crash obuzi runa


天照さん作

第3話

何処なのかしら…暗い…闇ばかり。
こんなとこに居たら、グルーに喰われちゃ…え、
あれは…ココ…なぜ、こんなとこに…。
あ、て、手が勝手に…ダメっ、きゃあっ!

「…はっ!」
アテナはベットからはね起きた。
考え事をしている内に、寝てしまったのだ。
「…起きましたね」ネネシャが呟いた。
「御免なさい…」
アテナがそう言って謝ると、ココが否定した。
「ううん、そんなに気にしちゃダメよお、アテナ。ところで、ザジさんとお兄ちゃん、どうしたのかな…」
「うん。え、あれ、桜の髪飾りは…?髪に付けたはずなのに!まさか、夢の中で・・」

204号室。
「クラッシュはどうしたんや」
クロックがクランチに言った。
「205のベランダに、ザジって奴に会いに行ったよ。ったく、いきなり来てなんだ…?」
クランチは外に目を通した。近くの小屋に、アクセサリー売り場があったのだ。
「何か203からアテナが髪飾りを無くしたとか言ってるな…よしっ、新しくてもっと可愛い髪飾り、買ってきてやるか」
なんとクランチまで、部屋の外に出て行った。それにため息をついたクロックは、
「とっとと行ってこい、だが、すぐ帰ってくるんやぞ」
と、大声で言った。

外は少しどんより気味であり、雲が黙々と出ていた。
その中、ザジとクラッシュは、ベランダにて話をしていた。
「いきなりオイラに何の用だ?」
「貴方達を…守る…それが私に与えられた使命。」
ザジの虚ろな返答にクラッシュが戸惑った。
「…とにかく…同行させてほしいんです…これからの私のためにも」
それからと言うもの、1分ほど無言のままだった。
そして不意にクラッシュは首を傾げ、こう言った。
「何だかわからないが、そういうことなら大歓迎だな、オイラは。
一緒に来てよ。妹や兄ちゃんや女友達もいるし。」
「…有難う御座います。」

一方、クランチの方は。
近くの女性物を売っている店で、アテナを連れて髪飾りを買いに行った。
牡丹や菊、桜や梅などの髪飾りが丁寧に並べられ、値札には500アップルや1000アップルなど、少々多額の料金が描かれている。
「うーん、二つとも何となく違うなあ…」
アテナが首を捻って言った。
確かにここは色々な物があるが、そのために見つけにくい。
すると突然、クランチが声を出した。
「お、アテナ!是なんてどうだ?」
クランチがある物を指差した。
それは紫やピンクの桜に、若葉色の葉っぱ、オレンジや黄色の木の実と、色取り取りに丁寧に彩られた、美しい和風の髪飾りであった。
「まあ!これが欲しいわ!でも1500アップルって…」
アテナが見ると、それは多額であった。
日本円で言うと、4000円から5000円。
諦め付いたアテナだが、クランチが言った。
「あの、これ下さい。1500アップルだな、はい。」
何とクランチが買ってくれたのだ。
とても高い物を買ってくれるなんて、誰でも嬉しい事だろう。
その桜や木の実の髪飾りはプレゼント箱に綺麗にラッピングされ、アテナの元へ渡された。
「はい、遅れたけれど誕生日プレゼント。」
「まあ…本当にこれを私に…?」
昨日が誕生日だったアテナは、クランチにだけもらえず忘れら手高と思っていたため、とても嬉しかった。
「うん、有難う…早速付けてみるね」
アテナはリボンを解いて中から髪飾りを取り、髪に挿してみた。
「思ってたとうり、似合うな、ココより可愛いぞ」
一瞬、この浮気者!と思ったアテナだが、今回は嬉しかった。
それ以来、アテナはこれを身につけるようになった。
これからは私もクランチや大事な仲間たちを守ろう。絶対に。

そして、クラッシュとザジが会話を終え、クランチとアテナが買い物を済ませた後、宿舎にも夜が訪れた。
「ああ、やっと帰ってきたんか、ほんま待ってたぞ」
クロックがいつもの関西弁で部屋に入ってきたクランチに言った。
「あああ、ココは諦めるべきなのか、アテナを諦めるべきなのか…」
何やらかぷかぷとクランチが喋った。
「何、お前ココとアテナが好きなんか?二股かけない方がええで」
「なっ…」
二人でそんな話をしていると、クラッシュも帰ってきた。
「へえ〜、そんな事で」
どうやら彼も聞いていたようだ。
「うっ、お前は黙ってろ!」

その後、食事を終え、寝た後、11時半となった。
ココは夜通しアテナの隣で、ノートパソコンをいじっていた。
「まだ後100Kmはあるわ…海に浮かぶ小島にある。てことは、ヘリが必要ね…」
どうやら電波を探しているようだ。
「敵もビルドアップしている。注意が必要ね」

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