YOCTO Kill Time(クランチ編)


ラリーZさん作

第2話 決意 --Entschlossenheit--

「おーい。クラッシュ!」
「ナンダオマエ、ヤンノカ?」
だめだ・・・腹が減っていて変になってやがる・・・この時は・・・
「クラッシュ。今からダッシュで家に帰れば、リンゴ食べ放題だぞ!」
「何!?じゃあ、帰るね」
恐ろしいスピードで家に向かって走ったクラッシュ
「さてと・・・俺はこれからどうしようかな・・・」
アクアクを探すにしても、情報が全く無い。コルテックスの基地に行くのにも、特に知りたいものが無いので、無駄。ってことは、俺にできることは・・・
「てきとーにその辺を歩くだけか・・・」
俺はテキトーに歩き出した。

日もすっかり暮れてしまった頃、俺はふと気がついた。
「ここ、都会ジャン・・・テキトーに歩いたのはいいが、こんなとこにつくなんて・・・」
俺は都会にはそれなりに行く。なぜなら、週一でジムに通っているからだ。しかし、今日はジムの日ではない。
「でも、せっかく来たのだから、あのバーにでもいってみるか。」
俺は大体ジムに言った後は2回に1回のペースでいつも行くバーがある。それは・・・
「あったあった。ここだな。バー『NANDEYANEN』は。」
このバーには、凄腕のバーテンダーがいるって噂になって人気が出た店だ。俺はジム仲間に誘われてここに来た。だが、今まで一度も凄腕バーテンダーとはあっていない。だから俺は、お金に余裕があるなら、ジムに行った後に欠かさずにきている。
「さて、入るか・・・今日こそあのバーテンダーがいますように・・・」
俺は店の中に入った。
「あ・・・今日も店長か・・・」
「ダンナ。そんなにがっかりしないでください。」
いたのはジョー店長だった・・・
またか・・・俺はいつになったら凄腕のバーテンダーに会えるのだろうか・・・
「ダンナ。でも、2時間ぐらい前まではいましたぜ。」
このジョー店長は、どういうわけか俺のことを『ダンナ』と呼んでいる。この前、俺はジョー店長にこの理由を聞いてみたところ、『なんか、その筋肉質な体系はダンナと呼ぶしかないでやんすよ。ダンナ。』らしい。
「それにしても、さっきまでいたとは・・・」
俺は独り言のようにつぶやきながら席に着いた。
「ダンナ。今日は?」
「ああ、いつもの。」
「かしこまり。でやんす。」
俺はいつものスポドリカクテルを頼んだ。
俺がこれをいつも飲むきっかけとなったのは、店長にジムの後にここに来ていることを話したら、『それなら、運動後に効果的なカクテルを出すでやんす。』となってそれ以来、ずっとこれを飲んでる。
ちなみに、いつも同じだと飽きてしまうので、今日はトッピングでアップル風味にしてもらうことにした。
「出来上がりでやんす。」
早速俺は飲んでみた。
確かにうまい。でも、これが凄腕のバーテンダーが作ったらどんな風になるかが気になって残念だ。
「ダンナ。今日は取って置きの情報を仕入れてきたでやんす。」
「なんだ?」
ジョー店長の話は、決して嘘ではないのだが、事実をオーバーに伝えることもあるし、かなりくだらないことがほとんどだ。でも、話すことは事実であることは間違いない。あの少年みたいに不明確なことはない。
「最近あっしはとっておきの話を仕入れていたでやんす。でも、そのネタは不明確だったので、今まで誰にも話さなかったでやんす。でも、ついさっきこのネタが明確であることがわかったので、ダンナに話せる出やんす。」
「で・・・それは何だ?」
どうも、いつもの店長ではない?俺は興味を持って聞いてみた。
最近頻繁にこの都会に現れている『動く仮面』が、ウイルスを撒き散らして世界をのっとる計画があるでやんす。」
!!!!!
この話・・・マサヒロの話とそっくりだ。
いや・・・こっちのほうがより具体的な話になっている。
「店長・・・ついに嘘にまで手を出したのか?」
「ダンナ。あっしはホントのことを言っているでやんす。」
「大体、この情報源はどこなんだよ?」
これでもし、ジョー店長が『マサヒロ』といったら、俺は絶対に信じないことにする。
「最初はあっしが独自に調べたことでやんすが・・・あっしの店員である、凄腕のバーテンダーがこのことを言ったので、確信を持ったので、ダンナに言えたのでやんす。
!!!!!
情報源がマサヒロじゃない!!??
いや・・・大元をたどれば結局はマサヒロじゃないのか?
「なぁ、そのバーテンダーや店長の情報源はどこだ?」
「だから、あっしは独自に調べたことでやんすが、そのバーテンダーは客から聞いた話だと聞いた出やんす。」
「その客って少年じゃなかったか!?」
「・・・ダンナ。ここはバーでやんすよ。子どもは来ないに決まってるでやんすよ。」
いわれてみればそうだ。マサヒロはこんなところにはこない。そして、そのバーテンダーの情報源となった客の情報源も聞きたいところだが、無駄なことだと、冷静になったのでわかった。
「マスター・・・実は俺も似たような話を聞いたんだ。」
俺は、いっそ店長に俺が今日聞いた話も話すことにした。
「俺は、その話を『マサヒロ』と名乗る少年に聞いたんだ。でも、彼は記憶喪失だったせいか、マスターみたいな具体的な話はなかった。ただ、『仮面が世界征服を〜』といった漠然な事しかかわからなかった。」
「ダンナ・・・残念ながら、この話は本当かもしれないでやんすよ。」
ここまできたら、『嘘』と決めつけることはやめたほうがいい。でも、本当だとしたら、動く仮面は・・・
「まぁ・・・とにかく、そのうち地球は征服されるでやんすから、今のうちに飲んでおきましょうよ。ダンナ。意外ともう発射準備まで来ているかもでやんすから・・・あっ、これはあっしの勘でやんす。」
それにしても、何でジョー店長はここまで詳しく知っているのか?
本当は、俺ぐらいのことしか知っていなくて、あのバーテンダーが詳しいことまで知っていたのを聞いたから詳しく知っていることになっているのか?だとしたら、そのバーテンダーとそのバーテンダーに話した客って・・・
「マスター一つ聞きたいのだけど、今まで俺に話したのは、マスターの知っていることの何%話しくれたのか?」
「ダンナ・・・それを聞きたいですか・・・では、グラスが空なので、それをなんとかしてくだせぇ。」
俺は店長の話をもうちょっと聞きたいので、もう一杯頼むことにした。
「ダンナ・・・あっしはだんなに知っていることの95%話したでやんす。で、残りは、ウイルスを撒き散らす方法についてでやんす。」
「で・・・それはどんなんだ?」
「これは、あっしの予想も入っているので、不明瞭な情報なので、本来ならば話さないことなのでやんすが、ダンナには特別に話すでやんす。でも、鵜呑みにはしてほしくはないでやんす。」
・・・おかしい・・・
俺は何か重要なことを忘れているような気がするのだが、思い出せない・・・
とりあえず、店長の話でも聞いていたら思い出すかな・・・
「『ヨクト』ってことばがキーワードみたいでやんす。このことばの意味さえわかれば、方法がわかりそうでやんすが・・・まだあっしはわからないでやんす。」
ヨクト?聞いたことないことばだな・・・
とりあえず、このようなわからないことがあったら・・・
「ああわかった。『ヨクト』については俺も調べてみる。これでお互いにこの件に関して話せることは全部だな。」
「そうでやんす。では、残り少ない日数なので、今のうちに飲んでおきましょうでやんす。さ、明るい話題も持ってるでやんすから、注文するでやんす。ダンナ。」
まぁ・・・飲んでいるうちになんか思いつくかな。
俺は、ジョー店長のそれなりに面白い会話を楽しみながらさらに飲むことにした。
確かに、ジョー店長の接客は決して悪くはない。しかし、噂によると、凄腕のバーテンダーは、客とのトークも上手らしい。
ああ・・・俺の頭の中にあるモヤモヤをなくして、そのバーテンダーと飲んでみたい・・・
「ダンナ。今日はいつもよりも多く飲んでるでやんすね・・・」
そういえばそうだ。これは4杯目だ。俺はいつもは2杯しか飲まないのだが、ジョー店長がまれに出す特別面白い話が出た場合は、3杯飲むのだが、今日の話は、面白いってわけじゃないが・・・これは4杯飲まないとだめな話・・・か?
「ダンナ。5杯目いっときますか?」
「いや・・・今日はここまででいいや。」
俺はお金を払って店を後にしようとしたとき、ジョー店長を俺のペンダントを見て、
「ダンナ。気ぃつけるでやんす。そのペンダントを持っている以上、世界征服の件に何らかの形で首を突っ込むことになるでやんすよ。残り少ない人生を楽しみたかったら、そのペンダントをうまく処理したほうがいいでやんすよ・・・そう。うまくでやんすよ・・・」
「ああ・・・」
俺には何がなんだかわからなくなった。
冷静になるため、店を出た後、あるところに行った。

少し歩き、俺は摩天楼を見渡せるところにあるベンチに座って、摩天楼を見ながら冷静に今日一日に起こったことを振り返ってみた。
まず、世界征服の計画がどこかにあるってこと。これはコルテックスじゃなくて・・・だめだ。これは最後に考えよう。
マサヒロについてから考えよう。彼はいったい何者なのだ?俺のペンダントを変な風に言ったり、世界征服の計画があると、記憶喪失にもかかわらずに俺に言った。なぜ記憶が無くなったのにいえるのか・・・いや・・・アイツは確か、『世界征服をいっていた』といってたな・・・じゃあ、アイツは『知っていること』を俺に話したのではなく『聞いたこと』を俺に話したのか・・・
次は、ジョー店長だ。なぜ店長はあんなにも世界征服の話を知っているのだ?『独自に調べた』や『凄腕のバーテンダーから聞いた』だけで、あそこまでわかるのか。この問題は、凄腕のバーテンダーに会えば解決しそうなのだが・・・
「お金が・・・しばらくは節約で行かないと・・・」
独り言のように俺はつぶやいてしまった。俺は計画的に毎月小遣いでもらっているお金の90%を使うような生活をしているため、今日、行く予定の無かったのに、バーに行ってしまったので、今月やヴぁい。とにかく、『ヨクト』を調べれば、ある程度解決できると思うが・・・
次に、俺のペンダントのことだ。これはマサヒロもジョー店長もそろって『何かがある』的なことを行っていた。確かに、ペンダントの石は遺跡で拾ったものであり、それっぽいが、クラッシュにもココにも『普通の石だよ。』っていわれた。そして、クラッシュにいたっては赤色だったから、リンゴだと間違えてかじったぐらいだ・・・それだけ、普通の石であるはずなのに、なんでこんな・・・
「アクアクに聞いたら・・・アクアク!?」
自分で言って閃いてしまった。俺はアクアクにこの石のことを聞けばわかるんじゃないのか。アクアクはこの手については詳しいしな。
ん?よく考えたら、アクアクにさえ会えれば、全部の問題解決できないか?マサヒロも、ジョー店長も、この石も、世界征服のことも、アクアクから真実を聞けば、全部解決じゃないか!?・・・いや、全部ではないが、大きな問題は解決できる!!いや・・・でも、マサヒロもジョー店長も『動く仮面』といっていた。そもそも『動く仮面』は、アクアクなのか?
だめだ・・・また冷静さを失いそうになってる。とにかく俺が一番やらないといけないことは、冷静になってアクアクとあって直接聞いてみることだ。冷静になるために、まず今日は寝て、明日探しに行こう。そう俺は決意して立ち上がって家に変えようと後ろを向いたとき、思ってもいないものが眼に飛び込んできた。

TO BE CONTINUED...

戻る