crash obuzi runa


天照さん作

第2話

「いくらサマナーでも、管は借りたものだし、サマナーもただの仮免だから、本来の力は無理よ、役立たずでごめんなさい」
アテナが管を鞄に入れて謝るように言った。
「ううん、構わないわよ、アテナの持っている強いようだし」
ココは大丈夫よ、といった言葉をアテナに投げかけた。
しかし、眼鏡のおかげで、疲労や疲れは感じないものの、この暗さから憂鬱感だけは感じるであろう。
ネネシャも顔の汗を拭く仕草をして、
「これも人間どもの仕業なのか、それとも…」
と、セルリアンブルーの髪を後ろに払う。
やがて、小1時間後、
「あっ、宿屋があるぞ、オイラ、もう休みたーい。」
クラッシュが近くの比較的大きい小屋を指差した。
「お、宿屋や、わても疲れとるし、どや、一日泊まろうや?」
普段のバロメーターに戻ったクロックが、皆に泊まろうと願って言った。
「ええ、そうしましょう。このまま野宿も体に毒でしょうし、化け物に襲われる可能性は大よ。」
ネネシャが比較的大きな声で言った。

「…ザジ。ザジ・レリエル。」
宿屋に入ると、フードを被った少女が、金貨を手に、宿泊賃を払っていた。
「…あ、はい、10アップルです、どうぞごゆっくり」
宿員が戸惑ってお金を貰うと、そのザジと言う少女に、【205】室の部屋の鍵を渡した。
「あの人、誰?」
ココが小さな声でクランチに言うと、
「俺に分かる訳ねえだろ」とクランチが返した。
そこへ、ザジが突然、クラッシュ達に話しかけた。
「…貴方が、クラッシュ…。
いきなりで失礼ですが、後でベランダで待っています」
と言って、さっさと行ってしまった。
そのフードの中には、ツインテールの髪が見え、手には魔除けの指輪を付けていた。
杖を同時に持っているのがわかる。
「…!?な、あのザジって人、オイラにベランダで待ってるって…」
クラッシュが動揺して言うと、
「落ち着いて。大丈夫よ、素直に行けば」と、アテナが耳元で小さく言った。
「あ、ああ…」
クラッシュは20アップルを宿員に払い、男子に【204】の鍵を、女子に【203】の鍵を渡した。
「じゃあ、また後でな」クラッシュがアテナに言うと、
「ええ、また後でね」とアテナが返した。

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