人見ています。 |
Individual Way of Life ~個々の生き様~
|
- TOP
- >
- リボルバー
- >
- Individual Way of Life ~個々の生き様~
- >
- 二月五日
もみみ(4年前)
バート・ラマー(5年前)
2199(6年前)
2199ノークラ(6年前)
クラットン2(6年前)
ココバンディクー(7年前)
水無月ニトロ(7年前)
RITAL(8年前)
イエクラ(8年前)
asRiche3j8bh(8年前)
テトラピアノ(8年前)
asRichp4zuit(8年前)
オリキャラ短編集協会(8年前)
asRichg3gtwn(8年前)
わいるどた~ぼ(8年前)
asRichajohom(8年前)
ショートケーキ(8年前)
asRichw7ffmu(8年前)
スティックス・ザ・バジャー(8年前)
asRichqi316v(8年前)
asRichct3qjk(8年前)
リボルバー(9年前)
ぽぴゅらあ(9年前)
りんごっち(9年前)
sasuke(10年前)
回転撃(10年前)
ルイカメ(10年前)
ヴァイオレット(10年前)
えぞももんが(/・ω・)/(10年前)
隼人 (10年前)
まんじねーしょん(10年前)
CURA(10年前)
ハートオブハート(11年前)
フレイム(11年前)
ゲーマー(11年前)
クラットン(11年前)
ひろき(11年前)
ひろき(11年前)
HIROKI(11年前)
GGGGGGGGG(11年前)
IA・N(11年前)
かめちき(11年前)
霧雨(11年前)
てんし(11年前)
昇太/神馬当瑠(12年前)
風のクロノア(12年前)
オリキャララジオ放送社(12年前)
ここなっつココ(12年前)
いお太(12年前)
テクノしん(12年前)
リレー小説委員会(12年前)
ここなっつ(12年前)
気まぐれCocoちゃん(12年前)
たクラッシュ(12年前)
ダークネス(12年前)
早川昇吾(12年前)
しんごwww(12年前)
サム(12年前)
クランチバンディクー(12年前)
闇っぽいけど闇じゃない。永遠の炎の神様メフィレス(12年前)
イエクラ.com(12年前)
イエクラ@山手(12年前)
回転撃(12年前)
二月五日
2012/05/17(木)01:16:53(12年前) 更新
Boundary between the Justice of Truth and False ~CPAO編~
街の平和を守り、市民の安全を確保する「CPAO」
しかし、警察内ではある問題が起きていた。
正義とは一体何なのか、考える暇はもうなかった・・・
早朝にも関わらず、警察署の会議室には既に沢山の警官や刑事が席についていた。
前の方の席には刑事などが、そして後ろの方にはパトロール警官などが座っていた。
「緊急集会って、昨日の事件のことかな?」
と、後ろの方の席に座っていたリリーが言った。
「恐らくね、何か厄介なことでもあったのかしら」
と、その隣に座っていたルナが言った。
その時、会議室にザヌサーが入ってきた。いつもは気だるそうにしている彼も、今は険しい顔つきだった。
ザヌサーは会議室のホワイトボードの前に立ち、咳払いをした。
「今回集まってもらったのは、昨夜に起きた一連の事件についてだ」
ザヌサーはそう言った後に、手に持っていた資料をホワイトボードに貼り付けた。
「昨夜、北の廃港にて発砲事件が発生、現場に急行したところ廃港には血痕程度しか見つからなかったが、その途中の道で横転した車を発見した。車内には男四人の死体、そして車の近くには麻袋が落ちていた」
ザヌサーはそう言って、ホワイトボードの資料を指で示した。資料には麻袋の写真が載っていた。
「調べた結果、麻袋に書かれていたのは・・・性別、身長、体重、国の名前だ」
ザヌサーの言葉に、会議室がざわついた。
「そ、それってもしかして・・・」
と、一番前の席に座っていた亜貴が言った。
「書かれていた身長などから、恐らく子供が入っていた物だと判明した。廃港での発砲、横転した車内で死亡した男、恐らく今回の事件は人身売買の際のトラブルが原因だ」
「それは大問題ね。子供の保護はできてるの?」
と、亜貴の隣に座っていた真利亜が言った。
「いや、麻袋は全部で8つあったが、どれにも子供は入っていなかった。恐らくトラブルの際にどこかに逃走してしまったんだろうな。そこでだ、CPAOでは今後、今回逃走した子供達の発見、保護の仕事をメインにやって行く予定だ」
「ちょっとウェイティング、一ついいかい?」
そう言いながら会議室に入ってきたのは、エヌ・トロピーだ。
「何だ?」
「こんな広いシティーで、顔も何も分からないエイツチルドレンを探すなんて、砂場でアンツコンタクトを探すよりもディフィカルティだと思うけど?」
エヌ・トロピーはそう言いながらザヌサーに近づいた。
「それでも探さないといけねぇだろ」
「探している間に他のワーキングが入ったらどうする?ほったらかして子供探しを優先する気かい?」
「両方を並列してやればいいだろ」
「確かにそうさ、でも優先順位が違う。他のワーキングをメインでしつつ、子供探しをするべきじゃないのかい?」
「だが、子供を一刻も早く保護しないと、こんな街にいたら危険な訳だしな・・・」
ザヌサーがそう言うと、エヌ・トロピーは人差し指をちっちっちっと動かした。
「いいかいザヌサーくん、子供を保護したところで、CPAOには殆どメリットはない。探すのは面倒なのに、見返りは殆どゼロ。そんなことを進んでやるなんて、お門違いだね」
「貴様、損得勘定で子供の捜索を後回しにする気か?」
「此処はボランティア施設じゃない、警察署だ。子供の捜索は、情報が入ってきた時にしたまえ。ワタクシからはそれだけだ」
エヌ・トロピーはそう言って、会議室から出て行ってしまった。
「・・・酷い人」
と、亜貴が呟いた。
「・・・俺は今から情報局の連中に今回の事件の一部と、不審な子供を発見した際に警察に連絡するようにしろと伝えてくる」
ザヌサーはそう言うと、会議室を後にしてしまった。会議室には警察官たちのザワメキだけが響いていた。
「ルナ、私達はどうする?」
と、リリーが言った。
「子供の捜索のほうが優先かとは思うけど、署長はああ言ってたし・・・」
「この際、署長の言うことなんて無視して、子供探ししない?」
「・・・そうね。そうと決まれば、早速行きましょう」
リリーとルナは席から立ち上がり、会議室を後にした。
「亜貴は、子供の捜索をする?」
と、真利亜が言った。
「あたしは、捜索を最優先にするつもり。多分ザヌサーさんもそうでしょうし」
「そっか・・・真利亜達も動けたらいいんだけど、今日は少し厳しいかも」
「何かあったの?」
「実は、今日の昼辺りにRoo Familyのボスが空港に到着するらしくて、空港に厳戒態勢をしく予定なの」
「へぇ・・・あそこのボスが・・・厄介事が起きなければ良いけど」
「それじゃあ、真利亜もあっちの指揮をとらないといけないから、そろそろ行くね」
真利亜はそう言って立ち上がると、会議室から出て行った。
「あたしも、ザヌサーさんが来るまで他の仕事をしておこう」
亜貴もまた立ち上がって、会議室を後にした。
街の北側に、ルナとリリーが乗ったパトカーが走っていた。
「やっぱり、まずは事件の起きた場所の近くを探すのが一番ね」
と、ルナが運転しながら言った。
「だねー。でも、どこか探すあてとかあるの?」
と、リリーが言った。
「とりあえずはこの周辺を走って、子供らしき人物を見かけたらその都度降りて調べればいいかと」
「分かったー・・・って、早速いるよ!」
リリーはそう言って、右側の歩道を指差した。確かに、男の子が一人で歩道を歩いていた。
「早速捜査しましょうか」
ルナはそう言ってパトカーを道路の端に寄せて止め、外に出た。リリーも助手席から外に出た。
「ちょっとそこの君、止まってくれる?」
と、ルナが言った。だが、男の子は振り返って二人を見るや否や走り出してしまった。
「あ、ちょっと!リリー、追いかけるわよ」
「かけっこなら任せてー!」
ルナとリリーは男の子を走って追いかけていった。しかし相手は子供ということもあって逃げ足が速く、一行に追いつける気配はない。
そして男の子は路地に入っていってしまった。
ルナとリリーも急いで路地に入ったが、男の子の姿は既に消えていた。
「どこかに隠れちゃったのかな?」
と、リリーが言った。
路地にはゴミ箱などの隠れることが出来そうな場所も多く、捜索するのは困難そうだった。
「大変だと思うけど、探しましょう」
ルナがそう言ったその時、路地に面していた一つの扉が開き、中から一人の女性が出てきた。
女性は二人のほうを見た。
「・・・警察さんが、何か用?」
と、女性が言った。
「今ね、男の子を捜してるんだ。こっちの路地に入っていったはずなんだけど、見かけてない?」
と、リリーが言った。
「・・・見てないけど」
「さっきまで建物の中にいたんですよね、だったら見ているわけがないですね」
と、ルナが言った。
「え、えぇ」
「昨日さ、事件があって、それに巻き込まれた子供達がどこかに行っちゃったんだ。その子達を探してるんだけど、もしそれっぽい子を見つけたら警察に連絡してくれる?」
と、リリーが言った。
「いいんだけど、この辺りは親のいない子供達が沢山いるから、見分けるのは難しいと思うけど・・・」
と、女性が言った。
街の北側は、そんなに栄えていないこともあってか、ホームレスなどの貧困層がよく住んでいる。親のいない子供達もまたこの区域を拠点にして住んでいるのだ。
「確かに・・・でも、とにかく今は情報が欲しいんです。ですので、少しのことでも連絡してもらえると助かります」
「・・・あまり、警察にこの辺りを調べられたくないんだけど」
と、女性が言った。
「それって、どういうこと?」
と、リリーが言った。
「此処って、貧しい人達ばっかり住んでるから、犯罪も多いでしょ。子供達もそんな中で、犯罪に近いことをやって毎日生活している。そんな所に警察が入ってくれば、生きる為に精一杯の人達まで逮捕されちゃうでしょ?」
「・・・なら、これならどうですか?警察に連絡するんじゃなくて、私達に個別に連絡をするとか」
と、ルナが言った。
「え、でもそれでもあなた達は・・・」
「大丈夫!貴方の連絡だったら、子供の捜索関連のことだけを調べるから、その子が誰かの物を盗んだりしてても犯罪として扱うことはしないよ」
「本当に・・・!?なら、いいわよ」
「そう、だったら連絡先を教えておきますから、此処に連絡してください」
ルナはそう言って、ポケットからメモ帳とペンを取り出すと、自分とリリーの携帯番号を書いてページを破り、女性に渡した。
「ありがとう。これ、私の携帯の番号。一応渡しておくわ」
女性はルナから紙を預かった後に、ポケットから紙切れを出した。
「そういえば、名前聞いてなかったね」
と、リリーが言った。
「名前・・・ミスト。この区域に住んでいるわ」
「ミストさん、ですか。私はルナ」
「私はリリーだよー!」
「ルナさんに、リリーさん・・・分かった、じゃあ、何か手がかりとかが掴めたら連絡する」
「お願いねー!ルナ、私達は別の場所を探そっか」
「そうね。ご協力、ありがとうございました」
ルナはミストに向かってそう言った。そしてルナとリリーは後ろを向き、路地を後にした。
昼前、街の南側にある空港には、異様な光景が広がっていた。
空港内部には、黒いスーツを着た大量の男達で埋め尽くされており、一般客は空港にある店に引きこもっているような状況だった。
係員も緊張した表情を浮かべて、それぞれの仕事を行っていた。
そして、普通の客などからは見えない、裏の特別な部屋に、真利亜を始めとする特殊部隊がスタンバイしていた。
その部屋には大量の重火器と、空港内の様子が分かるように監視カメラと繋がっているモニターがいくつも設置されていた。
「いい、Roo Familyのボスであるリラ・ルーの乗った飛行機が着陸する前に作戦開始。指示通りの場所に移動して、付近に怪しい人物がいれば、その都度尋問をするのよ」
真利亜はそう言った後に、USPを自身のホルスターにしまった。
「そして、Roo Familyが何か問題を起こした際にも、まずは発砲はせずに対応。危険だと判断すればすぐに銃で応戦すること。相手はかなり大きな組織だから、恐らく変なことはしないと思うけど・・・」
真利亜がそう言ったその時、部屋にアナウンスが流れた。
「第一滑走路に、日本、東京発の飛行機が着陸予定」
「・・・作戦開始、しっかりね」
真利亜がそう言った後、特殊部隊のメンバーは次々と部屋を出て行った。
空港の色んな場所に、特殊部隊のメンバーがスタンバイした。いつ何処で問題が起きても、すぐに対処できるだろう。
真利亜は一人部屋に残り、モニターを使って監視を行っていた。
モニターには大量の黒スーツの男達と、特殊部隊しか映っていないことを除けば、特に問題はなかった。
そして、いよいよ第一滑走路に飛行機が着陸してきた。
「ターゲットの乗った飛行機が着陸したわ。一層警戒を強めて」
と、真利亜は無線機に向かって言った。
着陸した飛行機と、搭乗口をつなぐ道が繋がり、乗客たちが次々と降りていった。
降りてきた乗客達は、空港の只ならぬ空気に恐れ戦き、手続きを終わらせた後にそそくさと空港から出て行った。
「・・・遂に降りてきたわね」
と、真利亜がモニターを見て言った。モニターには袴姿の男性が、入国審査の窓口で何かもめている光景が映っていた。
しばらく真利亜はモニターを見続けていたが、男のある行動を見た瞬間立ち上がった。
何と男が、突然刀を抜いたのだ。
「入国審査窓口にて、Roo Familyのボスが刀を所持、至急そちらに向かって」
真利亜は無線に向かってそう言った後、部屋を飛び出していった。
入国審査窓口では、男と係員が揉めていた。
「何で刀を持ってたらあかんねん!」
と、男は係員に対して言った。
「お客様、刀剣類を入出国を行う際に所持することはできないはずですが、日本では何も言われておられないんでしょうか?」
「知らんわ、普通に乗ってええでって言われたし」
「でしたら、本国にご入国される際には、刀剣類は別の場所を通して・・・」
「嫌やわ、刀はワイの大事なモンなんや、そばから離したくないんや」
「しかし、でしたらご入国は・・・」
「煩いわ!ワイは、大猩会組長のリラ・ルーやぞ!ヤクザなめたら、痛い目にあうで!」
リラ・ルーという名の男は、そう言って刀を抜いた。
「お、お客様、やめてください!」
「あんさんが通してくれへんのやったら、無理やり通るだけや!覚悟せい!」
その時、特殊部隊が次々とやってきて、リラ・ルーの周囲を囲った。
「あなた、それ以上はやめといたほうがいいわよ」
そう言って、リラ・ルーの前に真利亜が立った。
「ヘッ、警察でっか」
と、リラ・ルーが言った。
「あなたが例えマフィアのリーダーだろうと、これ以上やれば銃刀法違反および殺人未遂で逮捕するけど、いい?」
真利亜はそう言うと、USPをリラ・ルーに向かって構えた。
「そうでっか、そんなに刀を持ってることがアカンのやったらしゃあないわ」
リラ・ルーがそう言うと、今度は黒のスーツを着た男達が、特殊部隊を更に取り囲んだ。男達は、手に銃を持っていた。
「どういうつもり?まさか、真利亜達に逆らう気?」
「そうや。ワイの言うことが聞けへんアホな警察なんて、此処で死んでまえばええねん」
「あなた、正気?こんな所で事件を起こしたら、一斉検挙されるのは目に見えてるでしょ?」
「そんなこと位分かるわ。何や、戦うんは嫌なんか?」
正直、すぐに動けばこの男くらい簡単にとっ捕まえることなんて簡単だ。
しかし、そうすれば男達が発砲し、特殊部隊の面々が負傷してしまうだろう。
「・・・だったら、どうすれば戦わずに済むの?」
「せやなぁ、とりあえずはそのケッタイなモンを下げて、ワイを通すんや。それで、後は・・・」
リラ・ルーはそう言った後に、真利亜の耳元に顔を近づけた。
「イエローストロービルの45階にワイの部屋があるんやけど、今晩鍵を開けとく。そこに来いや」
リラ・ルーのその発言に、真利亜は驚愕した。
「そ、それってもしかして・・・」
「あんさん、結構ええ体しとるからの。楽しみにしとくで」
「警察相手に下心丸出しで接するとは、いい度胸してるじゃねぇか」
突然、何処からか男性のそんな声が聞こえてきたかと思えば、取り囲んでいたスーツの男達が次々と倒れていくではないか。
「な、何や!?」
リラ・ルーは辺りを見回してそう言った。
「ホント、屑みたいな思考回路しか持ってないのね」
今度はそんな女性の声が聞こえてきた。
「その声は・・・」
「こういう問題は、特殊部隊以外も動くべきだからな、来てやったぜ」
そう言って真利亜の傍にやってきたのは、ザヌサーだった。そして、その後ろから亜貴もやって来た。
「少し心配になって、子供の捜索を一旦やめてこっちに来てみたのよ」
と、亜貴が言った。
「ザヌサーさん、亜貴さん・・・」
「何や、こいつ等ワイの部下を殴り倒しよったんか、それでも警察かいな・・・」
「生憎、空港でデカブツ構えて暴れるのは禁止されてよ、代わりにぶん殴ってやっただけだ」
ザヌサーはそう言って、指をポキポキと鳴らした。
「それに武器を構えている相手に何もしないほど、あたし達は優しくないわ」
亜貴はそう言うと、肩をゆっくりと回した。
「わ、分かったわ・・・あんさん等の言うとおり、刀は別の場所を通して持っていくわ。何や、ワイも少しキレて頭がよう回ってなかったみたいや」
リラ・ルーはそう言って、刀を鞘に納めた。
「それだけで済むと思ってんのか?銃刀法違反でしょっ引くぞ」
「た、頼むわ!これから大事な話をしなアカンねん!ホンマ、今捕まえるんだけは勘弁してくれや!」
リラ・ルーはそう言うと、素早く土下座の体制を取った。
「・・・この人、仮にもマフィアのボスでしょ。プライドとかそういうのがないのかしら」
と、亜貴が呟いた。
「どうする?」
と、真利亜が言った。
「・・・あとは真利亜に任せる。亜貴、行くぞ」
ザヌサーはそう言って、その場を後にしてしまった。
「え、ザヌサーさん、ちょっと待って・・・多分、あの態度からして逮捕しなくていいってことじゃないかな。それじゃあまたね」
そう言って亜貴もまたその場を後にした。
「次はないってこと、肝に銘じておいて」
と、真利亜が言った。
「ホ、ホンマか!?すまんなぁ」
リラ・ルーはそう言って、ゆっくり立ち上がった。
「ほな、おおきに」
リラ・ルーはそう言うと、入国審査窓口に向かった。
「刀は何処を通せばいいんや」
「え、えっと・・・私についてきてください」
リラ・ルーと係員は、どこかへと行ってしまった。
「・・・あのザヌサーさんが、何で見過ごしたんだろう・・・」
真利亜はそう言って、USPをしまった。
普段のザヌサーなら、問答無用で全員しょっ引いていただろう。
何故彼が罪を見過ごしたか、今の真利亜は知ることはできなかった。
ショッピング街南部の居酒屋「ごんぎつね」の前に、ソルが立っていた。
「当分、あそこには近づかないほうがいいだろうな・・・だとしたら此処くらいしか暇を潰せるところがないか」
ソルはそう呟いた後に、暖簾を分けて店の中に入った。
「いらっしゃい・・・あ、また来てくれたんですか、ありがとうございます。カウンター席へどうぞ」
と、カウンターの先で魚を捌いていたクロスが言った。
カウンター席では一人の男性が食事を取っており、ソルはその隣に座った。
「とりあえず、適当に寿司握って」
と、ソルが言った。
「かしこまりました・・・」
クロスはそう言って、寿司を握り始めた。
「・・・しかし、ホント最悪だわ。まさかあんな奴に腕を切られちまうなんて」
と、男がクロスに対して言った。
「またお仕事で怪我ですか?大変ですね・・・」
と、クロスが言った。
「怪我したことは別にいいんだけどな、相手が一見弱そうだったんだわ。正直少し見縊ってた」
「へぇ・・・」
「俺も、もう少し真面目に仕事すべきだったな・・・反省反省」
その時、店の扉が開く音が聞こえた。
「いらっしゃい・・・あ、クリムゾンさん!」
クロスのその一言に、ソルは驚愕し、入り口のほうを向いた。
確かにそこには、昨日見たあの顔があった。
「お、久しぶりにこっちに来たな」
と、男がクリムゾンのほうを見て言った。
「最近仕事が忙しくてな」
クリムゾンはそう言いながら、ソルとは別の側の男の隣のカウンター席に座った。
「・・・注文は任せる」
と、クリムゾンがクロスに向かって言った。
「は、はい分かりました・・・!」
「俺が来なかった間に、どれだけ腕が上がったか見物だな」
「ちょっと、クリムゾンさんそういうプレッシャーやめてくださいよ・・・」
「フッ、楽しみにしているだけだ」
「全く、悪趣味な野郎だな」
と、男が呟いた。
「南、お前も大概だろ」
と、クリムゾンは南という男に向かって言った。
「お前には負けるさ」
南はそう言って、日本酒を飲んだ。
「・・・そういえば、見かけない顔だな」
と、クリムゾンがソルのほうを見て言った。
「お、俺は最近この街に来たんだ」
と、ソルが言った。
「態々こんな糞みたいな場所まで来るとは、何か一山当てようとしてるな?」
と、南が言った。
「別に、そういう訳じゃない」
と、ソルが言った。
「あまり目立つような真似はしないほうがいいぞ。この街で不用意に目立つと、危険な輩に絡まれるからな・・・」
クリムゾンがそう言った時、またしても扉の開く音が聞こえた。
「・・・たとえば、あんな奴とかにな」
と、南が呟いた。ソルは扉のほうを見て、またしても驚愕した。
「いらっしゃい・・・あ、DACBさんですか」
そう、入ってきたのは昨日出会ったDACBだったのだ。
「おう・・・って、てめぇは!?」
DACBもまた、ソルの顔を見て驚いた。
「ん、知り合いか?」
と、クリムゾンが言った。しかし、DACBはその言葉を無視してソルにグイグイと近づいた。
「おいてめぇ、こんな所まで来て何がしたい?そんなにクリムゾンを仕留めたいか?」
と、DACBはソルに向かって小さな声で言った。
「そう言うわけじゃない、偶々此処で出会っただけで・・・」
「・・・クックック、そうか、そういう意図か」
と、クリムゾンが笑いながら言った。
「だから、違うから・・・」
「俺を殺したいってことは、賞金稼ぎか何かだろ。だったらいつでも相手をしてやっても良い。だが・・・」
クリムゾンはそう言うと立ち上がり、ソルに近づいた。
「この店で変な真似をしたら、お前の命はないと思え」
と、クリムゾンが呟いた。
「あ、あぁ・・・」
「おいおい、そんなに喧嘩腰になってやるなって。いいじゃねぇか、こいつにも俺達の掟を守ってもらえば問題ないだろ?」
と、南が言った。
「てめぇ、こんな奴に掟を教えるつもりか?」
と、DACBが言った。
「いいだろ、別に。いいか、俺達三人はいつどこで誰に殺されても不思議じゃないような職に就いている。俺は何でも屋、クリムゾンはマフィア、そしてDACBは殺しの請負人だ」
「現に俺達同士で戦ったことだってある。どの勝負もどちらかの逃走で終了してるがな」
と、クリムゾンが言った。
「なのに、何でこの店で普通にしてるんだ?」
と、ソルが言った。
「飯食うときぐらい、立場や戦いのことは忘れて楽しくやろうぜ、ってのが俺様達で決めたルールって奴だ。はっきり言って、此処みたいな目立つ場所にいること自体俺様達にとっては自殺行為だからな」
と、DACBが言った。
「それでも、此処は落ち着くからこうやって暇なときは足を運んで、楽しくやってるって訳だ。だから、お前もこの店で俺達に会っても、戦いのことは忘れて楽しく飲もう、な?」
と、南が言った。
「分かった」
「だが、この店でどれだけ親しくなろうとも外に出れば話は別だ。仕事上お前を殺すことになれば容赦なく行かせて貰うぞ」
と、クリムゾンが言った。
「個人的事情で、命を狙うことだってあるからな。覚悟しとけよ!」
と、DACBが言った。
「皆さん・・・あの、話の途中悪いんですが料理が完成しましたよ・・・」
と、クロスが話の中に割り込んできた。
「おお、マジか!俺様には何を出してくれるんだ?」
と、DACBが言った。
「い、いや、DACBさんはまだ注文を言ってない気が・・・」
「何だと!?俺様がこの店に来たってことはいつものアレを食いに来たってことだろ!?常連のメニューくらい覚えておけ!!」
「す、すみません・・・!でも、いつもの奴って、何ですか・・・?」
「・・・常連だと思ってるのは自分だけだったみたいだな、ABCD」
と、クリムゾンが呟いた。
「な・・・!!そもそも俺様はABCDじゃなくてDACBだ!てめぇ絶対わざとだろ!?てめぇ見たいなインテリ科学者が人の名前を忘れるわけないだろ!?」
「科学者だから、興味のないことは覚えない主義でな」
「興味がないだと・・・!?大体てめぇはいっつもそうだ!俺様を馬鹿にしたようなことばっかり言いやがって・・・」
「・・・ったく、相変わらず煩い男だ。それで、おまえの名前は何だ?」
と、南がソルに向かって言った。
「俺の名前はソル、まぁよろしく」
「ソルか。今後何かあったら遠慮せず俺の店に来てくれよ?適度にサポートしてやるからさ」
DACBはその後も一人でガミガミとクリムゾンに向かって怒鳴っていたが、他の三人やクロスはそんなDACBを無視して色んなことを話しながら食事を取っていた。
仕事、趣味・・・そんな良くある世間話をしつつ、夜は更けていった。
15630