Shut Mind
BGMを聴く


flame festivalさん作

第五話 困惑

Ж

殺し足りない・・・って言われた。
まだ殺したりないって。あんなに殺ったのに。
コレでもやつ欲望は満たされない・・・
「まだだよ・・・美遊・・・・・・。
おもちゃはもっと長持ちさせなきゃ。」
腹を開いてお腹をぐちゃぐちゃにして、眼球を抉って、
腕は釘だらけで耳と鼻を剥いで、手足を滅多刺しにして、
頭を切り開いて脳味噌を出して中までぐちゃぐちゃにしたのに・・・。
気づくと私は嘔吐していた。

服を変えた私は暗い路地から広い国道へと出る。
一人の少女が見えた。
あいつは・・・・・・菅咲・・・・・・

Ж

2002年7月2日
俺は退院することになった。
どうやら俺は鈍器で殴られた後にお腹を刺されていて、
大動脈から出血していたらしい。
だが、俺の体からチオペンタール、まぁ麻酔薬の類が検出されたらしい。
ということは鈍器で殴られる前に刺さったものはおそらくそれが入った注射器だろう。
幸い近くを通りかかった人に助けられ無事一命を取り留めた。

「退院おめでとう、勇兎くん」
医師から花束をもらった、
「どうも。」
病院を去り、車で家に戻ってゆく。
ふと、窓を見る。
外は雨、太陽の光が隠れている。
まるで俺の退院を歓迎していないよう。
そして俺は歩道を見る。
そこには髪が腰まである、どこか見たことあるような少女・・・。
「み・・・ゆ・・・。」
手に持っていた花束がするりと落ちた。
彼女の容姿は驚くほど美しく、表情は狂気に満ち溢れていた。
まるで、何かを求めているよう。
「どうかしたの?勇兎。」
はっ、と我にかえった俺は花束を拾う。
親父とお袋は楽しそうな会話をしている。

スーパーに来た空倉家は今夜の俺の退院パーティー(すき焼き)の材料を買いに来たみたいだ。
そして俺はパンを一人で見ていた。
ジャムパン、クリームパン、メロンパン。
どれも学校でよく食べる。
「ゆうちゃん。」
突然後ろから声をかけられるがこの呼び方は・・・?
「えっ・・・。」
後ろを振り向くが誰もいない。
でも確かに今声が・・・。
探しても探しても誰もいない。
だがパンが置いてある棚は網状。
ということは向こう側に・・・。
・・・誰もいない。
「は・・・ははっ・・・。疲れてるんだな。」

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