DRIFT☆STREET


レッドゾーンさん作

第5話「決戦!vs『MAXIMUM R』!」

あれから5日後…土曜日になった。
土曜日なので学校は午前で終了。
瞬佑はバイトを早引けして仮眠をした。

2時間後…
ピンポーン
ガチャッ!
「おお、川島か」
「ああ、湾岸行くのか?今日は」
「行くぜ、乗るのか?」
「モチ!」
そして2人はFDに乗り込んだ。
キュルルルルル…ヒュィィン!
グウォゥン!グウォゥン!
ガコ…
FDは静かに動き出した。
目的地は首都高湾岸線。
瞬佑は大井JCTから湾岸に入った。
ピーッ…
『こちら15号車、FDを発見、ナンバーは「横浜39 は 21−67」、ボディーカラーは紅色』
『こちら3号車、報告を確認、間違いなく例のFDだ!幅寄せして環状に追い込め』
『了解』
無線での会話の後、MAXIMUM R偵察部隊15号車のドライバーはFDにぶつけるような勢いで幅寄せをした。
「うぉっ!危ねぇな、コイツ…」
「どこにでもいるモンだな、マナーの悪いヤツってのは…」
「ん?…あのクルマ…Rか?フロントウィンドウのステッカー…『MAXIMUM R』…!?」
「どうかしたのか?赤島…」
「しまった!罠だ!俺ら環状に追い込まれたんだ!」
瞬佑の言うとおり、これは「MAXIMUM R」による罠だった。
読みどおり環状線に追い込まれたFDの後ろにはRが迫っている。
しかもパッシングしてくる…
「マズいな…」
瞬佑は呟いた。
「何がだ?」
「バックミラーから後ろのRを見てみろ、2人乗っててナビシートのヤツは携帯を持ってる。
恐らく奴らはかなり高度な連携作戦で来ている…
首都高全体に根を張ってジワジワ追い詰めるつもりだろう…
全員倒すか負けるまで今夜は帰れそうにないな…」
ヒュィィィン!
「だがコイツはまだ下っ端だ!軽くチギって消耗を最小限に抑える!」
そう言って瞬佑はアクセルを一気に踏み込み、Rをチギった。
1人目撃破。
そこで柳斗は…
「あとどれくらい居そうだ?」
「正確なところまでは分からねーけど、環状線だけであと2〜3人は居る…
完全なる消耗戦だな…」

ー銀座ー
非常帯に33Rが停まっている。
このRはFDが通り過ぎた時に走り出した。
やはりパッシングしてくる。
ヒュィィィィィィィ…ン!
バシュゥン!
まだ対向車が多く、大した速度は出せない。
逃げる瞬佑、必死にそれを追うR…
新環状に行って湾岸でチギろうとするが偵察部隊に阻まれてしまう。
「MAXIMUM R」は、瞬佑の言うとおり高度な連携を見せてきた。
小細工は通用しそうに無い。
一般車とオービスに細心の注意を払いながら環状を駆け抜ける2台…
霞ヶ関にたどり着いた。
決着のシミュレーションを思いついた瞬佑!
赤坂ストレートでチギる!
だがスクランブルブーストは使わない。
此処でエンジンに無駄な負荷をかけてしまったらこの後のバトルは勝ち抜けない…
100Km/hを超える速度で霞ヶ関トンネルを抜ける2台!
フルスロットルでFDはRをぶっちぎった!
2戦目の決着から2分後、予想通りまたRが現れた。
「また来た…だがなんで2分おきなんだ?」
思った疑問を瞬佑は言った。
「出来るだけフェアな条件で戦りたいんだろ?」
「それが腑に落ちないんだ…
奴らはこれだけ高度な連携戦術を取ってきている…
俺をオトす為の作戦のはずなのに、普通わざわざ俺を有利にするような行動をするか?」
「それを言われると確かに気がかりだな…」
「まあなんにせよ負けるつもりは無い!全力で勝ちに行く!」
瞬佑はRのパッシングにハザードで答えた。
バトルをするという意思表示である。
ヒュィィィィィィィィィィィィィン!!
ゴァァァァァァァァァァァァァァァ!!
ロータリーとRB26のサウンドが入り混じる…
首都高速を150Km/hオーバーの速度で駆け抜ける…
こんな狂った行為を誰が理解してくれるだろう…
だが、他の場所では出来ない…
公道最速のドライバーを決める…
首都高でしか出来ない…
だから首都高でやる…
(…っ…これがバトル…俺なんかが想像してたのより遥かに壮絶なモノだ…憶測なんかじゃ絶対分からない世界だった…)
柳斗は驚きのあまり声も出ない…
「!?」
突然瞬佑の表情が変わった。
と思った次の瞬間、瞬佑は急ブレーキで車速を落とした。
Rのドライバーは自分達の作戦にビビって走れなくなったのだと高をくくっていた。
だが実際は…
カシャ!
オービスだ。
恐らく暴走車両の増加を知った警察が検挙の為に設置したのだろう。
設置されたばかりで誰も知らない(よく見るとバレバレなのだが)
そしてRの中…
「俺たちの負けだ」
「なんでだよ、俺たちの勝ちだろ、FDがスローダウンしたんだから」
「普通に考えればな…だがさっきのストロボ…間違いない…俺らオービスに撮影されちまった…」
「そんな…」
「ナンバープレートは個人情報だからな…
陸運局でしらべれば住所やTEL番、全て分かっちまう…
大したモンだよ、あのFDのドライバーは…
冷静に周囲を観察してたからオービスに気づけた…
俺らの完全敗北だ…」
バトルが終わって、また法廷速度に戻ったFD…
車内では…
「なあ大丈夫か川島…顔色悪いぞ…」
「…悪ぃ…酔った…ぅぇ…
この先のSAで降ろしてくれ…タクシー捕まえて帰る…」
「分かった。
ただ、その前に1つやっておく事がある」
「へ?」
そのまま瞬佑は法廷速度を守ったまま環状を3週した。
「どうやらもう環状にはRはいないな…よし!SAに行くぞ」
ボォォォォォォ…
瞬佑は、柳斗を降ろした後飲み物を買い、GSに寄ってから再び首都高に出た。
「次は新環状に行くか…」

ー有明JCT−
(…なにかそれっぽいRは…いた!)
今度はBNR32型のRだ。
「!?…FDだ」
ピーッ
『わざわざ聞くな、これはFD包囲網なんだ、オトせ』
今度はFDのパッシングでバトルが始まった。
ギュィィィィィィィィン!!!!!
「あと3〜40分すれば朝になる…そう長くは居られない…
なら、このバトル…あえて仕掛けるのを遅らせて翌日に回す事にするか…もう3回バトルしてるんだ…クルマの消耗だといえばなんとかなるかも…
逃げられたと思われんの癪だけどブローしたらシャレになんねーよ」
ヒュィィィィィン…
(急にフケが良くなった…このタイミングでエンジンが回復するのはありえない…ブローの前兆か…だったらヤバイな…
頼む…持ちこたえてくれ!FD!)
ゴォォォォォォォォォ!!
ガキャ!
「一般車が多くなった…オールクリアは期待できそうにないな…」
対向車が多く、速度は乗らない。
だが、新環状はC1より道幅が広く、コーナーも少ない。
クーリングは難しい…
「もうすぐ13号地だ!このままハザード出して降りられるか…」
偵察部隊の妨害は無いようだ…
理由は、事故渋滞だ。
13号地のトンネル内で事故が発生…
バトル続行は不可能と、相手も判断した訳だ。
そして瞬佑は素直に速度を落とした。
そこで異変は起きた。
「!?…急にパワーが落ちた…まさか…セカンダリータービンが飛んだのか!?
だったらマズい!明日首都高に来れない!」
幸い、タービンが飛んだだけでエンジン本体に以上はないようだ。
FDは家とは違う方向に向かった。
向かった先は剛のガレージだ。

ヒュィィィィィィィィィィン…
少し走って瞬佑はガレージに到着した。
「ごぉぉぉぉぉぉぉぉぉ…」
だが肝心の剛は爆睡していた。
ハリセンでひっぱたこうが耳元で叫ぼうが一向に起きる気配が無い。
「弱ったな…」
そこで瞬佑は携帯を取り出し、電話を掛けた。
相手は涼一だ。
「もしもし?…ああ、瞬佑か…どうした?」
「実は今すげぇ困ってんだ、大至急剛さんのガレージに来てくれないか?」
「分かった、5分で行く!」
ー5分後ー
ギャァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!
激しいスキール音を出しながら涼一のランエボがガレージに飛び込んできた。
「ジャスト5分、流石だな」
「どうも」
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「んで?何すりゃいい?」
「実は…FDのセカンダリータービンが飛んじまったんだ…」
「見せてみろ」
そう言って涼一はFDのエンジンルームを見始めた。
「エンジンにはほとんど異常は無い…
フリクションが無くなったって言ってたのは気になるが…
まあ多少の整備でなんとかなるだろ。
だが…プライマリータービンも多少イッてる…
こうなったら即席のシングルタービンセッティングにするしかない!」
「明日の夜には?」
「充分間に合う。
って訳で剛さん起きなさそうだし俺ん家持ってきてくれ」
こうして瞬佑はFDを涼一に預けた。
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翌日…
涼一は極限まで時間を削ってFDの修理に没頭していた。
瞬佑も可能な限りで涼一をサポートしている。
〜同日、夜7時半〜
「…やっと組みあがった…」
「長いようで短かったな…」
「流石に色々とイジる必要があったからな…」
「ああ、バトルには間に合いそうだ…」
ガレージ全体が安堵な雰囲気に包まれた…その時!
「待て瞬佑!まだ終わってない!」
「…?…あっ!?ナラシか!?」
「ああ!タイムリミットは9時だ!それまでに5000rpmをリミットに500km走ってくれ!」
「分かった!」
瞬佑はキーを受け取った瞬間、すぐにFDに乗り、ガレージを飛び出した。

残り約2時間…ナラシを終わらせる事は出来るのか!?
ー第6話に続くー

〜おまけ〜
「はっ?!?」
ようやく剛が起き上がった。
「…俺の出番たったこれだけ?」
…まあ、ドンマイ…

ー今度こそ第6話に続くー

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