DRIFT☆STREET


レッドゾーンさん作

第3話「C1のスーパーインテグラ」

午後8時49分…
涼一が来るまで残り約10分。
瞬佑は走る際に疲れないように仮眠をとっている。
家の中は静かだ…
両親が長い海外出張に出掛けているため今は瞬佑1人で暮らしている。
両親が帰ってくるまであと軽く10年はする。
もっとも、親に自分が走り屋だということを隠している瞬佑にとってはそっちの方が都合がいいのだが…

ピンポーン
インターホンが鳴った。
時刻は9時00分、涼一は時間通りに来た。
「よ、準備は出来てるか?」
「ああ」
「じゃあ早速C1に行くぞ」
キュルルルルル…ヒュイイイイイイン!
ゴゥン!ゴゥン!
2、3回アクセルをフカした後、1速に入れ、FDはゆっくりと動き出した。横浜環状から横羽線を経由して環状線へ向かっている。
ー霞ヶ関JCT−
「クルマの限界性能を知るためにはホントはバトルするのが1番なんだけどな…そう都合よく走り屋が出てくるワケもねーよな…」
「ああ…ん?涼一、あそこにそれっぽいインテRが走ってるぞ」
「ホントだ…ブローオフバルブの音がする…ボルトオンターボか!」
リアウインドウには「EMPEROR(皇帝)」と書かれている…恐らくこのインテRが環状線の王者なのだろう…
「クルマの性能を知る上でこれほどいい相手は無いぜ!」
そう言って瞬佑はインテRの後ろにつきパッシングした。
バトルの火蓋が切って落とされた!!!
グワァァァァァァァァァ!
ピシュゥン!
どうやら相手のインテグラはパワーを控えめにしているらしい。
コーナーの多いC1ではパワーの差が出にくい。
乗りやすさを重視してもあまり問題は無い。
そしてこのインテグラはリア側を限界まで軽量化している。
そうすることで上りのトラクション不足をある程度補うことが出来る。
それが瞬佑を苦しめている…
「なんなんだよあのインテRは!?
上りであれだけトラクション稼げるFF車なんて見たことねーぞ!」
「リア側の徹底的な軽量化の効果だ!」
だが、軽量化のせいでコーナーのたびにマシンが左右に振られてしまう。
チューンには必ずリスクが付きまとうのだ。
環状線は道幅が狭く、コーナーが多い。
それだけで速度が乗りにくいのに、さらに交通量の多さで中々速度を出せない。
現在の2台のシフトポジションは共に2速だ。
3速に入れて加速するスペースが無いからだ。
バトル開始から2分が経過した頃、2台を追走してくるRが出てきた。
単なる雰囲気組のようだが…
だがこのRも意外と粘り強く、3台は1週して霞ヶ関に戻ってきた。
霞ヶ関から赤坂ストレート…
一般車がバラけてきた今なら勝負を仕掛けることも出来ないことは無い。
インテグラターボは無理だとしても雰囲気系のRはチギれそうだ。
110Km/h前後の速度を保ったまま3台は霞ヶ関トンネルを抜けた。
FDとインテRは無事に通過した…が、荷重移動が不十分だったRはアンダーステアを起こし壁にヒットしてしまう。
キャアアアアアアアアアアアアア!!
荒れ狂うR…幸いにも一般車は巻き込まなかったが、自走して降りる事は無理そうだ。
そしてRのドライバーは駆けつけた警察により逮捕されてしまう。
パワーの差で瞬佑はインテRを大分引き離せた。
だが、振り切るとまではいかない…
右に左にリズミカルにステアを切り、コーナーが多く狭い環状線を鮮やかに駆け抜けていく。
勿論オービスに撮影されないように充分注意している。
ヒュィィィィィィィィィィン…
パシュゥン!
ガコ!
まだ振り切れていない…
もう少しすれば一般車が増え、バトルどころではなくなる…
更に一周して2台は霞ヶ関に戻ってきた。
そして三度赤坂ストレート!
ここぞとばかりに瞬佑はスクランブルブーストをONにする!
そしてインテRを振り切った!
EMPERORを下した…
紅色のFDの噂は東京中に広まった。

コォォォォォォ…
帰路に着く2人…すると涼一が…
「いやあ、コーナーもずいぶん早いなこのクルマ!
帰らないで箱根でも流すか?」
だが瞬佑は…
「バカ言うなよ涼一…明日が始業式だって事忘れたか?」
「あ…」
「少なくとも毎日のように走るのは無理そうだな…
休日じゃねーとな…バイトもあるし…」
「高校生ってのも辛いもんだな…」
そして2人は家に帰り、明日に備えて床に就いた。
ー第4話に続くー

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