DRIFT☆STREET


レッドゾーンさん作

第4話「息抜き番外編!?〜始業式〜」

8月下旬…FDを手に入れた…
だがもう9月になってしまった…
高校生である以上、サボる訳にはいかない…
「終わっちまったな〜、高校最後の夏休み…」
涼一が悲しげな表情で言った。
「どんなに長い休みでもいつかは終わるさ…ダブるつもりか?」
なんか妙に冷めてる瞬佑…
「ま、そりゃそうだけどさ……あ…」
「どうした?」
「俺らさ…よくよく考えたら夏休み中一回も部活に行ってねーじゃん…」
「あ…」
それを思い出した2人は…校門の前で呆然と立ち尽くしていた…
チャイムが鳴るまでずっと…

キーンコーンカーンコーン…カーンコーンキーンコーン…
チャイムの音を聞いて我に返った瞬佑は…
「ヤバイぞ涼一!!新学期始まって早々遅刻だ!!!」
「しまった!部活の事に気をとられた!」

ー3年F組教室ー
ガラガラ!
2人は教室に飛び込んだ。
だがとき既に遅し!
クラスメートは全員着席していて、更にはもう先生まで来ていた。
「赤島、河野、新学期始まって早々遅刻とはどういう事だ?」
「す…すみませ〜ん…」
何も言い返すことの出来ない立場の2人は、ただひたすら謝るしかなかった…
「お前ら2人、罰として放課後資料室の整理な」
「は〜い…」
もう2人はクラス中の笑いものである。
(今日という1日は災難だな…)
こんな事になった以上、こんな風に開き直るしかなかった。

ー体育館ー
始業式が始まった。
まあこういう式では校長先生の話がある訳だが、その話を聴いている者はほとんどいないのだが…

ー(再び)教室ー
プリントやら何やらが配布され、担任の先生の話があったりして、帰りのホームルーム。
そして下校。
帰宅部の生徒は普通に帰り、部活がある生徒はそのまま集合。
そして、朝のやり取りの通り、瞬佑と涼一は資料室の整理。
「・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・」
資料室に入った途端、2人は大ショックを受けた。
資料室があり得ない程散らかっているのだ。
「箱根第3高校の資料室は汚れてる事で有名なのは知ってたけどさ…流石にコレはねーだろ…」
やっと口を開いた瞬佑だが、明らかに顔色が悪い。
「何日かけてやらせるつもりだよ…」
「終わる前に喘息になりそうだな…」
ガラガラガラ…
ドアが開いた。
「まさか…先生…?」
「マジでやらせようってつもりか…?」
そして、ドアを開けた人物が入ってくる…
「残念、先生じゃないわ」
入ってきたのはクラスメートの木下 優里(きのした ゆり)だった。
「なんだ優里かよ…おどかすなよな」
「ごめんごめん…ところであんたたちなんでこんな所にいんの?」
「そりゃあ…資料室の整理…」
「はあ!?バカじゃないの!?先生が整理しろって言ったのは新資料室の方よ?ここ、明らかに使われてないじゃない!」
瞬佑はイマイチ言ってる意味が分からない様だが、涼一はやっと理解した。
「あ〜!忘れてた!確か今年度から資料室は別の場所に変更になったんだ!」
「そうよ!先生が探してたわよ、もしかしたら旧資料室にいるかもしれないから探して来いって」
「あはははは…」
「笑い事じゃ無い!偶然資料室の前通ったからって探すハメになったこっちの身にもなりなさいよ!」
「・・・・・・」
こうして、何日もかかりそうだった資料室の整理は、10分程度で済んだ。
「そういえばアンタ達、夏休み中1回も部活に行かなかったらしいけど…」
「今日行くさ」
〜後半へ続く〜


第4話、後半
「息抜き番外編!?〜放課後〜」
ー箱根第3高校、南塔ー
ここには、瞬佑と涼一が所属している「自動車研究部」の部室がある。
普通だったら何気なく通るはずのドアだが、2人は夏休み中1度も部活に行かなかった負い目から中々通れなかった。
「どうする?涼一…」
「俺に振るな…」
((入りにくいなあ…))
「あれ?ひょっとして幽霊部員君?」
「うわあ!?」
突然後ろから声をかけてきたのは、部員の川島 柳斗(かわしま りゅうと)だ。
「か…川島かよ…どういうつもりだよおどかすなんて…」
「そりゃこっちのセリフだ赤島、お前ら夏休み中1度も部活に来なかったろ」
「忙しかったんだよ!バイトもバトルも!」
「は?バトル?お前…免許持ってたの?」
「ああ、俺だけじゃねぇ、涼一も持ってるぜ」
「マジかよぉ…羨ましいなァ…俺なんか路上試験で電柱に突っ込んで落ちたんだぜ…」
「電柱…」
「それだけじゃない…その前は信号待ちでアクセルとブレーキを踏み違えて衝突事故起こすわ、更にその前はコンビニに突っ込むわ、更にその前にはシフトミスしてパニクって教習車のエンジン壊すわ…」
「そこまでの失敗はある意味すげぇよ…」
「うるせえ!」
ー自動車研究部 部室ー
「お〜いみんな、お知らせだ!
1ヵ月半近く部活に来なかった赤島と河野がやっと来たぞ〜」
柳斗がそう言った途端、部員は全員爆笑した。
(んだよ…折角来てやったってのにこの仕打ち…部活なんか来ないでバイトすればよかったよ)
(だな…)
笑い者にされた2人は小声で囁いた。

「え〜では、最近の首都高事情の交換をしたいと思う」
(川島が部長になったのか?)
瞬佑が涼一に囁いた。
(たしか7月から)
涼一も小声で囁いた。
「ハイそこ!私語を慎め!」
「え〜、じゃあ小阪!最近首都高で話題になってる走り屋チームの報告!」
「ハイ部長!最近首都高ではチーム[MAXIMUM R]がトップに君臨しています」
そこで瞬佑が、
「それって、最近頭角を現しだしたGT−Rのワンメイクチームか?」
「ああそうだ、なんで知ってんの?」
「そりゃあ、アレだ、この前実際にそのチームのステッカー貼ったRとバトルしたんだ」
そこで涼一が口を挟んだ。
「ん?いつそんなヤツとバトルしたんだ?」
「昨日、お前との約束の時間の数時間前に実は湾岸に行ったんだ。
そこで遭遇した」
「勝ったのか?」
「ああ、川崎浮島の直前のコーナーでスピンアウトした」
「マジで!?」
いきなり川島が怒鳴り込んで来た。
「うぉっ!?驚かすなよ…
…まあ、そいつはあくまで下っ端だろう…でもいくら下っ端とはいえメンバーを倒した以上、もっと上のランクのヤツが来る筈だ」
「なあ赤島、今度Rとバトルする時さ…俺も同乗させてくれないか?」
「はあ?俺…人乗せてると本気で走れないんだけどさ…」
「ほお…いい度胸じゃね〜か。
言っとくがお前は俺に逆らえない…
なぜならお前には1ヵ月半も部活に来なかったという負い目があるからだ!」
「ゲッ…」
「ってわけで、今夜から湾岸に行く時は俺も乗せる事!いいな?
承諾できなきゃ強制退部だ」
「チェッ…わーったよ…」
「それじゃあ今日の活動は終了!」
そう言って自動車研究部のメンバーは解散した。
「なんかややこしい事になっちまったな…瞬佑…」
「ああ…マジメに面倒な事になったよ…」
その後しばらく歩いた後、涼一は家に帰り、瞬佑はバイトに向かった。

その夜…

『ピーッ』
無線の繋がった音がした。
『もしもし、リーダー?千田だ。
たった今、FD包囲網が完成した。
今すぐにもFDをオトせるぜ!』
いよいよチーム、「MAXIMUM R」が本格的に動き出したようだ…
バイト中の瞬佑は、敵が既に準備万端だという事を知るよしも無かった。
ー第5話に続くー

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