クラッシュバンディクー トレインレーサーズ 1st STEAGE
ふぇにーちぇさん作
第7話
話しかけてきたのは柄沢のりあきという男だ。ココが調べたところによると、この男、かなり速いらしい。クラッシュと同じ103系に乗っていて、その速さからついたあだ名は、『緑の閃光』。東日本では彼の名を知らぬものはいないらしい。だが、この男はクラッシュやココの対戦相手ではない。いったい何のために来たのか。
柄沢「ちょっと挨拶に来たんだ。クラッシュ君。君の対戦相手は僕の知り合いだ。あいつと俺と、あともう一人の知り合いが1から3位を独占する計画を立ててるんだ。だから邪魔はさせないよ。」
クラッシュ&ココ(何を言っているんだこいつは。挨拶なら普通対戦相手がするものではないのか。何故こいつが。)
柄沢「君の対戦相手の塚口は馬鹿なやつでね、俺に代わりに挨拶に行けって言ってきたんだ。おかしいだろ。」
クラッシュ&ココ(いやいや、それをすんなり受け入れるあんたのほうがおかしいわ!)
柄沢「それと、ちょっと聞きたいことがあるんだ。」
柄沢は少し真剣な表情になった。なんだかまともな事を言ってきそうな雰囲気だ。いったい何を聞くのか。
柄沢「君は何故、103系に乗っているんだ。」
その質問に、クラッシュ達は答えられなかった。金が足りないから。なんて言えるような質問じゃない。これはマジの質問だ。
柄沢「僕以外にそんな列車に乗っている人は知らなかった。古い車両でも特急型車両ならこんなことは聞かない。だけど君のは通勤型だ。わざわざ40年前の、しかも、長距離を走るための列車ではなく、駅間の短い、短距離用の列車に乗るのは何か訳があるはずだ。まさか、金がなかったからなんて馬鹿げた理由でこんなのを選んだのか?」
クラッシュ「・・・」
柄沢「ふ・・・。まあいい。人に言いたくない理由でもあるんだろう。じゃあ、僕の理由を教えてあげるよ。」
クラッシュ達は息を呑んだ。こんなすごい言葉を吐いてくるんだ。何かとてつもない、熱い理由があるに違いないと思っていた。
柄沢「楽だからさ。」
クラッシュ達「・・・・・・・・・・・・・はあぁぁぁぁぁぁぁ!?」
柄沢「だって、ドリフトしないでも車重で十分曲がれるじゃん。こんなに楽なの見たことないよ。ドリフトなんて面倒くさいの俺はしたくないんだよ。」
クラッシュ「帰れー!」
ココ「ほんとに『緑の閃光』なの!?」
アクアク「立ち去れ!この馬鹿者!」
3人は怒り狂って、柄沢にいろいろなものを投げた。まるで、数年前にドラマ化した、とあるクラシック漫画のようなノリだ。柄沢はひぃぃぃぃと叫びながらどこかへ行った。
柄沢「お前ら、見ていたのか。」
塚口「ああ。面白かったー。ありゃあ。」
佐々木「で、本当のところはどうなんだよ。」
柄沢「あれ、言ってなかったっけ。まあ、そのうち言うよ。それに、あいつらの、現時点でなんだが、強さがわかったよ。」
佐々木「強いのか?」
柄沢「弱い。金がないからなんて理由で列車を買ったんじゃあな。」
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