YOCTO 野望進行中(コルテックス編)


ラリーZさん作

第1話 記憶喪失 −−Memory loss−−

ワシはものすごいものを開発した!
もう、世界征服は目の前だ!

「コルテックス殿!!大丈夫ですか!?」
「ああ・・・ちょっと頭痛がするだけだ」
ワシはコルテックス。ネオ・コルテックスという名のワシは世界征服を企む、悪の天才科学者である。しかし・・・
「いや〜さっきまでの世界征服会議は非常にハードでしたな〜拙者も倒れるかと思いましたよ〜」
そういって、ワシより数歩先を歩く彼。
彼の名はエヌ・ジン。彼はワシの優秀な部下・・・というわけではないが、重要な右腕である。彼のおかげで何度も世界征服の一歩手前までいけたことやら・・・
「でもコルッテックス殿があの時倒れてくれてよかったですよ。」
そういうと、数歩先にいってたエヌ・ジンが振り向いて、
「だって、今回の世界征服会議過去最高の10時間ですよ〜しかも、さらに続きそうな勢いでしたから。でも、コルテックス殿が倒れてくれたから、会議は明日に延期。いや〜時代劇見れそうでよかったですよ〜」
「フン。」
「しかし、コルテックス殿。アレ、わざとじゃないのでは?」
「何を言っておる!アレはわざとじゃな・・・イテテテ・・・」
確かにワシは会議が終わってほしいから半分わざとやった。しかし、数分前から頭痛がしてその結果、わざとじゃない倒れ方ができたおかげで会議が終わったものだ。
「コルテックス殿。頭痛がする理由はあの開発が原因ですか?」
「ああ・・・その開発のために寝不足が起きたから・・・イテテ・・・」
確かに原因はあの開発にある。今度の開発は今までのよりもすばらしい。しかしこれはエヌ・ジン以外には知られたくない。そう、ウカウカ様でも、エヌ・トロピーのヤローにも・・・
「ところで、今はどのくらい完成しました?」
「軽い実験ができるところまで来た。」
もちろん、実験も開発もみんなが寝た後に行っている。ウカウカ様をはじめ、ワシらの仲間の大半はみんな秘密基地で生活をしている。
「はやく拙者も実験にかかわれる段階まできてください。」
エヌジンがそういうのもわからなくはない。この開発はエヌ・ジンが発案したものだ。
「ああ・・・一刻も早くかかわれる段階にまでもっていく。」
確かにエヌジンが発案したアレは、今まで作ってきたのよりも強力である。しかし、それと同時に危険でもある。今は実験の段階に来ているが、もし失敗をしてしまったら・・・確実にワシは・・・
「直接実験の手伝いができなくても、拙者はコルテックス殿のお役にたちたいと思います。」
「ああ・・・そのときが来たら頼む。」
本当は、そのときなんかは来ないまま開発するつもりだ。
今までは実験なんかただの動作確認のためにしかやっていなかった。リスクなんてなかった。しかし、今回だけは、ワシにも実験をしたらどうなるかわからないものだ。暴走なんかしたら・・・そう考えると、ワシにできることはエヌ・ジンを巻き添えにしない。それだけだ。
「まぁ、コルテックス殿が今夜も実験ができるように、そのために体調を戻すために散歩を続けましょう。」
「そうだな。」
ワシたちはまた歩き始めた。

歩き始めて数分たった。
「コルッテックス殿!あ、アレは・・・」
エヌ・ジンが急に歩くのをやめてある所へ指を指した。その先には・・・
お金が落ちていた。それもそれなりの額が・・・
「もらったあああぁぁぁ・・・」
ワシはエヌ・ジンの指先にあるものを確認するや否や、すぐにそのお金めがけて飛びついた。その時・・・
ガツン。
ワシと同じタイミングでお金に飛びついたヤツに頭をぶつけてしまった・・・
「イテテテ・・・おっ!今の衝撃で頭痛が治ったぞ!!!」
「アイタタ・・・あっ!今の衝撃でちょっと記憶が戻った!!!」
見ると、頭をぶつけたヤツは、少年だった。
「大丈夫ですか?コルテックス殿?」
「ああ・・・ワシは大丈夫だ・・・」
「そのものも大丈夫か?」
「俺も大丈夫だ。そんなことより、俺の話を聞け!」
なんだこの少年は?変にうれしそうだぞ。
「俺の名前はマサヒロ。柚木マサヒロ(ゆうきまさひろ)が俺の名だって事を、今の衝撃で思い出した。」
ワシとエヌ・ジンは顔を合わせた後に
「記憶喪失か?」
「記憶喪失か?」
と、同時にいった。
「ああ・・・そうらしい。今朝、道端で倒れていて、気がついたら全く記憶がなかったんだ。何か大きな事をやるはずだったのに、記憶が飛んで忘れたのさ。で、途方にくれているときにちょうどそこにあるお金を拾おうと飛びついたわけさ。そしたらこうなったわけさ。」
どうもマサヒロという少年はワシと同じく大きな事をやらなければならないようだ。
「で・・・その大きな事とはいったいなんじゃ?」
「いや・・・そこまでは思い出せなかった・・・」
エヌジンが聞いてみたが、やはり記憶は一部しか戻っていないようだ。
「ところで、おっちゃんらの名前は?」
マサヒロが聞いてきた。これは答えなければならないだろう。
「ワシはネオ・コルテックス。そしてこいつはエヌ・ジンだ。ワシらは常に世界征服を計画していて、惜しいところまでいったことがある悪の天才科学者だぞ!」
ちょっとワシはオーバーに言ってやった。
「悪の科学者、世界制服ね・・・意外と、俺の大きな事に関係なさそうなのだけど・・・わりぃ。記憶が戻らないからかんけーあるかどうかわからね。」
マサヒロは、ワシらのことをまんざらでもない風に見ていた。
いや、むしろ、共感しているようにも見えた。
「あの〜このお金はどうします?」
エヌジンが聞いてきた。
「これはワシとマサヒロで半分ずつってのは?」
ワシらのことを共感してくれたので、ちょっと機嫌よく言ってみた。
「おっ!それいいな。じゃあ、そーゆーことで。」
ワシらはマサヒロが多くとるのかを警戒しつつ、落ちているお金を半分に分けた。
「じゃーな、コルテックス。なんかまたお前らと会いそうだぜ。」
そういうと、マサヒロは去っていった。
「アイツ・・・今度あったときはワシらのところにでも勧誘してみるか。」
やや上機嫌にワシはエヌ・ジンに話しかけてみるとエヌ・ジンは、ややこわばった表情でワシに話しかけてきた。
「あの〜拙者がコルテックス殿とマサヒロ殿がお金を拾うところを見ていて、一つ気づいたことがあるのじゃが、いってもよろしいでしょうか?」
エヌジンは、なんか遠慮深そうに話しかけてきた。
「そんな硬くならなくても、ワシとお前の中じゃないか。言ってみな。」
エヌ・ジンに言わせるようにワシは上機嫌にいってみた。
「じゃあ、いいますが・・・コルテックス殿がかがんだ時に頭から光が反射していました。それも強力にですじゃ。」
なんだ・・・いまさらそんなことか・・・でも、エヌ・ジンが言うから、それなりに強力なんだな。
「強力って、殺傷能力はあるか?」
「はい・・・たぶん。下手すると、発火までするんじゃないですか?」
「発火か・・・じゃあ、毛皮のクラッシュを始末するのにちょうどよいな・・・」
「え・・・それよりも、あれの開発したら、クラッシュも始末できますし、世界も征服できますぞ。なのに、何でそんなことをしますのじゃ?」
確かにそうだ。アレが開発され、つかえばたちまちワシは世界征服できる。しかし、すぐにというわけではない。ちょっと時間がかかるのだが、この分野はクラッシュには対抗できない。なぜなら、目には見えないし、自覚症状もないからだ。気がつけば、世界を征服される。そんな物をワシたちは作っている。
「決まってるだろ。念には念をって言うヤツだ。」
本音を言えば、単にクラッシュをワシの手で直接倒したいだけだ。別に、間接的に倒して世界征服をしてもいい。しかし、今までの復讐の意味もこめて、直接ワシの手で倒したいのが本音だ。
「そうですか・・・では、クラッシュが来るのを待ちましょう・・・あっ!そんなことを言っている間にやってきましたよ。こちらに隠れましょう。」
そういうと、ワシたちは近くに隠れた。隠れる際にワシは誰かに見られている気がした。
「タッタラ〜ン♪」
クラッシュだ。相変わらずのノーテンキだ。
「あいかわらずですな・・・コルテックス殿!お願いします。」
「おう!任せておけ。そして、ワシが勝つところを見ておけ!エヌ・ジン!!」
そういってワシはクラッシュの目の前に立った。
「またあったな!クラッシュ」
「おっ!オヤジ!ヒマだからじゃんけんしよう。」
・・・なんだ?こいつ・・・
ひょっとして、ただのノーてんきなのか、それとも、作戦なのか・・・
「おーい、じゃんけんしないのか?」
「うるせーワシは今からお前を倒す!」
「あっそ。やれるものならやってみろ」
確かに、今までは無策で挑んでいた。しかし今回は違うところを見せてやる!
「くらえ!ライトニングハーゲフラッシュ!!!」
この技は、ワシのハゲ頭と太陽の光を利用した技だ。発火までする高威力の技だ。発火させてクラッシュを倒す。もし、逃げられたら・・・
「ぐわーまぶしー」
「もっとくらえー」
「ぐわーまずい・・・とにかく動かなければ・・・」
クラッシュがワシの攻撃から外れた。しかし、クラッシュの目潰しは十分行えた。ならば・・・
「くらえ!クラッシュ!光線銃だ!!!」
パンパンパン
「だめだ・・・前がよく見えない・・・とにかく動かないと・・・」
さすがクラッシュ。動物的なカンで光線銃をよけているな。
ならば、ライトニングハーゲフラッシュと併用して倒すか
「くらえークラッシュ!!」
パンパンピカー
パンパンピカー
「と・・・とにかくかわし続けて前がよく見えるまでは・・・」
「くらえーライトニングハーゲフラッシューーー」
ピカー・・・
ピカーーー
「あ・・・熱い!!!わ・・・ワシの髪が燃えておるーーー」
な・・・なぜだ?いきなりワシの髪が燃え出すなんて・・・
今まで燃えなかったのに・・・
そ・・・それより、雨よふってくれーーー
コルテックスの願いが通じたのか、突然、通り雨がやってきた
「よし・・・やっと前がよく見えるぞ・・・」
「ゲッ!ライトニングハーゲフラッシュも使えないって事は・・・」
「くらえ!スピンアタック!!!」
「ぐっふぁーーー」
「こ・・・コルテックスどのーーー」
ワシは吹っ飛ばされた。
吹っ飛ばされている間、ワシはさっきまでの戦いを振り返ってみた。
「本当に惜しかったな・・・しかし、なぜワシの髪が燃え出したのかなぁ・・・」
そう思いながらワシはふと地上に目をやると・・・
「おっ!虹がきれいだなぁ・・・それと、ワシの研究所・・・から、見慣れないヤツが出てきた!」
見慣れないヤツを疑問に持ちながら、ワシは地面に着地するのであった・・・

TO BE CONTINUED...

戻る