D・R・A・G・O・NU 〜Three Companys Three Evils〜


リボルバンディクーさん作

第二部

第一章 荒野


「大佐・・・こんなんで大丈夫なんすか?」
俺は今崖の上に立っている。遠くにうっすらとビルが見える。
「心配するな。少なくとも計算上ではラゴン社の敷地内に潜入することができる」
「だからって何で崖の上からパラシュート降下しないといけないんだよ!!」
「仕方ないじゃないか。ラゴンアメリカ社の敷地の周りには高圧電流が流れている柵が立っているんだ。だから空からの侵入しかないんだ。君が高所恐怖症なのにこんなことさせてすまないな」
このじじい・・・もっとましな方法があったはずだろ!
「分かりましたよ・・・では作戦に入ります」
「今回の作戦も前回同様情報入手のみを遂行しろ。前回はビルを爆破するわ派手にやってくれたしな」
「了解」
俺は無線を切り、崖の先端部分に立った。失禁しそう・・・
今回もアサルトライフルとハンドガンが一丁ずつ。そして缶詰五つ。
俺は崖から飛び降りた。
ああーーーーーー!怖いよーーー!!
俺は絶叫しながら落ちていった。そしてパラシュートの紐を引いた。
パラシュートが開き、俺はゆっくりと着地していった。
パラシュートを外し、俺はハンドガンを構えた。
すげえな・・・うわさ通りだ・・・
俺は崖に眼を向けてそう思った。古代生物の化石がごろごろと顔を出している。
俺は今、アメリカのモンタナ州にあるラゴン社兼発電所に来ている。
ちなみにWPK基地があるのはカルフォルニア州だから・・・そんなことどうでもいいか。
俺は小さいころから古生物が好きで化石の発掘されている地域などはよく知っている。
此処モンタナ州では最大最強の肉食恐竜として名高いティラノサウルスが数体発掘されている。
それがラゴン社とどう関係してるのかは分からない。だが此処まで化石が発掘されている貴重な場所にわざわざでっかい発電所を建てたんだ。何かあるに違いない。
は!しまった・・・俺はついボーっとしてしまった。
気づいたときはもう手遅れだった。周りを龍たちに囲まれてしまっていた。
龍は全員武装していた。全部で三体確認できる。
下手に攻撃するとこっちがやられてしまう。仕方が無い・・・
俺はハンドガンとアサルトライフルを地面に捨て、ゆっくりと両手を上げた。
このままでは今までの苦労はすべて水の泡になってしまう。そして俺は奴らに・・・考えたくも無い。
だが恐らく低脳な龍のことだ。此処で俺は撃ち殺されるんだな。
「ギャーーーーー!!!」
一体の龍が突然叫び声をあげて倒れた。他の龍はそっちの方を向いた。
チャンスだ!俺は片手にハンドガンとアサルトライフルを持ち、二体の龍に向けて撃ちはなった。
龍たちは叫び声をあげて倒れた。
・・・何が起こったんだ?
俺は最初に倒れた龍に近づいた。体に穴が開いている。そこから弾丸を取り出した。
ライフル弾か・・・一体誰が・・・
「手を上げろ、若造・・・」
ちぇ・・・
俺はまた地面に武器を置き、ゆっくりと手を上げた。
「こっちを向け」
声からして男だ。
俺は男の方を向いた。
うわ・・・何だこいつ・・・
俺は男の格好に驚いた。一言で言うと不潔だ。ぼさぼさの髪と髭には白い粉がついている。多分フケだろう。
来ている服はずたずただ。あちこちが破れている。
手には銃を握っていた。これは狙撃銃か?見たこと無い形だ。
胸の部分には恐竜の頭蓋骨の化石が描かれたワッペンが貼ってあった。
「ほお、WPKの兵士。しかもSTか」
男は俺を見てそう言った。
恐らく俺の戦闘帽についているワッペンを見たんだろう。そこにはでっかい文字でSTって書いてるし。
「お前は、ラゴンの人間か?」
俺が尋ねた。
「まあな・・・」
「じゃあ何故俺を助けた?」
こいつが恐らく龍を撃ち殺したんだろう。
「お前には死んでもらったら困るから」
「は?」
「まあいいさ。とりあえず俺と一緒に来い。武器を持ちな」
俺は地面においていた武器を拾った。
こいつ・・・本当に敵か?
俺は男と歩きながら話をした。
「若造、名前は?」
若造って言うなよ・・・
「敵になんで名前を明かさなきゃいけないんだよ」
「そんなこと言うなって。俺はジャン・ブラン。フランス生まれだ。フランスではジャン・レノに似てるって言われているんだぜ」
こいつはどうやら自分の姿を理解できていないようだ。どこがジャン・レノなんだよ。
「ほお・・・でもジャン・レノはフランス生まれじゃないんだぞ」
「・・・若造の名前はなんて言うんだ?」
「お前の行動しだいによって言うか言わないか決める」
「まあいいさ・・・ほら、ついたぞ」
俺は小さな小屋に連れてこさせられた。木造建築だ。手作り感たっぷしだ。
「中に入れ」
俺は言われたままに中に入った。
ヘクション!!俺は中があまりに埃っぽくてくしゃみをしてしまった。
「どうだ。これが夢のマイホームさ」
・・・手に負えない馬鹿者だな。
「ラゴン社に住んでるんじゃないのか?」
「俺は付近の見回り担当さ。お前みたいな侵入者が居たら捕まえる。時と場合によってここから脱出させたり、ラゴン社に連れて行くこともある」
「ほお。で、俺はどっちなんだ?」
「お前はその両方でもない」
「例外だと?」
「WPKってことはラゴン社をぶっ壊しに来たんだろ。俺も手伝うよ」
「お前・・・ラゴン社員だろ!?」
「もうこんな仕事嫌なんだよ。なあ、俺と一緒にラゴン社をぶっ壊そうぜ」
ジャンは俺の肩に手を回してきた。
罠だなこれは・・・
「で、どうなんだ?俺と一緒に潰しに行くのか?」
とりあえず侵入方法も分からないしこいつに付いて行くか・・・
「いいぜ。で、どうやって潰すんだ?」
「まずラゴン社に近寄らないといけない。俺のジープで入り口まで行くぞ」
ジャンは銃を持って外に出た。
「なあ、ジャン」
「何だ?」
「その銃は何だ?」
「狙撃銃。ロシア製のSVDを俺流に改造したのさ」
「俺流?」
「ああ。対物用狙撃銃にしたのさ」
よくそんなことできるな。
「そうなのか」
「さ、早くジープに乗れ。お前は後ろだ」
ジャンはさっとジープの運転席に乗った。俺はその後ろの積荷部分に乗った。
「出発進行〜」
ジャンはジープのエンジンをかけた。
エンジン音を立ててジープは動き出した。
小屋から少し離れると、辺りは木が少ししか生えてないような荒野だった。
そのとき、急にジャンがジープを止めた。
「どうしたんだよ」
「まずい、MRDだ・・・」
「MRD?」
「あれをみろ」
ジャンの指をさす方向を見た。うっすらと何かが見えた。
「なんだあれ?」
「ラゴン社の開発した最新兵器だ。お前、龍は分かるよな?」
「ああ」
「奴はクローン技術により製造されたティラノサウルスと龍の遺伝子を結合させ、さらに全身を様々な装備でカバーした装甲生物・・・と言ったところか」
「どんな装備だ?」
「まず、奴の両手部分にはバルカン砲が一機ずつ付いている。翼の部分には地対空ミサイル。両膝部分にはロケットランチャーが一機ずつ。口部分にはレールガン。そして背中にはレーザー砲が付いている。後体のいろんな部分にはジェットが付いていてこんな重装備でも時速300kmで移動が可能。そして体のすべての部分を分厚い鉄板でコーティングしてある」
「とんでもない兵器だな・・・なんでそんなもの作った?」
「知るかよ。だが俺は奴のせいで散々な目にあってきた」
「散々な目?」
「奴に何回殺されかけたことか・・・」
何でラゴン社員を襲うんだよ。馬鹿か?
「とにかくまずいぞ!おい若造、お前は俺の狙撃銃で何とか奴を倒してくれ!ラゴン社に行くのは後だ、まずは奴をどうにかするぞ!」
「お、おう・・・」
何だこの慌て様。奴はこっちに気づいてないように見えるが・・・っておい!!
ジャンがジープを動かした途端、MRDが此方に向かってレーザーを撃って来た。
「クソ!若造、とっとと相手をしろ!」
俺は急いで狙撃銃を構えた。これはまずいことになりそうだ・・・

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