クラッシュバンディクー トレインレーサーズ 1st STEAGE
ふぇにーちぇさん作
第17話
ガリガリガリ・・・
クラッシュが寝ているホテルのドアが、ガリガリと音を立てている。クラッシュは飛び起きて、明かりをつけた。ガリガリと言う音が終わり、ドアが開いた。柄沢だ。手に針金を持っている。
クラッシュ「え?もしかして・・・ピッキング?」
柄沢「正解。ちょっと君と話がしたくてね。と言うか、君の103に乗ってみたいんだ。いいかな。」
クラッシュ「別にいいけど・・・」
クラッシュと柄沢は、大会後の品川駅に行った。ここから品川まで、全力で走り、103の問題点を指摘するんだとか。それはいいんだが、正直言ってしまうと、人の部屋にピッキングして押しかけてくるようなやつに言われたくない。犯罪だろーが。
柄沢「好きなタイミングでスタートしていいから。」
クラッシュは、マスコンをフルノッチで入れた。車両はフル加速。どんどん速度が上がっていく。しかし、柄沢は厳しい表情をした。
柄沢(これがスーパーチャージャーを積んだ103の加速か?こんなのノーマルのモーターよりダサい加速だぜ。まるで欠陥モーターだ。)
車両は100キロを越えた。このあたりから加速が鈍くなる。
柄沢(マジかよ!?こんなところで加速がタレるかぁ!?スーパーチャージャー外してんのかよ。)
大森駅を通過すると、なにやら一両追ってきた。どんどん近づいてくる。いや、3両だ。陰に隠れて見えなかったが、最初に見えた一両目の奥にのこりの2両が居た。速い!!
柄沢「追ってくるぞ。パスさせるか?それともバトるか?」
クラッシュ「バトルするぜー!キメキメの大勝利を狙うぜ!」
3両はあっさりと103系を抜いてしまった。柄沢が車種を確認する。221系、223系、そして赤い485系だ。
柄沢「あいつら、2回戦まで残ってたやつが二人居たぞ。こんなポンコツで勝てるかな。」
柄沢が後ろの壁に寄りかかったとき、運転台の操作パネルにふたをされた赤いボタンがあるのに気がついた。ブーストアップボタンだ。俺の時にはこんなのはなかった。ちょっと押してみるか。
ふたを外し、ボタンを押してみた。押せない!?硬くロックがしてある。
柄沢「く・・・くそ!・・・このぉ〜!・・・このクソボケドンがめ車両め!!!!」
バッキィィィン
何かが壊れる音とともに、103系は加速度が上がった。それはまるで、いや、まさしくスーパーチャージャーを搭載したときの加速だった。大森から多摩川前までのロングストレート。間にある蒲田までですでに180キロを記録した。
少し加速が鈍くなったが、それでも加速は止まらない。181,182,183・・・。一気に前の3両に追いつき、追い越した。多摩川鉄橋前の左中速コーナー。見事に複線ドリフトを決めるクラッシュ!!すごすぎるぜ!
さらにここから川崎駅をはさみ、鶴見川鉄橋手前までストレートは続く。速度はついに200キロにさしかかろうとしていた。
柄沢「もう十分だ。減速しろ。モーターが持たないぞ。」
仕方がなく、川崎駅に列車を止めてホームに下りた。他の3両もそこで止まった。3両のドライバーはこっちのホームに向かってきた。クラッシュたちと話をするようだ。
柄沢「浮間さん。それに松田井の妹と、岸辺だな。」
浮間「ずいぶん速い103だな。柄沢のか?」
柄沢「いえ、クラッシュ君のですよ。」
クラッシュ「どうも。」
春木「すごいですね。どんなチューニングをしたんですか?」
柄沢「そいつは言えない。」
岸辺「それにしても、その103、前よか速くなったんじゃないか?200いってたかと思ったぜ。」
クラッシュ「そのくらい行きそうな勢いだったんだぜ。すごいだろ。」
浮間「その車両番号・・・まさかそれ・・・!!」
柄沢「気づきましたか。あれ以外に200行く103系なんてこの世に一つしかないでしょう。」
春木「え?浮間さん?どういうことですか?」
柄沢「浮間さん。今からこの103の車両番号を偽造のものにします。いいですか?」
浮間「構わん。またそれが走っているとなると、それを目当てで君を狙いかねない。せめて車両番号だけでも変えて、周囲の者に気づかせないようにしよう。そいつを工場に回送するぞ。」
どういうわけか知らないが、勝手に工場へ持ってかれてしまった。クラッシュは、岸部たちに送ってもらい、再びホテルに戻った。
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