YOCTO 野望進行中(コルテックス編)


ラリーZさん作

第2話 決意 --Entschlossenheit--

「コルテックス殿!起きてください!」
「ん・・・あ・・・」
エヌ・ジンがやってきた。相変わらずこいつはいいヤツだ。
「あいかわらず生命力だけは強いですね〜また生きていますよ〜」
「フン!・・・ところで、ここはどこだ?」
そうエヌ・ジンに言った後、ワシは基地の近くじゃないのかと思い出した。そして・・・
「ああ、ここは基地にすごく近・・・」
「エヌ・ジン!すぐに基地に帰るぞ!!!わけは後で話す!!」
とにかくワシとエヌ・ジンは基地に向かって走った。

ワシは無我夢中になって走って基地にたどりついた。
「ワシの世界征服の計画・・・ひょっとしたらさっきのヤツはスパイで、ワシのアレを見たのではないか・・・」
ワシは全速力で自分の研究室に向かった。
研究室に入った瞬間、ワシは愕然とした。
「研究室が・・・荒らされている・・・」
ワシ目の前が真っ白になって、しばらく立ちすくんだ。

ワシは少し冷静さを取り戻した後、ふと気がついた。
エヌ・ジンがいない!
ワシは研究室を飛び出し、エヌ・ジンを探しにいこうと、基地の玄関前まで来たとき、エヌ・ジンとあった。エヌ・ジンはなぜか驚いた様子であった。
「コルテックス殿!アンタが作っていたのはウイルス光線でしたのか!!??」
!!!!!
確かに、ワシは光線機械を作っている。そして、ウイルスっぽいのを使って世界征服をたくらんでいる。しかし、ウイルスではない。それに、エヌ・ジンにはまだ光線機械までしか言ってないのに、なぜそれを知っているのだ?
「エヌ・ジン。とにかく、ワシの研究室で詳しく話そう。」
「はい。なぜ拙者がコルテックス殿の計画を知っているのかも話しますですじゃ。」
そういってワシ達はワシの研究室に行くことにした。
ワシは研究所の有様をエヌ・ジンに見せ付けた。
「エヌ・ジン!まずはワシから話させてもらおうか。」
「どうぞ。コルテックス殿。」
「無論だが、まず、ワシたちが出かける前はこんな荒らされてなくて、物などがそこらじゅうにあるわけはない。そして、ワシは見慣れないヤツが基地から出て行くとこを吹っ飛ばされているときに見た。つまり、これはスパイが来たってことだ。」
「空き巣狙いってことはないですか?」
エヌ・ジンはワシを救うような一言を言ってきたが、ワシにとってはどうでもいいことだった。
「いいや!これはスパイだ!!幸い、この機械は壊れてはいなさそうだし、見た目はただの光線を発射するだけの機械だから、それほど重要なものではないって思って帰っていっただろう。」
「あの〜その光線の機械は、ウイルスを発射するのじゃな。」
ここだ。一番の疑問点は。情報が中途半端に全部漏れてしまったようだ・・・
スパイは、本当は玄人が見たのか・・・
「そのウイルスなんだが・・・実は、ウイルスではない!」
そう。ワシは光線を発射する際に何かをつけて発射するのだが、そのつけるものとは・・・
「ワシが研究に研究を重ねて、非常に小さな粒子を作ったんだ。この粒子を光線を使って、地球上にばら撒き、生物を一旦眠らせ、その間にワシ達はすべきことをして、起きたころには、ワシが世界を征服しているっていう計画だ。もちろん、その粒子の効果は絶大であり、計画を実行できるだけの睡眠時間をさせることもできる。これが、ワシの計画だ!」
ワシが言った後に気がついた。『ウイルス≒催眠粒子』は、ありえなくもないってことを・・・どうやら、90%ぐらいは外部に漏れているらしい。
「とりあえず、ワシが話したいことは異常だ。エヌ・ジン!次はお前がしゃべれ!!」
「はい。わかりました。まずは、コルテックス殿の計画ががなぜ拙者がわかっていることから話します。まず、コルテックス殿が走っていくのを見て、あわてて拙者も後を追ったのじゃ。その途中で、マサヒロが誰かと話しているところを見たんじゃ。でも誰に話しているのかは見えなかったのでわからないのですじゃ。」
マサヒロ・・・ああ、あの少年か・・・
確かあの時見たヤツは少年ではなかったな・・・しっぽあったし・・・
「で、その会話を盗み聞きしてたのじゃ。そしたら、『宇宙から、ヨクトにまで小さくしたウイルスを光線として地球に発射して、生物の大半を殺して、残った生命力の強いヤツを奴隷とする。これが計画だ。』っていうのが聞こえて、拙者はこれはコルテックス殿の計画だなって思い、基地に向かったのですじゃ。」
なんだ?その情報は・・・いろいろと違うぞ。
「ちょっとまった!エヌ・ジン!その情報にはたくさん間違いがあるぞ!まず、宇宙で光線を撃つ予定はない。確かにそっちのほうが確実かもしれないが、宇宙基地はこの前壊されたし、今から作っても、情報が漏れている今、作っている最中に阻止されてします。そして、『ヨクトにまで小さくしたウイルス』って言ったが、まず、アレはウイルスではなく粒子だ。そして、その粒子は確かに小さいが、ヨクトほど小さくはない。ヨクトは・・・」
ワシはこのことはいいたくなく、一旦下を向いたが、再び向きなおして
「ヨクトは・・・光線機械の名前だ!つけた理由は、いづれ、ヨクトほどの小さな物質を作ってみたいからという理由だ!」
くだらないカミングアウトをしてしまった・・・
「そして、ワシら仲間以外はみんな粒子により、眠らすが、殺すことはない。もちろん、奴隷などにはすることはない。これが、ワシの計画とお前が聞いた情報と違うところだ。」
一通りエヌ・ジンが聞いた後、マサヒロから聞いたことを事実であるかのように反論をしてした。
「コルテックス殿・・・ひょっとして、マサヒロはもうひとつの世界征服計画を話しているのでは?」
「ちょっとまて!エヌ・ジン!それはないだろ。まず、ワシら以外に世界征服を考えているやつらはいないだろ。それに・・・」
ここから先はワシはいえなかった。なぜなら、マサヒロが言っている計画は、ワシのよりもずっとよいからである。今回のワシの計画は、今まで一番言い計画なのに、それを上回るのがきたら・・・
「エヌ・ジン!これから急いでこの研究室を整理するぞ!そしてその後、ヨクトの実験をする。整理も実験もエヌ・ジンにも手伝ってほしい。」
「ありがとうございます。コルテックス殿。では、今から急いで整理をしますのですじゃ。」
ワシらとは別に世界征服の計画があるかもしれない以上。急いでヨクトを完成させて、すぐに世界征服をしなければならなくなった。
しかし、そのためには一歩間違えれば、死んでしまうかもしれない実験にエヌ・ジンを参加させることになってしまった・・・

しばらくして、荒らされた部屋を元通りにした。
「これで、実験ができますじゃ。コルテックス殿。ヨクトはどうなっていますか?」
「う〜ん・・・壊されたとか、改造された跡はないな・・・」
「じゃあ、早速実験をやってみますか?」
「ちょっと待った!実験の前にまずメシを食おう。その後、実験の計画を慎重にやる。そう、みんなが寝るまで・・・」
この計画は、エヌ・ジン以外には言っていない。なぜなら、たとえ見方であろうとも、言ってしまったら外部にもれてしまう可能性があるからだ。だから、ワシはこの計画を手伝ってかつ、最も信頼できるエヌ・ジンにしか言っていない。しかし、情報が漏れた今、ワシは、エヌ・トロピーやウカウカ様にこの計画を話すべきかも知れない。1秒でも早く実行するために。そう、漏れた情報が中途半端に本当のことであっても・・・大体、こんな計画をするヤツっていえば、大体ワシだと思われるからな・・・それで計画をつぶされたりなんかされたら・・・
そんなことを思いながら、ワシとエヌ・ジンはメシを食べていたのであった。
メシを食っているとき、不意にエヌ・ジンが質問をしてきた。
「もし、マサヒロが言ってた計画を立てている人がコルテックス殿に協力して世界征服をしようって言われたらどうします?」
「エヌ・ジン・・・その答えは今はいえない・・・」
すごく難しい質問だった。確かにお互い世界征服をたくらんでいるもの同士だから、組めば、より世界征服がしやすくなる。だが、征服した後どうなる?意見が食い違ってもめたらどうなる?でも、そいつと争ってワシに勝ち目はあるのか?ヨクトサイズのウイルスを作ることができる相手に。技術力ではワシは負けている・・・
「だが・・・その問題は、ワシ以外に世界征服をたくらんでいるやつがいれば成り立つ問題だぞ。」
マサヒロの情報がワシの計画の中途半端に正しいものであることを信じながら、ワシはメシを食べきった。
「よし!エヌ・ジン、ワシらは少し休もう。休憩時間はほかのやつらみんなが眠りだすまでだ。それまでワシは今回の実験の予定を考えておく。みんなが寝静まったころ、ワシの研究室に来い。」
「わかりました。コルテックス殿。」
ワシとエヌ・ジンはそれぞれに部屋に行った。
ワシは部屋に入って、ヨクトが見える位置に座った。
「急ピッチでヨクトを完成させるには・・・今日、動物実験まで行くか・・・」
動物実験までくれば、ヨクト自身は完成したといってもいい。
あとは、世界中にばら撒くことができるようにいろいろと改造したり、どの角度で何時に発射すればいいかの計算をするだけだ。とにかく、動物実験が成功すれば、80%完成といてもいい。この、動物実験で失敗をすれば・・・粒子からやり直しをして・・・

「・・・ルテッ・・・スど・・・!」
・・・なんだ?何か声が聞こえるぞ。
「コルテ・・・どの!!」
まただ・・・なんか、ワシに言っているようだな。」
「コルテックス殿!!!」
コルテックス?なんだそれは・・・ああ・・・コルテックスはワシの名前か・・・で、呼んでいるやつは・・・
「コルテックス殿!!!起きてください!」
・・・ワシは寝ていたのか?
「ああ・・・お前は誰だ?」
「寝ぼけないでください。みんなが寝静まったので研究室にやってきました・・・実験を手伝いに」
研究室・・・実験・・・ああっ!アレか!
「おお!エヌ・ジンよ!早速今回のじっ・・・」
「その前に聞いてください。拙者は全員が寝たかを確認するため、一通り部屋を見渡したのですじゃ。そしたら・・・」
「まさか、まだ誰かおきていたとか?」
「ちがいます。ウカウカ殿がいなかったのですじゃ。ウカウカ殿は真っ先に寝るはずなのに、この時間帯に寝ていないどころか、基地にすらいないってことはおかしくありません?」
「ああ・・・そうだけど、それのほうがいいんじゃない。」
確かにそうだ。朝だって、ウカウカ様のせいで、10時間も会議をしたからな。それにしても、その会議が終わった後急に外に飛び出したな。まさか、気分が悪くなって・・・
・・・バカな考えはやめておこう。今はそんな疑問を捨てて、今回する実験の内容をエヌ・ジンに伝えることにした。
「エヌ・ジン!今回の実験は動物実験をする。ワシが実験をするから、エヌ・ジンはその結果をレポートに書いてくれ。そして、疑問に思ったことなども書いてワシに見せてくれ。そして、そのレポートを見て、今後ワシらはどうすればいいかを考える。これが今回することだ。」
「でもコルテックス殿。いきなりそんな実験をやっても大丈夫ですか?」
確かにそうだ。安全に実験をできるところまできていない。実験をすれば、いきなり爆発とかして、2人とも死ぬことだってありえるし・・・
「そんなリスクにおびえている場合ではない!事は急がないといけない。実験をするぞ!」
そう言った後、ワシは動物実験をするための準備をした。

少しして準備が整った。エヌ・ジンは実験の様子が最もよく見えるところに座って、今回の実験の内容をメモしている。
そして、今回の実験は、6匹のマウスを対象に、ヨクトを使って眠らす実験だ。6匹が眠るだけの最小のエネルギーを使い、それでマウスがみな眠ったら実験成功だ。マウスが眠らなかったり、期待していた効果と別の効果が出てきたら。実験は失敗だ。それ以前に、マウスに光線を当てれるか自体が心配だ・・・
「エヌ・ジン。これから実験するが、メモる準備はできたか?」
「大丈夫ですぞ。コルテックス殿。」
大丈夫・・・か・・・これから運命の動物実験が始まるな・・・
「ええい!ナムサン!!!」
ワシは祈るような気持ちでスイッチを押した。
ポチッ
ウイーーーーーーン
ビーーーーーーーーーーー
光線は問題なくマウスにあたった・・・が、なぜかワシにも光線が当たった。
ビーーーーーーーーーーー
「グワーーーーーー」
「こ・・・コルテックス殿!!!」
終わった・・・ワシの世界征服の野望はここで終わるのか・・・せめて、エヌ・ジンも巻き添えにならなくてよか・・・
「コルテックス殿ーーーーー」
エヌ・ジンはあわててワシの元に駆けつけ、デタラメに機械のスイッチを押した。
ポチッ
・・・・・・・・・・
なんと、一発目で運よくエヌ・ジンは緊急停止ボタンを押し当てた。
ワシは一命を取り留めることができた。
「プシュウウウゥゥゥ・・・」
「コルテックス殿!!!大丈夫ですか!!??」
「ああ・・・ワシは大丈夫だ。」
大丈夫なのはいいが・・・なんか変なキブン・・・これは、電撃を受けた後遺症か?
「ああよかった。拙者は実験の様子を見ていたのですが、どうも、機械が漏電して、そのもれた電気がコルテックス殿に当たったみたいですじゃ。」
・・・なんかおかしい。なんかこう。力がわきあがってくるというか・・・
「エヌ・ジン!それよりも、実験結果は?」
「マウスは・・・4匹眠っています。」
4匹?ひょっとしてワシはエネルギーの量を間違えたのか?
・・・いや・・・アレだけ確認したのに、それはないだろ・・・だとしたら、なぜ、一部にしか効果が出なかったのだ?
「それよりもコルテックス殿。なぜ漏電なんかしたのでしょうか?」
「多分・・・荒らされたときに、この機械に何かをぶつけてそれが原因で機械がちょっと故障したのが原因じゃないか?」
「そう・・・ですよね・・・」
とにかく、ワシもエヌ・ジンも死なずに、実験が終わってよかった。その実験結果だが・・・まぁ、成功といってもいいだろう。」
「よし!エヌ・ジン!早速この実験結果をレポートにまとめ・・・」
と、ワシが言ったその瞬間、机にあったはずのレポートがワシの目の前に現れた・・・
「・・・・・・」
「・・・・・・」
・・・これは一体どういうことだ。
ワシとエヌ・ジンが驚いている中、エヌ・ジンが口を開いた。
「・・・こ・・・これは、きっと風が吹いてここまで飛んできたのでしょう・・・」
「そ・・・そうだな・・・あの窓開いていたし・・・」
「・・・コルテックス殿。今日はお疲れでしょう。拙者は今回の実験のレポートをまとめておきますので、また明日、そのレポートを見ながら今後の予定を立てましょう。」
そうだ。一日たてばいい。いろんなことの答えが見えてくるだろう。レポートの件だって、明日この研究室に入ってみたら、原因がわかるだろうし・・・
「じ・・・じゃあ、ワシは先に寝かせてもらう。エヌ・ジンもさっさとまとめて、明日に備えて早く寝たほうがいいぞ。そう、あの長たらしい会議に備えて。」
「わかりました。では、ごゆっくりお休みくださいませ。」
ふらふらになりながらワシは部屋に戻って寝ることにした。

TO BE CONTINUED...

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