クラッシュバンディクー トレインレーサーズ 1st STEAGE
ふぇにーちぇさん作
第18話
やがて朝が来て、決勝戦の説明が行われる。明朝、クラッシュ達は始発電車が来る前のホームに居た。いつもどおり司会のふぇにーちぇが来て、いつもどおり挨拶だけ済ましてさっさと帰っていった。
決勝戦のルールは2回戦と同じ。横浜から東京の4つ巴バトルだ。
決勝戦に進出したのは、クラッシュ、ココ、千里丘、大鑓の4人だ。決勝戦は明日。それぞれ明日に向けて、セットアップに入る。
AM1:00 横浜駅
偽造番号にした103系が京浜東北線のホームに止まっていた。そばには柄沢と浮間が居た。
柄沢「こいつ、今まで力を封印していたんですね。昨日浮間さん達と走って気づきました。」
浮間「スーパーチャージャーと0系モーターは作動せず、ただのオモリなっていたわけだ。どうりであんなオーバースピードでコーナーをクリアして来れたわけだ。」
柄沢「上手い具合に重心が下に来ている。見事ですね。」
そこにクラッシュが来た。明日に向けて、最終セットアップに来たのだ。しかし、柄沢たちは険しい表情だ。
柄沢「クラッシュ君。俺達はさっきこの列車に乗って東京まで往復してきた。その結果、君には辛い事になるかもしれないが、この列車をやっぱり手放してもらうことにした。」
クラッシュ「え・・・?」
浮間「この列車で勝つことも可能なんだが、それは君にとってとてもリスクが高いことが分かった。この列車のことは忘れて、柄沢の列車で参加してくれ。頼む。」
そのとき、103系のドアの窓が突然割れた。幸い、怪我は誰もしていなかった。それと同時に、誰かがこちらに近づいてくる。司会のふぇにーちぇだった。ふぇにーちぇは割れた窓を見てこう言い放った。
ふぇにーちぇ「バーカ。だから車両の声を聞けって行っただろう。お前、まだ分かんないフリしてんのかよ。」
柄沢たちは黙ってしまった。クラッシュはどうすればいいか分からなくなって、すっかり黙ってしまった。
ふぇにーちぇ「いい加減にしろよ!そこの・・・クラッシュとか言ったっけ?そいつはまだしも、柄沢!お前、この車両に以前乗ったことがあるんだろう!自分の手足のように振り回してたじゃねえかよ!あん時のお前はどうした!」
ふぇにーちぇは追い討ちを掛けるように続ける。
ふぇにーちぇ「くそったれがぁ!あんなに列車の声を聞けだの言っといて、今となってはこのザマかぁ!お前と話をするのはもう飽きた。帰れ!お前はもう、この103に触る資格はねぇ!!!」
柄沢「ちっ!帰ってやるよ!この人殺しが!」
浮間「柄沢!」
残されたのはクラッシュとふぇにーちぇだけになってしまった。ふぇにーちぇは、やっと厄介払いが終わったと言うようにため息をついた。そして、クラッシュに話しかけた。
ふぇにーちぇ「柄沢たちの気持ちも良く分かるんだが、俺はこの方がいいと思っていっているんだ。それはさておき、そろそろ知りたくなっただろ。こいつのことが。」
どうも謎の多そうな列車だと思っていた。こういうのは一番最後に『実はこういう過去があったのでした。』とか言うノリで来るのかと思っていたが、どうやら教えてくれそうな雰囲気だ。
ふぇにーちぇ「こいつ、20年ぐらい前かな。『死神103系』って言って、すごく有名になったんだ。当時、世界最速の通勤型車両なんじゃないかって騒がれていた。でも、1つだけ問題点があった。こいつは気まぐれなんだ。ドリフトしようと思ったら、変な方向にすっとんでっちまうし、かといって、慎重に走ったら拗ねたみたいにトロトロと走りやがる。他のやつが乗ったら、そういう挙動になって、最終的にクラッシュしちまう。死者も何人かでたな。
15年前、『死神103系』で有名にしたやつが死んだ。裏切られたみたいに脱線して、川にドボン。あっけなく、一瞬で死んじまった。その後、何人もコロコロドライバーぶっ殺して、最終的に納まったのがあいつだ。10年前。
だが、あいつも裏切られた。ちゃんと手入れもしたし、走り方も丁寧だった。それでもだ。幸い、大事には至らなかった。それから、また何人かぶっ殺して、とあるドライバーの手に渡った。こいつはあまり有名じゃなかったな。そして、お前。」
‐‐お前にはこいつを信頼させる何かがあったんだ。--
ふぇにーちぇは最後にそう言っていた。クラッシュは最終セットアップに入った。
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