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Individual Way of Life ~個々の生き様~
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二月四日
2012/04/27(金)00:19:43(12年前) 更新
Evil to Defeat the Evil ~PLC編~
街を変えたい、そんな思いの果てに出来た組織「PLC」
決して善い行いではない、しかし悪を倒すために日々努力する彼等。
そんな彼等に絶好のチャンスがやってくる・・・
昼前、ピンストライプのいる部屋に一通の電話が掛かってきた。
そこにいたピンストライプはすぐに電話を取った。
「もしもし、ピンストライプだ」
「どうも、コモド・モーだ」
「お、例の件についてか?」
「その通り・・・」
「結果は?」
「・・・これから我々はあるグループからブツを受け取らないといけない。場所は北側の廃港。時間は午後7時。だが、この街のことだからこの情報もかなり漏れていると思われる。そこで、君達PLCにこの取引の監視をしてもらいたい」
「もしかして、俺たちと組んでくれるのか」
「協議の結果、そうすることにした」
「そりゃあ、良かった・・・それで、人員はどのくらい欲しい?」
「少人数だと助かる。あまり大人数だと警察まで動く可能性があるからな」
「分かった。じゃあ二人現場に向かわせる」
「ふ、二人!?幾ら少人数とはいえ、二人は流石に・・・」
「その点は安心してくれ。何てったって、PLCだからな」
「そ、そうか・・・では、頼んだぞ」
電話はそこで切れた。
「・・・さてと、誰と誰を送ろうか」
ピンストライプがそういった時、部屋の扉がノックされる音が聞こえた。
「誰だ?」
「・・・久しぶりに出向いてやった」
扉の向こうから、男の声が聞こえた。ピンストライプはすぐにその正体が分かった。
「珍しいことがあるもんだ。入れ」
ピンストライプがそう言うと、部屋の中に男が入ってきた。正体はクリムゾンだった。
「どうした、何かデカイ事件でもあったのか?」
と、ピンストライプがクリムゾンに向かって言った。
PLCの中でも位が高く、更にその性格などから、滅多にクリムゾンがPLC本部に来ることは無い。
そんな彼がここまでやってきたことに対し、ピンストライプは少しだけ驚いていた。
「・・・最近警察に付きまとわれていてな」
クリムゾンはそう言いながら、ピンストライプに近づいていった。
「お前がか?何をしでかしたんだ?」
「ちょっとした人助けだ」
「人助け?お前にそんな慈悲の心があるわけ無いだろ」
「・・・まぁな」
クリムゾンはそう言うと、ポケットから何かのスイッチを取り出した。
「何だこれは?」
「・・・リリーという警察を知っているか?」
「知らないな・・・上層部の連中か?」
「いや、パトロール警官だ」
「そこまでは流石に把握できていないな。で、そいつがどうかしたのか?」
ピンストライプがそう言うと、クリムゾンは辺りを見回した。
そして、ピンストライプの耳元で何かを囁いた。
その内容を聞いて、ピンストライプはニヤリとした。
「クリムゾン、やはりお前は狂ってやがるな」
「言われ慣れている」
「流石マッドサイエンティストなだけはある。じゃあ、いつかこのスイッチは使わせてもらおう」
ピンストライプはそう言ってクリムゾンからスイッチを受け取り、引き出しの中にしまった。
「俺が言いたかったことはこれだけだ。じゃあな」
クリムゾンはそう言って後ろを向き、部屋を後にしようとしたが、ピンストライプがそれを呼び止めた。
「いや、待て。こっちからもお前に言いたいことがある」
ピンストライプがそう言うと、クリムゾンは再びピンストライプのほうを向いた。
「実は、さっきDragon Familyのモーから電話が掛かってきてな、どうやら取引の監視・護衛をしてほしいそうだ。クリムゾン、行ってくれないか?」
「・・・何故俺がそんな雑用をしないといけないんだ。もっと下の連中にやらせろ」
「新人教育の一環として、頼む」
「・・・まさか俺にクラッシュとかいう新人のお守りをさせる気か?」
「そのつもりだ。たまにはPLCの仕事もしてくれよ、な?」
「フッ、仕方が無い。で、日時と場所は?」
「北の廃港で、今日の午後七時だ。新入りは今ネイキッドの所にいるはずだ。用があったらそちらに行ってくれ」
「・・・もし敵が攻めてきたら、どう対処すればいい」
「任せる」
「分かった。では、久しぶりの仕事をしてくるか」
クリムゾンはそう言って、部屋を出て行った。
昼過ぎの北側の浜辺で、ある集団が掛け声を叫びながら走っていた。
先頭をネイキッドが走っており、その後ろにはクラッシュと、他の部員達が続いていた。
「もっと声を出せ!」
と、ネイキッドが走りながら部員達を叱り飛ばす。
それに続くように部員達は大声で「サー、イエッサー!」と叫ぶ。
どれだけ声が大きかろうと、ネイキッドはもう一度部員達を叱り飛ばしていく。
傍から見れば異様な光景ではあるが、これも訓練の一環なので、彼等には特に変に感じるところも無い。
だが、クラッシュに会うために此処に来ていたクリムゾンは、その光景に対して嫌悪感を示していた。
「体育会系はこれだから嫌いだ。ただ声を出しながら叫ぶ事に一体何の意味がある?もっと効率よく訓練を行えばもっと体を鍛えることが出来るだろうに」
と、クリムゾンは吐き捨てるように言った。
科学者であるクリムゾンにとっては、根性論などといった類のものは一切理解が出来なかった。
しばらくして訓練は終わり、ネイキッドとクラッシュがクリムゾンのところへとやってきた。
二人とも真冬にもかかわらず汗をダラダラ流しており、クリムゾンは内心近くに来ないで欲しいと思っていた。
「待たせたな」
と、ネイキッドがクリムゾンに向かって言った。
「クラッシュを預かりに来た。早く行くぞ」
「わ、分かった」
クリムゾンは後ろを振り返り、早々と浜辺を後にした。
クラッシュも彼を急いで追っていった。
「・・・クリムゾンが何かしなければいいが」
と、ネイキッドが呟いた。
彼と長年共にしてきたネイキッドは、クリムゾンの恐ろしさを嫌というほど実感していた。
クリムゾンは、自分の車に素早く乗り込んだ。
クラッシュも、助手席に乗り込んだ。
クリムゾンは早速車のエンジンをかけ、アクセルを踏んだ。
「・・・お前は、廃港に行くのは始めてか?」
と、クリムゾンが言った。
「うん、多分」
「そうか。あそこは一回下見をしておかないと迷ってしまうほど複雑だからな、今から行くぞ」
「うん、分かった・・・てか、おいら達これから何の仕事するの?」
「取引の監視。だが、恐らく銃撃戦はあるだろうな」
「えぇ・・・おいら、銃での撃ち合いなんてやったことないよ」
「ネイキッドの元で訓練したんだろ、今更弱音を吐くな」
「だって、撃たれたらとっても痛そうじゃんか。怖いよ」
「怖がる必要は無い。銃で撃たれても痛みなんて殆ど感じない」
「ホント!?」
「ああ、すぐに死ぬからな」
「・・・そ、そう」
しばらくして、車は北の廃港に到着した。
時刻は2時前。まだ取引まで時間はかなりある。
クリムゾンとクラッシュは車から降りた。
廃港には、潮風によって錆付いた倉庫やコンテナが放置されており、地面には魚の死骸や釣り餌などが捨てられていた。
潮風と腐敗臭の混じったなんともいえない海辺のにおいが鼻を突く。
「こんなところで、取引なんかあるの・・・?」
と、クラッシュがクリムゾンに聞いた。
「むしろ取引に最適な場所だと思うがな」
クリムゾンはそう言って歩き出した。クラッシュもその隣を歩いた。
二人はしばらく辺りを見回しながら歩いていたが、ある倉庫の前でクリムゾンがピタッと足を止めた。
「どうかした?」
と、クラッシュが言ったが、クリムゾンは無視して倉庫の扉のほうを向いた。
そして、錆付いた扉を足で蹴り開けると、中に入っていった。
「・・・誰かと思えば」
と、クリムゾンが呟いた。倉庫の中には、複数の青年達が地べたに座り込んでタバコを吸っていたのだ。
青年達はクリムゾンのほうを睨み付けた。
「ク、クリムゾンさんじゃないっすか」
突如、青年の一人が立ち上がり、クリムゾンのほうに走り寄って来た。
その青年はパーカーを頭にかぶっていた。
「今日の溜まり場はここか?」
と、クリムゾンが青年に向かって言った。
「え、ええ。前部下がサツとゴタゴタを起こしたって言ってたもんですから・・・」
「知っている」
「さすがクリムゾンさん、情報手に入れるのが早いっすね」
「俺の家の前で暴れていたからな。一人黙らせたはずだが、聞いてないか?」
「・・・マジッすか。何か部下が殺されたとか聞いてはいたけど、クリムゾンさんだったんですか・・・」
「・・・次俺の家の近くで面倒を起こしたら、皆殺しだ」
「は、はぁ・・・」
その時、クラッシュもクリムゾンの隣に歩いてきた。
クラッシュは青年の姿を見て驚いた。何とその青年は、昨日ミストを襲っていた青年とそっくりだったのだ。
「あ!もしかして・・・!」
と、クラッシュが叫んだ。青年も、クラッシュを見て驚いた表情を浮かべた。
「お、お前・・・!あん時の・・・!まさかクリムゾンさんの仲間だったとは・・・」
「・・・知り合いか?」
と、クリムゾンがクラッシュに向かって言った。
「昨日、こいつ等に出会ったんだよ。こいつ等、女の子を・・・」
「い、いや、なんでもないっすよ!昨日偶々道でばったり会っちゃって、ちょっと揉めただけっすよ!」
「・・・そうか。クラッシュ、一応この男の説明をしてやろう。この男の名前はゴルブ。ストリートギャングのリーダーだ」
「ど、どうも、ゴルブっす」
ゴルブという青年はそう言ってクラッシュに頭を下げた。
「そのストリートギャングってのと、クリムゾンはどういう関係?」
と、クラッシュがクリムゾンに向かって言った。
「ただの顔見知りだ」
「俺達が、勝手にクリムゾンさんをリスペクトしてるって感じなんすよ。クリムゾンさんはこの街でもかなりの実力を持ってますし」
「それより、今日の夜にこの港で仕事がある。出て行ってくれ」
「マジッすか!クリムゾンさんが言うんだったら聞きますよ!お前等、撤収だ!」
ゴルブがそう言うと、他の青年達も次々と立ち上がった。
「では、これで失礼させてもらうっす」
ゴルブはそう言って、倉庫の出口に向かって歩いていった。他の青年達もそれに続いていった。
「・・・これでもう、他の人達はいなくなったかな?」
と、クラッシュが言った。だが、クリムゾンはその場から動こうとしない。
「クリムゾン、どうかした・・・?」
クラッシュがそう言った瞬間、クリムゾンは素早くモスキートを構えると、倉庫に置かれていたドラム缶に向かって引き金を引いたのだ。
倉庫の中に銃声と、着弾音が響く。
「ちょ、何!?」
クラッシュはクリムゾンの行動が理解できなかったが、その後すぐに状況を把握した。
ドラム缶の影から何者かが出てきたのだ。その何かはクリムゾンに向かって走ってきた。
クリムゾンは黙ったままその相手に銃口を向けたが、相手を確認した後すぐに銃を下ろした。
走ってきたのは子供だった。まだ4~5歳ぐらいの少年だ。
少年はクリムゾンの足に向かって体当たりしてきたが、クリムゾンはびくともしない。
少年はぶつかった反動で後ろに尻餅をついてしまった。
「ガキがこんなところで何している?此処を遊び場にするのはやめておけ」
と、クリムゾンは少年に言った。
「遊んでなんかないもん!」
と、少年は頬を膨らませながら言った。
「なら、何をしていた?」
「それは・・・お前達に関係ないだろ!」
「そうだな、確かに関係ない。だから此処から早く失せろ」
クリムゾンはそう言うと、再び銃口を少年に向けたのだ。
「ちょ、ちょっと、子供に銃を向けるのは・・・!」
クラッシュはクリムゾンを止めようとしたが、少年はその前に素早く立ち上がり、クラッシュとすれ違うように走りながら倉庫を出て行ってしまった。
「・・・子供に銃を向けるって、どういう神経してるんだよ!?」
と、クラッシュがクリムゾンに向かって怒鳴った。
「・・・お前、ポケットを探ってみろ」
と、クリムゾンは静かに言い放った。クラッシュは言われたとおりポケットを探り、だんだんと顔を青ざめさせていった。
「さ、財布がない!?え、どうして!?」
「あのガキは所謂ストリートチルドレンって奴だ。こうやって財布をすったりして日々の生活を乗り越えている。恐らくゴルブ達から何かを盗もうと潜伏していたんだろう。命知らずなガキだ」
「くそう・・・昨日ティアさんからお小遣いとしてちょっとだけお金を貰えたのに・・・」
「フッ、大の大人が小遣い制度か。心配するな、一ヶ月経てばお前の懐に金が大量に入ってくるはずだ」
「そういう問題じゃなくて・・・」
「恐らくまだガキが潜んでいるだろう。取引の時間までかくれんぼの鬼でもして遊んでおこう」
クリムゾンはそう言って倉庫から出て行った。
「あーあ・・・ホント勘弁して欲しいよ・・・」
クラッシュはぶつぶつと文句をタレながらクリムゾンの後をついて行った。
すっかり日も暮れ、時刻は七時前になった。
クリムゾンとクラッシュはかくれんぼをやめて、波止場で立っていた。
しばらくして、波止場に一台の車が止まった。
車から4人の男達が降りてきた。
「竜の御出ましだ」
と、クリムゾンが呟いた。
「あ、もしかしてDragon Familyの方々?」
と、クラッシュが男達に向かって言った。
「・・・お前達がPLCだな?」
と、一人の男が言った。
「ええ、そうです」
と、クラッシュが言った。
「たった二人とは・・・まぁいい。しばらくしたらここの波止場に一隻の船が泊まる。お前達には俺達が荷物を降ろしたりしている間の監視をしてもらう。もし、不審な人物を見かけたらすぐに声をかけてくれ」
「・・・声をかけるだけでいいんだな?」
と、クリムゾンが言った。
「もし向こうが攻撃を仕掛けてきたら応戦してくれ。我々はブツを守ることを優先する」
「・・・応戦するだけだな。いいか、俺は敵は排除するが、お前達の命を全て守れるほど有能ではない。自分の身は自分で守ってくれ」
「な・・・何て無責任な!俺達の命を守るために派遣されたんじゃないのか!?」
「取引の監視をして来いとしか言われていない。正直声をかけろとか応戦しろとかも断りたいところだが」
「調子に乗りよって・・・!立場を弁えろ!お前達PLCは、我々より身分は下のはずだ!」
「身分か、確かに身分はお前達より低いだろう、お前達が勝手に決めた身分なんだからな」
「ク、クリムゾン・・・幾らなんでも言いすぎだって・・・」
クラッシュがそう言ったとき、海の方から激しい波の音とエンジン音が聞こえだした。
一行が海のほうを見ると、一隻の漁船がこちらに向かって来ているのが見えた。
漁船は波止場でゆっくりと停止した。
「・・・いいか、しっかり監視しておけよ」
男がそう言った後、男達は漁船に近づいていった。
「ねぇ、そんなに喧嘩売って何がしたいの・・・?」
と、クラッシュがクリムゾンに向かって言った。
クリムゾンは黙ったままクラッシュを睨み付けた。
彼の瞳が、漁船や車のライトに照らされて真っ赤に輝く。
クラッシュはあまりの威圧感にただただ恐れ戦くだけだった。
「・・・今回の取引のブツ、何だと思う?」
しばらくして、クリムゾンが静かに呟いた。
「え・・・?お金とか?」
「金で金を買ってどうする。今回の取引で扱われているのは、恐らく子供だ」
「こ、子供!?」
「ああ。船を見た感じ、どうやらアジアから遥々やってきたらしい。チャチな漁船に見えるが、こいつは本当は太平洋を越えることが出来る高性能な貨物船だ」
「でも、それだけで何で取引されている物が・・・?」
「・・・詳しい内容は、ピンストライプから口止めされていてな。あいつがお前のことを心から信頼できるくらいお前が成長したら、聞かせてもらえるかもしれない」
「は、はぁ・・・」
その時、船から麻袋を担いだ東南アジア系の男達が次々と降りて来た。
麻袋は、何故かモゾモゾと動いていた。
東南アジア系の男達と、Dragon Familyの男達は何やら話をしていた。
そして、Dragon Familyの男が相手にアタッシュケースを渡した。
そして代わりに麻袋を受け取ると、車に向かって歩き出した。
その瞬間、突如どこからか銃声が聞こえた。東南アジア系の男達は急いで船に戻っていき、Dragon Familyの連中は麻袋を持って急いで車に向かって行った。
「やはり来たか」
クリムゾンは冷静にそう言うと、モスキートを構えた。
クラッシュも急いでベレッタを構えた。
二人は敵の居場所を探す為に辺りを見回した。その時再び銃声が鳴り響いた。
「そこだな」
クリムゾンはそう言うと、ポケットから試験管のようなものを取り出し、波止場に置かれていたコンテナに向かって投げた。
試験管は地面に当たった瞬間大爆発を起こした。
その衝撃で、元々錆付いて耐久度の落ちていたコンテナが崩れ去ってしまった。
すると、その後ろに何者かの影が二つ確認できた。
「・・・やはり悪魔共か」
と、クリムゾンが呟いた。
「悪魔?」
「Devil Family。この街の頂点に君臨しているマフィアだ。この街での取引は、奴等に襲われることを承知で行わなくてはならない」
「へぇ・・・って、そんなヤバイ相手なの!?」
「生きて帰れたら飯を奢ってやる。今は自分の身を守ることに全神経を使うんだな」
クリムゾンがそう言った時、車のエンジン音がその場に鳴り響いた。
二人がその方向を見ると、既にDragon Familyが乗っていた車は既に発進してどこかに行ってしまっていた。
それと同時に船のほうも出港してしまい、闇の中へと消えていってしまった。
「これで面倒な荷物は消えた。後は俺達も逃げるだけ・・・」
クリムゾンがそう言った瞬間、一瞬その場の風向きが変わった。
そうかと思えば、クリムゾンの白衣に何故か切り傷が大量に生じていたのだ。
そして、クリムゾンの右頬にも、一筋の切り傷が出来ていた。
傷から滴る血を、クリムゾンは右手で拭うと、ゆっくりと後ろを振り返った。
クラッシュも急いで後ろを振り返ると、そこには鷹の男性と、大柄な男が銃を構えて立っていた。
「科学者さんよぉ、こんなところにまで白衣で来て、えらく研究熱心だな?」
と、鷹の男性が言った。だが、クリムゾンは黙ったままだ。
「・・・フレイ、撤収だ」
と、大柄な男がフレイという男性に向かって言った。
「は?何言ってんだよクランチ。此処までこいつ等追い詰めたってのに、何で・・・」
「クックック、久しぶりだ、俺の体に傷がついたのは」
突然クリムゾンが不敵な笑みを浮かべながら言った。
「なんだこいつ、どうしちまったんだよ」
と、フレイが言った。
「フレイ、お前はクリムゾンのことを知らないのか?」
と、クランチと呼ばれた男が言った。
「名前は聞いたことあるぜ、それだけ」
「世界最高傑作と言える俺の体に傷をつけて、ただで帰れると思うな・・・貴様等全員、此処でぶっ殺してやるからな!!!」
突然クリムゾンはそう言うと、右手にレーザーソードを構え、フレイに向かって一気に迫っていった。
「な、なんなんだよいきなり!?」
フレイはとっさにその場で翼を羽ばたかせて空を飛んだが、クリムゾンは瞬時にその場でジャンプをして、空を飛ぶフレイに近づいた。
「な、何て野郎だ!?」
フレイは急上昇してクリムゾンを避けようとしたが、その前にクリムゾンのレーザーソードが彼の翼に直撃した。
「グワッ!!」
翼をやられたフレイは瞬く間に地面に落ちていってしまった。
体制も整えることが出来ず、フレイは地面に打ち付けられてしまった。
一方クリムゾンは、普通の人間とは思えないほど跳躍したにもかかわらず、軽々と地面に着地した。
そのときの彼の目を見たクラッシュは、彼がいつものクリムゾンでないことをすぐに感じた。
「次は・・・お前だ!!」
クリムゾンはそう叫び、今度はクランチに向かって突っ込んでいった。
クランチは両手で防御体制を取った。
が、クリムゾンの突進と、レーザーソードの振りの二つの力によって、クランチは後ろに大きく下がってしまった。
「クソ・・・なんて男だ」
クランチはそう呟き、素早くSAAを構えたかと思えば、それとほぼ同時にSAAから弾が発射された。
弾丸はクリムゾンの腹部を捕らえたが、クリムゾンはビクともせずに再びレーザーソードを構えなおしたのだ。
「今度は銃創か・・・銃創は治るまで時間がかかるのに、よくもそんな傷をつけてくれたな・・・なら、お前にも大量の銃創をつけてやろうか・・・!」
クリムゾンはそう言うと、左手にモスキートを構えて、引き金を引こうとした。
だがその時、突如どこからかナイフが飛んできて、クリムゾンの左手に突き刺さった。
クラッシュはナイフの持ち主を探した。
「クランチさん、もう、相変わらず無茶するんだから!」
突然どこからかそんな声が聞こえたかと思えば、クランチの隣に一人の女性が立っていた。
「アネット!?お前今日は此処の担当じゃなかったはずだが・・・」
と、クランチがアネットという女性に向かって言った。
「だ、だって、クランチさんは私がいないと全然ダメじゃないですか!」
「とにかく感謝する、だが今はそれどころじゃない」
「ええ、言われなくても分かってます!」
アネットはそう言って、手にコンバットリボルバーを構えた。
一方でクリムゾンは左手に突き刺さったナイフを抜き、その場に叩き付けると、再びモスキートを構えた。
そしてクランチに向かって引き金を引いた。
しかし、クランチとアネットもほぼ同時に引き金を引いていた。
三発の銃声が一斉に鳴り響き、一瞬その場に静寂が流れた。
そして、クランチが腹部を押さえてその場にうずくまり、クリムゾンもまたその場に膝をついてしまったのだ。
「ク、クランチさん!!」
アネットはそう言ってクランチに近寄った。
「こ、このくらい大丈夫だ・・・たかが一発くらいで死ぬほど柔じゃない・・・」
と、クランチが呟いた。
「ダメです、喋ったら余計に体力を使ってしまいます!」
アネットはそう言った後、クラッシュのほうを向いた。
「そこのあなた、今日は見逃してあげるから、とっととどこかに行ってください!」
「え、でも・・・」
クラッシュはそう言って、クリムゾンのほうを向いた。
「三発・・・三発も体に穴が・・・ククク・・・面白い冗談だ・・・クックック・・・」
と、クリムゾンは撃たれたにもかかわらず何故か笑っていた。
クラッシュは直感でこれ以上の戦いは危険だと察知した。
「分かった、じゃあおいら達はこれで帰るよ!」
クラッシュはそう言って、クリムゾンに触れようとした。
しかし、クリムゾンはクラッシュの手を思いっきり跳ね除けた。
「汚らわしい手で触るな・・・!!これ以上俺の体を汚すつもりか・・・!?」
「ご、ごめん・・・ほら、もう行こうよ。向こうも戦いたくないって言ってるし」
その時、遥か遠方からサイレンの音が聞こえてきた。
「まずい、警察です!クランチさん立てますか!?」
「俺は大丈夫だ・・・アネット、お前はフレイを頼む」
「はい・・・!」
アネットはそう言って、地面でへばっているフレイに近づいた。
「ちくしょう・・・また今日も怪我しちまったぜ・・・」
「此処のところついてなさ過ぎですよ・・・」
アネットはそう言って、フレイを立たせて、肩を貸した。
フレイとアネットはゆっくりと歩いていき、その後をクランチが腹部を押さえながら歩いていった。
「は、早くおいら達も行こうって・・・」
と、クラッシュが言った。
「・・・そうだな」
と、クリムゾンは今までの言動とは正反対なくらい落ち着いた口調でそう言って、ゆっくりと立ち上がった。
そして傷口を押さえながらゆっくりと足を進めて行った。
クラッシュはクリムゾンの方を見ながら歩きつつ、あることを思っていた。
クリムゾンの狂気的な部分を見てしまったことにも驚いたが、それ以上に今回の取引で人身売買が行われていたことにショックを覚えていた。
確実に犯罪行為への関与を許してしまっている。クラッシュは自分の中に罪悪感が芽生え始めていることを悟った。
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