した車に近づき、中を覗いた。
車内には、四人の男の死体があった。二人は首から上が切断されており、後の二人は体にいくつもの銃創があった。
「綺麗にやられてやがる」
と、ザヌサーが呟いた。
一方亜貴は、麻袋を調べていた。
「これ、何をいれていたのかしら」
亜貴はそう言って麻袋をじっと見つめた。袋には何か書いていたが、亜貴には読めなかった。
「それは鑑識に回しておくか」
ザヌサーはそう言いながら亜貴に近づいた。
「どうも、麻袋の中身は全てなくなってるみたい・・・一体、何が起こったっていうの・・・?」
「いつも通り、マフィア連中のしょうもない物のやり取りだったらいいが、何だか嫌な予感しかしねぇな」
「ザヌサーさん、どういうこと?」
「ヤクの取引だったんなら、麻袋の周りに白い粉でも落ちているのが当然だろ?銃器を麻袋では運搬しねぇだろうし、後は・・・」
「・・・生き物、とか?」
「かもな」
北側で起きた一つの事件。警察はその後詳しい現場検証を行い、事件の全容を調べていった。
しかし、麻袋の情報が二人の耳に入ってくるのは、次の日のことだった。
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