クラッシュバンディクー トレインレーサーズ 1st STEAGE


ふぇにーちぇさん作

第10話

昨日のホテル

ココはパソコンをいじり、明日の対戦に備えて作戦を立てている。一方クラッシュはテレビを見ながらりんごをかじっていた。

ココ「お兄ちゃん、明日の作戦考えたの?」
クラッシュ「え?作戦?」
ココ「もう・・・。仕方ないわね。時間が無いから作戦とまではいかないけど、ちょっとした攻略を教えてあげる。でもそれだけだから、後は自分で考えてね。」
クラッシュ「どんなの?」

ココはパソコンで、クラッシュが明日走るコース、秋田新幹線の大曲〜盛岡までのデータを表示した。

ココ「いい、お兄ちゃん。このコースは、大きく分けて3つに分かれるわ。前半は直線の多い高速セクション、中盤は山を縫うようにきついコーナーの続く低速セクション、最後が、ある程度長いストレートと、そこそこきついコーナーの組み合わさった中速セクション。ここまではわかるよね。」
クラッシュ「・・・?」
ココ「〜〜〜・・・。もういい。簡単に言うわ。お兄ちゃんが勝つためには中盤のきついコーナーが連続する区間で勝負に出なきゃいけないってこと。」
クラッシュ「何で?」
ココ「車両の重量の差よ。お兄ちゃんが乗っている103系って言う電車は、塚口の209系よりも重いの。重い列車は遠心力に負けにくい。多分、相手の209は、中盤でかなり減速をしてくる。でも、お兄ちゃんの場合はそこで相手よりも数段速く走ることが出来るの。」
アクアク「要するに、お前さんは中盤ならば勝ち目は十分にあるということじゃ。」

そうだ。確か、その『山を縫うような』区間は・・・

実況「さあ、かなりの遅れをとって神代駅を通過!ここから中盤セクションに入る!ここでの巻き返しなるか!」

来た!本来ならば制限速度90キロの区間。それをクラッシュは130キロ前後でクリアできる。対する塚口は100キロ程度の速度。まだ姿は見えないが、確実に差は縮まっている。山を縫うように進み、鉄橋をいくつも通り、トンネルをくぐり、103は矢のように加速。
そのまま、刺巻、田沢湖駅を通過。

実況「すごい。この区間をこの速度で!?103系と209系の距離はみるみる縮まっている!さっきまで数キロほど離れていた距離は一気に1キロ台になった。このまま行くとこの区間での巻き返しは可能!逃げ切れるのか209!」

田沢湖駅を通過し、左右の切り替えしをクリア。ここからはトンネルと鉄橋がほとんどを占めている。直線はほとんど無い。1歩間違えればがけ下の川にドカン、というこの区間をクラッシュはものともせず加速する。
幾度と無く世界を救ってきたクラッシュにとってはこの程度の恐怖は道行くザコキャラを倒していくのと変わらない。恐怖でもなんでもないのだ。
一方塚口は関東以外の路線をほとんど知らない。故に、この路線は塚口にとって断崖絶壁を走っているようなものなのだ。恐怖に駆られて、塚口はうまく加速できず、100キロ程度での走行が続く。

秋田駅 乗務員室

?「どうですか。大鑓先輩。」
大鑓「209の子はこの路線を知らんようだね。なら、あの速度でも仕方が無いな。しかし、あの103は・・・」
?「やはりあの103ですか。よくあの速度でこの区間を。僕でもあれは出来そうに無い。」
大鑓「あれは恐怖を恐怖と思っていないやつの走りだ。なんというか、こういう命を張った戦いの場をいくつも潜り抜けているんだろう。でなければ、この走りの説明がつかない。」
?「これは、もう決着はついたという感じですね。」

大地沢信号所を過ぎ、もう誰しも塚口の敗北を確信した。クラッシュは、塚口の209の姿を捉え、たちまち射程距離に入った。もういつでも勝ちを奪いにいける。そして・・・

実況「103系、209の後ろをこずいた!103系勝ーーーーー利!」

またしても、クラッシュは勝った。こうして、クラッシュの名は一気に走り屋達に伝わっていった。同時に、大会出場者から要注意人物とされた。

用語解説
マスコン:車でいうアクセルの役割を果たす。マザコンとか、そういうあれではない。通常は左手で持つ。切、1〜5と、全部で6段階ある。

ブレーキ:そのまんま、ブレーキ。通常は右手で持つ。解除、抑速(読み方は知らないです)、1〜7、非常と、全部で10段階ある。

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