平和推進探偵団(ブリオ編)


ラリーZさん作

第3話 行動 --Handlung--

最悪な目覚めだった・・・
まったく眠りの爽快感がない・・・
まぁ、無理もないか・・・私たちのこの一日の行動によって世界がどうなるか変わってくるかもしれないのだからな・・・
私は、いつもと違った気持ちでいつもどおり朝食の準備をしようとした。

キッチンに行って朝食を作ろうとしたら、リラ・ルーに呼び止められた。
「あっ。ブリオはんオハヨ。朝食でしたらワイが作ったさかい。」
「おおっ!ねぼすけのお前が早起きしてしかも、朝食まで作るとは。」
どうやら、リラ・ルーも今日を違った気持ちで迎えたみたいだ。
「ブリオはん。今日は大切でっせ。」
「ほぉ。どれぐらい大切だ?」
「そりゃあ、エム−1の予選並に・・・って、ブリオはーん!そんなものと比べたらあきまへんでー」
私も冗談が言えたので、どうやら今日を乗り切れる気がしてきた。
私たちは朝ごはんを食べながら今日一日の予定を話すことにした。
「まず、私は午前に仕事があるので、情報収集もかねて仕事に行く。そしてお前は、ちょっと危険だが、もう一度コルテックスの基地に偵察に行ってくれ。お昼には終わるから、ここで昼食を食いながらお互い報告をするでいいか?」
「ブリオはん。もう、現段階ではあるってことはわかってますさかい。いっそのこと、破壊までしようと思ってるんやけど、どうでっしゃろ?」
驚いた・・・まさかここまでリラ・ルーは考えているとは・・・
「破壊・・・か・・・じゃあ、ご飯を食べ終わったら、実験室に来てくれ。」
どうやら、数日前に念のために作っていたアレが役に立つ時が来てしまったな・・・
私はリラ・ルーがご飯を食べ終わる少し前に食べ終え、一足先に研究室に行った。

私は研究室に行って、小さな木箱を取り出し、机においた。
その直後、リラ・ルーがやってきた。
「ブリオはん。何のようでっしゃろ?」
「リラ・ルーよ。この箱の中にあるヤツを持っていって、あの機械があったらこれを打て。」
私が作っていたのは、機械を錆びらすビームを発射する銃だ。
正直に話、これはもともと私が作っていた機械を解体するとき用のものだ。そんな機械であの世界を征服できる機械を壊すことは出来ないかもしれなくでも、少なくとも時間は稼げる。
「わかりましたブリオはん。この大仕事をワイがやらせていただきますわ。」
「よし!昼ごはんを笑って食べれることを期待しているぞ!」
リラ・ルーが銃を持って出かけようとした瞬間、あることに気付いて私のほうに振り返った。
「ところでブリオはん。あんさんの仕事の時間は大丈夫でっしゃろ?」
時計を見ると、8時半だった。
いつもは歩いて45分かけていっているので、確かにまずい。
「・・・ま、何とかなるよ。お互いこの1日がんばろうな。」
「今の言葉とまったく同じ言葉をワイも言います。」
そういって、リラ・ルーは出かけた。
リラ・ルーに何とかなるって言ったが、実はなんともならない。
遅刻を覚悟して、私は仕事に行く支度をした。
家を出て少し歩くと一台のタクシーがやってきた。
「お客さん。乗っていきますか?」
オキサイドだった。たまたまこのあたりをうろついているときに、ブリオを見つけたみたいだ。
「ああ、頼む。」
そういってブリオはタクシーに乗った。
「お客さん。NANDEYANENまで行きますか?」
「・・・なぜわかった?」
「いや、お客さんがこの時間にこの辺うろついているのはおかしいと思ってな。大事な仕事に遅れるのは悪いと思ってな。」
とはいっても、歩いて45分だから、車で行けば10分ぐらいで行けるかと思えば、NANDEYANENまでの道は非常に複雑で入り組んでおり、車でも20分ほどかかってしまう。しかも、今は8時40分。非常にギリギリだ。
「運転手さん。なるべく急いでください。」
「なんだかお客さん、今日は固いですね。もっとリラックスしたほうが良いですよ。」
確かに私はいつもより固い。それがオキサイドに伝わってしまったようだ。
「それはわかったから早く行ってくれないか?」
オキサイドは目的地を知っているのにもかかわらずいまだ車を動かしていない。
「お客さん。まもなくエンジンがあったまります。お客さんにオレ様ちゃんの車の特別な機能を見せましょう。NANDEYANENに10以内につきます。」
そういったとたん。突然エンジン音が鳴り出した。
「お客さん。音が気になるのでしたらそこにある耳栓をつけてください。それから、今は風が強いのでちょっとゆれますよ。」
オキサイドに言われたので、私は耳栓をすることにした。それにしても、オキサイドは一体何をする気なのだ?
「よし、離陸準備OK!発射!!」
「な・・・何が起こっている!?」
突然、タクシーが宙に浮いた。
「お客さん。今日はエンジンの調子が良いみたいですわ。8分ぐらいでNANDEYANENに着きますぜ。」
「これはどういうことか説明してくれ!オキサイド。」
「・・・ブリオさん。これは表向きには地上しか走れないタクシーだけど、実は、オレ様ちゃんのマシンを改造しているヤツなんだ。もちろん、空だけではなく、オレ様ちゃんの故郷に帰るために宇宙も飛ぶことも出来る優れものだ。だから、ホレ。密封状態だろ。今。」
さすがは元走り屋。車もいいのを乗っている。
「それにしても、ブリオさんがあせってるところを見るのは初めてですわ。何か遅刻すること以外で悩んでいるのですか?」
「オキサイド・・・確かに私は遅刻のこと以外で悩んでいる。でも、いくらオキサイドであっても、それ以上のことは言えない。」
世界征服を阻止していることをオキサイドに言って気を楽にしたかったが、もし言って、協力なんかしたら・・・ただでさえリラ・ルーを巻き添えにしているのに、オキサイドまで巻き添えにしたら・・・
「ブリオさん・・・話変わりますけど、最近オレ様ちゃんが空を飛んでいる時、よく飛行物体を見つけるんですわ。ほら。そこにも。」
オキサイドが指をさしたところを見ると確かにあった。
確かに飛行物体があった。それのかなり大き目のだ。
「アレ、人も乗ってるのではないか?」
そう思っていると、飛行物体はかなり近づいてきた。
「ブリオさん。アレ結構危ないですな〜」
飛行物体はオキサイドの車をすれ違った。
その時にその飛行物体に乗っている人を見た。
「アレ・・・どっかで見覚えがあるような・・・」
その人物は、ブリオの記憶の片隅に残っている人なのだが、悩んでいる今ではなかなか思い出せない。
「アブね〜ぞ!アレ!!・・・っといっている間に、ブリオ・・・じゃなくて、お客さん。目的地に着きましたよ。」
車は、NANDEYANENの近くに着陸した。

「お客さん。1880円です。」
「空を飛んだから、特別料金を取ったりしないのか?」
「お客さんのせて空を飛ぶなんて考えたことないからそんなこと考えてなかったわ。それより、またお客さんがオレ様ちゃんを必要とする時がきそうだから、近くを回っとくわ。」
そういってオキサイドは地上を走っていった。
今の時間は8時48分。決してゆっくり準備が出来る時間とは言いにくいが、それなりにゆっくり準備が出来そうだ。
NANDEYANENの開店は10時からである。しかし、従業員は9時から仕事がある。例えば、店の掃除や、酒の準備など。ちなみに、昼は半分喫茶店みたいな経営をやっているので、軽食の準備もしている。
私が従業員用の部屋にはいると、いつもはジョー店長がいるのだが、いなく、代わりに新人らしき人がいた。
「あっブリオさん着てくれてよかった〜僕一人じゃ準備が出来るかどうか心配だったからッスから。」
こいつは2ヶ月ほど前に入ったアルバイトの鍵卍一独(かぎまんじ いちと)最初、私はこの名前を聞いてふざけているのかと思ったが、本当に本名であるらしい。ちなみに、彼は店員として出ているとき、客に「ラリーZ」といわれているので、私とジョー店長も「ラリーZ」と呼んでいる。
「ラリーZよ。ジョー店長は今日は来るはずじゃなかったのか?」
「そうなんですが、さっきまでいたんッスけど、突然店長は用事を思い出したみたいで、出ていったんッス。」
その言葉を聞いて、私は一瞬頭に何かよぎったが、すぐに消えてしまった。
それにしても、ジョーがいきなりわけもいわずに出て行くのは珍しい。
ジョーがいなくなるとこの店は、ゆうまとジミーとラリーZと私の4人しかいない。ジョーは毎週1日必ず定休日がるこの店に、週5日ここに来て開店前から閉店後までずっと仕事をしている。で、ゆうま、ジミー、ラリーZは、週3〜4日で、常にジョー店長と2人体制で働くためのシフトをくんでいる。そして私は、バイトの3人が緊急で用事が入ったときと、ジョー店長が休みの日の夜以外は自由に3時間好きな時に働いている。なので、本来は今日はジョー店長が来ている日なのだが・・・
「ブリオさん。とりあえず、準備しましょ。」
「そうだな。」
私とラリーZは店の準備をした。
ラリーZは店の掃除をし、私はカクテルの材料など、酒の残りを確認して、不足しているのがあればそれをメモし、後で買い足している。
「フルーツが全体的に不足しているな・・・」
特に、オレンジや、リンゴあたりが不足している。ちなみに、パイナップルも不足しているが、これは、ジョー店長の大好物であり、閉店後、こっそり食べているので、いつものことである。
「とりあえず、ラリーZが掃除終わり次第、オレンジとリンゴとパイナップルを買わせに行かせるか。」
しばらくすると、ラリーZが掃除を終えたみたいだ。時計を見ると、9時30分だった。
「よし、ラリーZ、今日はオレンジとリンゴとパイナップルを買ってきてくれ。」
「わかったッス。ちなみに、残っている仕事はなんかありますか?」
「後はミキサーとかの機械のチェックのみだから、私がやっておく。」
そういって、お金を持たせてラリーZを買い物に行かせた後、私は機械のチェックをした。
「よし!チェックは全て終了だ。・・・しかし、疲れが残っとるな・・・」
私は従業員室で仮眠をとることにした。

どれぐらい寝たのだろうか・・・疲れが全てではないがかなり取れた。
時計を見ると、11時45分だった。
「マズイ!寝てしまった。」
私はあわてて店に行った。
「あっおはようございます。ブリオさん。」
「私が寝ている間にお客さんは来たか?」
「2人組の科学者っぽい人と、女の人が1人来ましたね。でも、酒を飲むほかには何もいらない的なオーラが3人に出ていたので、俺一人で乗り切ったッス。」
私は、ラリーZの成長とやさしさに感動をしたかったのだが、やってきた2人のほうが気になってしまった。
「2人組の客の特徴とかわかる。」
「ええ。2人とも科学者っぽくて特にそのうちの一人がミサイルが頭に刺さっていたッスね。」
間違いない。コルテックスとエヌ・ジンだ。
でも、あいつらがここに来ているってことは、リラ・ルーも何とか仕事が無事に出来たのかな。
「しかし、もう1人のほうも結構変わっていたッス。いきなり超能力を見せてきたッス。アレがトリックだとわかっているけど、出来がすごかったので本物かとおもったッス。また見たいッス。」
・・・ん?コルテックスはいつのまにそんな特技を身につけたのか?
まぁ、そんな特技は世界征服につながらなそうだから、どうでもいいことであるが。
「ちなみに、女性のほうの客はどんなんだった。」
「ああ・・・その女性結構かわいかったッス。アニメにいそうな人だったッス。もし、右手がリボルバーだったらサイコーッス!」
「いや・・・ラリーZ。私はそんな情報を知りたくない。」
ラリーZが暴走しそうなので私は止めた。
「あっ!ごめんなさいッス。でも、その女性はカクテルを2杯ほど飲んだだけッス。焼酎とかたくさん飲んだ2人組とは雰囲気とかも全然違うかったッス。とにかく暗く、2人組とちょっとしゃべった後、すぐに帰りましたッス。」
こちらの情報はあまり関係なさそうだな。
「でも、会話内容に世界征服が何とか〜というのがあった気がするッス。」
これは、コルテックスがその場のテンションでしゃべったことだろう。
これは明らかに野望失敗フラグみたいだがな。
「ラリーZよ。ご苦労だったな。皿洗いは私がやっておく。どうせ日が沈むまで客はほとんど来ないから、休んでていいぞ。」
「あっ、いや、でも、このような仕事は僕がやるッス。」
「でも、仕事の時間を全て寝てすごすのは悪いから、これぐらいはせめて私がやる。」
私がここまで言うと、ラリーZは一礼をして従業員室に戻った。
私は皿洗いを始めた。
皿洗いをしながら、これまでにあったことを整理した。
「世界征服の計画があるって聞いて始まった今回だが、なんと、計画が2つある。まず、コルテックス側の計画には、いつものメンバーに踏まえて、本来的であるアクアクも絡んでいるといううわさもある。でも、こっちの計画はリラ・ルーにより、崩すことまでは出来なくても、無力化することが出来る。しかし、もう1つの計画についてはほとんど情報も対策もない。マサヒロという、謎の少年の情報でそれを知ったのみだから。宇宙からヨクトウイルスばら撒いて征服とは、コルテックスよりもはるかに大規模である。しかし・・・」
ここで、皿は全て洗い終わった。
「もう一つのほうはあるかどうかすら怪しい。こっちのほうはコルテックスから派生した単なるデマだ。つまり、計画は一つだ。」
私は自分にそう言い聞かせて、手を拭いた。
「それに、一見私が疑問に思っていることでも、それは『ヨクト』目線で見ているからそう思うだけで、目線を変えてみれば、くだらないことであることもある。今は飛行物体とか、ジョー店長のことを忘れて、コルテックスの機械破壊だけを考えよう。その後から考えればいいだけの話だ。」
そう心に思って私は従業員室に行って帰る支度をした。

「おっ!12時だ。ラリーZ。私は先に上がらせてもらうぞ。」
「・・・お疲れ様です。」
「・・・どうしたんだラリーZ?何か暗いぞ。」
「・・・あっ!なんでもないッス。ちょっと考え事をしてただけッス。」
「そうか・・・じゃ、後よろしくな。」
そういって私はNANDEYANENからでた。」

帰り道、再び私は今までに会ったことを考え直してみた。
「どうやら、必要な情報以外も含めて考えてしまっているから、私は混乱したりするんだな。でも、家に帰ったら計画は終了。必要以外の情報をゆっくり考えれる。よし!ちょっと豪華なディナーだな。今日は。」
そう思った私はスーパーによった。

スーパーによったので、家には13時に帰ってきた。
しかし、家には鍵がかかっている。
「・・・あれ?まだなのか?」
そう思った私はリラ・ルーに電話をかけた。
しかし、電話には出なかった。
「リラ・ルー・・・何かあったのか・・・」
複雑な気持ちを抱えたまま、私は家に入り、リラ・ルーの帰りを待った。

TO BE CONTINUED...

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