DRIFT☆STREET-The Driving Ace-


レッドゾーンさん作

ACT.5「終焉の目撃者」

前回、何やかんやで何故か暴走戦車を止めるために訳の分からない戦車を運転してくれと頼まれた瞬佑。
最終的に夏祭りが行われていた大広場を全壊してしまい、謝罪会見を開かされた上に1週間の自宅謹慎になってしまった。
正に踏んだり蹴ったりである。
「まったく…あんなgdgdな話のせいでこんな目に遭うなんて…つーか最近色んなモン壊れまくってんじゃねーか…何なんだコレ…」
とりあえず朝飯でも食うか…と1階に降りると…
何故か涼一と優里が居た。
「よー、元気か?」
「おはよー」
「…まあ別に体調悪かぁねーけど…スゲー根本的な事聞かせてもらうわ。お前ら何で俺ん家いんの?」
2人は瞬佑から顔を背けて気まずい感じになっていた。
(ちょっと!あんな事するから何か気まずくなっちゃったじゃない!)
(しょうがねーだろ!警部に言われて来たんだからさ!何しても良いって言われたし!)
いつの間にか瞬佑は居なくなっていた。
アホらしくなってきたのだろうか?
「あれ?瞬佑は?」
と、涼一が言うと…
「オイ…お前ら何の目的で来たのか知らねーけどコレ完全に犯罪だろ!」
瞬佑が突然針金を持ってやってきた。
「あああああああああああああああああああ!!!!!!」
「何幽霊見たみたいになってんだよ!コレどういう事だ?説明しろ!」
針金を持っている。どうやら涼一と優里はピッキングで入ってきたらしい。
もう誤魔化すのは無理だと判断した涼一は仕方なく説明した。
「いやーあのさ…鉄警部が…謹慎中のお前の様子見てきてくれって言ってきてさ…」
「にしたってインターホン鳴らすとか他にまともな入り方あるだろ!何でよりによってピッキングなんだよ…」
朝からツッコミ続きでもういい加減かったるくなってきてそうな瞬佑である。
「いやぁ〜手っ取り早く入りたくてさ(笑)」
「(笑)じゃねーよ…さっきも言ったけど犯罪じゃねーか!」
そう言ったところで2人は一目散に逃げ出した。
「じゃ仕事あるから!」
「じゃね〜また!」
「もう来んな不法進入者共!」
毒づいた時にはもう2人は居なくなっていた。
朝食を済まして、自宅謹慎で暇なのでとりあえず何かしようとして、ガレージに向かった。
そこでFDの洗車をした。
洗車をしながらガレージ内にあるテレビを点けた。
『また殺人事件』
「殺人?おっかねーなオイ…」
『昨日午後7時頃、熊本県内でバラバラになった遺体が発見されました。
遺体は非常に損傷が激しく、男性か女性かも分からない状態です』
「こえーな…誰だよ犯人…此処からは一応離れてるけど早く逮捕されねーかな…」
『1月前に同じ手口の殺人事件が沖縄で発生。それが現在九州の各地に被害が拡大しています。
しかも事件は必ず警察署の1キロ圏内で発生しています。警察を馬鹿にしていると思われる事件です』
「確かに馬鹿にしてるとしか思えねーな…」
洗車を続けながら呟く瞬佑。
今はまだ世界中を震撼させる程の規模の事件が発生するとは誰も予測できていない。
謹慎が解けるまであと3日。
その間に殺人事件の現場は関西まで来た。
で、3日後謹慎が解けた瞬佑は久しぶりに出勤した。
「よー瞬佑!災難だったな!」
出勤してきて最初に話しかけてきたのは涼一だった。
「ああトンだ災難だよ不法侵入野郎…」
「何だよピッキングの事まだ怒ってんの?」
「怒るに決まってんだろボケ…っつーかお前ピッキングなんて何処で覚えた?」
「ん?ああ、実はな…俺らが通ってた小学校ってさ、貴重品の持込が徹底的に禁止されてたじゃん?携帯は勿論家の鍵とかもさ」
「ああ、確かにそうだったな」
「それでよー、親にポストに入れてもらう事にしたんだけどよ、母さんがしょっちゅう鍵失くしてさ…父さんが帰ってくるの待ってたら家に入れるのが午後11時過ぎになる訳だ」
「ふぅん」
「その結果覚えたのがピッキングという訳だ」
「自分で鍵持ってった方が良くね?」
「それを言うな…」
なんて呑気な会話をしていると…電話が掛かってきた。
鉄がそれを取る。
「何だろ」
瞬佑が言う。
「さあな」
涼一がこう返す。
またショボイ理由の強盗でもあったのかと笑っていると…とんでもない連絡であった事が明らかになる。
電話を切った。
「何でした?」と、瞬佑が聞く。
「神奈川県警からの連絡だ」と答えた。
神奈川県警…外部から一体何の連絡なんだと一同疑問に思う。
「例の連続殺人が遂に関東地方で起きた」
全員が固まった。
沖縄で初めておきてから1ヶ月半…
犯人の手がかりは全く掴めないまま遂に此処まで来てしまったのか…と。
「この事件、犯人は明らかに警察をおちょくっている。
必ず何処かの警察署の半径1キロ圏内で発生していることからも…
被害者の中に即死したものは一人も居ない…全員早期に発見できれば100%助けられた状態にあったことからも明らかだ。
管轄とかそういうのを関係なしにとにかく犯人逮捕に総力を挙げろとの事だ」
「…」
長い沈黙が流れた。
全員が考えていること…それはC1崩落事件の事だった。
あの時陽一はこう言った。「コレなら上手くいく」…と。
何か日本で…いやもしかすると世界規模の何かとんでもない事をするのではないか…
それが不安だった。

ー翌日、ロシア某所ー
「例の物はどうなってる?」
「はい、半月程度で完成すると思われます」
「なるべく急いでくれ、サツに嗅ぎつけられたら厄介だ」
「分かりました。ですが実験後の事後処理はどうするんです?」
「ん?」
「あれを使えばもれなく国際問題になるでしょう…」
「ああ、心配ない、国連の上層部は既に抱き込んでる。証拠隠滅は完璧に出来るだろう」
「分かりました。では、作業を進めるよう伝えてきます」
「よろしくね」
(さてと…日本での陽動作戦は成功したかな…あの連続殺人はこっちの作業を隠すためのものだ…知られたら困る…)

ー更に翌日、日本ー
事件の進展は全く無い。
その夜、瞬佑は電話をしていた。
「何か心当たりは?」
『そうだな…ロシアで不穏な動きがあるそうだ』
「ロシア?広いから隠れやすいってか?」
『そんなところだろうな…あるものを作ってるらしい』
「あるもの…?」
電話の相手は知っている情報の全てを瞬佑に話した。
「マジかよ…大事件だなそりゃぁ…そんなモン使われたら日本が消し飛ぶ…」
『そうだな…下手すりゃ地球そのものが終るかもしれねぇ…俺も出来る限りの協力はする』
「分かった。明日一人でアメリカに行くから手配しといてくれ。あと用意してもらいたいクルマがある」
『任せろ』

…それから3日が経った。
鉄に次いで瞬佑まで来なくなり涼一達は何か良からぬ事があったのではないかと不安になり始める。
そんな涼一達は置いといてアメリカ。
成田空港から出発し今さっき瞬佑はNYに到着した。
裏通りを歩く瞬佑。
しばらく歩いた後廃ビルらしき建物に入って行った。
「来たか」
「ああ、用意は出来てるか?」
「出来てるぜ、E46が一台。でも本当に通常グレードで良いのか?俺のルートならM3のCSLやGTRも手に入るが…」
「いや、セダングレードの方が良いんだ」
「そう言うならまあ俺は何も言わないが…」
「で?例の兵器は?」
「もうすぐ実験が始まるが今から行って止めるのは不可能だ…」
「実験の場所は?」
「…バチカン市国」
「そうか…小さいところから吹っ飛ばそうって事か…」
「らしいな」
「じゃあとりあえず格安のルートでE46を日本に輸送してくれ」
「分かった」

ーこの会話からジャスト12時間後ー
未だ鉄も瞬佑も帰ってこない。
暇で暇でしょうがない涼一はとりあえずテレビを点けた。
その時に思った事は…
世間を騒がせた連続殺人事件が何故か4日前からピタリと止まった。
平和になったのか…それとも「嵐の前の静けさ」というやつなのか…
そこで流れたニュースを見て涼一は仰天した。
『大変な事件が起きました!つい先ほどバチカン市国の住民が突如全身出血等の症状を起こし死亡するという事件が発生しました!』
「んな…っ!?」
『これは既に人為的な物と断定されました。その根拠は警察庁長官宛に送られたこのメッセージです!』
そしてメッセージが流された。
『バチカンの事件については知っているかな?報告が行って直ぐ警察内部では新種ウイルス兵器説など多数の仮説が立てられたらしいが残念ながら外れだ。
あれを引き起こしたのは我々が開発した新兵器。
我々は【終焉の目撃者】とでも名乗っておこう。
近日中にこの新兵器を先進各国に対して使いこの地球を〔原点〕に還す。
この腐った世界はもうじき零となるのだ!』
「おいおい…どうなってんだよ!!悪戯とは思えない…瞬佑は知ってんのかな…でも連絡とれないし…」
涼一はかなり焦っている。

同時刻、成田空港…瞬佑は久しぶりに日本に帰ってきた。
「さて…流石に重いなこの状況…真相を話すにしても信用できる奴じゃなきゃな…
涼一は駄目だ…絶対ビビって周りに言いふらす…となるとやっぱり…」
瞬佑はその先は言わず先に進んだ。

ー翌日ー
当然だが全国ネットで流れたあのニュースを見ていた人間は1000人や2000人なんて規模じゃない。
確実に億単位の人間が見ていただろう。
それだけに日本に走った衝撃も大きく、主にネットの世界を中心に身勝手な犯人の想像などが広がっている。
だが警察がそれに怯えて来なくなったじゃ話にならない。
皆ちゃんと出勤しているが涼一は物凄くげっそりしているようだ。
「大丈夫か涼一?顔色すげぇ悪いぞ?」
剛が聞いてきた。
勿論、大丈夫じゃない事は承知の上。
剛だってこの状況に全くビビっていないと言えば嘘になる。
「だ…大丈夫ですよ…」
虚勢を張るがやはりビビっているのが表情に表れている。
(瞬佑…何処で何してんだよ…)
涼一は周りに聞こえないような小さな声で呟いた。

一方…捜査二課では…?
第二話以来の捜査二課の風景。
柳斗と香子は相変わらずの険悪ムード。
更にあのニュースでピリピリしているせいで誰も口を開かないという気まずさの頂点だ。

当然、警察外部でも不安になっている者は多くいる。
大崎もあの後瞬佑に連絡を取ろうとしたが取れなかった。
「赤島の奴…何してんだ…」

だがなんやかんやで瞬佑と連絡が取れない事について一番心配しているのはやはり優里だろう。
「どうしたんだろ…もう一週間くらいずっと連絡が取れない…」
そう言っていると優里は少し涙目になってきた。
そんな時にメールが着た。
「?…見慣れないアドだけど…誰のだろ…」
携帯を開いてメールを見ると…
「えっ!?」
優里は一応無職ではないがこの日は丁度非番だったため直ぐに家を飛び出した。

ーロシア某所ー
「実験は上手く行った。次は計画の支障となりそうな奴の抹殺だ」
「はい。分かっています。抹殺対象は?」
「この写真を見ろ、名前も書いておく。日本にいる連中にこの写真を回すんだ」
「了解しました」
部下と思われる男は部屋を出てメールの一斉送信作業を始めた。
そして上司と思われる男は写真の原本を持っている。
「まぁ…そう簡単に殺せる奴らじゃ無いがな…」
写真に写っていたのは…瞬佑、涼一、剛の3人だ。
更に条件追加でそいつらの近くにいる人間も口封じの為に殺せ…という事らしい。
瞬佑達は無事に事件を解決できるのか…?

ACT.5 完

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