DRIFT☆STREET


レッドゾーンさん作

第9話「最終決戦」

ー翌日ー
ぎゅるるるるるるるるる……
昨夜から何も食っていない2人は猛烈に腹が減っていた。
この日の食費は持ってきているので、やっと食事にありつけるという感じでレストランに向かった。
そして、食事が終わると早速2人は環状線に向かった。
ヴォン!ヴォン!
ガァァァァァァァァ…ピシュゥ!!
昼間から思い切り飛ばす2人。
途中2回パトカーがやって来たが、上手いこと煙に巻いてやった。
そして、なんとかコースは覚え、阪神高速用のセッティングも完成した。
「瞬佑…やり残した事は?」
「ない」
「そうか…いよいよ今夜、最終決戦だ」
「ああ」

時間がやたら長く感じられる。
実際はまだ5時間程度しか経っていないのにもう翌日になったような、そんな奇妙な感覚がする。
優里は、今夜のバトルに来ないことを決めた。
瞬佑に応援のメッセージをメールで送った。
ーPM7:00ー
Rを完成させた剛が現地入りしてきた。
細かいセッティングを始めた。
「あと3時間…」
待ちきれんとばかりに瞬佑は呟いた。
ーPM8:00ー
剛は阪神用のセッティングを完成させた。
そして3人は1時間半の仮眠を取った。
ーPM9:45ー
4人は四つ橋JCTに集まっていた。
「…全員集まったか…じゃあ少し早いが今回のバトルの詳細を説明する」
そう言って祐介はバトルのルール説明を始めた。
「この4つ橋JCTから高速に入って、環状を1週する。
そうしたら堺線に向かう。
堺線を駆け抜けたらそのまま一般道を疾走する」
そこで瞬佑が質問した。
「一般道でバトルするのか?」
「ああ」
祐介はそれだけ言って続きを話し始めた。
「そしたら一般道を湾岸線方面に向かって、湾岸を抜ける。
その後再び環状線を1週して4つ橋JCTのとこを1番早く抜けた奴の勝利だ」
全員ルールを理解し、環状に入る。
いよいよ、瞬佑にとっての最後のバトルが幕を開ける。
今夜無事に帰れるかは分からない。
だが、4人はそれを分かっていながらバトルを始める。
理屈は関係ない。
彼らにとっては、ただひたすらに、プライドを懸けた聖戦なのである。
誰にも理解されない聖戦がいよいよ始まった!
料金所を越え、バトルスタート。
4台はロケットの様に加速していく!
ウォォォォォォォォォン!!!!!!!!!
全員オーバーレブする勢いでEgを回す。
ギャァァァァァ!!
4台の速度は既に280km/hオーバーまで達している。
それだけの高速度で一般車を避け続け、スキール音が環状線中に響き渡る。
そして、超ロングストレートを越えて最初のコーナーに突入する。
一気に5−4−3−2とシフトダウンしてドリフトさせる。
ギャァァァァァァァァァ!!
ヴォン!ヴォン!
4台とも100km/h近い速度で曲がる。
そしてコーナーを過ぎると、再びロングストレートに突入。
ヒュィィィィィィン!!!!
バシュッ!!
一般車の3倍以上の速度で走る4台。
速度はさっき曲がったばかりだというのに、もう320km/hオーバーになっている。
325…326…327…スピードメーターの速度はまだまだ上がる…そして…!!
遂にメーター読み330km/h達成する!
誤差を差し引いて実速315km/h前後といったところか。
この速度域で何も起こらないという根拠など全く無い。
なるべく一般車を巻き込まないよう気を配っているが、それが無ければ確実に今頃大事故を起こしていただろう。
クルマは間違いなく凶器である。
たとえどんな仕様のクルマでも、だ。
50km/hも出ていれば人は呆気なく死んでしまう。
だからこそ免許証が必要なのだろう。
してはいけない事をしている。
自覚があっても止められない…葛藤の連続である。
だが、最高速ステージでは一瞬の迷い=クラッシュだ。
そんな恐怖を抑えて走っている。
そして、環状線を一周した。
堺線に向かっていく4台。
堺線は、ストレートが多いが道幅は狭い。
首都高の、横羽線に近いか?
そして2車線の道路を300km/h以上の速度で4台が駆け抜ける。
堺線でも特に何も起こらず、一般道に降りる。
現在トップはRだ。
そして27、FD、エボと続いていく。
ヴォォォォォォ!!
風を切りコーナーを曲がる。
クルマ1台分の狭い道路に入り、湾岸線に向かう。
すると、事態は急展開を迎える!
R、27、FDが走り抜ける。
エボも続いて抜けようとすると、前の3台にビビッたトラックが急ハンドルを切って横転してしまう。
涼一はスピンで逃げてなんとかクラッシュだけは避けたが、前3台との差は決定的なものになってしまった。
河野 涼一…湾岸線前でスピンアウト…
湾岸では何も無いと良いが…
湾岸線に入る。
湾岸線は、堺線よりも道幅が広い。そして、多くがストレートで構成されている。
一般車は少ない。
3人とも一斉にスクランブルブーストをONにした。
グォォォォォ!!
エキゾーストノイズがカン高くなった。
わずか30秒で3台が横に並んだ。
3人はそこでスクランブルブーストを切った。
ハイブースト状態ではEgに余計な負荷が掛かるからだ。
3台は横に並びながら実速330km/hオーバーの速度で走り続ける…
どこまでも地を蹴り続ける様な感じがしたが、そんな事はあり得ない。
必ずどこかでバランスは崩れる…
この3台ほどのチューンレベルではいつEgが壊れてもおかしくない。
Egが壊れなかった場合、まず終わるのはタイヤだろう。
タイヤは、グレードの高い物ほど寿命が短い。
スキール音がデカくなり始めたら危ない。
まだ3台は並び続ける…といってもこの速度域だ。大して時間は経っていない。
タイヤの異変は思ったより早く来た。
FDの車線にトラックが1台。
ブレーキを踏んで回避した時…
「うわ!?」
ギャギャギャ…
FDの挙動が乱れた…
「クソッ…まさかこんなに早くタイヤが終わるとは…!!」
そしてFDの挙動を見て剛は危機感を覚えた。
「…瞬佑のFDか…あのクルマのタイヤがあそこまで酷い状態なら…こっち2台は更に劣化が進んでるだろうな…3台ともタイヤのグレードは同じなんだ…
FDはこの3台の中で一番軽い…
と…なると、1番危ないのは俺のRか…軽量化してもノーマル状態での車重はカバーしきれないからな…」
同じくして祐介は…
「タイヤの劣化は想像以上に進んでるようだな…次のコーナーでどんな挙動が出るのか予測つかねーぞこりゃぁ…」
3人とも焦っていた。
その焦りはタイヤの劣化に比例してどんどん増してきている…
湾岸を抜けて環状へ…
その直前には直角コーナーがある…このコーナーで勝負が決まるか…!?
「「「…」」」
3人はこんな最悪のコンディションで最大の大博打、レイトブレーキングをしようとしている。
ブレーキのタイミングが少しでも遅れれば3台ともコンクリの壁に刺さる事になる…
まだまだと言わんばかりに3台はまだ加速していく…
そして…
「今だ!!!」
そう言って3人とも一斉にブレーキを踏んだ。
ブレーキランプが光の軌跡を描いているようだ…
今一番コントロールが効いているのはFDだ。
ギャッギャッギャ…
だがそれでも完全にコントロールしきれてはいない…
3台ともドリフトというよりはスピンしかけているような感じである…
バンッ!!!
突如Rのタイヤがバーストした。
中の空気がジェットのように吹き出し、Rは吹っ飛ばされる。
「うわ…っ!?」
剛は咄嗟にスピンで速度をおとす。
その結果、側壁に軽く当てただけで事は済んだ。
Egも壊れていない。
…剛も脱落し、瞬佑と祐介の一騎討ちになった。
2台は再び環状線に入る。
2台はズルズルのタイヤで走り続ける。
コントロールはほとんど効かない…
ドラテクではどうしようもないくらい酷い状態だ…
ギャァァァァァ…
まともにコントロールできない状態で2人はなんとか一般車を交わすが…
瞬佑も祐介もスタミナは限界だ…
少しでも気を抜けば…眠ってしまいそうなくらい2人は疲れている。
『…』
執念だけで走り続けている2人…
そして…意識も定まっていない中…祐介は本能でアクセルを抜いてしまった…
そして…執念で走り続け…先にゴールしたのは瞬佑…有終の美を飾る事が出来た。
その後瞬佑は…高速を降りてクルマを停めると、そのまま…眠ってしまった…

ー最終話に続くー

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